2016年11月22日火曜日

2016.11.20 成毛 眞 『情報の「捨て方」』

書名 情報の「捨て方」
著者 成毛 眞
発行所 角川新書
発行年月日 2015.05.10
価格(税別) 800円

● 副題は,「知的生産,私の方法」。この種の話題は,著者のこれまでの著書でも何度か触れられていた。
 が,その話題だけで1冊にしたのは,この新書が初めて。

● 本書の肝は巻頭(「はじめに」の見出し)に載っている。いわく「価値あることを考えるために,ムダ情報から徹底的に逃げよ」。

● だから,賢い人なら,この1行だけ読めばそれでよくて,本文は読まないで書店の本棚に戻してもかまわないのじゃないかと思う。
 とはいえ,本文も(読みものとして)面白い。

● 次にいくつかを転載しておく。
 前向きな大人たるもの,人と違う判断を下し行動を起こすため,人とは違う判断材料が必要です。極端な言い方をすれば,人とは違う判断材料を手に入れられる(そして手元に残せる)かどうかで,その判断の結果は見えているようなものです。(p21)
 10年前というと,それほど昔には感じられないかもしれませんが,「iPhone」の発売は2007年ですから,2005年にはまだスマホはありませんでした。隔世の感があります。10年前の“常識”で情報について語っていては,完全に時代遅れです。(p31)
 本やテレビで得た情報に対して「ここはどうなっているのだろう」と疑問を抱いてから,現地へ出掛けます。なので,私にとって出掛けた先は,答え合わせの現場です。(中略)答え合わせをしながら歩くのと,漫然と歩くのでは得られる情報量は天と地ほども違います。(p44)
 素人のブログは狭い視野の上に成り立つオピニオンの塊ばかりで,読むに値しないのです。(p48)
 私はベストセラー本は読みません。みんな,つまり大衆が読んでいるような本を読んでいたら,その大衆の中に埋もれてしまうからです。(中略)周りが「自分には関係ない」とスルーしている情報こそ,貪欲に求めていくことが重要なのです。(中略)自分に意外性を持たせることを意識するといってもいいかもしれません。自分の勤務先や肩書きとは,最も縁遠そうなところを攻めてみてはどうでしょうか。(p54)
 テレビは重要な情報源です。しかも,最近はテレビの視聴率は低下傾向とか。観ていない人が多いなら,観ることは周りに差を付けるチャンスです。なぜテレビが有用な情報源といえるのか。それは,テレビは「取材に大変な時間をかけている」からです。(中略)ただ,どんな番組でもネタの宝庫であるかというと,そうではありません。(中略)穴場はBSにあります。(p59)
 学校の外の社会には,学校の内部とは比べものにならない速度で,多彩な質の大量の情報が流通しています。仕事で役に立つような情報は,学校の外でしか手に入らないのです。(p63)
 とびきりの情報は,仲良くなった人からもたらされるというシンプルな事実は知っておくべきです。(p67)
 あまり積極的に摂取すべきでない情報があるのです。それは,自分からはアウトプットしたいとは思わないような情報です。(中略)自分で「出さない」(出す予定のない)情報は,最初から「入れない」のです。(p75)
 それでなくても人間は,聞きたいことだけを聞き,信じたいことだけを信じる動物です。「すごい! 知らなかった」と衝撃を受けた情報ほど,疑ってかかるくらいが,ちょうどいいと言えます。(p84)
 変化がゆるやかな店は,たいてい,長続きします。劇的な変化を繰り返す店は,すぐになくなってしまうことが多いようです。(p89)
 働くのに本当にふさわしい人かどうかは,たとえ面接をパスして入社したとしても,実際に働いてもらうまでは判断できません。これは断言できます。(p99)
 社会人がノートを使うのは,自分の頭に,そこに書いたことを入れるためではなく,入れないためです。忘れてはならないことを,脳の代わりにノートに記憶させるということです。(p104)
 「ネタ帳」に私がメモしているのは,いつか使うかもしれない情報そのものではなく,その情報にアクセスするためのキーワードです。つまり,情報そのものの記憶はインターネットに任せておき,その手がかりだけをファイルに記録していることになります。この手がかりとなるキーワードは多ければ多いほど,新たな情報を自分に引き寄せる機会が増えます。(p109)
