2015年1月31日土曜日

2015.01.31 伊藤まさこ 『わたしの布のほん』

書名 わたしの布のほん
著者 伊藤まさこ
発行所 集英社
発行年月日 2004.07.30
価格(税別) 1,400円

● 布を使わないで暮らす日は1日とてないわけで。早い話,下着を着けないで,外を出歩く人はいないだろうから。

● 著者は,料理と布をどう合わせれば写真写りが良くなるか,といったことを考えるのを仕事にしてきた人なのだろう。
 テーブルクロスとかナプキン,ふきんのような台所や食卓で使う布から,服やシーツに及ぶ,生活にまつわる布の話が収められている。

● 男性の多くが,あまり(ほとんど)関心を向けない分野だ。けど,生活の基礎的なところ。同時に,彩りをいかようにでも受け容れる深い懐を持った分野でもあるようだ。
 衣食住というのはじつに言い得て妙で,ここが整っていれば,他のことはたいていどうでもいいのかもしれない。
 巣作りってことなんだけど,その重要な作業はずっと女性が担ってきた。

● 今は,女性も働くのが普通になって,男性の家事参画が喧ましく言われるようになっているんだけど,本格的に参入しちゃって大丈夫なのかな。
 それはあれだよね,自分が指揮官になるから,あなたは私が言うとおりに動いてねってことだよね。
 たぶん,全部自分でやっちゃった方が速いよ。疲労度も少なくてすむと思う。本格的に参入されるより。
 だってさ,ほとんどの男性は戦力にならないよ。戦力になりそうな男性は,自分が指揮官になりたがるよ。

● 伊藤さんによると,「男の人は柔軟剤を入れて柔らかくしたタオルが好きで,女の人は太陽にさらされた感じのごわっとしたタオルを好む人が多い」。
 男は女性的な柔らかいのが好きで,女は男性的なごわっとしたのが好き。わりと理にかなっているようでもあるね。

2015.01.31 中島智章監修 『世界で一番美しい宮殿』

書名 世界で一番美しい宮殿
監修者 中島智章
発行所 エクスナレッジ
発行年月日 2014.12.01
価格(税別) 1,800円

● 馬鹿馬鹿しいほどの富の集中と,無駄な蕩尽。世界の宮殿の写真を見て,まず感じるのはそのことだ。
 もちろん,そうしてくれたからこそ,後世の人々は「美しい宮殿」を楽しむことができる。美術館や博物館になっているところもあるし,そうじゃなくてもほとんどは一般に開放されている。

● 歴史的な価値,芸術的な価値,観光資源としての価値。もし富が広く平準化していたら,こうはいかない。今頃は何も残っていないだろう。
 ではあるんだけれども,歴史に残らないのが正統なあり方じゃないか。人間も造物も。歴史に残ってしまうなんて不純じゃないか。
 そんなことをチラッと考えてみた。

● 紹介されている宮殿のうち,ミュンヘンにあるニンフェンブルク城館には行ったことがある。20年近くも前だけど。
 でかすぎて全体を把握するには,まる1日を要するだろう。疲れた記憶しかないな。こんなところで寝起きできるなんて凄いなと思ったものだった。自分だったら3日で逃げだしたくなるに違いない。

● ルーマニアの「チャウシェスクの宮殿」は1980年代に築かれた。現代でも独裁がかなうなら,宮殿はできるのだな。

2015.01.31 番外:Re:raku 2009秋号-さあ,今こそ価値ある宿へ

発行所 新朝プレス
発行年月日 2009.09.25
価格(税別) 648円

● この時期は温泉に行きたいと思いますね。栃木県は温泉にはことかかない。那須,塩原,日光,鬼怒川。
 でも,なかなか行けませんね。この冬は一回も行っていない。昨年も行っていない。たぶん,一昨年も。もう何年行ってないだろう。

● ともあれ。某所の待合室に古いこの雑誌があったので,さっと読ませてもらった。
 次の12の宿が紹介されている。自慢じゃないけど,ぼくが行ったことがあるのはひとつもない。
  1 山水閣
  2 自在荘
  3 はなやホテル
  4 大丸温泉旅館
  5 山喜
  6 大黒屋
  7 梅川荘
  8 彩つむぎ
  9 覚楽
  10 芦野温泉ホテル
  11 若竹の庄
  12 太子館
 1~4は那須,5・6が板室,7・8が塩原,9は黒磯,10は芦野,11は鬼怒川,12は栃木市柏倉。

● 温泉とは,つまり,湯と料理(酒)。今は日帰り温泉がそちこちにあって,お湯だけを楽しむんだったら,それで充分だといえばいえる。日帰り温泉でも源泉かけ流しなんてのがあるもんね。それでなんの不満があるか。何もないやね。
 料理だって,それだけならレストランや食事処がたくさんある。ぼくは居酒屋にしか行かないけど,安くて旨い料理を出してくれるし,酒もそれなりに揃っている。
 けれども,温泉は湯と料理と宿泊がセットになっているところが妙で,これほどゆったりできる環境はそうそうないなぁ。

● ライティングテーブルがあってほしいな(って,ないところはないか)。部屋にあれば一番いいけど,ロビーのような共用スペースでもかまわない。
 こういうところで,メモ帳にチョコチョコと何かを書きつけるのは楽しい。書いておきたくなることが浮かぶんだよね,こういうとこはね。

2015.01.30 桜井 進 『世界の見方が変わる「数学」入門』

書名 世界の見方が変わる「数学」入門
著者 桜井 進
発行所 河出書房新社
発行年月日 2014.11.30
価格(税別) 1,300円

● 「14歳の世渡り術」シリーズの1冊。和算についての解説が豊富。吉田光由の『塵劫記』から始まって,関孝和『発微算法』,建部賢弘『研幾算法』『綴術算経』と続く。建部賢弘は円周率も追求していたんですね。
 ゼロだった知識がわずかに増えた。

● 小数点が発明されたのはわずか400年前,ということも教えてもらった。
 対数が天文学の要請(膨大な計算を何とかできないか)から生まれたこと。集合が論理回路の言葉であること。
 そういうことも初めて知りました。

● 「教科書に書かれていない数学の最大の問題点は,数学がいかにつくられてきたかという時間の流れについて,語られていないことです」(p9)とある。
 心から賛成。数学の授業では唐突にいろんなものが出てくる。順列,三角関数,対数,微積分。いきなり定義や例題に入って,それが生まれてきた時代背景は語られなかった。
 微積分は何の要請があって登場したのか。どういうことに使われたのか。それがわかると,ぼくでももう少し理解できたかもしれない。少なくとも,理解しようという気になったかもしれない。

● ぼくは高校で早々に数学から脱落した。次のような事情だったらしい。
 中学の数学は,問題と解法まで含めて暗記ができるのです。量的にも,全部覚えてしまえば,なんとかなる程度。すなわち,考えなくてもいいのです。 国語・算数(数学)・理科・社会,主要科目のなかで,「考えること」が先鋭化しているのが,実は数学という学問です。だからこそ高校になると,考えなければ解けなくなります。出題範囲も広がり,量も多くなるので暗記では済ませられません。そこで「暗記」から「考える」に転換しなければいけないのに,暗記で済ませようとするとしっぺ返しを食らってしまうのです。(p187)
 なるほどと思った。でも,ぼくは暗記すらしようとしなかったな。もう見た瞬間,これダメって感じだった。

● 逆の人もいるはずだ。中学校までの数学はつまらなかったけれども,高校になったら数学が面白くなった,という人。
 じつはうちのヨメがそうなんですよ。わけのわからないことを言うヤツだなぁと思ってたんだけど,彼女は「考える」人だったのか。

2015年1月29日木曜日

2015.01.29 宮田珠己 『だいたい四国八十八ヶ所』

書名 だいたい四国八十八ヶ所
著者 宮田珠己
発行所 集英社文庫
発行年月日 2014.01.25(単行本:2011.01)
価格(税別) 700円

● 高名な紀行作家である著者の作品を読むのは,今回が初めて。いや,面白かった。書けそうでなかなか書けない文章。
 書くことを職業にする人には,そうする(そうせざるを得ない)必然性のようなものがあるんだと思う。文章技術をいくら磨いても,こうまで面白い文章は書けないものだろう。人と違う何かを先天的にか後天的にか獲得している人じゃないと。

● 「札所よりも,道そのものがお遍路の醍醐味」(p290)というのが,宮田さんの結論。そうなんでしょうね。そうじゃなかったら(札所の方が大事というんだったら)歩き遍路なんてやってもしょうがないことになる。
 いや,“歩き=修行”と考える人もいるだろうし,本当にそうかもしれないから,「やってもしょうがない」ことにはならないだろうけど,その場合であっても,札所じゃなくて道そのものが重要性を帯びてくることに変わりはない。

● 以下に,いくつか転載。
 先延ばしにしているうちに結局やらないまま時だけが過ぎていくというのは,人生によくある展開である。そんなとき,何のためにやるのか,それはオレの人生においてどんな意味があるのか,なんて考えていると,もうだめである。それはつまり,やりたいけど面倒くさいという正直な本音に,言い訳を与えようとしているだけだからだ。 やりたいことは面倒くさい。案外知られていないが,これは人生の根本原理のひとつである。(p16)
 大自然への畏怖心を,弘法大師信仰へとすりかえさせるある意味陰謀によって,四国遍路が作られていると考えるのは,たぶん正しい。 正しいけれども,それを指摘するのは野暮なことでもあるだろう。そんなことはみんなわかっている。わかったうえで,弘法大師という方便を利用しているのだ。(p47)
 何事も最後までやり抜くよりも,途中でサボるほうが難しく,ステージの高い行為だということがわかる。なぜなら,やり抜くのは惰性であって,サボるのは決断だからだ。(p56)
 四国遍路が,その人気において他の巡礼地の追随を許さない最大の理由は,こうした宿のネットワークが出来上がっているからにちがいない。お遍路とは,寺巡りである一方で,宿を繋いでいく旅でもある。(p92)
 仏さまなんて本当はいない,と考えるよりも,仏を信じてそれにすがった人々の思いが札所という形になっている,と考えると,それはかえって親しみやすく温かいものに思える。人々が切実に何かを願ったからこそ,四国遍路は生まれたのである。(p178)
 かくいう私も信仰心などまったくないが,スピードにこだわらないようこだわらないよう,それだけは気をつけながら歩いてきたつもりだ。速さ,日数などにこだわることで,何かが決定的に損なわれてしまう。そういう意識は,はじめから持っていた。(p313)
● 「速さ,日数などにこだわることで,何かが決定的に損なわれてしまう」というのは,遍路に限ったことではない。
 大昔にJR全線完乗を試みたことがあるんだけど,できるだけムダなく短時間でつぶしていこうとスケジュールを立てた。
 時刻表ゲームだから,この場合はそれでよかったのかもしれないだけど,おかげで何も憶えていないという結果になった。時間とお金を惜しみすぎるとこうなる。
 目標を絞って効率だけを追求すると,その行為じたいが痩せてしまう。そういうことはたしかにある。

