2016年8月7日日曜日

2016.08.07 長谷川慶太郎 『2017年 世界の真実』

書名 2017年 世界の真実
著者 長谷川慶太郎
発行所 WAC
発行年月日 2016.08.07
価格(税別) 920円

● ヨーロッパ,ロシア,中国,アフリカ,アメリカ合衆国が抱えている困難や問題を指摘し,したがってこれから世界を引っぱるのは日本だ,という結論を提示する。
 世界でただ一つ,長期資金を貸せる余裕を持っている国が日本であり,その総理大臣である安倍の言うことは,みんな聞く。(p27)
● まず,ヨーロッパ。
 ヨーロッパの主要国は厳しい環境に置かれている。ドイツ,フランス,そしてイギリスも例外ではないのだが,上位クラスの銀行でさえ,日本のバブル崩壊後のようなありさまだ。(p4)
 最大手のドイチェバンクはこのまま行ったら,破綻するのが目に見えている。その大きな要因はフォルクスワーゲンだ。(p59)
 ドイツ外務省の中国課などは十一人しかいない。その中で中国語のできるのは三人だ。「大丈夫か」と言いたくなるほどお粗末な陣容である。ドイツのメルケル首相にしても,イリュージョン(幻想)でものを言っていることが少なくない。(p147)
● 次に,ロシア。
 ロシアの消費者物価上昇率は年間二〇%である。この物価高で,年金生活者はどうにもならないところまで追い詰められている。 それでも,プーチン大統領は八〇%ぐらいの支持率がある。これは現実でなく幻想によるものだ。幻想だから,いつ消えるかわからない。そのことはプーチンだって知っている。知らないわけがない。(p114)
 ここまでロシアが窮したのは,プーチンが突っ張り過ぎたのが一因ではあるけれど,結局,「ソ連時代の夢よ,もう一度」という思いが大きな原因である。つまり,アメリカと肩を並べる超大国になろうとした。それが認められないことを国際社会がもう一遍,強く主張しなければならない。(p118)
 ロシアの現状は本当に惨めなものである。インフラの崩壊にしても尋常一様ではない。一番劣化しているのが鉄道で,脱線事故があまりに多すぎて新聞ネタにもならないほどだ。それどころか,嘘のような実話がある。ウラジオストクとモスクワをつなぐシベリア鉄道の貨物列車は,盗賊が襲ってくるから携帯機関銃を持った護衛がつくのだ。まるでシベリア鉄道が国の統治下にない地域を走っているようなもので,馬賊が跋扈した満州事変直後の満州を彷彿とさせる。(p120)
● 北朝鮮,中国,韓国。
 円高が生じた最大の要因は中国からの資本逃避である。(p35)
 二〇一六年一月に北朝鮮は四回目の核実験を行なったが,三回目との最大の違いは,北朝鮮が情報統制に成功した点だ。中国への事前通告がなく,中国がまったく予測できなかった。(p91)
 二〇一六年三月,王毅外相は訪米してケリー国務長官と会い,北朝鮮への侵攻計画にOKを取りつけた。その後に習近平がアメリカへ行ったときは,オバマ大統領に直接打診してOKをもらった。こうして米中両国の合意はできている。ただし,「いつ,やるか」はわからない。 合意においてアメリカが条件に付けたのは,中国が長期間,北朝鮮を占拠しないことである。だから,習近平は金正恩を捕まえて権力を剥奪すれば,すぐに軍を撤退させるが,その前に中国の傀儡政権を北朝鮮につくる。(p102)
 最大の衛星国であり,第二次大戦の戦利品である東ドイツを捨てた翌年,ソ連は消えた。しかし,(中略)中国は北朝鮮を捨てず,金正恩を排除するだけだから,ソ連と同じ運命は辿らないだろう。(p144)
