2016年10月24日月曜日

2016.10.17 永江 朗 『51歳からの読書術』

書名 51歳からの読書術
著者 永江 朗
発行所 六耀社
発行年月日 2016.02.25
価格(税別) 1,500円

● 著者が自身の読書スタイルの変遷を語ったもの。読書スタイルの変遷を語ることはつまり,世相の移り変わりを語ることでもある。

● 副題は「ほんとうの読書は中年を過ぎてから」。それが納得できる内容だ。
 が,“ほんとうの読書”ができるためには,若いときから“ほんとうじゃない読書”を重ねていないといけない。そうじゃないと,“ほんとう”かどうかもわからない。

● 以下に転載。
 和歌というのは,どれだけ過去の作品を知っているかが,創作の上でも鑑賞の上でも鍵になる。引用に次ぐ引用で,イメージを借用したり,エピソードを借用したりして,自分の和歌をつくっていく。現代の著作権についての考え方からすると,ほとんどパクリじゃん,といわれかねない。しかしそういうものなのだ。価値観が逆なのだ。パクって引用してイメージを広げるのがすぐれた和歌なのだ。 素晴らしい! ひとりでゼロから生み出せるものなんてほとんどない。クリエイターだ,アーティストだと威張っていても,その創作のほとんどは先人の仕事の上にある。教育というものそれ自体がパクリの練習みたいなものだ。(p23)
 オトナには時間がないのだ。終わりは刻々と迫っている。無駄な本は読みたくない。つい最近まで「無駄こそ人生」なんていっていたくせに。(p34)
 「こんな本はダメだ」という書評があってもいいとは思うけれども,けなすくらいなら無視したほうがいい。(p35)
 『日本の歴史』と『世界の歴史』を読んでみて思ったのは,日本の歴史,人類の歴史というのは愚行の繰り返しだということ。人間はちっとも進歩していない。いつも下らないことで争い,つまらないことで人を殺す。(中略)歴史の本を読んでいると絶望的な気持ちになる。どうして歴史家たちはシニシズムに陥らないのか不思議でならない。(p43)
 『平家物語』を読むと,日本人の性格が一千年前から変わっていないのに呆れた。日本人は人を持ち上げて落とすのが得意なのだ。(p44)
 読んでもわからない文章は,読み手ではなく,書き手のほうに問題があるのだ,という人もいる。そういうこともあるだろうが,すべてにあてはまるとは思えない。(p66)
 本は一冊だけで存在するのではなく,一冊の本の後ろには何百という本があり,それら後ろにある本を読む機会が増えたので,一冊の本がよりわかりやすくなったのだ。(p70)
 古本屋では文学全集がびっくりするほど安い。二束三文ならぬ,一セット三千円状態だ。(中略)ハードカバーの立派な函入りが,新刊の文庫版よりも安い。文学全集や百科事典の古書価格が暴落したのは,整理術や片づけ術の本がベストセラーの常連になるのと相前後してのことだと思う。(p79)
 一九六〇年代後半から一九七〇年代前半に起きた文学全集ブーム,百科事典ブームは,ほんとうに「読むため」ではなく,たんに「見栄のため」に購入する人が支えていたのだろうと推測できる。出版関係者は「本が売れなくなった」と嘆くけれども,「読むため」に購入する読者はあまり変わらないのではないか。(p80)
 ベストセラーはブームが終わってからブックオフで買って読むのがちょうどいい。ほんとうに価値ある内容であれば,一冊百円でも十分に得るところがあるだろう。つまらない本なら,なぜあのときみんなこれに熱狂したのか考える楽しみがある。(p106)
 毎日新聞社が戦後まもなく開始して,いまも継続している「読書世論調査」のデータを見ると,ふだん本を読むと回答する人の比率は,一九六〇年代からほとんど変化していないことがわかる。つまり,よくいわれる「読書ばなれ」は起きていないのだ。それと同時に,中高年が意外と本を読んでいないということもわかる。(中略)しかし,自分が老眼・飛蚊症・白内障になってみると,「こりゃあ,老人の読書ばなれが起きるのも当然だよなあ」と感じることが増えた。(P124)
 普通車の自由席で立ち続けて失われる時間よりも,グリーン車で快適に本を読む時間を買う。自由席で立ち続けたことによる疲労は,その日だけでなく翌日や翌々日にも影響する。(中略)時間を気にせず貧乏旅行ができるのは若者の特権だったのだ,といまにして思う。(p131)
 蔵書は少ないほうがいい。たくさんあると,どの本がどこにあるのかわからなくなる。本棚を見まわして,把握できる本だけを所有するのがいい。(p136)
 ある大学図書館では,亡くなった教授の遺族から寄贈された本が,未整理のまま段ボールに詰められ大量に積まれているそうだ。遺族としては「○○文庫」なんて名前のついた棚が図書館にできるのを夢見ているのだろうけれども,そうした価値のある本をたくさん持っている人は学者でもまれだ。(p139)
 図書館がこんなににぎやかになったのは,いつごろからだろうか。(中略)変わり始めたのは十年ぐらい前からだと思う。利用者が増えた理由はいくつかある。まず図書館の使い勝手がよくなった。開館時間が延び,なかには夜遅くまで開いているところもある。コンピューターとインターネットによる検索システムの充実ぶりも大きい。(中略)利用者の側も変わった。(中略)かつて図書館といえば勉強する学生の姿が多かったが,いまは老人ばかりだ。それも圧倒的に男性が多い。(p168)

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