● 本書を読んだのはたまたまだけど,ラッキーなたまたまだった。これから宮田さんの他の作品を読んでいく楽しみができた。
 若い頃は,好きな作家ができると,その作家のものばかりを次から次へと読んでいったものだけれど,さすがにそこまでの集中力(と言っていいんだろうか)はなくなっている。ポツポツという感じで読んでいくことになるだろうけど,楽しみが増えたことには変わりがない。

2015年1月28日水曜日

2015.01.28 森 正人 『四国遍路 八八ヶ所巡礼の歴史と文化』

書名 四国遍路 八八ヶ所巡礼の歴史と文化
著者 森 正人
発行所 中公新書
発行年月日 2014.12.20
価格(税別) 760円

● 著者は三重大学で教鞭をとる人文地理学の先生。四国遍路を文化現象として捉え,歴史を軸にしてその変遷を叙述したもの。

● 巡礼の作法や衣装などにこれといった定めはもともとなかった。自由度が高かったらしい。
 一九三〇年代に東京で活動した巡礼集団が白装束を本物の巡礼衣装と定め,それが広く普及するのは昭和二八年以降に一般化する巡礼バスツァーが強く関係している。(p24)
 が,現在でも白装束ではない恰好で歩いている人も,それなりの数いるのではないか。作法は作法として,必ずしもそれにこだわらなくてもよいことになっているのではあるまいか。このあたりは融通無碍で,それ自体,日本的といえると思う。

● 巡礼に出る人もいれば,巡礼者を「お接待」するために四国に入る人もいた。
 大分県臼杵市周辺からの接待講は,第二次世界大戦が勃発するまで,松山市の五二番太山寺でうどんを振る舞っていた。春に講員一〇人が接待船を仕立ててやってきて,太山寺の茶屋に宿泊しながら一〇日から一ヶ月近くうどんを振る舞い,・・・・・・。(p51)
 こうした「お接待」は「無条件の愛」によるものではなく,「巡礼者への接待は空海への接待に等しい」と考えられたことによる。「ご利益」を期待してのものだ。

● だとしても,自分が巡礼するのではなく,巡礼者を接待するために,1ヶ月も国をでて無償の行為を続けるとは驚いた。
 どっちが難しいかといえば,接待する方が難しいのではないか。人は主役を取りたがるものではないか。

● もともと,宗教的な色彩は希薄だったようでもある。四国遍路と真言宗の結びつきはあまりない。そういうことも含めて,四国遍路の概観をザックリと知るには恰好の本だと思った。

2015年1月27日火曜日

2015.01.26 茂木健一郎 『ピンチに勝てる脳』

書名 ピンチに勝てる脳
著者 茂木健一郎
発行所 集英社文庫
発行年月日 2013.08.25(単行本:2010.09.29)
価格(税別) 500円

● 単行本も読んでいるんだけど,「文庫化するにあたり大幅に加筆・修正しました」ということなので,文庫の方も読んでみることにした。
 その間,東日本大震災があった。「ピンチのときが,最大のチャンスである」の章は,だいぶ書き替えられているようだ。
 本書の構成は,ほかに「挑戦し続けることで脳は変わる」と「人生を全力で踊る。楽しむ」。

● 元気がでる。テキパキと動いて,やるべきことをサッサと片づけようという気になる。たいていのことは笑い飛ばしてやろうと思う。
 もちろん,すぐに元に戻ってしまうのではあるけれども,それでもともかくバーッと動くひと時を持つことができれば,読書の効用としては充分すぎるだろう。

● 以下にいくつか転載。
 まずは,とにかく行動だということ。
 「わからない」といって右往左往した揚句,結局「何も行動しない」ということを選ぶのは一番始末に負えない結果を招きます。 何も決めずに無為に時間が過ぎるよりは,それがたとえ正解だとうかはわからなくても,とにかくある選択肢を決めて,アクションを起こす。それが,たいていのケースにおいてベストな選択です。(p55)
 「こんな試験の準備をしたからって,人生にとって何の意味があるんだろう」 そもそもこのような問いを思いついてしまうことは,受験生にとっては危険極まりないことです。あるいは会社員が,「こんな仕事にいったい何の意味があるんだろう」と疑問を抱き始めてしまったら。 ニーチェの「舞踏」の概念は,つまりは意味を問わないことだと僕は解釈しています。とにかく「意味など問わないで人生を踊れ」ということだと。(p171)
 ただ,そのときにも立ち止まって無言で考え続けるのではなく,動いていることが大切なのであり,ならば悩むよりは行動してしまったほうがよほどてっとり早い。(p195)
 そもそも「間違った方向へ走ってしまったら」という考え方自体が,すでに佇んでいる人の発言です。人生を踊れていない。全力で疾走する覚悟が決まっていない。(p199)
● では,どうしたら行動できるようになるのか。
 新しいことに挑戦できる人と,できない人の違いは,どこにあるのでしょうか。 僕が見ていて思うのは,挑戦できる人は,あまり構えないでリラックスしていて,スーッと始めてしまいます。そして挑戦した結果が,どんなに惨めなものに終わっても全然気にしない。人目を気にしないというのはすごく大事なポイントです。(p116)
 仕事でも勉強でも,「自分が好きでやっている」と思い込むことは重要です。実際にはそうでなくてもいいのですが,大切なのはそう思い込むことです。 逆にいえば,自分が好きでやっていることでも,「ああ,面倒くさいなあ」と思いながらやっているのでは,結果はあまり期待できません。 なぜなら,どのような場合でも,脳に強制することはできないからです。(p210)
 脳の神経細胞は,生きている限りずっと活動しているのです。何の命令がなくとも勝手に。これを神経細胞の自発的発火といいます。この事実はまず,ぜひ皆さんに,大前提として覚えておいていただきたいと思います。(p211)
 脳において,強制的にやらされていると思っていることは何の効果も生み出さず,自発的にやっていることは「プラシーボ効果」を起こしやすい。(中略)「本当に自分はこの道を進んでいいのだろか」「もっと他にやるべきことがあるんじゃないだろうか」 そうやって自分の行動を疑い続けているよりも,「これが今できる最高の選択」「自分の信じる道を行くのみ」と,根拠なき自信でもいいから明るく信じ込むことが大切です。(p213)
 本当は,脳は「走っている状態」,いわばハイテンションになっている状態のほうが,ずっと楽なのです。そのコツさえ,脳のためにつかんでやれば,あとは勝手に脳がやってくれます。僕たちがすべきこと,それはハイテンションで走る脳の邪魔をしないことだけです。 キーワードは「脱抑制」なのです。不調なときというのは,脳に抑制をかけてしまっている状態です。本当は人間の脳はいろいろなことをやれる可能性にあふれているのに,そしてやりたがっているのに,勝手に自分で自分の脳に抑制をかけて,自分の脳に向かってダメだしをしている状態。それが不調のときです。(p215)
● インターネットがもたらした大変化と,それを活用するコツ。
 今何が起こっているのかというと,先ほど述べたようにグローバリズムが進んで,新大陸がたくさん生まれたということです。インターネットの世界は,私たちが生活している物理的な空間のような制約がないぶん,無限の可能性があります。(中略)インターネットの登場によって,ゲームのルールが変わりました。それなのに,日本人はいまだに,物理的な日本の狭い空間の中で肩を寄せ合って,暮らしている。(p120)
 知識がないのに、いたずらにネットサーフィンをしても,余計な情報ばかり入ってきて,それに振り回されてしまうことになりかねないからです。 そこで僕がお勧めするのが,知識や見識のある人のツイッターをフォローする,という方法です。(p184)
 今僕がツイッターでフォローしているのは,文化人を中心として千四百人くらいですが,彼ら全員と一対一のメールの交換をしようとしたら,いったいどれくらいの時間がかかるでしょうか。というよりも,むしろ不可能なことかもしれません。 それが今やいちいち個々に連絡を取り合わなくても,お互いに何を考えているかがわかるのです。(p189)
 「つまらなければ誰も読んでくれない」 その感覚を心地よいものとして感じられる人でないと,これからの時代にはもう輝くことは不可能です。(p193)
● 英語の重要性が説かれる。英語でインターネットに発信できること。しかし,教育も含めて,まだまだ問題が多い。
 言語はオープン・エンドです。学ぶべき内容を制約し,標準化しようとすることは,英語を学ぶ意欲を失わせることになるでしょう。(p140)
● その他,いくつか転載。
 教育にしても結婚にしても,「これさえクリアすれば人生『勝ち組』」という短いスパンでも「部分最適」を,日本人は安易に前提にしすぎています。 そこには,あらゆる意味での不完全情報が,まったく考慮に入っていません。(p70)
 (日本は)実質的に自分たちが判断するのではなく,とにかく権威に弱いという意味で,絵に描いたような権威主義的な国です。 人間というのは,自分がやろうとしていることをいちいち邪魔されていると,「ひょっとしたら俺の考えは間違っているのかな」と弱気になってしまうものです。(p88)
● この本が書かれたときは民主党政権の時代で,日本は沈むしかないのではないかという閉塞感や沈滞感が満ちていた。
 最近は少し以上に日が射してきてると思うけれども,著者は次のような警鐘を鳴らしていた。
 日本がこれまで得意としてきたものづくりの世界でも,今や隣の韓国がどんどんその能力を向上させてきています。そのあとに続く中国のエネルギーだったすごいものです。日本の富の源泉であったものづくりの世界が,もはや危うくなってきている。(p75)
 たぶん,“ものづくり”というときに,家電やIT器機を念頭に置いていたのだろう。iPhoneやiPadを日本のメーカーが生み出せなかったことに危機感を抱いていたのではないか。
 が,日本の“ものづくり”の真骨頂はそんなものにあるのではない。もっと基幹的なところだ。
 日本の“ものづくり”は依然として世界に冠たるもので,韓国や中国など問題にもならない,とぼくは楽観している。考え得る将来においても同様だ。

