2015年12月5日土曜日

2015.12.04 和田茂夫 『「手書き」の力』

書名 「手書き」の力
著者 和田茂夫
発行所 PHPビジネス新書
発行年月日 2008.10.03
価格(税別) 800円

● ぼくは現在は小型ノートをいつも持ち歩き,じじゅうチョコチョコ書いているけど,ワープロ登場後,長らくデジタル崇拝派だった。
 いくら書いても重量というものが発生しない。修正がいくらでもできて,その跡が残らない。ビジネス文書は一度作っておくと,何度でも使い回せる。
 何より,手で書くよりキーボードから入力した方が省エネになる。つまり,疲れない。ある程度まとまった文章を書くなら,断然,キーボード入力がいい。

● ので,すべてデジタル化できたらどんなにいいだろうと思っていた。特に,キーボード付きのザウルスが出たときには,これで長年の宿願(?)が達成できるかもと思った。
 現在でも,その夢が頭をもたげてくることがある。ポメラを使えばそれができるんじゃないかと思ってしまったり。

● この本の著者も,オールデジタル化を実践したことがあるそうだ。が,つまくいかなかった。そういう実体験を踏まえて,手書きの効用を説いているので,ぼくとしてはかなりの説得力を感じた。
 観念やイメージを排して,実利のみで押していく。

● 背中を押してもらえたような気がする。そういう意味で,これは読んでよかった本。

● 以下にいくつか転載。
 人に送る年賀状や暑中見舞いはもちろん,自分で使うスケジュール帳やToDoリストもすべて,パソコンや携帯情報端末で処理しようとした。 だが,どうもうまくいかないのだ。(中略) うまくいかない理由がわかったのは,ある編集の人のひと言がキッカケである。その編集者は,私の別の本に掲載された自筆のメモをみてこう言った。「やっぱり手書きは迫力がありますねえ」 そうだ,手書きには,それだけで一つの「力」があるのだ。(p4)
 アナログの良さは,私なりに説明すると「情報量」の多さである。たとえば,「あ」という文字をパソコンなどのデジタルデータとして入力すると,二バイト。(中略)だが,手書きで「あ」と書いたときの情報量は,その比ではないはずだ。文字データとしては二バイトかもしれないが,その人の書きグセや筆圧の違い,字の大きさや微妙な変形を含めれば,膨大な情報量になる。 この膨大な情報量で,情熱を持って力を込めて書いた,相手のことを思ってていねいに書いた,といったことも情報として記録さえる。そしてそれが,見る人に伝わるのだ。(p7)
 印刷された文字と,画面上に表示される文字が圧倒的多数で,手書きはむしろ少数派だ。絶滅危惧種の希少動物ならぬ希少文字種である。 希少であるからには「希少価値」がつく。つまり,手書きはもの珍しく,それだけでも価値が高いのだ。(p34)
 自分より字がヘタ(と思われる)人が,ていねいに書いた字は好感度が高い。(p42)
 手書きのメッセージは,世界中に同じものが二つとない。たとえば,月並みな「よろしくお願いします」とう一文でも,同じ人が同じ紙とペンを使って同じに書こうとしても,厳密にまったく同じに書くことは,まず不可能だろう。(p45)
 今年の目標とか,人生のモットーとかを手帳に書いておくことがあるが,これも手書きに限る。長い間見るものだと思うと,つい,ワープロソフトできれいにプリントアウトしたくなるが,多少見苦しくても自分の字が実はいちばん効果的なのだ。(p61)
 手書きにすることで何が変わるかというと,コミュニケーションの性質が変わるのだと思う。パソコンでつくった書類などは,どうしても不特定多数に向けてつくられた印象を与えてしまう。(中略) それに対して手書きは,間違いなく「パーソナル・コミュニケーション」だ。(p62)
 パワーポイントなどを使うと,つい付属のテンプレートを使って済ませたくなるものだ。だが,手書きのラフスケッチをつくれば,自分のもともとの発想が一度形になる。 それが自由な発想を伸ばすトレーニングになるのである。(p83)
 メモがとりやすい状況で,メモがとれるのはあたりまえだ。しかし普通はメモがとれないような状態でも,簡単にメモがとれてこそ本当のメモと言える。(中略)心がけだけでは,うまくいかない。いつでも簡単にメモがとれ,メモがとりにくい状況でも比較的楽にメモがとれる環境が必要なのである。(p94)
 「沈思黙考」と言うが,何もしないでただ考えるというのは,実はあまりよい方法ではないらしい。それよりも,文字や図をかきながら,手を動かして考えてみるほうがいいのだ。 このように手書きには,アイデアを考えたり,考えをまとめたりするのを助ける働きもある。伝えるだけではないというのが,手書きの奥深いところだ。(p155)
 どんな場合にも言えることだが,方法とかコツなどのソフトウェアとともにハードウェア,つまり道具の助けを借りることである。 (中略)その場その場に適した道具を持っていれば,手書きは楽に,楽しいものになる。ストレスが減るのだ。(p173)

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