2017年7月3日月曜日

2017.07.03 砂川しげひさ 『コテン氏の面白オペラ』

書名 コテン氏の面白オペラ
著者 砂川しげひさ
発行所 朝日新聞社
発行年月日 1989.01.10
価格(税別) 1,000円

● 約30年前のもの。砂川さん,本職は漫画家。本書の装丁も手がけているし,カットも描いている。
 一方で,クラシックマニア。

● アカデミックなところで勉強しちゃった人の評論は,ぼくのような素人には歯が立たないうえに,読んでてあまり面白くない。
 砂川さんのものは,面白い。向上心があって読んでいるわけではないから,面白ければいいし,面白くないものは読んでも仕方がない。
 ぼくがしているのは,消費としての読書だから。何かに役立てようと思って読んでいるわけではないから。

● 以下にいくつか転載。
 これは素人考えかもしれないが,オペラは出だしが勝負という気がする。序幕で「アッ」と思わせれば,その舞台は九九パーセント成功だ。(p30)
 ぼくは前々から,この譜めくり人にもっと脚光を当ててしかるべきと考えていた。(中略)われわれはこの任につく大半が女性である事実を忘れている。しかも美女が多い。(p44)
 ある有名なピアニストの演奏会で,突然,赤ん坊が泣き出した。あんまり泣くので,会場の係が外にでるように忠告した。すると若い母親は「子供にいい音楽を聴かせてなにが悪い」と逆に食ってかかった。そのとき偶然に隣の客席に居合わせた保母さんが赤ん坊を抱いて外に出た。そして演奏の間じゅう,そのコをあやし続けた。演奏が終わると,母親は赤ん坊を受け取って,彼女に礼もいわずに立ち去ったという。(p60)
 これ,本当に実話なんだろうか。
 今どきの小学校では運動会の徒競走で順位をつけない,ゴール前であとから来る人を待って,みんなで手をつないでゴールするのだ,という話がかつて流行った。
 しかし,その光景を実際に見たという人は一人もいない。自分が勤務している小学校ではそうしていたという教師もいなければ,自分が通っている小学校ではそうしていたという児童もいなければ,うちの子どもが通っている小学校の運動会ではそうしていたという保護者もいない。
 都市伝説的なものだろう。いかにもありそうだと誰かが作った話が燎原の火のごとく広まった。
 上の母親の話もそれと同じなのじゃないかと思うんだがね。いかにもいそうだという前提で,誰かが作った話が広まったのではないのかねぇ。
 安い,安い。こんな調子で十枚借りた。これらを,わが家の,PCMプロセッサーとビデオ・デッキを駆使して完全コピーをする。(p110)
 PCMプロセッサーかぁ。あったねぇ,そういうの。CDをビデオテープにコピーするやつ。当時は,とんでもなく高度な技術を駆使した器械なのだろうと思っていた。ぼくには高嶺の花でもあった。
 今は,パソコンに吸いあげることができる。装備も時間も格段に短縮された。しかも,コストが安くなった。うたた感慨にたえない。いい時代に生きていると思う。

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