2015年1月26日月曜日

2015.01.25 吉田裕子 『頭をよくする整理のしかた』

書名 頭をよくする整理のしかた
著者 吉田裕子
発行所 枻出版社
発行年月日 2015.01.10
価格(税別) 552円

● コンビニで購入。ナイロンテープで留められていて,立ち読みができない状態だったので,タイトルと値段だけで購入。
 中身をザッとでも確かめられていたら,はたして買ったかどうか。価格が価格だから,買ったでしょうかね。

● ふたつほど転載。
 私の心のバイブルは『少女パレアナ』(エレナ・ポーター,角川文庫クラシックス)。孤児のパレアナが,どんな出来事もポジティブにとらえる「よろこびのあそび」に取り組む,というお話。(p112)
 ノンレム睡眠の間に,脳の疲労が回復されます。こうした人の脳や身体のもつ回復機能に期待して,いったん眠ってしまえばよいのです。(p116)

2015.01.25 桃山 透 『サクッと1分間 整理・ファイリング術』

書名 サクッと1分間 整理・ファイリング術
著者 桃山 透
発行所 ぱる出版
発行年月日 2011.09.12
価格(税別) 1,400円

● こうしたタイトルの本を読むことじたいが,ぼくの趣味のひとつ。書かれているのは,まぁ普通のこと。
 本書の特徴は,具体的な商品名をあげて,これが便利ですよと示しているところ。どうせやるなら,ここまでやってほしい。

● “普通のこと”からひとつだけ転載。言われてみて,初めて気がついたこと。
 外出するときは,予備のクリアホルダーを二,三枚入れておくといい。取引先から不意に書類を渡されても,傷めることなく持ち帰ることができる。(p45)

2015年1月23日金曜日

2015.01.23 県民学研究会編 『思わず人に話したくなる 栃木学』

書名 思わず人に話したくなる 栃木学
編者 県民学研究会
発行所 洋泉社歴史新書
発行年月日 2014.03.21
価格(税別) 920円

● 栃木で生まれて,栃木で育って,現在も栃木に住んでいるんだけれども,栃木について知るところはさほどない。それがわかっているので,この種の本をこれまでもいくつか読んだ。

● 読みやすい文章。執筆者は栃木出身者か。
 栃木についての歴史や産業を掘りさげて紹介するのではなく,観光をはじめとする栃木のPR書的なもの。だから,軽く読める。

● 人車鉄道というのがあったのを初めて知った。「人間が車両を引いたり押したりして運行させた」鉄道。喜連川にもあったのだな。

● 栃木の言語について。「抑揚が無く,箸と橋,型と肩の区別がつかない崩壊型アクセントで,かつ敬語が発達しなかった関東無敬語地帯」であるそうな。
 いや,言われてみると,なるほどと思う。

● 二宮尊徳について,「ここまで頑張れたのは,身長六尺,体重二五貫,一八二センチの九四キロという巨躯によるところも大きい。薪だって,一度に人よりずっと多く背負えたことだろう」と書いている。
 これ,大事なところだと思う。こういう形而下的なところ,大事だよね。

2015.01.22 戸田智弘 『学び続ける理由 99の金言と考えるベンガク論』

書名 学び続ける理由 99の金言と考えるベンガク論
著者 戸田智弘
発行所 ディスカヴァー21
発行年月日 2014.09.20
価格(税別) 1,400円

● 「ブログなどに短めの文章を書きためている人」に勧めたいのが,まとまった量の文章を書くことだという。
 論文を書く作業には,学友とのディスカッションや教官の指導がついてくる。自分だけで考えたのでは低いレベルにしか到達できない。社会が求めているレベルで考えるためには,他者の力を借りざるを得ない。 社会人が論文を書く作業は,個別的で具体的な実務経験を,普遍的あるいは一般的な学術用語とフレームワークでしっかりと説明していき,新しい知見を社会に示すことだ。(p152)
 ブログのような短い文章を書き散らすのと,まとまった量の文章を書くことは,まったくべつのカテゴリーに属する。これは心から同意する。
 まとまった文章を書くためには,論点の整理や資料の読みこみ,思索の掘りさげが必要で,これは大変な作業だろうなと思う。ぼくはやったことがない。卒論も書かなかったし。

● 数学を勉強することの重要性を説く。なぜ数学を勉強しなければいけないか。抽象化能力を鍛えるのに一番いいからだ。
 アナロジーの能力に優れた人は,ありとあらゆることを関係づけて考えられ,すべてのことを自分の学びの対象とすることができる。同様に,抽象化能力にすぐれた人は,他人の個別事項をいったん抽象化した後に,自分の個別事情に具体化することができるため,すべてのことを自分の学びの対象とすることができる。(p187)
 具体的で個別的なものは時代や状況が変われば通用しなくなる。応用がきかないのだ。抽象的で一般的なものはその逆である。「数学は即効性のない学問だ。だから,役に立たない」。これは間違っている。そうではなく「数学は即効性のない学問だ。だから,役に立つ」。これが正しい。(p191)
● ほかにもふたつほど転載。 
 なぜメモが大事かというと,メモが癖になると,“感じること”も癖になるからだ。人より秀でた存在になる不可欠な条件は,人より余計に感じることである。(野村克也 p66)
 人間は年中“教えられる立場”にだけ置かれているとダメになってしまう。よろしく,ときには部分的にしろ,“教える立場”を与えねばならぬ。教えられながら教えることによって,人間はすばらしい成長を遂げるのだ。(土光敏夫 p201)

2015年1月21日水曜日

2015.01.21 柳沢小実監修 『「無印良品」ですっきり片づけるデスク整理法』

書名 「無印良品」ですっきり片づけるデスク整理法
監修者 柳沢小実
発行所 宝島社
発行年月日 2014.03.21
価格(税別) 1,300円

● 章立ては次の4つ
 1 ファイリング
 2 デスク
 3 手帳&ノート
 4 バッグ
 4を除いては,『「ダイソー」ですっきり片づけるデスク整理法』や『「Seria」ですっきり片づけるデスク整理法』もできるだろうね。

● 説かれているところは,常識的なもの。とはいえ,2つほど転載しておく。
 たとえば,「出したら元に戻す」。わかっているけれどそれさえできない,面倒だと感じている人もいるでしょう。ですが,元の場所に戻せないのはあなたがズボラなのではなく,そもそも,ものの配置に問題があるのではないでしょうか。(p2)
 あとで見やすいように,要素を詰め過ぎず,余白をとってゆったり書きます。文字も大きめに記入。(p118)
● というのは,ぼくのノートの書き方が,そうじゃないからなんですよね。イラストや図解はなく,文字だけ。トピックが変われば行は空けるけれども,キツキツな感じ。
 たしかにあとで見返すときに,具合が良くないかも。っていうか,ぼくはほとんど見返さないんだけど,それはこういう書き方をしているのも一因かもしれませんね。

● バッグはトートを使用している。肩にかけられるタイプ。ナイロン製の軽いやつ。色は黒。
 トートの何がいいかというと,オールウェイズ使えるところだね。仕事にもこれでいいし,休日に遊びにいくときにも使える。
 シチュエーションを選ぶのは困る。複数のバッグを使い分けなければならない。ということは,中身の入替えをしなければいけないことになり,それをやると必ず忘れものが発生する。

● 内ポケットがあるので,細々としたモノはそこに入れている。なので,ぼくは必要を感じたことがなけれども,この本で紹介されているバッグインバッグ方式は(主には女性向けの記事だけど),かなり使えるなという印象。
 っていうか,バッグインバッグって言葉,だいぶ昔からありますけどね。

2015.01.21 中谷彰宏 『一流の人が言わない50のこと』

書名 一流の人が言わない50のこと
著者 中谷彰宏
発行所 日本実業出版社
発行年月日 2014.06.01
価格(税別) 1,300円

● ひとつだけ転載。
 一流の人は,不満を言っているヒマに工夫をします。不満からは何も生まれません。工夫は何かを生み出します。 一流と二流の違いは生産性があるかないかです。環境に対する不満には生産性がないのです。工夫をする人は不満を言わないし,不満を言っている人は工夫をしません。(p45)

2015.01.21 みうらじゅん 『テクノカットにDCブランド』

書名 テクノカットにDCブランド
著者 みうらじゅん
発行所 太田出版
発行年月日 2010.04.22
価格(税別) 1,238円

● 大学を卒業してからの半生記。タイトルの「テクノカットにDCブランド」は,1980年代,バブルの象徴ですか。新人類に同化しようとして,無理をしていた頃の著者自身を自嘲的に呼んだもの。
 自分はそうじゃない。そうじゃなければ何なんだ? そのキーワードがロック。
 ロックって,もっと宇宙に近いところにあるんじゃないのか? リアルって言ったって安全圏から一向に抜け出す気のない奴のリアルなんて嘘になるだろ? 現実と密着。 僕はその後ろめたさから少しでも逃げ出そうと,何度も歌詞を書き替えた。もっと恥をかいてもいいから,もっと困ってもいいから,僕の言葉でいまの僕が本当に思っていることを書くべきだ。 自分のことなど何も知らないんだ,とも思った。何を考えてこの先,どう考え直すかなんて,僕にはわからない。どう思われたい,どう見られたい,そんなことばかり気にしてきて本当の自分を見失ってきたに違いない。(p147)
 実は僕にはドキドキする作戦があったんだ。それは羅列する言葉の中に放送禁止用語を混ぜて歌うこと。僕は世間的には十分過ぎるほど大人だったが,ただ大人を困らせてみたかった。それがロックだって信じてたから。(p148)
● 具体的な出逢いがあった。「THE NEWS」というトリオバンドとの出逢い。
 夕方近くになりレディーズ部門。そこの登場したのが,結成してまだ1ヵ月だという「THE NEWS」というトリオバンド。全員センター分けの長髪ネェちゃん。 “やっちゃえ! やっちゃえ! もっと自由にやっちゃいな!” 爆音とシャウトが静かなホールにこだました。僕はそのとき,背筋に電流が走ったように“ロック”をビンビン感じた。カッコイイ! 社会に向けて思いっ切りツバを吐きかけてるようなその姿勢に,僕は圧倒されたんだ。
● 糸井重里さんとの交流がもう一本の糸。
 連載が始まると糸井さんは毎回,相談どころか重要なテーマを話してくださった。僕がそのとき手に入れたものは,くだらないものにこそ手を抜かないということ。くだらないものに対する真剣さが『ガロ』以外の読者にもちゃんと伝わる努力をすること。(p130)