 検索エンジンは便利なツールですが,これは,人の情報格差を広げるツールでもあります。ググるためのキーワードたくさん持っている人は,どんどん有益な情報を手に入れていきますが,何も持たない人は何も持たないままです。(p110)
 SNSなどでは実名か匿名かに関する議論があるようですが,私は実名一択。実名にすることで失われるものはほとんどない一方で,得られるものがあまりにも多いからです。(p117)
 実名のメリットはこの後にも具体的に登場する。Facebookで実名を出すことに慣れてきた人が多いのかもしれない。ぼくも最近は実名でやっている。
 ただし,実名でやると無責任なことを言わなくなるから,質の向上につながるという意見には必ずしも与しない。無責任な放言っていうのは,言わない人は匿名でも言わないし,言う人は実名でも言う。匿名なら言うけれども実名になると控える,という人はあまりいないように思える。
 1冊を読み終えてから次を読むのではなく,併読をするのです。その理由は,併読することで,別々の本に書かれている内容が,私の頭の中だけで融合します。すると,それぞれの本の著者が思いもしなかったようなアイデアが生まれることがある。(中略)仕事や家事も“並列処理”で進めると,新しい発見が得られると思います。(p119)
 公言すべきは,苦手なことばかりではありません。好きなこと,夢中になっていることも積極的に表明していくべきです。(中略)より深い情報を教えてもらえるからです。実際の知人に話すのはもちろんのこと,「Facebook」にも積極的に書き込んでいます。「Facebook」に,食べた料理やきれいな景色の写真を投稿するのが悪いとは言いませんが,誰かからの情報提供を得られるようなテーマの投げかけの場として活用することも,考えてみてはどうでしょうか。(p121)
 自分の頭で記憶できることには限りがあります。なので,これはという情報が手に入ったら,人に伝えてシェアすることで,他人の頭も記憶装置として拝借します。しかし,あまりそれをやりすぎると周囲に負担をかけるので,人に話す代わりに「Facebook」に書き込んでいるのです。(p148)
 私が「Facebook」に書くことの何割かは,他人に発表するための投稿ではありません。後ですぐ活用できるようにと,自分のために「書き留めている情報」だということです。(p149)
 社会人たるもの,笑いのないプレゼンだけは避けなくてはなりません。(中略)大勢の前で話をするときには,笑わせられるかどうかが,プレゼンの成功のカギを握るからです。(p152)
 教養とは実は,捨てたつもりで捨てていない情報のことだ,と私は考えています。(中略)教養は,時間をかけていろいろな食べ物を摂取してきたことで,体に備わった血肉のようなものです。おいそれとは構築できないし,だからこそ,捨てたつもりでも捨てきれません。(p165)
 旧石器時代の人類はなぜ,壁画を描こうと思ったのでしょうか。(中略)ひとつ考えられる答えに“単に楽しいから”があります。(中略)やっぱり,描くことは楽しいのだと思います。(中略)つまり,アウトプットは楽しいのです。壁画を描いていた人類と,壁画を描かなかった人類とでは,壁画を描いていた人類のほうがよほど楽しかったに違いありません。(p167)
 使わないことは,その存在を知らないことと同じです。そういうものがあると知っているだけでは無意味なのです。(中略)今後,新しいジャンルのデバイス,これまでになかったサービスが登場したときにも,真っ先にそれを試し,使い続けられるかどうか判断し,使い続けると決めたなら,どんどんアップデートしていくべきです。それが,情報を活用して生きていきたい人が最低限満たすべき条件です。(p173)
● 著者がiPhoneで使っているアプリもいくつか紹介されている。同じものか類似のものが,Androidにもあるだろう。
 惹かれたのは次の4つ。
 Captio メモした内容を自分宛にメールする専用ツール。
 Poet-it Plus ポストイットに書いたメモを撮影するためのもの。他の写真と混じることがないし,複数のメモをまとめて撮影しても,個々に認識してくれる。
 SmartNews ニュースキュレーションアプリ。
 Star Walk 2 空に掲げるとその方向にある星座や人工衛星を表示してくれる。

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