2015年11月6日金曜日

2015.11.01 村上宣寛 『野宿完全マニュアル』

書名 野宿完全マニュアル
著者 村上宣寛
発行所 三一新書
発行年月日 1996.08.31
価格(税別) 777円

● 副題は「究極のアウトドア案内」。11章で構成されており,第5章からが各論。寝室,衣類,器具,食料計画,宿泊地の選定などが解説されている。

● このうち,器具についてはスマホ以前と以後とではガラッと様相が変わっているだろう。約20年前に書かれたこの本がそのまま今も役に立つというわけではなくなっていると思う。
 が,構えは同じだ。何をするのか,そのためにはどんな道具が必要なのか。道具の選定が変わってくるだけだ。

● 同じように,衣類についてもユニクロ(のヒートテック)以前と以後とでは,何を着ればいいかが変わっていると思う。
 この部分についてのユニクロの影響は絶大だ。

● 宿泊地についても,本書では神社,無人駅,公園(あまりお勧めではないとのこと)などたくさん挙げられているが,今ではだいぶ難しくなっていると聞く。少なくとも,学校の校庭にテントを張るのは不可だろう。無人駅なども管理が厳しくなっているようだ。
 事実上の選択肢として市町村が用意しているキャンプ場しかなくなっている? 田舎に行くとこのあたりも多少はラフになるんだろうけど。

● 以下にいくつか転載。
 今,はやりのキャンプといえばオート・キャンプである。自動車はピカピカの4WD,アウトドア・ファッションに身を固め,目的地に直行してロッジ型の巨大なテントを張る。(中略)整備されたキャンプ場には水洗トイレがある。電気も使える。食堂が併設されていることすらある。一泊一万円前後,宿に泊まるより安いという。 お金を払っているから「快適な」キャンプができる。(中略)すべては予想通りに整えられており,意外な出来事はなにもない。そして意外性のない所には感動も生まれない。(p12)
 水洗トイレがあり,水道も電気も完備されている清潔なキャンプ場は限られている。だからオート・キャンパーの行動の自由は乏しい。(中略)トイレも水もなくてよいという場合,行動の自由は高まる。ほとんど行けないところはない。野宿をする人間にはキャンプ場でしか夜をすごせない人が哀れに見える。野宿は自由なのだ。(p14)
 普通の人は一日コースを一日で歩く。だから,観光ポイントの通過時刻がほぼ一定になる。しかし,一日コースだから一日で歩くという必要性はなにもない。せっかく来たのだからと,あちこち見るのもやめよう。どれだけたくさん見たかは重要ではない。どれだけ感動したか,どれだけ満足したか,という自分の価値観を重視したい。(p15)
 われわれは成金の時間貧乏人ではない。たまたま手元にたくさん現金を持っていないだけで,本当は大金持ちなのだ。たっぷりと時間をかけて,自分の身体を動かし,自然と一体化することによって,はじめて感動は生まれる。金で感動を買おうなんて,貧乏人の考えることだ。(p16)
 あまり効率的に走ると旅がつまらなくなる。時々走るのをやめてぼけっとしたり,寄り道するほうがおもしろい。自転車の場合は一日に一〇〇キロ程度移動できるが,なるべく走りすぎないように努力すること。(p17)
 「××まで」とか「××一周」などというコース設定はしないこと。行動目標を設定すると,どうしても目的意識が先に立ち,先を急ぎがちになる。寄り道したり,景色をじっくり楽しむゆとりがなくなってしまう。男の悲しいさがか。この点,女は寄り道の天才だ。少しだけ見習ったほうがよい。(p18)
 一人用テントと二人用テントの重量の差は〇.五~一キロ程度のことが多い。この重量増が我慢できるなら,ソロの場合は二人用,二人の場合は三人用がよい。(p68)
 バックパッキングやサイクリング用としては三季用を選んだ方がよい。疲労した時は血糖値が下がり,普段より寒さを感じる。山の中では明け方冷え込むし,夏でも温かめのシュラーフがよい。温かすぎて困ることはない。(p82)
 サイクリングでは夏の服装の上に重ね着をしていく。鳥肌が立つような季節になると長袖の上着をきる。初雪が見られる季節になってようやくタイツをはく。ベストを追加すると厳冬期の服装となる。これ以上着ると行動中に汗をかいてしまう。(p92)
 野外ではいつも疲れている。むぞうさに丸めて詰め込めるのはありがたい。こういうアメリカのレインウェアをみると,つくづく日本のアウトドア・スポーツは偽物だと感じてしまう。(p101)
 激しい雨の時には,完全防水の手袋がほしくなる。超安価,完全防水の理想的手袋は,作業用ゴム手である。ホーム・センターで三〇〇円程度で手に入る。(中略)特大サイズを買っておけばオーバーグローブとして利用できる。(p106)
 野宿しまくっている野郎なんて料理などしない。野外では徹底的な手抜き料理が主流だ。おいしい物は家庭で作って味わうものである。(p153)
 私が愛用しているのは,東鳩の「オールレーズン」というクッキーである。レーズンパンを押しつぶして乾燥させたような食べ物で,甘くなく朝食にぴったりである。(p160)
 キャンプの古いガイドブックでは排水溝を掘ると書いてあるが,そんな必要はない。(中略)みんなが溝を掘ればたちまち自然が破壊される。けっして排水溝は掘ってはいけない。(p178)
 私の場合は,水場とトイレからもっとも遠い,不便な場所にテントを張る。あるいは,荷物を担ぎ上げるのが嫌な高台にテントを張る。みんなが嫌な所,不便な所は静かで寝心地がよい。(p183)
● ぼくは野宿というものをやってみたことはない。が,これからしてみたいと思っている。自転車で日本一周をやってみたいから。1日3千円であげたいんだよねぇ。となると,野宿しかないわけで。
 が,テントを張れるのがキャンプ場しかないとなると(キャンプ場を利用するとお金がかかるんだろうから),ちょっとキツくなるか。

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