2015年1月20日火曜日

2015.01.20 みうらじゅん 『青春の正体』

書名 青春の正体
著者 みうらじゅん
発行所 KKベストセラーズ
発行年月日 2005.09.16
価格(税別) 1,200円

● 「本書は,『カリフォルニアの青いバカ』『万博少年の逆襲』(河出書房新社)を改題,加筆の上,再編集した作品です」とあるから,この本の文章が書かれたのは,20年近く前のことになる。
 自分の青春のあれやこれを嗤い,慈しむ。

● 自分にもあったな,こんなこと,というのもあれば,えっ,ここまでの体験は自分にはなかったな,というのもある。あたりまえだね。
 青春時代(10代後半ですか)に戻してやるといわれてもお断りだ,という人は多いと思う。そうした文章を初めて読んだのは,吉行淳之介のエッセイだったか。

● ぼくもはっきりお断りする。あんなのは1回だけでいい。ぼくの場合は高校の3年間がかなり辛かったかな。出口が見えない閉塞感と,頭の天辺から足の指先まで詰まった劣等感。自分はダメだっていう。
 無事に二十歳になれた人は,人生の最も大変な時期をくぐり抜けてきたのだと思っている。新成人には,これからは楽になるからあまり心配しなくていい,と言ってやりたい。

● 青春って性の占める割合が高い。この本でもその話がたくさん出てくる。そういう厄介な時期なんだよねぇ。
 入れた後に動かすんだと聞いたときは,ウソだろ,そんなことをしたらあっという間だろ,とぼくも思った一人だ。

● どんな形の青春であれ,のたうち回らなければならないときは,きちんとのたうち回るべきだったんだなと,この本を読んで思った。
 ぼくは,ほぼ,ごまかしでやってきたから。自分の青春時代は薄いものになってしまったな,と思っている。

2015年1月19日月曜日

2015.01.19 立川談志 『努力とは馬鹿に恵えた夢である』

書名 努力とは馬鹿に恵えた夢である
著者 立川談志
発行所 新潮社
発行年月日 2014.11.21
価格(税別) 1,500円

● 自身を評して「感情が激しく,それが外に向かってそのまま表れ,行動につながる人間」(p91)と言っている。

● 先日読んだ伊集院静さんもそうなんだけど,立川談志も色川武大さんを師としている。色川さんの作品は,昔,あらかた読んだ。阿佐田哲也の名前で出したものは,すべて読んでいると思う。
 あらかたというのは,亡くなる数年前からだいぶ著作が増えたような気がするんだけど,その中にまだ読んでいないものがある(ただし,全部持っているはずだ)。
 読むだけなら誰でもできるんだけど,ともかく読んでみなきゃ。立川談志がこれほどまでに言っているんだから。

● あと,手塚治虫。
 ぼくの場合,連載時に読んだのは『ブラックジャック』くらいか。ガーッと読んでいきたいですね。

● ふたつほど転載。
 ウケる咄をあまりは演りたくないと思うと,その咄があまり受けなくなるものでもあるのだ。(p161)
 落語ってのは,作品を上手に語るんじゃなくて,そういう常識化されていないことを入れていくのが本筋じゃないかと思うんだ。(p218)

2015年1月16日金曜日

2015.01.15 ジョージ・ビーム編 『Google Boys グーグルをつくった男たちが「10年後」を教えてくれる』

書名 Google Boys グーグルをつくった男たちが「10年後」を教えてくれる
編者 ジョージ・ビーム
監訳・解説 林 信行
発行所 三笠書房
発行年月日 2014.11.05
価格(税別) 1,200円

● 目下,最もお世話になっているのがGoogle。
 昔はMicrosoftだった。Windowsのパソコンを使い,WordやExcelを使って作業をしていた。ブラウザはInternet Explorerで,メールはOutlook Express。
 それがいつの間にか,ChromeとGmailに替わっていた。いつの間にかと書いたけれども,きっかけはスマホを使いだしてからですか。それ以前に検索はGoogleになっていたけど。

● そこからは一瀉千里ですね。なぜ一瀉千里だったかといえば,Googleのサービスって全部,無料で使えるからなんですけどね。これが大きい。
 でも,それだけじゃない。役に立つんですよね。そう,役に立つ。

● Gmailなんか典型的にそうで,端末を替えても従来の環境がそのまま使えるクラウドの便利さを知ったのは,Gmailが契機になった。しかも,容量が事実上の無制限。
 ぼくはライトユーザーで,ほんとにメールのやりとりにしか使っていないんだけど,片っ端から自分あてにメールすれば,立派なデータベースソフトになりますよね。
 データベースの型式なんかはラフでいい。強力な検索機能があるんだから。

● Chromeの反応の速さにも驚いた。パソコンは変わらないのに。
 これからお世話になる機会が増えそうなのがPicasa。写真って,今まではパソコンのハードディスクに保存してた。あまり使うこともなかったから,それで良かったんだけど,ちょっと活用してみようと思ってましてね。
 が,使い方がいまいちよくわからない。ネットにいくらでも情報はあると思うんですけど。

● Googleのサービスはほかにもたくさんあって,ぼくには要らないのも多いけれども,新たに何かしたくなったら,Googleでできないかと調べてみるのが,もう鉄則になっている。

● いくつか転載。
 グーグルの夢は創業時から変わらない。人が無意識に知りたいと思っているそのものズバリのことを,場合によっては「あえて検索しなくても見つけられる世界」を実現することだ。(p189)
 グーグルはどこよりも早く新技術を開発し,モバイルサービスに対応した新しい解決手段を提供しています。世界中の人たちが,どれほどたくさんの仕事でも携帯端末ひとつでこなせるように。(p192)
 ほんとに携帯端末ひとつで何でもできるようになるには,入力だよね。キーボード並みのスピードで入力できないと。問題はここ。それができなければ,携帯端末は閲覧専用マシンになるしかない。短いメールしか打つ気にならないんじゃ,仕事には使えないと思うんだよね。
 ここでまた日本語の壁ってのが出てきそうな気がする。アルファベットならフリックでも素早く入れていけるかもしれないけど。
 グーグルは,自動運転車の技術を応用し,広告費で運営される無料のロボットタクシーを開発中との噂もある。(p217)
 経営陣が短期目標に振り回されるのは,ダイエット中に三十分ごとに体重計に乗るのと同じくらい無意味なのです。(p227)

2015年1月15日木曜日

2015.01.15 伊集院 静 『それでも前へ進む』

書名 それでも前へ進む
著者 伊集院 静
発行所 講談社
発行年月日 2014.12.04
価格(税別) 1,200円

● 「車窓にうつる記憶」というタイトルの連載エッセイがメイン。なので,本書に最も多く登場する語彙は「美眺」。作者の造語だろうか。
 たまにはこういう本を読んで,心の洗濯をすべきだ。心の洗濯をして自分の中の何かが変わるか。変わるかもしれないけれど,その可能性がゼロではないけれど,たぶん,本を読んだくらいでは何も変わるまい。
 しかし,書き手とすれば「言葉の持つ力を信じている」(p161)から書く。どこかに言葉の力を恃むことがなければ,職業作家は成立しないものだろう。

● 高校の恩師の三回忌に出かける話が出てくる。学校の教師に限らず,友人や先輩の墓参りや法事にしばしば出かけている。
 それだけ深いつき合いをしてきたということだろう。情が細やかで濃厚な人づきあいをしてきた。それが作者の大きな財産になっているに違いない。

● 『なぎさホテル』で描かれているのは,ほぼ実話のようだ。見も知らぬ男(ありていにいえば,どこの馬の骨か分からぬ男)を自分のホテルに数年間も滞在させる,もちろん宿泊代を取らないで,人がいるというのも驚きだけれども,人をしてそう思わしめる何かがあったということだろう。
 そのことと,高校の恩師の三回忌に出かけることは,無関係ではないだろう。

● 翻って,自分を顧みると,小学校から大学まで含めて,恩師とよべる教師には出逢わなかった。作者のような出逢いに恵まれなかったということではないはずだ。
 つまり,そういう出逢いにしなかったということだ。情愛が細かくない,人を避ける,君子の交わりは淡きこと水の如しを拡大解釈してきた,そういうことだ。

● ふたつほど転載。
 運命が人の行く末を決めるのではなく,人との出逢い,己以外の人の情愛が,その人に何かを与えるのだと私は思う。人ひとりの力などたかが知れている。(p53)
 どんなに文明が進んでも,人が喜んだり,悲しみに耐える時間は静謐であることが望ましいのだ。喜びがつかの間でも淋しいし,苦しいことがすぐに解消されては(切ないことだが)人生を学ぶことも,知ることも希薄になる。(p82)
● もうひとつ。これは前にも引いたところかもしれないけれど。
 朝,大人が最初に考えるべきは仕事。農夫は,朝起きて隣で子供が熱を出していても,まずは外に出て天気を見て,暑くなる前に草を抜こう,畑に水をやってしまおうと考える。子供の様子はその後でみる。働くとはそういうことだ。(p177)

2015年1月14日水曜日

2015.01.13 斎藤一人 『地球は「行動の星」だから,動かないと何も始まらないんだよ。』

書名 地球は「行動の星」だから,動かないと何も始まらないんだよ。
著者 斎藤一人
発行所 サンマーク出版
発行年月日 2015.01.10
価格(税別) 1,600円

