2015年7月2日木曜日

2015.07.01 三浦 展 『「情報創造」の技術』

書名 「情報創造」の技術
著者 三浦 展
発行所 光文社新書
発行年月日 2010.05.20
価格(税別) 740円

● これは読んでおいて損はない。というか,特に若い人たちはぜひとも読んでおくべきではないかと思う。
 以前から薄々感じていたことが,そういうことだったのかとウロコが落ちる快感を味わえた。

● たとえば,次のようなことだ。
 しかし問題は30歳くらいを過ぎてからです。30歳を過ぎてもずっとまねをしているのはいかがなものでしょう。20代までに人をまねして,知識を吸収して築いた基礎の上に自分なりの独創性,個性,つまり,「まねない力」を加えていかなければならないはずです。そうしないと生き残れない時代が来ていると思うのです。(p13)
 そういう提案をするために大切なのは,「相手を説得しよう」「自分がやりたい方向に進めよう」という気持ちです。そういう気持ちがあれば,集めた情報から何が言えるかを真剣に考えようとするはずです。(p14)
 企画を2,3本出せと言われると,たくさんのアイディアの中から選んでしまう。結果として,いちばん完成度の高い企画とか,いちばんすぐにもできそうな企画ばかりが出てくる。でも,そういう企画って編集長である私から見ると面白くないことが多いんです。もう私が昔考えたことがあるとか,すでに記事にしたことがあるような企画だからです。 しかし10本出せと言われると,スタッフ本人はつまらないと思っているもの,こんな企画を出したら馬鹿にされそうだと思うようなもの,この雑誌にはこんな企画は合わないかなと思うものでも出さざるを得ない。そうやって12人のスタッフが出した120本の企画はまさに玉石混淆ですが,しかし「玉」があるわけです。(p42)
 私はアンテナよりも情報を可視化する装置の方が大切だと思っています。(中略)私の家のテレビはまだ地デジではありませんが,地上波でもクラシックのコンサートを聴くと,ものすごくいい音です。そのことがわからないのは,普通のテレビのスピーカーで聴いているからです。ちゃんとしたステレオにつないで再生すると,「なぜこれをデジタルに変えなきゃいけないんだ」と思うくらい,ものすごくいい音です。つまり,すでに情報は来ているんです。(p49)
 街歩きをすると,企業の人の中には,どこに仕事のネタがあるだろうかと探し回る人がいますが,そんな都合のよいネタがいつも転がっているわけがありません。どうのような街であれ,自分が楽しみながら,街の空気を吸う,時代の空気を吸うことが重要なのだと思います。(p63)
 重要なのは,アンテナを張り巡らすことではなくて,アンテナに引っかかった情報をもとに実際に行動をするかどうかじゃないでしょうか。(中略) 今の時代は情報がたくさん手軽に手にはいるので,情報を見るだけで時間がつぶせるから,かえって主体的に情報を調べたり,実際に行動しなくなっている危険性があります。(p64)
 人間は知らないものは見えない,感知できないという傾向がある。だから,情報を映し出すためには,知識をたくさん持つことが重要なのです。知識なしにまっさらな気持ちで情報に触れるべきだという考え方もありますが,それはちょっと文学的な考え方ですね。(p75)
 実は中立的で客観的なだけでは情報は見えてこない。これは好き,これは嫌い,これは疑問だ,これは問題だといった個人の価値判断があったほうが見えやすいのです。 言い換えれば,いろいろなことに興味を持つべきだということです。(p83)
 市民大学などで話をすると,元大学教授みないは人が座っていて,「定義をしてください」と言うわけです。 でも,これは根本的に態度が間違っていると思います。それはフクロウの態度なんです。(中略)定義をしてから考えるという態度は,確定した過去を研究するときの態度です。現代社会論には不向きです。だって,社会はつねに動き続けているわけですから。(p94)
 私の仕事は感覚の論理化です。普通の人は,好き嫌いを感じても,そのままにしています。感覚的な問題だから,論じてもしょうがないと考えている。「だって好きなんだもん」と言われたら,理屈で反論できないとおもっているわけです。 でも私は,感情的,感覚的なことを,論理的な言葉にするように心がけている。(p97)
 予測は,客観的で科学的な行為ではなく,主観的で主体的で,個人の価値観の入り込んだ創造的な行為なのです。(中略)だからこそ,社会現象を予測するには,その人の主観や価値観が大切なんです。普通の人と同じように時代に巻き込まれる必要があるんです。(p119)