 金で買うときは「契約」「輸入」を手続きがいる。だいたい三ヵ月は最低必要で,通常は六ヵ月かかる。一朝有事の際にものを言うのは現物であって,契約ではない。「物」があれば即時にわたせる。「物」があるところは強いのだ。 北朝鮮がつぶれたとき,現物を握っている日本が隣にある。それが朴槿惠にもわかってきたから,「従軍慰安婦の問題は昔の話で,今さら蒸し返してもいかがなものか」ということになった。(p105)
 結局,韓国は日本に助けを求めることになるだろう。ただし,「助けて下さい」ではなく,「助けさせてあげよう」と偉そうな態度で言ってくるかもしれない。そういう感覚は中国も同じである。(p109)
 彼ら(韓国人)は日本人と同じ敗戦国民だけれど,自分たちは戦勝国民だと思っている。通州事件で殺された人の半分は朝鮮半島出身者であり,事実を振り返れば,敵は中国人のはずだ。しかし,自分にとって都合の悪いことは目をつぶる。都合のいいことだけを強硬に主張する。これは中国人や韓国人に共通する意識である。(p110)
 今後,パナマ文書の影響が出るのは新興国と共産国である。その一つが中国だ。これは大変だろう。習近平はどうするのかと思う。(中略)中国人は,習近平の姉婿が何をしているか,みんな知っている。(p155)
● アフリカ。
 アフリカについては難しい問題がある。人口が多い割りにレベルが低いことだ。白人以外の大学はエジプトとケニア,ガーナ共和国,モロッコの四つしかない。(中略)だから,すべてにわたって人材が足りない。その「穴」を外国人が埋めている。今,最も多くアフリカに入っているのはインド人だ。(p80)
 そういう政治情勢,社会情勢の不安定さは,外国人が行って解決しようとしても不可能だ。彼ら自身が必要に迫られ,行動する決意を固めてもらわないと,どうにもならない。(中略) これから何十年という時間をかけ,根気よく改善するしかあるまい。そころが,なかなか今期が持続しない。特に民間企業の場合,投資したらすぐ回収する方向に動くから,どうしても目先のことしかできない。(p83)
● アメリカ合衆国。
 アメリカの一般大衆は「世界の警察官」に飽き飽きしている。その背景には「世界は大きく変わった。もう戦争はできない。戦争にならないなら,なぜ,アメリカが世界の警察官の役割を果たさなければならないのか」という思いがある。(p33)
 アメリカではものすごい勢いで転職が進んでいる。逆に言うと,アイビーリーグの卒業生でも厳しい。昔は門前列をなすという状態だったのに,今は鼻も引っ掛けてもらえない。それほどアイビーリーグの権威が落ちてしまった。そのため,高い学費を払ってアイビーリーグを卒業してもいい就職先にありつけず,借金が残るだけの若者が増えた。こういう現実があるから,民主党で「州立大学の学費無料化」を打ち出したサンダース上院議員の票が伸びたのも無理はない。(p161)
 アメリカの製造業が辛いのは,労使関係の調整が難しいところだ。アメリカの労働組合は日本と違って手強い。(p172)
 アメリカが深刻に考えなければいけないのは,技術革新が遅れていることだ。一番遅れているのは薬で,特に効果の大きい新薬開発である。(中略)IT関連も空洞化が生じている。このままではグーグルでも厳しいだろう。グーグルはもっと研究開発に力を入れる必要があるのだが,それができないでいる。最大の理由は長期資金の不足だ。(p183)
 デフレ時代はものすごい経済競争になる。「武力を使わない戦争」と言ってもいい。それだけに,少しでも早く対応することがアメリカにとってプラスになる。 では,アメリカが何をすべきか。まず,リストラは避けられない。金融でも,製造業でも,企業が合理化され,労働組合は淘汰される必要がある。そこで見落としてならないのは,「リストラしなければ,新しい仕事ができない」ということである。「新しい仕事」の前提条件がリストラであり,リストラをやって初めて新しい仕事ができる。(p187)
● それでは,日本はどうすべきなのか。基本的には今の路線を進んで行けばいい。