● 人生論,生き方論,あるいは人生哲学,どんな呼び方でもいいと思うけれども,斎藤一人さんが説くところは,明快でわかりやすくて,元気をくれる。
 それがいっときのもので終わってしまうのは,こちら側(読み手)の問題。

● この本のテーマは,まず行動しなさい,それで巧くいかなかったら改良しなさい,それでもうまくいかなかったらさらに改良しなさい,に集約される。

● それをそれを右から左から,上から下から,さまざまに語っている。
 相手が強くて負けることはないの。自分が弱くて負けるんです。それで,そういうときは自分を改良すればいいんだよ。(p21)
 行ったことが間違っていたら,また改良すればいいんだよ。たったそれだけなんです。それができる人は仕事においても,人生においても,魂の成長においても必ず成功します。(p77)
 「願えばかなう」わけじゃありません。願ったことを行動に移したからこそ,夢はかなうんです。その行動も,ただ同じことをくり返すだけじゃだめなの。うまくいかなかったら改良する。その,「何回も改良を加え続けること」が真の行動なんです。(p88)
 失敗というのはたんなる“道すがら”なの。うまくいかなかった体験をしただけなんだよね。それで,成功とは失敗しないことをいうのではありません。失敗から学んで進む先に成功はあるんです。そしてその旅路の途中でも改良して,改良して,成功に向かって進み続ける人を成功者と言うんです。(p110)
 「自分はこうだから」とか「ああだから」と言い訳する人って,それをやりたくないから,いろんな理由をつけてやらないだけなんだよ。やったらおもしろいんです。そのおもしろさを知らないから行動しようとしないの。(p117)
 「おまえは言われたことしかしない」って怒るより,「おまえは言われたことをちゃんとやって偉いね」ってほめてあげたほうが人は成長します。結局,他人の行動を変えることはできません。変えたいと思うなら,まずは自分の行動を変えるしかないんです。ヤル気のない部下を持ったら,これは相手の問題じゃなくて,自分の修行なんだと思って行動する。(中略)どうやったら「ヤル気を出してくれる」ようになるか改良する。そうやって改良していると,まずあなたが成長し,その部下が縁のある人なら一緒に成長します。(p119)
 私は「目標の立て方」や「上手な行動計画」なんて一度も考えたことがありません。コツがあるとすれば,とにかく改良することのおもしろさを知ることです。(p120)
 行動も障害があったから「あきらめます」じゃないの。障害があったらよければいいんです。私たちは柔軟な考えを生み出すことができます。私たちの知恵は鉱物のように硬く,変化しないものではありません。(p122)
 普通の人の二倍成功している人のエネルギーが,普通の人の二倍も大きいかというと,そうではありません。人のエネルギーの大きさというのは,だれでも“似たり寄ったり”なんです。(中略)思いに対して圧をかけると,それだけエネルギーは高くなります。夢や目標に対して,どれだけ集中して行動できるかが大切です。(p130)
 いいかい? 前に山があってこの山がどうしても邪魔だって言うんだったら,ただ考えているよりスコップ持ってきて,少しでも山を削りな。それで,本気になって削っているうちにいろんなアイデアが出てくるし,知恵もでてくるの。(p150)
● 目標の立て方なんて考えてこともないと言いながら,次のようにも言っている。これ,かなり大事なことだと思う。
 普通の人がうまくいかないのは,目標の立て方がヘタクソだからなんです。すぐに「一億円を手に入れる目標」を立てるんだよね。そして,「ああ,無理だ」って思っちゃう。いきなり一億円じゃなくて,まずは一〇〇万円単位にすればいいんです。一億円貯めたいのなら,一〇〇万円を一〇〇個貯めればいいと考えるんだよ。(p14)
 小さくても成功を続けていると,「成功した」「成功した」・・・・・・っていう達成感が脳にどんどん「成功」として擦り込まれて,自信に変わっていきます。すると「願いはかなうんだ」ということが潜在意識に入ります。(p15)
● お金について。発想が豊かじゃないとダメだよ,ということ。
 私自身,「苦しいときのために今のうちにお金を貯めておかなくては」という発想がないんです。もちろん,お金を貯めるのが悪いと言っているのではありません。ただ,貧しい発想をしながら豊かになろうとするのは無理だから。言っていることが貧しいと豊かにはなれません。(p28)
 お金儲けができない人って,お金がエネルギーだっていうことを知らない人が多いよね。お金はエネルギーです。エネルギーっていうのは無尽蔵にあるんです。(p132)
 それとお金儲けができない人って,お金儲けが大変なことで,そんなに簡単に儲からないって思っているんです。「お金儲けは,そんなに大変なことじゃない」とか「この世は豊かなんだ」と思っている人には,豊かな発想が出てきます。(p132)
● 何度も言われていることだけれども,他人は変えられないってこと。たとえ自分の子であっても。変えられるのは自分だけなのだから,まず自分を変えろ(改良しろ)。
 家族というグループは,だれか一人でも魂が向上して波動が変わると,同じように変わるようになっています。それを,自分を変えようとしないで子どもを変えようとするから,「それは間違いですよ」ということを知らせるために,つらいことが続くんだよね。(p62)
 人は,学ぶだけ学んだら必ずやめます。それを無理矢理やめさせると,またやるの。なぜかっていうと,人はわかるまで学びたいんだよ。(p87)
● あと,あれかなぁ,一人さんに話を聞いてほしい,相談したいっていう人が増えていて,やんなっちゃてるのかね。
 多くの人が勘違いしているのは,ひとりさんの話を聞いてしあわせになった気がするっていうけど,それで確かにあなたはしあわせになったのかもしれません。でも,それは私が蒔いたものなので,それを刈り取るのは私なんです。それを他の人が刈り取ることはできないんです。だから,しばらくしたらふたたび落ち込んで,「また聞かせてください」ってくるんだよね。しかし,(中略)自分で種を蒔くことをしないと,何も刈れません。(p30)
 人の魂を成長させるために問題は出てきたんだからね。私から答えを聞くために出てきたんじゃないんだよ。(中略)成功したかったら,「ひとりさんに,その方法を教えてもらおう」じゃなくて,「ひとりさんだったらどうするだろう」って考えることです。(中略)「ひとりさんだったらどうするだろう」という種を自分で蒔かないと,それが実ることはありません。(p56)
● ほかにも,いくつか転載。
 「夢」が「目標」に変わっていくこと。そこが大きなポイントなんです。するとね,「三〇〇円ずつだと,一生貯まらないなぁ」と最初は思っていても,そのうち夢のほうから,こちらに近づいてきてくれるからね。おもしろいでしょ。夢のほうが実現に向かって動き始めるの。(p10)
 人間とは際限のない創造物なんです。確かに会社が大きくなってつぶれた会社はあるけど,それは大きくなったからつぶれたんじゃないんです。間違ったことをしたからつぶれたんです。(p38)
 テレビを観るときでも,NHKにチャンネルを合わせるとNHKの電波を受信します。いろんな電波が飛び交っていても,それと同じ微弱な周波数を出すだけで,そのチャンネルにつながることができるのです。(p125)
 私たちの無意識には莫大な情報があります。人はそこにつながることができるのです。言い換えれば,人は「思ったことを起こせる力」があるのです。その思うこととは,どんな言葉を使うかです。(p127)
● 終わりに,次の言葉が出てくる。
   絶対なる肯定
   絶対なる積極
 中村天風さんと同じ(かどうかは,ぼくにはわからないわけだけど)境地。天風さんはその境地に至るための修法を体系化している。クンバハカとか観念更改だとか。
 斎藤一人さんのは,もっと易行で,言葉だけでいいことになっている。易しい方がいいやなぁ。

2015年1月13日火曜日

2015.01.12 染谷昌利 『ブログ飯 個性を収入に変える生き方』

書名 ブログ飯 個性を収入に変える生き方
著者 染谷昌利
発行所 インプレス
発行年月日 2013.06.21
価格(税別) 1,600円

● ブログ指南書。2014年10月で4刷。かなり売れている。
 著者は会社勤めをやめて,ブログで生計を立てるようになった。ゆえに「ブログ飯」というわけだけれども,そこまで行かなくても,もっとアクセスを増やしたいと思っている人は多いだろう。
 ぼくもまたそういう気持ちがあるから,この本を買ったわけだけど。

● で,一読した後に感じるのは,この本はブログ指南を超えて,仕事全般(たとえば,企画を立てるとか,キャンペーンを張るとか)に通じる奥義を説いているってこと。
 力がこもっている。売れるはずだ。

● 「はじめに」で基本的な心得を説く。
 結果が出るブログと出ないブログとの違いは,専門知識の量ではありません。案外些細なところにあるものです。(p8)
 頭の中に入れておいて欲しいことが3つあります。(p11)  1 鵜呑みにしない  2 人との違いが価値である  3 すべて最初からやろうと思わない
● 何といっても,継続することがすべての前提。
 ブログを書くというのは,ごく普通の行動です。しかし,そんな普通のことでも,続ければ普通ではなくなります。(中略)普通のことを,普通じゃないくらい続ければ,それは異常です。異常値を超えて初めて,大きな結果がついてくるのです。私は,この成長曲線が上向く状況までいくのに6年間かかりました。(p78)
 続けるということは単純なことですが,とても困難なことなんです。そして非常に重要な能力です。(p81)
● しかし,次のようにも言っている。
 もし,1年以上ブログを運営していて,1日のアクセス数が500PV以下,月額の収益が5万円以下なのであれば,何かしら運営方法に問題があります。(p213)
 いや,このハードル,高すぎませんか。1日のアクセス数が500もあったら,ぼく的にはおばけブログなんだけど。
 でも,ブログで食っていくんだったら,この程度のアクセスもないんじゃ出発点にも立てていないことになる,というのは理解できる。

