2015年6月27日土曜日

2015.06.23 伊集院 静 『逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方』

書名 逆風に立つ 松井秀喜の美しい生き方
著者 伊集院 静
発行所 角川書店
発行年月日 2013.03.10
価格(税別) 1,000円

● 松井がメジャーに行くときに,「戦後,日本がアメリカに送り出すもっとも美しい日本人」と書いたのが伊集院さん。
 松井のどこが素晴らしいのか,彼と自分との交友を絡めて1冊の本にした。

● 以下にいくつか転載。
 どんな人間にも生きて行けば必ず試練がやってくる。周囲の人が懸命に庇護していても,人生には,その人が独りで乗り越えなくてはならない状況がやってくる。生きるということは,それを乗り越えることだ。たとえ一度で乗り越えられなくとも,大切なのはその試練から逃げないことだ。一度敗れても二度,三度とチャレンジすれば,いつか乗り越えられるものだ。それでも私は松井選手にいきなり試練を与えたベースボールの神さまを少し恨んだ。神様,今じゃなくてもいいじゃないですか。少しメジャーの野球に慣れてからにしてくれても・・・・・・。(p15)
 これはメジャー1年目の開幕試合でのこと。このあと,松井は満塁ホームランを放つわけだ。
 しかし敗れた時,これが肝心なのだ。(中略)敗れた時にいかに冷静に結果を見つめ,次になるべきことを見つけ,成功までの苦しい時間を耐えられるかだ。その忍耐力があるかないかがその人の成長を決める。忍耐力を養うのに一番必要なことは,強靱な精神力である。ではその精神力はどうやれば培われるのか。それはなぜ自分がこの仕事をしているのか,使命感を持つことだ。(p21)
 これは後に,私が長嶋氏と対談した時,彼が言った言葉である。 「私が監督をしている時の九年間で,一番練習した選手は松井です。練習をしているかどうかはわかるんです。一ヵ月,二ヵ月一生懸命する選手はたくさんいます。調子が良くなると,彼等は練習をしなくなるんです。それではダメなんです。三年,五年,十年先の自分のバッティングがそうなりたいと思い描いて,それを信じて毎日欠かさず練習ができる選手でないと大成しないんです。松井はそれを唯一できた選手です」(p68)
 「日本のファンの方を裏切ることになるかもしれませんが・・・・・・」 その言葉を聞いた時,そこまで言うことはないのだよ,と思った。でもそれが松井選手がどれだけ悩み抜いたかの証明に思えた。そして,あの言葉が出た。 「決断した以上は,命を懸けて戦ってきます」私はその言葉を耳にして,背中に戦慄が走った。君はこの挑戦に命を懸けると言うのか・・・・・・。これまで松井選手と何度も逢って,彼が本心でないことを口にしたのを一度たりとも耳にしていなかったから,彼の決心がそこまでのものなのか,と驚愕した。(p83)
 注目されるべきは怪我をしたことではない。私たち野球ファンが感動したのは,グローブが取れた骨折した左手をぶらぶらさせながら,彼が芝生の上を子供がするように這いずりながら,右手でボールを取り,送球したことなのだ。そのシーンを見た時,私は彼のプレーヤーとしての真価を見せられた気がした。インプレーである限り,自分が為すべきことのベストのことをする。(p132)

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