 さらに重要なのは,情報から一つのストーリーをつくることです。情報創造力の重要な本質はストーリー力だと言ってもよい。無味乾燥なばらばらのデータや資料から,何かのストーリーを紡ぎ出す。これも情報創造です。(p161)
● さらに,いくつか転載。
 パワポづくりで3時間以上残業していたら,もう創造力が破壊されている可能性があるんじゃないかな。(p34)
 かくいう私も,自分が好きで出す本だから,印税がなくてもいいから出してほしいと言って出してもらった本や,デザイナーへのギャラも自分が払うからと言ってつくった本もあります。でも,やはりそういう自分らしい本はほんとにあまり売れないんですよ。(p48)
 情報を創造し,アウトプットすると,友だちが増えます。(中略)私には人をよろこばせたい,面白がらせたいという気持ちが強いんだと思います。(p58)
 ナンシー関とか小倉千代子くらいの才能があると,毒舌でも笑えますが,とても笑えない批判ってのは本当につまらないなと思います。(p59)
 時代の空気を吸うのは大事だが,吸うだけでは窒息します。吸った空気は吐き出さないといけない。(p66)
 10の知識がある人と100の知識がある人の情報創造力(の差)は10倍ではありません。10の知識の順列組み合わせと100の知識の順列組み合わせは何万倍も違う。(p78)
 情報は,料理と一緒で,素材を加工して食べるのが普通。最初からすごく面白い情報というのはない。それを加工して面白くするのが情報創造なんです。(p81)
 先日ある有名な居酒屋に行ったんです。そのあと,その店について書かれたブログを見てみたら,なんとみんな同じものを食べて,同じ写真を掲載しているんです! 「噂の○○○を食べてきました」って。 みんな,収集した情報を確認しに行っただけなんですね。(中略)でも,大衆というのはそんなもんです。大衆には情報創造はできない。情報を収集して消費するだけです。(p82)
 情報の受信も,なんでもかんでも中立的に受信していてはきりがないのです。好きな情報を受信する,気になる情報を受信するという態度でないと,情報は無限にあるから,にっちもさっちもいかなくなる。(p84)
 情報創造をするために必要なことは何かと聞かれて,絶対に間違いない真理だと言えるのは,「考え続ける」ことだということです。考えたこともないことが突然ひらめくはずはないんです。(p88)
 経営は,予測なしにはあり得ません。なぜなら5年後,10年後を予測しないと,どの分野に投資するかも決められないからです。(中略) そういう予測をするには,実証主義だけでは無理です。どこかに情報創造が必要になります。(p116)
 重要なのは,情報を整理しながら同時に仮説を考える,仮説が出たらすぐに情報収集の基準を変えるという作業を毎日することです。ところが彼は,情報の整理とは情報を日付順やアイウエオ順に並べることだと思っている。それは間違いです。情報の整理とはそれ自体が創造なのです。それ自体が分析であり,それ自体が仮説出しの作業であると考えるべきです。(p138)
 情報収集というと最も古典的な手段は読書ですが,私は,いわゆる読書はあまりしません。資料として本を見るだけです。必要な部分だけを読んで,1冊を通して読むことはほとんどありません。(中略) 私は,個人的な暇つぶしや趣味で本を読むこともあまりありません。本を読むのは99.9%仕事のためです。(p143)
 世の中には,読書家だが,その人の考えはつまらないとうのがいます。「活字中毒」だが何も理解していない人もいる。(中略)それなら,斜め読みでも自分のオリジナルをつくれる人の方が重要だというのが私の考えです。(p145)
 カード派の人は研究室で仕事をすることが多い人なんじゃないでしょうか? いろいろな仕事をいろいろな場所でしている私のような人間には不向きです。(p154)
 他人に負けないようにがんばる人は,どんな車に乗るでしょう? 「人より速い車」ですよね。スポーツカーです。 では,のんびりと自分の人生を楽しみたい人は,どんな車に乗りたいでしょうか? ポルシェじゃないですよね。日産キューブでいいわけです。(p194)
 将来の予測は過去から現在までのトレンドの延長線上にあります。まっすぐ線を延ばせばいいだけではないですが,延長戦とはまったく違うトレンドが出てくることはあまりない。だから,将来を予測するためには昔のことを知っている必要があります。(p195)

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