2015年5月24日日曜日

2015.05.17 佐藤オオキ 『問題解決ラボ』

書名 問題解決ラボ
著者 佐藤オオキ
発行所 ダイヤモンド社
発行年月日 2015.02.26
価格(税別) 1,500円

● 著者は新進気鋭のインダストリアルデザイナー。

● 「はじめに」でデザインの要諦が述べられる。
 重要なのはデザインのジャンルではなく,新しい視点を提供することでいかにして目の前の問題を解決できるか,です。「あめ玉」でも「高層建築」でも,デザインするなかで考えていることは,どちらもたいして変わらないのです。
 体内の毛細血管を介して酸素を吸入するがごとく,アイデアを取り込む。しっかり吐き出して「空っぽ」になることで,より多く吸い込める。
● 「おわりに」では次のように。
 デザイナーの思考は,まずは遠く離れたところにポーンと「答え」をイメージします。それは身近なものでも,夢のようなものでもいい。「仮の答え」でいいんです。全然。そして,それを意識しながら目の前に山積みになっている課題と照らし合わせて,それに合った「正しい問題」を見つけること。これが,「問題解決ラボ」の正体です。(p238)
● ノートの使い方。
 スケッチやメモを書き留める「紙」は,どちらかというと「小さい」ものを好みます。(中略)大きい紙だと「紙全体を埋めなくては」「たくさんのアイデアを考えなくては」といった強迫観念に駆られて,むしろ何も書けなくなっちゃうんです。勝手にアイデアが時系列に並んでしまうので,ページを切り離せないノート状のものも使いません。(p60)
 何かつかんだ感触を得たら,メモはすべて捨てちゃいます。頭の中に残しておく程度のほうが,後々使い勝手がよいからです。(p61)
 基本的にアイデアは,クライアントとの会話や,工場やショールームを見学する中でみつけていくもの。暇さえあれば「仮想クライアント」との「妄想ブレスト」をして遊ぶのです。(中略) 「妄想ブレスト」は,ゲーム感覚でできるため,自分は日々行っています。(中略)ポイントは,他人ごとを思いっきり,そして無理やり自分ごとにしてみること。(p63)
● 以下にいくつか転載。じつは,付箋を付けたところはもっと多いんだけど,全部書いてたんじゃ切りがない。あとは,本書をご覧くださいってことで。 
 デザイン事務所の経営にはジレンマが常につきまといます。「デザインをがんばればがんばるほど儲からない」のです。(p2)
 ものづくりには制約がつきもの。しかしその制約をすべて額面通りに受け取っていては,新しい解決策が出ないことも多いもの。こうしたとき,制約を少しずつ崩してみると,アイデアにバリエーションが出ます。(p5)
 「誰も見たことがないもの」は,「誰も求めていない」と紙一重。理想は「本来はそこにあるはずなのに,なぜかない」ものを「補充する」くらいの感覚です。(p7)
 「ちょっとした思いつき」を頭にストックしていると言うと,「自分にはできない」とよく言われるのですが,そういう人に限って,思いついたことは頭の中にしまっておかなきゃ,と考えていることが多いです。そうではなく,思いついたらまず言ってみる。(p17)
 欠点のないアイデアは,愛着もわかないし,記憶にも残らない。(中略)商品はやっぱりキャラが大事。キャラクターにはみんな欠点があります。(p25)
 「自分にはセンスがないから(できない)」と言う人がいますが,自分はセンスよりも「好き」でいつづけることこそが問題発見やアイデア出しにおいて重要だと思っています。 センスというのはすごくレベルが高い話。世界のトップ10が戦っているときに,「これはもうセンスだな」と感じるときはたしかにあります。しかし,それ以外の場面においては,すべて努力でカバーできる話じゃないかという気がします。(p33)
 「チャンス」というのは,「女子」なんです,基本的に。目の前の仕事に脇目も振らずに夢中になっていると嫉妬し,自分のところに訪れる,と。逆に,常に「チャンス」を探している人にはめもくれない,と。(p35)
 めんどくさいことを避けていては,決して真の問題に気づくことはできません。問題が見つからないと言う前に,めんどくさい方法を見て見ぬふりをしていないか,自問してみてください。(p37)
 人は皆,他の人とは違うものが欲しいんです。でも,結局はみんなと同じものを持つことによる安心感を捨て切れない生き物でもあります。目立ちたいけど,周囲から浮くのは気恥ずかしい。新しいものに憧れるけど,新しすぎるものは怖い。 この少々面倒くさい心理を汲み取れるかどうかは,デザインをするうえでとても重要で,新商品であってもどこかしら「懐かしさ」というか「過去に経験したことがある」という安心感をさりげなく匂わせることがコツだと思っています。(p48)
 入力時に大切なのは,できるだけ「ポジティブ」にものごとを捉えることでしょうか。長所は長所として認識し,短所も視点を変えることで長所にしちゃう前向きさが必要です。同じ情報量でも「たくさんのアイデアにできる人」と「そうでない人」がいるのは,こういったスタンスの違いがあると思います。(p70)
 「もうこれ以上アイデアが出ない」と言うのは,頭の中で整合性がとれてしまっている状態だからだと思います。たとえば「ペン」であれば,「ペンとはこういうものだ」と,イメージが固まってしまっているのです。(p107)
 自分の場合,大学よりも,大学に隣接している戸山公園で経験したことが,今のデザイナーとしての「覚悟」につながっています。 戸山公園にはブルーシートでできた小屋が並び,ホームレスの人たちが生活しています。最初は変な目で見ていたのですが,気づけば放課後に彼らの飲み会に参加させてもらえるようになってまして。 話を聞けば,「糖尿病になった」「オレは最近,痛風になった」などと話している。日本のホームレスはカロリー過多なのか,と。 小屋の中では自家発電機でテレビのナイター中継を見ながらキンキンに冷えたビールを飲み,室内犬まで飼っているわけです。20歳そこそこにして「これがホームレスの生活だとしたら,もはや怖いものはない」と腹を括りました。(p226)

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