2015年3月26日木曜日

2015.03.25 ケン・オーレッタ 『グーグル秘録 完全なる破壊』

書名 グーグル秘録 完全なる破壊
著者 ケン・オーレッタ
訳者 土方奈美
発行所 文藝春秋
発行年月日 2010.05.15
価格(税別) 1,900円

● グーグル内部の人間や,グーグルとは対立的な位置にいる企業の人間などに取材を重ねて,グーグルの生い立ちや役割,諸々の問題点などをまとめたもの。
 まとめたといっても,B6変形版で500ページを超える分厚い本だ。アルファベット圏の人間が書くと,どうしてこうも分厚くなるのか。
 問題が問題だからだって。それもあるだろうけど,それにしたって,内容の重複もそれなりにあるぞ。後半はもっと刈りこめたのじゃないか。

● とはいえ,面白かった。グーグルの影響力が大きいからであり,自分も現にグーグルの恩恵を受けているからであり,グーグルに自分の「個人情報を少しずつ渡している」からだ。
 それ以上に,著者の丹念な取材が功を奏しているかだ。

● その著者にして,グーグルの功罪を現時点では判定しにくいということのようだ。そりゃそうだな。それ,判定できる人がいるとは思えないよ。未来がどうなっているかを言いあてられる人がいるとは思えないから。
 いわば両論併記の結論で終わっている。が,どうやら,グーグルという企業が嫌いではないらしい。

● ビル・キャンベルという名を初めて知った。彼なくして今日のグーグルはなかったほどのキーマンだ。
 グーグルの歴史を振り返ると,キャンベルが心理カウンセラー兼コーチとして話し合いを取り持ったことの意味はきわめて大きい。彼がいなければ,グーグルは内部から崩壊していたかもしれない。(p125)
● グーグルの体質は以下のようなものであるらしい。
 グーグルの創業初期,話し合いの席でペイジがPDAから目を上げなかったことを不愉快に感じたバリー・ディラーは最近,あることに気づいた。あのとき非礼さに映ったものは,実は焦点の明確さだったのかもしれない,と。 「彼らには独自のコミュニケーションや情報処理の流儀がある。普通の人間と違ってビジネス・マナーなどどうでもいいと思っている。この点は本当に徹底していて,驚くべき強さを感じる。周囲の影響で軸がぶれることが絶対にないんだ」(p344)
 エンジニアたちは,ペイジやブリンと同じように,“王道”とされているものは,時代遅れになっているという前提からスタートする。(p433)
● 先を読み違えた経営者のひとりに,ソニーの出井さんも登場してしまっている。
 私は当時CEOだった出井伸之に尋ねたことがある。 「アイポッドに脅威を感じるか?」 出井はまるでジャケットについた糸くずでも払うかのように否定した。 ソニーやデルはものづくりを知っている。アップルは知らない。一~二年のうちに,アップルは音楽産業から出を引くはずだ,と。(p348)
● その他,いくつか転載。
 シュレージは私にこう言った。技術的イノベーションを起こす才能というのは,得てしてEQとは矛盾するものなんだ。技術的イノベーションにおける成功とは破壊そのもので,反対にEQとは強調そのものだ。(p212)
 マイクロソフトの技術偏重の企業文化は,自らの行為が政府という敵を呼び覚ましてしまったことに気づくのを遅らせた。グーグルも同じだ。そしてマイクロソフトも,自らが公益を推進していると信じて疑わなかった。実際,マイクロソフトはインターネット・エクスプローラーを無料で配っていたのだから。マイクロソフトから見れば,単一のOSが支配的な地位を占めることは,パソコン間のコミュニケーションをスムーズにするはずだった。(p342)
 一九四〇年当時のドイツは,だれもが強大な国家と考えるような存在ではなかった。財政は破綻寸前で,軍隊の規模は小さく,戦車の性能はフランスより劣っていた。ではなぜ,ドイツの電撃作戦は成功したのか? それはドイツの戦車に,無線というフランス軍が備えていなかった新たなテクノロジーが配備されていたからだ。(p445)
 トレンドを読むことに長けているベゾスは,本の将来を楽観していると言う。(中略)「それでも将来的には,本の大半は電子書籍の形で読まれるようになる」と語った。 後に私がその根拠を尋ねたところ,便利だから,と答えた。「人間は易きに流れるものさ。楽なことほど,もっとやりたいと思うんだ」(p474)

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