● 人と同じことをしていてはいけない。これも何度も繰り返される警句だ。「人との違いが価値である」ということだ。
 人と同じことをするということは,特にインターネット上では無価値です。(p95)
● まず,ネタを集めること。それを自分の味付けで提供すること。文章力も大事だ。
 飯が食えるブログを作るためには,とにかくネタを集める必要があるという事は強く認識していました。何かを経験したら「メモ」,「撮影」,「背景の調査」は忘れずに。(中略)これからは,ブログを書くのは趣味ではなく仕事なのです。(p31)
 「なぜ自分なのか」ということを意識しておくだけで,不思議なことに文章の雰囲気が変わってきます。(p63)
 文章力を鍛えることを怠ってはいけません。文章力とは,専門的な内容を説明するのに,業界特有のフレーズを使わずに書く力です。(p71)
● 商品を薦める際に注意すべき基本的なこと。
 日常生活で,自分が使っていない商品を友人に薦めますか? 普通,薦めないですよね。でも,不思議なことに,インターネット上では,そんな「普通では無いこと」が大手を振ってまかり通っているのです。だからこそ,あなたのブログには,自分の体験や感想を書くべきなのです。これだけで他のブログとは違った印象を与えることができると断言できます。(p109)
 ブログで紹介する商品は自腹を切って買った商品に限定することをお薦めします。自腹を切る事は「飯が食えるブログ」の第一歩だと私は思います。(p142)
 成果を上げている人は商品の価値に自分の見解や情報を付加し,更に商品の魅力を向上させています。成果を上げていない人は商品の価値を横流ししているだけなのです。(p158)
● SNSの賢い使い方も指南。
 Facebookを使うなら個人情報は徹底的にさらせ 中途半端に情報公開をするくらいだったら,やらないほうがましです。(p189)
 SNSとセールスは,非常に相性が悪いのです。(中略)SNSでは感情を動かすものか,極端なものしか共有されません。商品のセールスが感情を揺り動かすでしょうか?(p197)
● 最後に,まとめ。人は楽しさを好む。だから,それを提供する必要がある。
 多少,マニアクックでもいいのです。あなたの好きなことを掘り下げて,訪問者にとって居心地の良い場を提供しましょう。人は楽しい場所に集まるという特性を忘れずに!(p103)
 ブログを書くことに慣れてきたら,今度はあなたの「ウリ」な何なのかを徹底的に掘り下げてみましょう。「ウリ」とは,ユニーク,すなわち独自性を持った存在ということです。(p235)
 次に行うことは,書きだした自分の強みの精査です。(p236)
 3つ目に行うことは,あなたの独自性は,誰のメリットになるか? を考えることです。(p236)
 「自分の強みを徹底的に洗い出し,その情報を公開することで,読者に最大限の利益を与える」。言われてみれば当たり前のことですが,この当たり前のことにすら,気付かぬまま漫然と更新している人が大多数なのです。あなたがちょっと行動に移すだけで,他のブロガーだけでなくプロのライターの人たちのレベルを超えることだって可能になります。(p237)
● その他,基本的な心構えと助言。次のようなもの。
 振り返ってみると,好きなことを続けてきた結果が今に結びついているのだと,強く感じています。好きだったからこそ,会社に勤めながら5年,フリーランスになってからも4年,計9年間もブログを書いてこられたのです。(p55)
 最初のうちはアクセス数をチェックするのはやめましょう。数字を気にしすぎると,ブログの内容が貧相になってきます。(p75)
 よくテレビ等で芸人さんが普通の日常を面白く話していますが,あれは彼らの周りで起きている事象が面白いのではなく,彼らが面白く事象を見ているだけなのです。(p89)
 アクセス数を増やすのは,新規の訪問者を集めるよりも,リピーターを増やすほうが圧倒的にラクなのです。(p101)
 「昨日飲み会だったから,今日は適当でいいや」という状態で記事を書くぐらいなら,更新しないほうがマシです。(p120)
 何でも卒なくこなす人より,マニアックな人に依頼は集中する(p244)
● ぼくなんか典型的にそうだけど,大多数のブロガーにとっては,ブログは言いたいことを言い散らす場であって,それで食べていく仕事の場ではない。
 が,本書はそういう人にとっても,相当に参考(または刺激)になるのではないか。

● ぼくは自分のブログに広告は入れていないんだけど,これって逆に安直ですかねぇ。
 ブログデザインの観点からも広告を入れた方がいいのかなぁ。写真を使っていないので,文章ばかりのちょっと重っくるしいルックスだからねぇ。

2015年1月11日日曜日

2015.01.11 江國香織 『デューク』

書名 デューク
著者 江國香織(文)
    山本容子(画)
発行所 講談社
発行年月日 2000.11.01
価格(税別) 1,000円

● 可愛がっていた犬(名前はデューク)が死んでしまった。泣きながらバイトに出かけた21歳の女性が,電車の中で19歳の少年に出会う。
 1日をその少年と過ごす。犬が少年になって,今まで愛してくれてありがとう,ぼくも愛していたよ,と告げに来たのだった。
 ごく短いお話。

● 思いだした。小学生のとき,友人から子犬を譲り受けた。両親に飼ってもいいかと訊かずに。
 うちに来て,数日後にはぼくになついてくれた。学校から帰ったぼくを迎えて嬉しそうに,あるいはホッとしたように,ぼくを見あげた。あの表情は忘れない。給食の残りのパンをあげた。クンクンしながら食べた。

● が,親がその子犬をどこかに捨ててしまった。ひょっとすると,それがぼくのどこかでトラウマ(というと,大げさか)になっているかも。
 その後,動物を飼おうと思ったことはない。

2015.01.11 番外:Re:raku 2014冬号-生まれ変わった栃木の「蔵・倉」を楽しむ

編者 橋本大輔
発行所 新朝プレス
発行年月日 2014.12.25
価格(税別) 648円

● 『Re:raku』は「栃木を愛する大人の休日情報誌」ということ。季刊。

● 今回の特集は,「蔵・倉」を楽しむ。蔵を蔵として愛でるというんじゃなくて,蔵を使って営業しているレストランの料理を楽しむということ。
 この店は前にも紹介してたよね,ってことが多くなりますかね。

● 蔵といえば,高根沢町の「ちょっ蔵広場」でしょ。ちゃんと紹介されてましたよ。
 “ちょっ蔵広場マネージャー”の寺田茂さんが,写真入りで載っている。マネージャーといっても,マネージャー以外のスタッフはいない(と思う)。

● 広場のメインの蔵はライヴハウスになっている。普段はバンドの練習に使われる。高校生が多い。
 その高校生と一緒に,広場のゴミ拾いや違法駐輪の自転車の移動を黙々とやっている寺田さんを見かけることがしばしばある。高校生の躾もしているように見える。彼にしかできないのではないか。
 7時には来ているようだし,夜は10時近くまでいるのが通常のように見受けられる。土日も返上しているようだ。それをもう何年続けているんだろ。
 目下,高根沢一の名物男といえば寺田さんのことだ(自宅は高根沢ではないようだけど)。

● 氏家の「eプラザ」も。こちらは飲食店が入居している。三番館まであったんじゃないか。「蔵次郎」には何度か飲みに行った。

2015.01.11 番外:twin 2015.1月号-今日もカフェめぐり

発行所 ツインズ
発行年月日 2014.12.25
価格(税別) 286円

● 「1年以内にオープンした,個性の光るおすすめのカフェをご紹介」するもの。
 宇都宮の某店のオーナーは「ここがお客さんとの日常の中の非日常になれたら」と語っている。そうなんだよね。カフェにしてもレストランにしても,「日常の中の非日常」なんでしょうね。

● 日常とあまりかけ離れていない非日常感を演出しなければならない。何で演出するかといえば,まず,料理や飲みもの。家庭でもできる水準であってはならない。
 ところがさ,コーヒーについていえば,家庭向けの機械(コーヒーメーカー)が相当よくなってません? 家庭でカフェの味って,すでに現実化してますよね。
 その上を行かなくてはいけない。さほどに難しくもないですかね。

● 調度や食器もね,最近は(ずいぶん前からだけど),家庭の水準が上がってますよね。WEDGWOODなんてあたりまえに使っているんじゃないかと思う。奥さま方のセンスも昔とは段違いに良くなっている(と思う)。
 これまた,その上を行かなければいけない。でも,じつはこれもさほどに難しいことでもない。
 基本,余計なものがない状態にしておくことだよね。家庭の唯一の弱点は,余計なものがありすぎてゴチャゴチャしていることだから。それを除くことが第一。

● いくつかのお店が紹介されているんだけど,何て言うんだろ,不転退の決意っていうか覚悟っていうか,それがあまりお店の側から伝わってこないんですよね。趣味で始めました的な感じを受けるんですよ。
 そこは,取材と編集が入っているわけだから,そのせいなのかもしれないけど。

● ところで,この雑誌,だいぶ続いている。この形でネタ切れにならないのも不思議。
 店の新陳代謝が活発であることに助けられている? 現実は絶えず変化している。テーマじたいが飽きられない性格かもね。
 あと,雑誌の価格が安いこと。広告と広告記事が多いということでもあるんだけど,よくやっているなぁと思う。

2015.01.10 マーディ・グロース 『たった1つの言葉が人生を大きく変える』

書名 たった1つの言葉が人生を大きく変える
著者 マーディ・グロース
訳者 渡部昇一
発行所 日本文芸社
発行年月日 2012.03.10
価格(税別) 1,600円

● 現代は『NEVERRISM』。~~するな,という形の箴言を集めたもの。邦題を『たった1つの言葉が人生を大きく変える』としてしまったのは,訳者の意向か出版社の意向か。
 単なる箴言集ではなくて,そこに著者の蘊蓄がサンドされているので,読みものとして消費することができる。

● こういうものから転載するのも何なんだけど,いくつかを以下に。
  どんなものであろうと,持って生まれたものを大切にしろ。
  自分に与えられた天分を放棄するな。
  自然が意図した通りに生きろ。そうすれば成功できる。

 これはいろんな人が説いているよね。人生訓の雄のひとつだ。しかし,そのとおりにできないで悩んでいる人が多数派でもある。

  真実に,いい話の邪魔をさせるな。

 冗談半分に「ジャーナリズムの第1の法則」と呼ばれ,これを個人的なモットーにしているジャーナリストも多い,と著者は付け加えている。

  新しいことへの挑戦をためらうな。
  しろうとが箱船を作り,
  くろうとがタイタニック号を作ったのだから。

  インサイダーからの情報をもとに投資するな。
  彼らは木を見て森を見ない。

2015.01.09 番外:twin 2014.12月号-デリカテッセン

発行所 ツインズ
発行年月日 2014.11.25
価格(税別) 286円

● 「暮らしのあらゆるシーンに潜むとっておきの情報から新しいライフスタイルを生む,地元密着型情報誌」という謳い文句。
 レストランやカフェなど,飲食店の紹介が多い。あとは季節に合わせて温泉など,観光地を特殊したりとか。

