2015年8月3日月曜日

2015.08.01 宮田珠己 『四次元温泉日記』

書名 四次元温泉日記
著者 宮田珠己
発行所 筑摩書房
発行年月日 2011.12.05
価格(税別) 1,500円

● 迷路のような通路を持つ宿を訪ねる。四次元とは迷路のことらしい。
 が,温泉もいいものだとなっていくんだけど,その契機になったのが“奥那須K温泉”。とりわけ,K温泉の“天狗の湯”。

● いくつか転載。
 昔どこかの国を旅行したときに,お前たち日本人はコーヒー一杯で半日過ごせるか,と訊かれたことがあった。日本人はせっかちだから滞在型リゾートには不向きだと,その相手は暗に言いたかったわけだが,コーヒーは無理でも温泉なら半日といわず何日も過ごせるのが日本人なのだった。 湯治は,滞在型リゾートの日本版なのかもしれない。(p117)
 これまでいくつかの温泉宿を巡ってきたが,歴史ある温泉はたいてい陰気である。(p118)
 以前知り合いの鉄道オタク高校生が「そうですか? 自分は新幹線でも十分風情感じますけど」と言っていた。思わぬ意見に一瞬驚いたが,なるほどそういうものかと納得した。人間のスピードに対する感覚が,いとも簡単に変容することを,私はジェットコースターで学んで知っていたのである。(中略) 意外なのは,その変容した感覚が個人を超えて伝達される,すなわち種として伝わることである。(p125)
● 著者の感性と文章だけで読ませる紀行文。面白い。一気に読める。これは,何というのか,素人でできることではないんでしょうね。
 何に目を付けるか。逆に,何に目を付けないか。このあたりがたくまずしてユニークだ。迷路は外して考えても。

● あるいは,自分の感性をいったん殺して書いているのかもしれない。人工的というか,技巧的というか,理知的というか,そういう感じも受けた。

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