2015年7月11日土曜日

2015.07.09 高野 登 『リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ』

書名 リッツ・カールトン 至高のホスピタリティ
著者 高野 登
発行所 角川ONEテーマ21
発行年月日 2013.05.10
価格(税別) 781円

● 本書はリッツ・カールトンのサービスの特長を紹介するのではなく,リッツ・カールトンを離れて,ホスピタリティの構成要素について語っている。

● 本書に登場するいくつかのエピソードの中で,最も印象に残るのは,“ハガキを送る美容師”だろう。次のような話。
 すると,帰り際に「よかったら高野さん,次回はお写真をもってきていただけませんか」と言われたのです。 「写真を何に使うの?」と,不思議に思って聞いてみたところ,「それは秘密です」とにっこり。(中略) ある日のことです。彼女からハガキが届いたのです。裏面を見た瞬間,私の中のものさしは,宇宙の果てまで吹っ飛んでいきました。(中略)そのハガキには,私がプリントされていたのです。寅さんが着るような衣装を身に着け,オレンジ色のかつらをかぶり,とても楽しい真ん丸のサングラスをかけ,口ひげをたくわえています。そして,その下に「そろそろですね?」と,一言だけサラリと書かれてあったのです。(中略) 会話の中で,私がホテルの仕事をやっているということを知り,「じゃ,高野さんは一生こういう恰好はできないな」と思ったのでしょう。つまり,彼女はそうやって遊んでくれたわけです。 それからは,毎回毎回「お見事!」とヒザを打ちたくなるようなハガキ,というより作品が届きました。(中略) そこに行かなくなったのは,彼女が辞めてしまったからです。じつは彼女には,保育士になるという夢がありました。(中略)そして、ついに彼女の夢がかなうときがやってきました。(中略) 一言,お礼とお祝いを言おうと,彼女が辞める最後の週に花束を持って美容室に行ったのです。すると,店内は,お花屋さんかと見間違う程,たくさんの花でうめつくされていました。(中略)美容師が一人辞めるというときに,こんなにお花が届くというのは,通常では考えられないことです。まさに圧巻でした。 人は,こういう仕事の仕方をすることもできるのです。単に髪を切るというサービスで終わるのではなく,まったく違うレベルの仕事です。(p142~)
● 以下に多すぎる転載。
 仕事の意味とは何か,組織が存在する目的とは何か。(中略)私自身,いまだに明快な答えを出せずにいるのですが,それでも,見えてきたことがあります。 人は誰でも,本当に人様のお役に立てたときは輝いているということです。(中略) さらに大事なことは,世の中のお役に立てたと実感できたとき,じつはその本人が成長しているということです。(p3)
 「相手の立場に立って考える」にはどうしたらいいのかということになるのですが,それには「自分のものさしを捨てる」ということが必要です。相手のものさしで見るという覚悟を決めることが,とても大事なポイントになります。(p19)
 リッツ・カールトンのホテルマンもやっているのですが,まずは丹田にグッと力を入れます。そして,ニッコリ笑って「自分は,すべてOK」と言います。 それがクレームであろうが,リクエストであろうが,自分の中にはすべてを受け入れる力がある,何があっても「OK!」という力を,一瞬で入れるわけです。(中略)逆に何もせず「何がくるんだろう」と,常に不安を抱えながら行動していると,お客様に向き合うことも,寄り添うこともできません。(p28)
 トップが「世界一になる」という夢をかかげ,その夢に自分が「巻き込んでもらっている」という意識だけでは,成長はありません。 成長というのは,トルネードの中で,グルグル回らされている立場から,自ら一緒になってトルネードを巻き起こす立場になっていくことです。(p36)
 人というのは,「本気になってこの人は自分たちのことを信用している,信頼しきっている」という思いが伝わってきたときには,その相手を裏切ることなどできません。(p43)
 誰か他の人にこの話を教えたときに,自分の中の感性の目盛りがいっきに上がるのです。事実を知ったときよりも人に話したときにアップするのです。(中略)要は,自分の中の「感性の筋肉を使ってアウトプットする」というのが重要なのです。(p49)
 おもてなしを形にするときの3要素とうものをご存じの方も多いと思いますが,それは,「装い・ふるまい・しつらえ」をいいます。この3つがちゃんとそろっていないとおもてなしになりません。(中略)おもてなしの本質というのも,やはり細部に宿るのです。細部は,日常という連続の中にあります。そのため,日常における自分の過ごし方が,おもてなしの感性のレベルを決めていきます。(p55)