● 今回はデリカテッセン。
 鹿沼市にある某店の“自家製ソーセージとハム,ベーコン”が旨そうだ。肉好きなので。これでワイン。いいだろうね。もちろん,ビールでもいいし,何だったら甲類焼酎でもいいかも。

● 食事に関しては,保守的な人と,何でも試してみたいっていう人と,わりとくっきり分かれそうだなと思ってるんだけど,ぼくはどうだろ。
 仕事場の近くに,安くて旨い店があって,昼も夜もやっている。いったん気に入ると,そこにしか行かないようになるから,保守的な方か。

2015年1月9日金曜日

2015.01.08 小澤征爾 『おわらない音楽』

書名 おわらない音楽
著者 小澤征爾
発行所 日本経済新聞出版社
発行年月日 2014.07.25
価格(税別) 1,300円

● 2014年1月に日経新聞に連載された“私の履歴書”をまとめたもの。
 一読して感じたのは,才能や実力の他に,小澤さんが陽性の人であったことだ。明るくて可愛げがあったようだ。だから,多くの人に好かれた。
 相手の懐に入っていくのが巧いというより,入っていきやすい状況を作るのが巧かったのではないだろうか。作ると意図しなくても,自ずからできるような人だったのではないか。

● 一度目の奥さんとは,離婚した後も良好な友人であり続けたとある。ここまで人好きがするのは,天性のものとしか言えないでしょ。

● ラグビーで指を骨折しなければピアノに進んだかもしれないし,斎藤秀雄氏との出逢いがなければ,指揮者に方向転換したあとも,だいぶ異なった軌跡を残すことになっただろう。
 出逢い(事故との出逢いも含めて)を引き寄せる強運の人でもある。その強運を引きこむのは,小沢さんの熱意だったろう。

● 桐朋高校で斎藤氏にしごかれたのが,とにかく効いているように思える(思えるように書いてある)。
 数年後に,貨物船でフランスに着き,たまたま知ったブザンソン国際指揮者コンクールに出場して,優勝してしまうわけだから。

● このコンクールに出場できるまでのすったもんだも非常に面白い。ほんとに強運なんだな。諦めなければ,結果的に強運になるのかもしれないけれども,そういうことではなくて,ツイてるんだよなぁ。ツキがある。
 そのツキがずっと離れなかった人だ。それも,陽性とか可愛げとかっていう人柄の然らしめるところなんだろうか。

● カラヤンとの交流(師弟)を語っているところから,ひとつだけ転載。
 カラヤン先生は僕が立っている指揮台の真下の椅子に座り,鋭い目でじっと見ている。技術について細かいことをいわない代わり,大事にしていたのが音楽のディレクション,方向性だ。曲の中でいかに音楽の頂点を見定めて,そこへ向かうか。いかに自分の気持ちを高ぶらせていくか。途中で流れを止めず,よどみなく演奏を導くにはどうするか。そのことをカラヤン先生はシベリウスの交響曲第五番のフィナーレを使って,僕に教え込んだのだった。

2015.01.07 忌野清志郎 『ロックで独立する方法』

書名 ロックで独立する方法
著者 忌野清志郎
発行所 太田出版
発行年月日 2009.08.14
価格(税別) 1,680円

● この本の元になった雑誌の連載は,2000年から2002年のこと。主には2001年。
 忌野清志郎が半生を語るというものだったと思う。この本が出たのは亡くなったあとになるんだろうか。この連載はやっといてくれて良かったなぁ。

● といって,ロックにはとんとゆかりがない。著者については,高価なロードバイクが盗まれて話題になったことを知っているくらい。
 ロック界における忌野清志郎って,漫画界における赤塚不二夫の位置にいる人なのかな,と思う程度だ。

● 以下に,多すぎるかもしれない転載。
 (ロック専門学校では)作曲なんかは既成の曲を教材にして教えたりするんだろうか。この名曲のこのコード進行のココがポイント,とか。そういうことを一ヵ所に集まって完全にプログラムされた授業を受けたいと思う人たちから,何か新しい音楽や才能が生まれてくるような気が全然しないんだけど,偏見かな。(p28)
 迷わずどこでも演奏できたのは,仕事を選べなかったからじゃなくて,どにかく自分たちの作品や演奏に自信があったから。とにかく自信だけ過剰なほどあった。全然不安はなかった。「自分を信じる才能」というか「思いこみ」というか,とにかく「自分はダメかも」とか「まあまあかな」とかって思ってる人より,「オレが一番強いんだ」って思ってる人が強いですよ,どう見ても。(p29)
 そう簡単に反省しちゃいけないと思う。自分の両腕だけで食べていこうって人が。それがひとつの落とし穴で,そこにはまったら,なかなか元にもどれない。そういうケースって実はすごく多いし,その問題ってすごく大きいと思う。(p30)
 とにかく「すでにその世界にいる人間」におうかがいを立てなきゃ決断できないようなヤツは,最初からやめておいたほうがいいだろう。どうせろくなことになりゃしない。(p40)
 たった一曲だって,他人に最後まで聴かせるということは,けっこうすごいことなんだ。(p41)
 歌詞にしても「他人がまだ何を歌っていないか」を探してほしい。まだまだ「歌われていないこと」は山ほどあるはずだ。(p44)
 表現するネタは,自分の中にいっぱいあったほうがいいに決まっている。少なくともオレは,あの時代に本を読んでおいてよかった,と思ってる。音楽しか聴いてないミュージシャンは,たぶんすぐに涸れちゃうんじゃないか? 過去の音楽の領域から出られなくなっちゃうような気がする。(p48)
 いわゆる『楽典』だけ教わった。そうしたら,なんだ簡単じゃないかってわけで,いきなり譜面が読めるようになって,音楽の成績も「3」にアップした。もっとも譜面が読めることが,その後の実際のバンド活動に役立ったかといえば,かなり怪しい。はっきり言って「譜面が読めてよかった」と思ったことは,あんまり記憶にない。(p67)
 個性というのは,ようするにある種の欠陥から生まれるもんだから。(p71)
 ステージのMCでならムチャクチャやれるのに,なぜかラジオやテレビでは全然ダメなんだ。たぶnステージMCは,あれは演奏の一変形なんだろう。(p73)
 基本的にインタビューってそういうものなんだろうな。だって三〇年間ずっとそうだったんだから。「聞かれたことに正直に答えても納得されない。相手がこっちに言わせたがっていることを想像して答えてやるとやっと納得してくれる」---このパターンの繰り返し。(p116)
 ミュージシャンの虚像と実像も確かにわかりづらいけど,こちら側から見れば,ファンの虚像と実像はもっとわかりづらい。(p136)
 とにかく曲が出来ちゃう時ってのは,ほんとに“天から降ってくる”としか言いようのない時があるんだ。頭の上からスイスイ降りてきちゃう,降って湧いちゃうみたいなね。(中略)そんな時は,ノートに書き留めたりするヒマもなくて,あわててラジカセに録らなきゃいけなくなる。そりゃもうスリリングな瞬間だね。(p186)
 「何がウケるか」っていうマーケティングの発想で曲をつくってたら,とてもじゃないけど何も作れやしないよ。少なくとも自分に関しては,そうだね。(中略)ファンという正体不明のものに振り回されて,疲れ果ててしまうミュージシャンもいる。(中略) だったら,もう自分が歌いたいことを歌うのが一番正しいし,健康にもいいんだよ。それがファンであろうとなかろうと,とにかく声が届いた人だけが受け取ってくれればいい。(p195)

2015年1月7日水曜日

2015.01.07 あかめ 『モブログの女王がおしえるiPhoneブログ術』

書名 モブログの女王がおしえるiPhoneブログ術
著者 あかめ
発行所 秀和システム
発行年月日 2014.10.01
価格(税別) 1,300円

● iPhoneだけでブログを更新する。モブログというのだそうだ。Androidでもできるのだろうな。
 いつでもどこでも,思いたったら更新できるのがモブログのいいところ,という内容。

● 記述の仕方もブログ的。つまり,重複が多い。
 ぼくのブログもそうだけれども,たいていのブログって,同じことが何度も出てきたりするじゃないですか。ずっと書いていると,そうしたことは避けがたいし,ブログだとそれをくどいと感じることはない。
 が,書籍にする場合は,そこは整理した方がいいようだ。この本は22ページに及ぶ長いプロローグに内容のすべてが詰まっている感じで,具体的なiPhoneアプリの使い方を解説した第3章は別として,プロローグだけを読めばいいんじゃないかと思う。
 そのプロローグにもけっこう重複がある。

● なるほどと思わされたことも,当然あった。
 「め~んずスタジオ」は取り上げているテーマにかかわらず,読んでいるだけで執筆者あすかさんの楽しそうな様子が伝わってくるブログで,ワクワクしてきます。単なる情報発信ブログではなく,書いているヒトの姿がブログから伝わってくるのが特徴的なブログです。(p7)
 これなんか,本当にそうだと思う。何を書いているかっていうより,楽しんでいることが伝わるブログ。これはテクニックではどうにもならないよね。実際に,楽しんでいないと。
 ブログって,基本,軽い表現技法だと思う。そこにあまりシリアスなものを盛ると,器と内容がミスマッチ。そう感じることはある。

