2016年10月11日火曜日

2016.10.11 バリー・C・ターナー 『シューベルト』

書名 シューベルト
著者 バリー・C・ターナー
訳者 橘高弓枝
発行所 偕成社
発行年月日 1998.04.01
価格(税別) 2,000円

● 天才の特徴はいくつかあるのだろうが,ひとつは多作であること。多作であるためには生産過程が迅速であること。シューベルトもそうであったらしい。
 作曲するとき,シューベルトはめったにピアノを使わなかった。机につくと,ペンをかみ,指で拍子をとりながら作曲するのが,いつものやりかただった。(p54)
 シューベルトの作品の多くは,信じられないくらい短い時間に-つまり,ペンを使って曲を五線紙に書きいれるのに必要な時間だけで完成した。しかも,それを決して修正しなかった。(p145)
 シューベルトは,歌曲を日におよそ六曲のペースで書き続け,一年間に一四五曲もの新曲を完成させた。そのなかには,有名な『野ばら』もふくまれている。このように,一八一五年は,新曲が次から次へと泉のごとくわきだした,実りゆたかな一年だった。(p67)
● 無口で人付き合いが得意ではなかった。作曲以外のことは基本的にどうでもよかったらしい。
 もともと無口なシューベルトは,ことばよりも音楽で自分の心のうちを表現するほうが得意だった。(p60)
 シューベルトは,自分の作品を几帳面に保管するタイプの作曲家ではなかった。楽譜をほしがる者がいれば気軽にあたえ,友だちに貸した楽譜がそのままになったり,仲間から仲間へとまわって最後になくなったりしても,さほど気にしなかった。 心配したのは,本人よりも友人のアルベルト・シュタードラーのほうだった。(中略)作曲家自身がずぼらだったために,日の目を見なかったかもしれない傑作の数々を救ったのだ。(p65)
● しかし,何人かの親身になってくれる友人たちがいた。彼らがシューベルトのために動いてくれた。つまり,それだけの何か(その核は音楽の才能だったのだろうが)をシューベルトは持っていたのだろう。
 シューベルトをとりまくこの人びとの輪は,やがて《シューベルティアーデ(シューベルトの仲間)》とよばれるようになった。(p90)
● 他に,ひとつ転載。
 シューベルトの歌曲を比類ない芸術にまで高めている最大の秘密は,ピアノ伴奏にあった。ピアノが単なる伴奏に終わらず,微妙な心理描写の役割までになっているのだ。この手法こそ,シューベルトが,新しく創造した表現方法だった。(p61)

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