 日本はGDPの三.五%を研究開発に向けている。アメリカは三%,ドイツは二%しか入れていない。他の小さな国はコンマ以下である。研究開発は今後も同様に続けていけばいい。(p194)
 戦後は財閥解体とともに財閥系企業も「個人保証のルール」が適用されるようになった。日本は企業のトップほど重い責任を背負う。だから,一生懸命に働く。それが日本の企業の生命力の源泉である。(p196)
 (自衛隊の)幹部の質はだいぶ良くなった。幹部候補生は防衛大学校の卒業生と同数を一般の大学から採用する。昔はほとんどが日東駒専だった。今は早慶が一人ずつで,あとは旧帝大の出身者である。(p198)
 エネルギー分野で急がなければならないのが二次電池である。この研究で先行しているのは東京電力だ。(中略) なぜ,東京電力が二次電池の開発をするのか。東京電力は現在の配電ネットワークを変えなければいけないと考えている。そのときに大事なのが二次電池だ。(p214)
 同時にやらなければならないのは設備の縮小である。(中略)手っ取り早いのはコンパクトシティだろう。人が集中して住めば水道だけでなく,医療にしろ何にしろ,コストを下げられる。 今,それを進めているのは青森市だ。(p218)
 特に理工系に顕著なのだが,技術水準が上がったので大学の四年間では足りず,最低でもマスターまで進んで初めて専門家になれる。中等教育の期間を減らし,高等教育の期間を増やすことが必要である。(p219)
● デフレは続く。しかし,デフレはチャンスである。
 デフレになればなるほど起こることは新産業の誕生である。例えば電力は十九世紀の第一次デフレで広まった。(中略)インフレには,そういう創造力がない。(p189)
 インフラ投資は額が大きい。しかし,デフレの時代は超すとが下がり,やりやすくなる。逆にいえば,大規模なインフラ投資はデフレの時代にしかできないのである。(p218)
● その他,豆知識。
 なぜ鈴木敏文会長がやめなければいけなくなったのか。創業者の伊藤雅俊との関係が悪化したからだ。私は鈴木とは面識がないが,伊藤とは面識がある。(中略)私の見るところ,伊藤は正直な人である。 伊藤からすれば,鈴木はセブン&アイを自分のオーナー会社のごとく,私物化した。そう捉える最大の理由は,鈴木が長男を役員にしたことである。あれは認められない。伊藤は子供をイトーヨーカ堂に入れていないのである。(中略) 成果を挙げた鈴木はそれに見合った形で報酬をとっている。あれだけ高い給料をとっている人はいないのだ。 そういう類の話は新聞には出ない。鈴木に遠慮しているのだ。(p39)
 都心のマンション売買が活況と言われるが,それは千代田,中央,港,新宿,渋谷の五区だけである。この五区から一歩でも出たらおしまいだ。いずれは都心の五区も,売れるところと売れないところが選別されるだろう。したがって,今,日本で不動産に投資しようと考えるのは,よっぽどおめでたい人に違いない。(p50)
 ドイツ人は動かぬ証拠を突きつけると,カエルをつぶしたみたいにペシャンとなる。(p98)
 このときの旅行は六ヵ月間,東ヨーロッパを回った。その間,日本食を一回も食べなかったのが自慢である。(中略)日本食にこだわっていたのでは視野が広がらない。これは本当である。(p122)
 舛添(要一)は学者として才能は豊かだが,政治家としては疑問符がつく。例えば,都知事になってから認知した子どもの養育費の減額を求めて訴訟を起こしたのはいかがなものか。二千六百万円の年俸をもらっていて,二十万円が払えないという話は通らない。だから,裁判で負けた。それ以上はやらなかったけれど,ケチなことを負けるまでやる。ちょっと特異な存在である。(p150)

0 件のコメント:

コメントを投稿