2015年9月25日金曜日

2015.09.23 長谷川慶太郎 『日本経済は盤石である』

書名 日本経済は盤石である
著者 長谷川慶太郎
発行所 PHP
発行年月日 2015.10.02
価格(税別) 925円

● またまた,長谷川さんの新著が出た。出れば必ず買う。

● 本書の内容はタイトルに凝縮されている。
 現在のデフレ下のいても,日本企業は熱心に研究開発投資を続けており,あらゆるイノベーションによって利益を高めている。デフレ基調の世界経済の大きな枠組みのなかで,着実に技術開発を続ける日本企業の未来は絶対的に明るく,「日本の大繁栄」は揺るがないと言えよう。(p155)
● 技術力がすべてを決するというのが,著者の考え方の基本にあるものかと思う。
 その技術力はしかし,小手先の政策や方法論ではどうにもならないところがあって,それこそその国の歴史とか伝統とか,長い間に少しずつ溜まってきたものがモノを言うところがある,と。

● ユーロ圏(の特にギリシャとドイツ)が詳しく論じられている。

● 以下にいくつか転載。
 中国共産党の上層部が繰り広げている権力闘争が大衆デモと結びついたとき,中国の現政権は間違いなく崩壊する。(p50)
 中国は現在,人民元のレートを複数の外貨に連想させる通貨バスケット制を採用しているが,(中略)中国がこのシステムを維持することができなくなり,人民元の取引を変動為替相場制に移行せざるを得なくなったとき,中国経済は崩壊に向けた一歩を踏み出すことになるだろう。(p68)
 ギリシャが今回あれだけ強気な態度を貫いてきた背景には,自国の存在がEUにとって地政学的に不可欠だという自負がある。冷戦期において,ギリシャがトルコとともに,事実上の「反共の防波堤」になった歴史があるからだ。(p79)
 ドイツは今のようにユーロ圏がごたついていても,何も気にしていない。かえってユーロ圏のゴタゴタこそが,ユーロ加盟国の財政政策にドイツが介入できる絶好の口実になってさえいるわけだ。(p87)
 これは非常に大事なことだが,東西ドイツ統一の際,旧西ドイツでは徹底的に左翼が潰された。共産党はもちろん労働組合,社会民主党も潰され,そこに連なる知識人たちも徹底的にパージされている。 その結果,東西ドイツが統合されたあと,労使関係の力のバランスが大きく変わり,雇用主が優勢になった。(中略)ドイツの企業経営者たちは非常に有利な条件で国際競争力を向上させることができたのである。(p93)
 東西ドイツ統合当時,旧東ドイツ外務省には約二〇〇〇人の職員がいたが,統合後に外務省に残れた職員は八人しかいなかった。敗戦とはそういうものである。(p98)
 日本には明治の開国当時から,国際条約をきちんと守る国だという揺るぎない信頼がある。(p109)
 私があらためて素晴らしいと思うのが,日本がかつて,そういう不平等条約を結ばざるを得なかった状況にあったにもかかわらず,明治時代に工業化に成功したことである。(p111)
 ひと頃,「日本企業は成長著しい韓国・中国企業に学べ」と主張するエコノミストや評論家が数多くいた。もちろん,企業経営の優劣は技術力のみによって定まるものではないが,日本は世界のすべての国に対して技術貿易で黒字を計上する実力を持っているというのは非常に重要(p118)
 知恵を売って得た収入でモノを買うことにより,収支のバランスが取れるような国になった場合,日本経済が弱くなるということはあり得ないし,すでに日本はそういう国になっているのだ。(p119) 日本はもうしばらくすると鉄鉱石を輸入しなくても済む国になる。日本国内に,老朽化したビルや自動車といったさまざまなかたちで,鉄鋼の在庫が二五億トンもあるからだ。(p120)
 トヨタは年間一兆五〇〇億円(二〇一五年度)を研究開発に投資しているが,これはもちろん企業の研究開発費としては日本一で,二〇一四年度における同社の株主に対する配当金総額の六三一三億円をはるかに上回っている。 やはりトヨタは大したものだ。「戦力の逐次投入」が下策であるように,研究開発費も小出しではなく,それなりの規模で使わなければ会社に力がついていかない。(p124)
 日本のインフラ輸出には改善の余地も大いにある。 たとえば日本仕様ではオーバースペックになりがちなインフラ設備やシステムを,いかに現地に合ったものに最適化するか。また,事業の採算性などを調べる予備的調査や,現地に密着し,現地の事情にマッチした事業の提案を行うコンサルタントをいかに増強していくか。そして外国人と対等に,ビジネス面でも技術面でも英語で突っ込んだ交渉ができる人材をいかに育てていくか,ということが挙げられる。(p150)

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