● ぼくにも経験がある。こういうことって,たしかにある。でも,狙ってそうすると,なかなか巧くいかなくてね。
 数分前に感じていたことをアウトプットした記事は,アクセス数が比較的多い傾向があります。根拠はありませんが,感情をそのまま文字にしているため,素直な気持ちがストレートに伝わっているのかもしれません。(p43)
● これはちょっとどうなのよと思った。いったん冷ました方がいいんじゃないかな,と。
 書きたい時にすぐに書ける俊敏性。書きたい気持ちが高まっている時に書く時ほど,筆がノル時はありません。書きたい時が書き時です。(p16)
 が,あとで次のようにも書かれていて,納得。
 タイミングがノッている時に書いた記事は数時間から数日ほどあけて公開することが多いです。雑な表現はないのか推敲をして公開しています。(p61)
● これもあるね。ブログを書くことの見えない効果。
 プラス思考になったのも大きな収穫です。失敗やトラブルなど普通は悲しくなる時でも「ブログネタになる!やったー!」と物事をプラスに捉えられるようになりました。(p62)
● ほかにも,いろいろ説かれている。「ブログの見た目を意識」して「居心地の良さ」を作ること。デザインを考えるってことですね。「おもてなし精神」が大事だ,と。
 「記事の冒頭の興味を引く写真のこと」を「アイキャッチ」というそうなんだけど,そうしたものにも気を配ること。

● デザインと写真に関していうと,ぼくはまったく何もしていないなぁ。Googleの“Blogger”を使わせてもらってるんだけど,“Blogger”のデフォルトフォームをそのまま利用してる。デザインって考えたことがなかったかも。
 写真も同じ。そもそも写真は入れていない。文字だけ。ちょっと重ったるくなりますよね。

● 著者は,そういったデザインや写真にキャンプションを入れることまで,iPhoneのみでやっている。アプリ環境を整えればそれができる。それが第3章に詳しく述べられている。
 では自分もそうしてみようか,とは思わないねぇ。ひとつには,“Blogger”を使っていること。“Blogger”のiPhoneアプリはもちろんインストールしているんだけど,アプリだけで全部はできないようなので。たとえば,リンクのはり方がわからない。ぼくが気づいてないだけかもしれないけどね。

● フリック入力も訓練すれば相当なスピードで文字を入れていけるようだ。ぼくの近くにも生きた実例がある。豚児だ。呆れるほど速い。
 けれども,ぼくはSNSはやっていないし,メールもそんなに利用する方じゃないので,iPhoneで入力することがあまりない。
 キーボードがいいなぁ。iPhoneのフリック入力だと構えないで気楽にやれるとあるんだけど,キーボードでもそんなに構えることはないんだよね。

● なので,思いついたことはまずノートにメモして,それをもとにパソコンでブログの原稿を作っていくというやり方をとっている。
 iPhoneのアプリは,いったんアップしたものに修正を加えるときに使うことがある。パソコンがメインでiPhoneはまったくのサブ。
 それで特段の支障は感じていないので,当分はこのやり方を継続することになると思う。

● 継続の重要性が強調されている。これはもう絶対必要条件でしょうねぇ。PVがあろうとなかろうと,まず半年は黙々と継続できるかどうか。
 ただし,継続すれば読んでもらえるようになるかといえば,そうは限らないから,十分条件ではないですね。ぼくのこのブログが好例ですよ。自虐的だけど。

2015年1月5日月曜日

2015.01.04 みうらじゅん・リリーフランキー 『どうやらオレたち,いずれ死ぬっつーじゃないですか』

書名 どうやらオレたち,いずれ死ぬっつーじゃないですか
著者 みうらじゅん
    リリー・フランキー
発行所 扶桑社
発行年月日 2011.11.30
価格(税別) 1,200円

● みうらじゅんとリリー・フランキーの対談を読める形に編んだもの。タイトルもこの本ならこれしかないっていうほど,洒落たものですな。
 主には若い人たちに向けたものだ。けど,ロートルが読んで悪いわけもない。一気通貫で読了。

● 以下に多すぎる転載。
 もし知り合いが「私は今の生活で十分満足です」と言ったとしたら,「いや,世界はもっといっぱいあるよ」って言いたくなるじゃないですか。オレらはずっと,「満足はするな」ということを美意識としてるんですよね。(リリー p19)
 「幸せ」というのもそうだけど,単なる言葉でしかないし,見えないものにつけられたイメージの言葉なんだよ。そんなものに振り回されている人生が滑稽だよね。(みうら p21)
 だいたい,教養というのは,その人の生活だったり価値観だったり,知識がその人の身になってるもので,しかも大事なのは,その人の持っている教養で世の中を変えられるかということだと思うんです。雑学なんかじゃ世の中一ミリも変わりませんよ。(リリー p37)
 美意識さえ持ってれば,プライドはなくていいですよね。逆にプライドは持ってるくせに美意識のない人がいっぱいいますよね。(リリー p54)
 プライドってなくしていけばいくほどラクになるんだよね。「なんで怒ってるんだ?」ということを己に何度も問いかけることで,「カッコ悪いじゃん」ということを,脳に叩き込まなきゃ。(みうら p56)
 オレ,自分にひとつだけ才能があるとすれば,飽きてることを飽きてないと言い切れる自信だけなんですよね。そりゃあ,当然飽きますよ。でも,そこにしか活路がないんですね。オリジナルなんてない。新しいことを見つけられるなんて思ったこともありません。だから,ひとつのことを飽きずにやるっていう,そこしかオレの道はないって思ってるんですよね。(みうら p116)
 実際,自分の好きなことをやり続けている人って,結構みんな食えてるんですよ,実は。ただ,若いときのほうがバランス感覚がいいっていうか,大人に毒されているから,いろんな人を見たり会ったりして勉強しようとかって言いますよね。でも,そんなことをしてたら絶対にバカになりますよ。だって,ほとんどの大人はバカなんだし(リリー p120)
 それでも「発明する必要はない」っていうことが重要なんですよ,絶対に。若い人は発明しようとするんですよ。(リリー p121)
 マネしようと思ってもマネしたくないってみんなが思ってる部分がまずないと。天才といわれる人,そうした人たちのやってることは圧倒的にすごいけど,まずこちらはそれをやりたいとは思えないっていう,それをやってるエネルギーがある人ですよ。でも,そうじゃないと新しいものはできてこない。(リリー p126)
 「金儲けは,するものじゃない。いい仕事をしていれば,金いらないって言ったって金をもらってしまう。儲かってしまうものなんだ」って。(リリー p155)
 スペイン旅行をしてるとき,スペインのバルを見て「こんな面白い飲み屋があるんだ」と思ったら,すぐに何回も通って,あっという間に日本でもそんな店を作っちゃう。面白いと思って形にするまでが早いんですよ。(中略) そのスピードがあるってことが,ムーブメントを作ること。(リリー p156)
 そのときじゃないとダメなことって,やっぱりあるしね。どんなことでも,時間がかかると間違ってるんじゃないかって思いはじめて,賛否両論気にしちゃう。だから,面白いことを面白くするためには,見切り発車が必要だってことだよね。(みうら p158)
 思うに,女の人は「大金持ちより子だくさん」というのが精神的に豊かになることを,本能的に知ってると思うんです。女しかできない活動を長く求める。まぁ,若いときはそうは思ってないでしょうけど。(リリー p162)
 なにか計画立てて考える人って,人生を線路に例えてみたり,とにかく一本の線だと思ってるじゃないですか。でも,人生とか時間というのは線ではなく点の集合体でしょ。だからつなげて物事を考えていくっていうのは,本質的な意味で間違っているわけだし,そりゃあ,うまくいかないですよね。(中略) そう考えると,すごい平べったい話に聞こえますけど,今が一番大切だっていうことですよね。(リリー p220)

2015.01.03 みうらじゅん・宮藤官九郎 『どうして人はキスをしたくなるんだろう?』

書名 どうして人はキスをしたくなるんだろう?
著者 みうらじゅん
    宮藤官九郎
発行所 集英社
発行年月日 2013.09.14
価格(税別) 1,200円

● 『週刊プレイボーイ』の連載をまとめたもの。『週刊プレイボーイ』って,昔はだいぶお世話になったけれど,最近はさっぱり。
 特に,開高健さんが人生相談「風に訊け」を連載しているときは,この雑誌を置いてある喫茶店に行って,コーヒーを飲みながら,その連載を読むのが無上の楽しみだったかな。たぶん,当時は無上の楽しみだったと思う。ほかに,たいして楽しいことってなかったから。

● にしても。『週刊プレイボーイ』って男性用娯楽雑誌の代表ですよね。そこにこういう連載があるんだから,日本人ってたいしたものなんだなぁ。

● 以下にいくつか転載。
 (結婚は)自分なくしの修行としては絶好のチャンスでもあるね。(みうら p29)
 実際問題,自分に正直であることは,他人に迷惑をかけるってことなんだけどね。(みうら p41)
 “憎みきれないろくでなし”ですね。そのろくでなしオーラが,女にとってはイコール色気なんじゃないですか。「アタシ,捨てられてもいいから貪欲に愛されてみたい!」っていう本能をくすぐる。(宮藤 p49)
 一生懸命って,それだけで泣けてくるんだよね。自分ももっと一生懸命に何かやればよかったという後悔も含めてさ。大人になるってどこか報酬を期待しちゃうとこあるでしょ。そんなとき,無報酬で無我夢中に頑張ってる姿っていうのを見ると・・・・・・ねぇ。(みうら p90)
 人間って初体験が好物でしょ。セックスを引き合いに出すまでもなくね。旅に出ると初体験が待ってるって,直感的に知ってるんじゃないの。(みうら p209)
 今の日本って,精神的に不景気な感じがするんだよね。心が貧乏臭いっていうかさ。なんか,どんどん価値観がせばまってく感じがするじゃん? そこを心配するべきなんじゃないのかな。本来は自分に理解できないからこそ掘る面白さもあるんだけどねぇ。お金に換算できるものって大概,貧乏臭いと思うけどね。(みうら p223)
 人生は暇つぶしっていうじゃないですか。人間ってやっぱり死と暇になることが一番怖いんだよね。だからそれを忘れるために毎日働いたり勉強したりしてるようなものでさ。(みうら p243)
 人生って趣味が一番だと言い切っていいと思う。ベストホビーを見つける旅ってのが人生なんじゃないの。(みうら p243)
 でも,まだ今は無理やりだよ。(中略)「コレ,本当に面白いのかな?」って内心思ってるし。でもね,ホビー教の教えにならうなら,「半信半疑を続けろ」がすごく重要だから。趣味って,「こんなのに時間とお金を使ってていいのかな,俺?」って常に問いかけながら付き合ってると,長続きするんだよね。(みうら p245)