 生きている限り,いつ何が起きるかはわかりません。それが,交通事故で両足を失い,気が付いたら病院のベッドの上にいた,という状況だとしたら・・・・・・。(中略) 私にはまるで想像できない世界です。しかし,そういうところから彼(島袋勉さん)は立ち直っていって,マラソンを走り,ツールド沖縄で314キロもの距離を自転車で走破し,ついには富士山にも登ってしまいました。 このエネルギーの源ってなんだろう? それが知りたくてしょうがなかったわけです。 これについて島袋さんは,非常に簡単な言葉でサラッとおっしゃいました。「高野さん,僕はね,できない理由を探さないことにしたんです」と。(p63)
 企業の改革も同じです。本来,会社の悪化した部分は手術やリハビリで治さなければならないはずです。しかし,企業のトップ,幹部としては,「研修をやったら痛みを感じなくて済むのでは?」などと,痛みをさける方法を考えてしまうわけです。 このとき,その痛みを受け入れて,それを次につなげて強みにしていく,という覚悟を決めると,企業再生は意外に容易にできるのかもしれません。(p67)
 堪忍袋が真ん中から切れそうになっているのが見えたら,大急ぎで針と糸を用意して,それを縫ってみる。そういうイメージを自分の中で作っていくのです。これは我慢力を鍛えるイメージトレーニングです。(p77)
 繊細な気配り,気遣いが女性的なホスピタリティであるなら,気働きは骨太な男性的なホスピタリティの形です。(中略)そしてこれこそが,トップが身につけるべきホスピタリティではないかと強く感じたのです。(p85)
 自分の部下が,大事なクライアントさんと話をしているときに,「上司たる自分がお茶を淹れる? コーヒーを淹れる? 冗談じゃない!」と捉えるのか。それとも,「部下にもお客様にも,日頃の感謝を示すことができる」と,楽しみながら捉えるのか。(p88)
 シュルツィ(リッツ・カールトンのトップ)は,どんなにカンカンになって叱っても,次の日にはケロリとしています。昨日のことなどまるでなかったかのように,笑顔で接してきます。これもまた,叱ることの中の大切な要素ではないかと思います。(p92)
 不思議なことに,コンサルタントの先生たちは失業しません。コンサルタントの会社がつぶれたという話は,ほとんど聞いたことがありません。 何故でしょう? それは,人は聞いた話を忘れるからです。(中略) 現に,あるコンサルタントの方は,「みんな忘れてくれるからありがたいもんだ」とおっしゃっていました。(p98)
 大げさなことをやる必要はまったくありません。自分自身がちょっと変わるだけでいいのです。その場にいた20人の方々が,1日に使う言葉を10個変えたとしたら,それだけで200の新しい言葉が生まれます。200の言葉が生まれれば,200の新しい行動パターンが生まれます。 そして,200の新しい行動を毎日続けたのなら,それが新しい習慣になり企業風土になります。組織を改革するとはそういうことなのです。(p99)
 本気のおせっかいはホスピタリティになるのです。本気にならないと中途半端になってしまい,結局それは余計なお世話で終わってしまいます。(p119)
 圧倒的にリッツ・カールトンらしさを追求していくことにより,競合他社が降りてしまうレースを考えるということ。ガチンコ勝負をしないわけです。(中略)しかし,それを形にしていくためには,社員たちの中に,それを楽しむ価値観が必要です。それなしには,いいアイデアは浮かんではきません。(p151)
 あの組織でなければダメだ。あの会社でなければダメだ。そのホテルでなければダメだ。あの人でなければダメだ。そう強烈に思わせるものがないと,人は動かないし買おうとはしません。今はそういう時代なのです。(中略) 自分は人から,「あの」が付く人だと思われているのだろうか。(中略) では「あの」が付く人になるためにはどうするか? それには,受け手が渇望しているメッセージに気が付いて,それを届けることができる必要があります。(p153)
 おもてなしの心を素直に表現できるホテルマンと,どうもうまく表現できないホテルマン。その違いがどこからくるのか? ということです。 そしてそれは,ほんの小さな習慣の違いから生まれる違いであることがわかりました。それを解くカギは,リッツ・カールトンのスタッフに対する,こんな問いかけにあります。 「あなたはこの2,3週間に,身近な人を喜ばせるためにどんなことを何回しましたか?」(p164)

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