2015年5月31日日曜日

2015.05.31 石田ゆうすけ 『地図を破って行ってやれ!』

書名 地図を破って行ってやれ!
著者 石田ゆうすけ
発行所 幻冬舎
発行年月日 2013.07.25
価格(税別) 1,300円

● 下川さんが陰性,内に向かっていくタイプだとすると,石田さんは陽性,外に向かうタイプの人。ベタな比喩を使えば,下川さんは文学者で石田さんはジャーナリスト。

● 「人と会わなくなるので,自転車道は基本的にあまり好きじゃない」(p173)とか,「もともと僕には人並みの羞恥心がない」(p192)とご自身で書いているように,人に会うことをまったく億劫がらない。
 たとえば,高校生のときに自転車で日本一周をしたときのエピソードが登場する。茨城県で野宿をしようとしていたところに,涼やかな女子高校生が現れて,彼女の家に泊めてくれた。
 20年後,その彼女の家に行くのをためらわない。この軽さは何なのだと思いますよ。

● おそらく,石田さんは人好きのする性格なのだろう。可愛がられるタイプなのだ。
 人との間に垣根を作らないことが,その第一条件になると思うんだけど,しかし彼ほどそれが徹底してる人って,そうそういないように思う。

● したがって,本書の魅力もそこにある。人との出会い。そこでの心暖まるエピソード。
 同じ日,同じ時刻に,同じルートをぼくが自転車で走っていたとしても,こういう出会いやエピソードは起きない。起きるはずがない。
 出会いもエピソードもその人が引き寄せるものだ。石田さんは人との縁を大事にしている。

● 本書を読むと,正直,羨ましいと思う。こういうふうに自分もやっていきたいと思う。久しぶりに訪ねていけば喜んでくれる人が,北海道にも東北にも九州にもいるっていう。
 うっかりすると,真似しそうになる。が,それはやってはいけないことだろう。失敗することが目に見えてもいる。 

● 「旅はおそらく,時間の長さじゃない。一瞬一瞬の光る断片を,どれだけ拾っていけるかだ」(p110)と書いている。「光る断片」もまた,人との出会いが作るもののようだ。

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