2016年12月23日金曜日

2016.12.23 山口由美 『一度は泊まりたい 粋な宿,雅な宿』

書名 一度は泊まりたい 粋な宿,雅な宿
著者 山口由美
発行所 潮出版社
発行年月日 2015.07.20
価格(税別) 1,400円

● 本書で紹介されている宿は次のとおり。その前に「まえがき」で「庭のホテル 東京」が紹介されているけど。
 佐久間(川越市)
 ホテリ・アアルト(福島県北塩原村)
 大沢館(南魚沼市)
 オーベルジュ土佐山(高知市)

 旅館あづまや(田辺市)
 皆美館(松江市)
 島宿真里(小豆島町)
 上高地帝国ホテル(松本市)

 箱根ハイランドホテル(箱根町)
 加賀屋(七尾市)
 日光金谷ホテル(日光市)
 庵町家ステイ(京都市)

 あかん鶴雅別荘 鄙の座(釧路市)
 石山離宮 五足のくつ(天草市)
 星野リゾート 青森屋(三沢市)
 十八楼(岐阜市)
 奈良ホテル(奈良市)

● 以上の宿について,その宿が持っている物語を物語ろうとしている。宿の経営者や女将に取材はもちろんしているけれども,それによって直接に宿の魅力を語ろうとはしていない。
 故事来歴をさぐり,それらがいかにして今あるような形になったかを語っている。たとえば,「星野リゾート 青森屋」では以前の経営者の話は詳細に語られるが,星野リゾートは無視される。

● 以下にいくつか転載。
 棚田の合間の傾斜地を歩きながら,ふと振り返った先にオーベルジュ土佐山が見えた。ウブドでウォーキングツアーに出かけた折,アユン川という川の対岸から棚田の先に見たアマンダリの景観に本当によく似ていた。もし椰子の木がそこに生えていたなら,瓜二つの風景といってもよかった。(p61)
 もうひとつ,箱根ハイランドホテルが先駆的だったものがある。それは提供する食事の内容を写真付きのパンフレットで見せる宿泊プランの考案だった。(中略)かつて旅館では,提供される料理の内容が事前に細かく知らされることはなかったという。(p116)
 世界各地を旅していて,いつも不思議に思うのは,世界の風光明媚といわれる風景は,なぜかことごとく箱根に似ていることだった。(p117)
 女将の小田真弓さんは,「主役は接客係。いかにその舞台作りをして舞ってもらうかです」と言う。加賀屋の加賀屋たるゆえんは,客室係の一人一人の能力の高さもさることながら,彼女たちを生かすことに徹した宿の姿勢にこそあるのかもしれない。(P124)
 私が感じたのは,ディズニーランドや豪華客船の旅にも通じる,独特の高揚感と多幸感だった。それを創り出しているのは,客室係のサービスだけではない。旅館のハードそのものであり,さまざまな演出や仕掛けであり,そして,そこで満足げに楽しい時間を過ごしている宿泊客の笑顔だった。そのどれが欠けても,加賀屋は加賀屋ではない。(p128)
 成人式に振り袖を着る習慣が生まれたのも,成人の日が祝日に制定された戦後のこと。日本人の誰もが華やかな振り袖を着るようになったのは,人々が豊かになった高度経済成長以後のことだろ,以前,呉服商の人から話を聞いたことがある。(p148)
 「自然はカムイ(神)が創ったもの。それを想定してはいけない」 東日本大震災後,しばしば人々が口にした「想定外」という表現に対して,アイヌのエカシ(長老)が語った言葉だという。(p156)
 ねぶたは,祭りが終わったら処分することを前提に作られる。ほんの一時の祭りのために長い時間をかけて制作される,それがねぶたの美学なのかもしれない。(p182)
 私は長年,旅をしてものを書く仕事をしてきた勘から,どこであろうと,現場に行くと,その場でなければ入手できない,その土地ならではの情報があることを経験として知っていた。インターネットの普及した現代においても,その事実は変わらない。(p216)

0 件のコメント:

コメントを投稿