2016年10月25日火曜日

2016.10.24 小山薫堂 『幸せの仕事術』

書名 幸せの仕事術
著者 小山薫堂
発行所 NHK出版
発行年月日 2012.08.30
価格(税別) 1,200円

● 副題は「つまらない日常を特別な記念日に変える発想法」。読了したあと,何がなし元気になっている。それだけで読む価値があるといえるだろう。

● 小山さんによれば,企画とはサービスであり思いやりである。
 突き詰めていくと,企画とは「サービス」だと思うんです。どれだけ人を楽しませてあげられるか,幸せにしてあげられるか。(p21)
 同じ商品であっても,その背景にどういうストーリーがあるか,どういう思いでその商品が生まれているのかを知ることによって人の心は大きく変わる(p27)
 その例として,イチローの母親が作ったカレーをあげる。大学の授業にイチローの母親に来てもらって,カレーを作ってもらう。午後の講義で学生に「このカレーを食べたい人」と訊いても,昼食を食べたばかりなので,ほとんど手があがらない。
 しかるのちに,種明かしをして,再度「このカレーを食べたい人」と訊くと,ほぼ全員の手があがる。そこにあるカレーは変わらないのに,背景がわかると,評価が一変する。
 僕のベースには,「誰かを喜ばせたい」という気持ちがあります。ユアハピネス・イズ・マイハピネス=「あなたの幸せが,私の幸せ」。これは僕が企画を発想する時の原点です。いつも,どうやって人を喜ばせようかと考えているんです。(p36)
 ものの価値というのは,そこにいかに感情移入できるか,どれだけ好きになれるかで決まるんですね。(p149)
 「究極の企画とは何か?」と訊かれたら,僕はこう答えます。「それは,自分の人生を楽しくすること」「それは,自分が幸せな気分で生きること」(中略)別の言い方をすると,究極の企画とは「自分の中の不安を軽くすること」でもあるでしょう。自分の思いひとつで人生が変わるわけですから,企画とは,実は信仰に近いのかもしれません。(p162)
● その他,いくつか転載。
 本来希望していた現場ではないこともあって仕事がおもしろくないらしいのです。ただ,そこで彼はどうしたかというと,その部署にいる,普段まったく笑わないおばちゃんを笑わせる,ということをひとつの目標として自分に課したそうです。その人がちょっとでもニヤッとした時に「よし,勝った」と思う。これも立派な企画ですよね。(p30)
 僕は「芸術家」ではないので,自分の中からわき出してくる何かを表現したいとか,自分の魂を外に発散したいといった欲求はまったくないんですよ。(p58)
 アイデアのタネは,植物のタネのように,いつか発芽して何かの役に立つかもしれない,というもの。それは単なる「情報」ではなく,自分の体験や見聞からつかんだ内容や考え方です。目の前の仕事にすぐに活かすことはできないかもしれないけれども,そうしたタネをいかにたくさん集めておけるかが重要なわけです。(p67)
 僕は,仕事だけのために人脈をつくろうと思うこと自体,浅ましいと思ってしまう。(中略)いかに利害関係のないところで人と出会い,つながっておけるかが大切なのだと思います。(p78)
 そもそも,人は環境に慣れてしまうと,なかなか目の前にある価値に気づかないものなんですよね。けれども,やはりアイデアのタネは日常の中に落ちているものなのです。(p85)
 僕の場合,日常でアンテナに引っかかったものを逐一メモすることはせず,あえて心の中にしまっておくんです。メモを取ると,その時点で安心してしまうんですよ。それよりも,心の中で思い続けていれば,ある時,具体的なアイデアとなって発芽するものなのだと思います。(p99)
 必要なものにしか目を向けないということは,不要なことはしなくなる,ということ。それでは,可能性は広がらないと思うのです。(p105)
 一見無駄だと思うものの中にこそ,実は人生を豊かにするヒントが隠されているような気がするんですよね。(中略)お肉でも脂身が多い肉って,うまいじゃないですか。なくてもいいけれど,脂身があるから味わい深くなる。(p107)
 僕は最近,観光客誘致というものにやや懐疑的なんですよ。あらゆる地域が,とにかく外から人を呼べば幸せになるだろうと「うちはいいところだから,おいでおいで」と言っている。その割に,地元の人たちは,その「いいもの」をさほど満喫していないような印象を受けます。(p129)
 何をするにも,デザインというのは大事だと思いますね。中途半端というのが一番ダメで,徹底的にやらないと人の共感はなかなか得られません。(p157)
 「こうしなければいけない」という規則なんて,本当はもとからないんですよ。自分の人生は自分で決めるものなのです。ですから,八方塞がりになった時にも,それくらいのことでつぶされるのだから,その道はその程度だったんだと思えばいい。同時に,それよりも別のところに,自分にとってもっと確かなものがあるはずだと考えれば,意外に楽になると思うんです。(p172)

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