2015年6月22日月曜日

2015.06.20 込山富秀 『「青春18きっぷ」ポスター紀行』

書名 「青春18きっぷ」ポスター紀行
著者 込山富秀
発行所 講談社
発行年月日 2015.05.26
価格(税別) 1,800円

● ぼくの趣味のひとつは,JRのチラシを集めること。その代表が「青春18きっぷ」のチラシ。発足(?)以来のものをすべてコレクションしている。
 が,「青春18きっぷ」のチラシはコレクションアイテムとして人気があるらしい。ぼくだけじゃないようだ。

● ただし,どんどん溜まっていくので,途中でスキャンしてパソコンのハードディスクに移して,現物は捨ててしまった。取り返しのつかないことをしてしまった?
 そんなことをするんだったら,スキャンなんて余計な手間だった。ネットにぜんぶアップされているからね。

● 当初は“18歳”に軸足を置いた写真だった。乙女チックな絵柄が多かったように記憶している。「一瞬にして去って行く特別な年代の儚さ」(p10)が強調されていた。
 それがいつからか,人物が小さくなり,風景が前面に出るようになった。あるいは,旅の風情とでもいうべきものが強調されるようになった。
 著者が「青春18きっぷ」のポスターを担当するようになった時期と重なりますかね。

● ところで,直近(2015年春)の「青春18きっぷ」チラシは,どの駅にも置かれることがなかった。大型のポスターは駅構内で見かけたことがあるので,完全にやめてしまったわけではないんだろうけど,基本,JRはやめたい方向にあるのだろうね。
 知名度が上がったというか,何せ魅力的な企画乗車券だから,PRしなくても売れるんでしょうね。

● コレクターが多いくらいだから,このポスターには魅力がある。なくなってしまうのはプチ寂しいけれども,やむを得ないのだろうな。
 このポスターの何が魅力かといえば,旅情が写っているからだと思う。旅に誘う効果においてはあまたあるJRのチラシのなかでもナンバーワンだろう。

● で,そういうポスターを制作するためにはそれなりのコストがかかるのだということが,本書からわかる。コストというか,多くの人の共同作業と時間。

● 以下にいくつか転載。
 ところが申請書は書き直され,“東京駅から535.○○㎞地点”に書き換えられていた。東京駅からの営業キロを基準として位置決めがされたのだ。その時,鉄道業の本質に触れた感じがして,とてもショックを受けた。 同時に鉄道の旅とは“距離”なんだと腑に落ちた。そして旅情とは距離感が生むのだなと理解した。(p2)
 小さな列車がただ走っているに過ぎない写真が,なせかどこか遠くから長い時間をかけて走って来たように見えることがある。そこには疲れてはいるが,旅の心地よさを感じていい顔をした旅人が乗っている。そんな写真をポスターにしたいと思って,今までやってきたように思う。(p2)
● 「旅情とは距離感が生むのだ」とあらためて言われてみると,なるほどそうだなぁと思う。
 一方で,遠くに行くばかりが旅ではないとも言われる。宮脇俊三さんがその代表例としてあげていたのが,鶴見線だった。日本離れした景観が味わえる,と。
 吉行淳之介に「街角の煙草屋までの旅」というエッセイがある。体調がよろしくないときには,それでも旅になってしまうのだ,と。

● が,基本は,旅情は距離の産物なのだろう。新幹線や航空機のネットワークが張り巡らされて,日本も地球も狭くなった。そうなれば,旅情の総量は減っていくしかないものだろう。

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