2015年3月30日月曜日

2015.03.29 山口健太 『スマホでアップルに負けてるマイクロソフトの業績が絶好調な件』

書名 スマホでアップルに負けてるマイクロソフトの業績が絶好調な件
著者 山口健太
発行所 KADOKAWA
発行年月日 2015.03.13
価格(税別) 1,400円

● 今や,パソコンはスマホやタブレットの陰に隠れ,デバイスはアップルが大人気,ソフトはグーグルが無料で提供してくれる。
 マイクロソフトはそのソフトが収益源だった。ということは,マイクロソフトってもう終わっちゃった?

● Windows8は評判悪いし,Windows Phoneなんて国内で実機を見かけることはないし,マイクロソフトは倒れる寸前の巨象じゃないの。
 っていうのが,野次馬の見方なんじゃないかと思う。少なくとも,ぼくはそう思っていたからね。

● ところが,「マイクロソフトの業績が絶好調」だと言われると,えっ何で,と思う。それで本書を読んでみましたよ,と。

● 著者はこういう本を書くくらいだから,マイクロソフトには全般的に好意を持っているようだ。じつはぼくも同じ。
 かつて,マイクロソフトは悪の帝国的に語られていたけれども,そのときからぼくはマクロソフトってわりと好きだった。ソフトの上位互換を維持することに心血を注いでいたという印象があってね。
 アップルはわりと規格を平気で変えて,ユーザーにそのツケを払わせる的なことをしていたんじゃないか。アップルよりマイクロソフトのほうが,ユーザーフレンドリーだと思っていた。

● MSオフィスはオフィス2007で大きくインターフェイスを変え,これがけっこう不評だったと思う(ぼくもそこは変わらない)。が,MSがやったことは正しかったのだと著者は言う。
 ウィンドウズやMSオフィスは,現代社会に普及したインフラだと考える人もいるかもしれない。それは一面の事実だが,世界人口はいまだに高いペースで増え続けており,新興国には次々とIT器機が広まっている。つまり,これからMSオフィスを学ぶ人はどんどん増えているのだ。ITエンジニアの世界では“高速道路をつくる”という表現がある。後からやってくる人々に,先人と同じ苦労を味わわせないようにする,という意味だ。これはすでに普及したソフトウェアの使い勝手を改善するうえで,重要なヒントとなる考え方ではないだろうか。(p47)
● 最近のMSの大きな戦略変更は,OSを無償にしたこと。全面的にではないけれども,“ウィンドウズ8.1 with Bing”がそうで,Androidに対抗できる価格のWindowsタブレットが生産できるようになった。
 Office365の普及にも期待できると著者は言う。
 日本で出荷されるほとんどのPCにOffice Premiumがバンドルされていると仮定すると,それらすべてのPCにおいて,1TBのOneDriveを無償で使えることになる。これは国内で展開する他のクラウドサービスにとって,脅威以外の何物でもないだろう。(p142)。
 ウィンドウズ10では,MSにとって聖域ともいえる販売面においても画期的な施策を導入した。すでに7や8を使っている個人ユーザーは,10の登場から1年間,無償でバージョンアップすることができるというものだ。(中略)ここで注目すべきは,無償アップデートの対象にウィンドウズ7を含んでいる点だろう。(p222)
● Surfaceも(ぼくは使っていないんだけど)改良を加えて,かなり良くなったようだ。
 なぜ他のPCメーカーは,Surface Pro3のような製品をつくることができなかったのだろうか。実はデザイナーのスケッチやプロトタイプのレベルでは,それに優るとも劣らないアイデアを持っているメーカーは少なくない。しかし実際に発売される製品は,さまざまなステークホルダーの要求を受け入れ,“丸くなった”ものがほとんど。(p144)
● Windows Phoneについていえば,当然,現状で問題はある。
 ノキアによるLumiaシリーズを振り返ってみれば,優れたデザインによってWindows Phoneの存在を世に知らしめた功績は計り知れない。その一方で,Windows Phoneの仕様がグローバル市場からの多様な要求に耐えられるものでないことも露呈した。ハイエンドからローエンドまで,ノキアはあらゆる価格帯でアンドロイドに対抗する必要があったにもかかわらず,Windows Phoneの仕様制限が足かせとなり,Lumiaシリーズのバリエーションは限定的なものとなっていた。(p158)
 ウィンドウズストアが低迷していればいるほど,良質なアプリをつくれば注目されやすい。そうやって名を上げようと目論む開発者がいてもおかしくないはずだ。だが,残念ながらそうした動きも最低限になっている。意識の高い開発者は,おもにMacを使っているからだ。マルチに活躍するアプリ開発者は,iOSとアンドロイドアプリの両方のめんどうをみていることも少なくない。実際に手がけるのはどちらか片方だとしても,マルチプラットフォーム開発の要求にいつでも対応できるようにするためには,iOSアプリの開発に不可欠なMacを使っている必要がある。(p187)
● その他,いくつか転載。
 素人目には,これだけ挑戦しても勝てないのだから,モバイル市場をあきらめてPC市場に経営資源を集中したほうが合理的ではないか,とも映ってしまう。 なぜMSはあきらめないのか。その背景には,スマホやタブレット市場の急速な拡大がある。(中略)モバイルが重要な理由はそれだけではないと筆者は考えている。それはモバイルデバイスを,肌身離さず持ち歩くという点だ。(中略)すでにウェアラブルな存在となっているスマートフォンは,何か新しい情報が届いていないか,暇さえあれば確認したくなるデバイスだ。(中略)PC以上に,スマートフォンには重要な個人情報が満載されているはずだ。つまりスマートフォンは,自分と家族,友人や同僚といったネットワークをつなぐ最重要のデバイスといえる。 これでは,スマートフォンに愛着が湧かないほうがおかしいというものだ。(中略)デバイスへの愛着が湧いてくれば,そのブランドを受け入れていくことにもつながる。(p175)
 ほとんどの人にとって,メールの読み書きやウェブブラウザでのショッピング,ちょっとしたオフィスアプリでの編集機能が使えれば,十分だったのだ。これは,本来PCを必要としていない人々が,高価なPCを買わされてきたことを意味する。だからといって筆者は,それが馬鹿げたことだと否定するつもりはまったくない。他人とは違う,他人にはできない経験を得るために最新のデバイスを購入することは,どんな時代でも最高にエキサイティングな体験だろう。(p181)
 かつては日本MSでも,MSはウィンドウズとMSオフィスの会社から抜け出せないだろうとの達観した意見を漏らす社員が少なくなかった。しかし最近は日本でも急速に意識改革が進みつつある。使い慣れた自社製品ではなく,iPadやアンドロイドを使って顧客にデモを見せるトレーニングを重ねているという。(p203)

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