2015年4月19日日曜日

2015.04.17 小山薫堂 『もったいない主義』

書名 もったいない主義
著者 小山薫堂
発行所 幻冬舎新書
発行年月日 2009.03.30
価格(税別) 740円

● 企画について,映画「おくりびと」について,人生観や仕事観について,思いのままに語ったもの。
 いろんな読み方ができると思うけれども,つまりは一夕の歓を尽くすための読みものとしてとても面白かった。

● 面白かったというときに,なぜ面白かったと感じるのか。ひっきょう,元気をもらえたと思うからでしょうね。

● 「もったいない主義」というタイトルの所以は次のようなこと。
 僕がこれまで関わったプロジェクトの共通点は,宣伝費にお金をかけないで最大の宣伝効果を上げるというところかもしれません。いってみれば,きっかけをつくるためにお金を使う。ものごとには,そこへ力を入れれば何倍もの効果を上げられるポイントがあると思います。それに気づかずに,力を薄く分散させてしまうのはもったいないことです。(p178)
● 企画について語っているところから転載。
 企画という仕事はやはりすごく面白い。人々が何にワクワクするか,何を求めているか,どうすれば喜んでくれるかを考えるのは,すごく楽しい作業だと常々思っています。(中略)企画とは人のことを思いやったり,慮ったりすることでもあるのです。(p30)
 米沢牛だと聞いてから食べると「おいしいに違いない」と思ってしまうのは,米沢牛のブランドの力です。(中略)つまりブランドとはあらかじめ刷り込まれた価値への感情移入なのです。(p38)
 どれだけ事前に価値を刷り込むかによって,ものの価値は変わってきます。自分たちが世の中に送り出すものに対して,どれだけ価値を刷り込んで,どれだけ感情移入してもらうか。その方法を考えることが「企画」なのです。(p41)
● 仕事について語っているところから。
 映画のような創作物に,絶対的な正解は最初から存在しないと思うのです。先輩にアドバイスを求めるのは,「この場合の正解は何ですか」と聞くのと同じような気がする。誰かに聞いたら,その瞬間,その人の真似になるような気がしてしまう。生意気かもしれませんが,その結果としてできあがったものも,その人を超えられない感じがするのです。(p83)
 どうしてこんなにいろいろな仕事ができるのかとよく聞かれるのですが,おそらくそれは初めての仕事でも,あまり不安に思わないからかもしれません。 自分にとっては,パン屋をやるのも,映画の脚本を書くのも,あまり変わらない。どの仕事も,人をワクワクさせたり楽しませたりするという目的は同じで,ただ手段が違うだけ。いってみれば新しい道具を持つような感覚です。(p87)
 僕が初めてのジャンルに挑戦するときも,あまり緊張したり不安になったりしないもう一つの理由は,自分にとても甘いからだと思います。要するに失敗してはいけないと思っていない。失敗したら失敗したで,「これでよかったんだ」と思うクセがあります。(中略)僕はいつでもベストの道に進んでいると思うことにしています。(中略)何か新しいことを初めて失敗したら,「神様がこの世界には行くなと言っているんだな」と解釈します。(p88)
 冬のニューヨークには,一番,僕は刺激されます。寒くて,でも街は刺激的で,というときに「よし,何か書こう」という気になる。 これがハワイなんかに行ってしまうと快適すぎて,「もういまのままでいいや。お金なんかいらないよな」という気になって,勤労意欲が芽生えない。(p173)
 深澤(直人)さんのオフィスに行ったとき驚いたのは,すべての家具が壁にくっついてないことです。普通はスペースを広く使うためにも,壁に沿って置きたくなるものです。しかし彼に言わせると,それを始めると,どんどん部屋が汚れていく。隠れる部分が多いがゆえに,どんどんそこに押し込んでいってしまう。だから家具はなるべく壁につけないほうがいいと言うのです。そんなふうにモノのあり方が,人のライフスタイルや,人の行動様式を変えてしまうことは,確かにあると思います。(p182)
● その他,いくつか転載。
 一般的に言って,受付嬢のようなポジションの女性がひとりいてくれることで,社内がいい雰囲気になるという効果があります。たとえばガソリンスタンドの女性店員は,男性客のためというより,内部の男性スタッフのために雇っているそうです。(p15)
 自分が何か失敗をしたときは,逆にチャンスだと思おう。狼狽して「どうしよう,どうしよう」ではなく,「あ,これはチャンスだ」と思いなさい。その失敗をどうフォローするかによって,逆に相手にすごく好印象を与えることができる。(p63)
 不毛な,ネガティブな感情に時間を奪われているのは「もったいない」。 たとえば,イヤな気分にとらわれることによって,ご飯がおいしくなくなったら,こんなにもったいないことはない。(中略) 人生は有限です。ご飯だってあと何回食べられるかわからない。そのことだけ考えても,ネガティブな感情に駆られている暇なんてないと思うのです。(p69)
 映画とテレビはどこが違うのかというと,一つは明らかにお客さんが違います。たとえ同じ人であっても,テレビを観るときと,映画館に行くときとでは,明らかに違う人になる。(p80)
 自分が誰かの人生に登場できたかもしれないと思えるのは,すごく名誉なことです。そういう思い出が一カ月にに一つでもつくれたら,人生はとても幸せなものになるのではないかと思います。(p108)
 この間,高級外車をたくさん所有している友人が,ポロッと,「最近,何を買っても満たされないんだよなあ」と言っていました。ほしいものはすぐ買えるけれど,買ってもうれしくない。この話を聞いたときに,それが実は一番不幸なのかもしれないと思いました。(p171)
 上質な日常品を使うのは,確実に幸せになるコツです。(中略)よくできたものは,使う人を確実に幸せな気分にしてくれます。(中略) 髪を洗うたびに「いいな,このシャンプー」と思うものを使っていれば,こんなに幸せなことはない。仮にそれが市販品の一〇倍,三五〇〇円のシャンプーだったとしましょう。三五〇〇円はシャンプーの値段としては安くないけれど,それによって得られる満足度を考えたら,コストパフォーマンスはすごくいいと思う。そういうものを集められたら,幸せな暮らしだと思います。(p187)
● おそらく著者は,陽性で明るく,クヨクヨしないタイプなのだろう。ひとかどの人物の共通項はこのあたりになるかと思う。
 で,そこのところは,たとえば斎藤一人さんが説いているところと軌を一にするっていうか,結果において重なっていると思える。

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