2015年6月30日火曜日

2015.06.28 平野勝之 『旅用自転車 ランドナー読本』

書名 旅用自転車 ランドナー読本
著者 平野勝之
発行所 山と渓谷社
発行年月日 2010.04.15
価格(税別) 1,800円

● ランドナーはたしかに端正な形で美しいと思う。だけど,今のロードバイクも同じように美しい。
 そこで,ランドナーに惹かれるというのは,形以外の何かの理由があるはずだ。著者の場合は,それは何なのか。

● 昔からその自転車に乗り続けてきた先達が紹介されている。堀越進一さん,88歳。渋谷英さん,81歳(当然,本書の出版時)。
 こういう人がいるのだと思うと,自分も老けこんではいられないと思う。当時に,自分はその年齢になっても自転車に乗っているだろうかと,遠い目をしてみたくなる。

● 著者は厳冬期の北海道を一人でツーリングするそうだ。しかも,野外にテントを張って。完全に冒険の領域だろう。
 「帰ってきてしばらくすると,また行きたくなってしまう。なぜだろう? 正直,わからない」(p113)というんだけどね。

● 以下にいくつか転載。
 「視覚」は重要だ。「スタイル」は機能なのである。そこから「精神」が生まれ,旅の哲学が生まれる。(p48)
 いつから,こんなに自転車の地位は下落したのだろう。少なくとも,1950年代から60年代にかけては,スポーツタイプの自転車で旅をすることは,大人の優雅な遊びだったはずだ。(p87)
 今まで旅人を見てきて,強く感じたことのひとつに,自由であるはずの自転車旅行が,気がつくと,あるレールに乗って,みんなで判で押したようにパターン化されているのを感じたことだ。(p88)
 世の中は頑張る人が好きだ。頑張るのは普段の仕事くらいでいいじゃないか。頑張りたくないから,僕は自転車で旅に出る。集団で走るのも,僕は苦手だ。(p88)
 もしかしたら,日本一周したり,縦断して完遂した人ではなく,途中で挫折した人のほうが「旅」をしてきた人なのではないか?(p89)
 吹雪の国道を自転車で走るなど,クルマから見たら「ただの馬鹿者」でしかない。旅人が存在しない雪の路上では,僕は完全に異星人と化す。(中略) フッと,「でも,お邪魔虫の客人とは,もしかしたら,旅人であることの基本姿勢ではないのか?」と気がついた。「孤立に耐えること」それは旅の証明書でもあったのだ。(中略) 「自転車の旅」は「自由である」と錯覚しやすい。(中略)しかし,実は「旅の本当の姿」とは,たったいま,味わっている,この「孤立感と不自由」にこそあるのではないだろうか?(p115)

0 件のコメント:

コメントを投稿