2016年9月19日月曜日

2016.09.16 奥野宣之 『図書館超活用術』

書名 図書館超活用術
著者 奥野宣之
発行所 朝日新聞出版
発行年月日 2016.03.30
価格(税別) 1,300円

● 副題は,“最高の「知的空間」で,本物の思考力を身につける”。
 図書館を無料の貸本屋としか思っていない人に,本を借りるだけでは図書館を使いこなしているとは言えない,と説こうとする。

● ではこの本を読んだ人は,本を借りるだけでなく,アクティブに図書館を使えるようになるか。1,000人中の999人はならないだろう。それはそういうものだと思う。
 そんなに目からウロコが落ちる本でもない。自分では意識しないままに,この本で説かれているような使い方をしている人はけっこう多いのかもしれないとも思った。

● しかし,以下にいくつか転載。
 ネットとは「多様で豊かな情報に出会うこと」が難しいメディアになってしまっているのです。もはやネットは,テレビのように「誰もがほぼ同じ情報に出会うメディア」になったと言っても過言ではありません。(p6)
 これはどうなんだろうか。ぼくは,テレビだって「誰もがほぼ同じ情報に出会うメディア」ではないと思うがなぁ。
 公共図書館には「利用者の求めるサービスをする」という方針があるだけで,「利用者を育てる」という発想がありません。そのため,利用者は永久に「本を借りるだけ」にとどまってしまうのです。(中略)利用者はもっとアグレッシブになる必要があるのです。(p14)
 図書館で仕事をしていてよく思うのは「図書館とは,力がもらえる場所だ」ということです。(中略)図書館をうまく利用できれば,世界中の本が読めるし,インターネットの有料データベースも見ることができる。統計学だろうが帝王学だろうが占星術だろうが,自分で学べるからです。(p15)
 図書館のインターネットの最大の「売り」は,「有料データベース」が使えることです。(中略)図書館では収蔵されている本と同じ「図書館資料」扱いなので,いくら見ても料金はかかりません。(p37)
 世の中には英語教室も社会人大学院もあります。しかし,一人ひとりまるで違うニーズに応じた自己学習ができて,それを本当に「死ぬまで続ける」ことができるのは,図書館だけです。(p40)
 意思で「ネットに接続しないようにする」のは不可能に近い。というわけで,私はWi-Fiのない図書館を「ネットを遮断して,本当にやるべきことに集中するための空間」として使うことにしています。(p49)
 あまり知られていませんが,近年,大学図書館では学外者への開放が進んでいるのです。国立大学の図書館は,情報公開法の施行と独立行政法人化によって2004年ごろから一般開放されるようになりました。(p53)
 公共図書館は「貸出」にはカードが要りますが,閲覧室に出入りして本を読むのは誰でもOK。というわけで,私は出張するとき,事前に図書館の場所を調べておき,いつでも立ち寄れるようにしています。だいたいの地方都市では,図書館は市役所などと一緒に街の中心部に立地していて,アクセスもいいからです。(p62)
 人間は何でもすぐ「わかりきったこと」と思ってしまうクセがありますが,ほとんどの場合は,わかりきっていません。だから,とくに必要性を感じない本でも,めくってみることが大切なのです。(p79)
 自分でも気がつかない「潜在的な課題」に気づき,成果を上げていくためにも,図書館が使えます。コツは「用がなくてもふらりと行ってみること」です。(p99)
 図書館の棚は,毎日のように変わるものではありませんが,「自分が何を考えているか」「(潜在的に)どんな課題を持っているか」によって,大きく顔を変えるものです。代わり映えしない棚であっても,足を運べば必ずなんらかの発見があります。(p102)
 文献を使ってアウトプットするときは「できるだけたくさん読んで,できるだけ使わない」というのがベストなのです。(中略)5冊より100冊の方が,情報ソースの「意外な組み合わせ」が起こりやすくなるのもポイントです。(p113)
 レファレンスサービスは,メールや電話でも受け付けています。時間を節約したい人は,電話で相談して,資料を用意しておいてもらってから図書館に行くといいでしょう。図書館は,資料費だけでなく「資料探しの時間」も節約してくれるのです。(p122)
 私は,教養とはつまり「話がおもしろい」ということではないかと思っています。(中略)では,そんなふうにおもしろい話ができるようになる(=教養を身につける)にはどうすればいいのか。もっとも簡単なことは,本を読む時間を増やして頭の中の知識を「フロー型」から「ストック型」メインにしていくことです。(中略)ネットは,ストック型よりもフロー型の知識を伝えるのが得意なメディアです。(p128)
 ネット検索だけの知識は,柱やタイル,レンガなどの建材を空き地にガラガラと積んで「これが僕の家です」と言っているようなもの。知識というのはちゃんと構築されていないと使えないのです。(p138)
 図書館の本を上手く使いこなすコツは「読まないこと」です。(中略)私の場合,最初から最後まで読む本は,数十冊に1冊くらいしかありません。「図書館の本は熟読せずに閲覧するものだ」と考えているからです。(p141)
 日本では,戦前の図書館は入館料を取っていました。いま無料化されているのは,簡単に言えば戦争に負けてアメリカに占領されたからです。(中略)同じ公共施設である博物館や公民館,体育館などはいまでもたいてい有料です。いかに図書館が特別な公共施設かわかるでしょう。(p163) 
 いまの図書館では,(中略)個別の利用者の貸出履歴データは本の返却時に消えるようになっています。(中略)このような「超監視社会」において,個人の嗜好や思想信条に関する情報を誰かに利用されないのは,図書館くらいでしょう。(p171)

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