2015年3月18日水曜日

2015.03.15 長谷川慶太郎・渡邉哲也 『世界の未来は日本次第』

書名 世界の未来は日本次第
著者 長谷川慶太郎
    渡邉哲也
発行所 PHP
発行年月日 2015.03.10
価格(税別) 1,500円

● 本書の内容は,長谷川さんの最近の著書と重なるところが多い。当然だ。が,渡邉さんとの対談になったことで,内容は同じでも切り口が違っているところがある。
 読んでいていちいち腑に落ちるのは,具体的な根拠が挙げられるからだ。そうか,そうなのか,と。

● 第1章は「アベノミクス信任で大復活する日本」。民主党の失政について,ひとつだけ転載。
 渡邉 私は,日本経済の「失われた二十年」における最大の失敗は,デフレでありながら公共事業を大きくカットしてしまったことだと思います。 長谷川 同感です。さらに大きいのは,公共事業の削減が深刻な人手不足を招いたことです。 渡邉 いわば「コンクリートから人へ(民主党の方針)」を掲げた結果が,いまの建設業界における人手不足です。 長谷川 離職者が増加して,生活保護の受給者も増えました。(p35)
● 第2章は「いよいよヤバイ韓国経済」。
 はっきり申し上げますが,この動向が続けば,サムスンは間違いなくソニーと同じ運命をたどります。 たしかにサムスンは研究開発も一生懸命やるのですが,その開発がまったくシステム化されていない。韓国企業から見て,日本における大学と企業の研究所がツーカーの関係を維持している状態は脅威です。(長谷川 p62)
 私がいろいろ観察していて痛感する点があるのですが,日本人の強いところは第一に,非常に真面目な民族であること。もう一つは,変化に対する能力が高く,きちんと機能しているところ。これも日本人の特性でしょうね。(長谷川 p64)
● 第3章は「中国崩壊はカウントダウンに入った?」。
 北京市の城門から三〇㎞,中心部から七〇㎞まで砂漠が迫っています。じつは日本には砂の移動を止めるための技術があるのです。日本も昔から砂には苦労していて,砂防のための学校がありました。それがいまの鳥取大学です。(中略) ある植物を植えることで砂の移動を止めることに成功しました。それが,らっきょうです。(長谷川 p77)
 長谷川 そもそも中国の紙幣は非常に偽造が多いんです。紙質が悪く印刷も悪い。もう,偽造してくれと言わんばかりです。 渡邉 ATMから偽札が出てくるだけではなく,中国銀行が発行している本物の紙幣とされているものでも,中国の役人が勝手に刷ったものかどうかわからない状態です。 長谷川 役人はどんどんやってますよ。本当のところを言うと,人民解放軍がつくっている造幣施設もありますから。(p94)
 そもそも香港の民主化デモで,学生たちが抗議の声を上げた最大の理由は,中国政府と香港政府がイギリスとの合意を守るだろうという暗黙の了解があったからです。ところが,合意を反故にして学生たちを強制排除したことで,イギリスから詰め寄られるのは至極当然です。(中略)中国は取り返しのつかないことをしたと言えるでしょう。(長谷川 p98)
 イギリスは香港の問題に対して,一歩も引く気はありません。引かないことで「イギリスは信頼できる」という国際的信用を得られる。これはイギリスにとっては何にも代え難い財産です。(長谷川 p100)
● 第4章は「二〇一五年の世界経済と日本経済はこうなる」。
 今度は中国側が,(香港の)返還協定そのものを認めないと言い出しました。そもそも中国,そして韓国はご都合主義の国なのです。(中略) いろいろ話をしているうちに,この人たちは国際条約というものを知らないというより,国際条約を平気で無視するのだと理解しました。国際条約はその時々の都合で決まるものであり,こちらの都合が変われば変えるのが当然だと彼らは思い込んでいる。時効という考え方もない。(長谷川 p125)
 格付け会社のいい加減さは,すでにリーマン・ショックのときに明らかになっています。当時,格付け会社がデリバティブの格付けにことごとく失敗したことが,世界的な金融危機の引き金になりました。(長谷川 p143)
● 第5章は「日本なしでは動かないグローバル経済」。
 渡邉 ODA(政府開発援助)によるファイナンスと一体でインフラ輸出を進めることになるでしょう。 アフリカや中東向けのODAなしの案件では,元請の大手ゼネコンをはじめ関係業者が皆,苦労しています。 長谷川 その通りです。その構造から外れたら大変なことになりますし,その構造から外れないようにしようとすれば,政治指導者の資格が厳しく問われます。その条件に合っているのは,いまのところ安倍総理しかいない。だから今年もおそらくインフラ輸出では,かなり良い成績が出るのではないですか。(p156)
 日本という国は本当に隠れた部分が強いのです。その隠れた部分の強さがいったん表に出ると,不動の威力を発揮します。(長谷川 p162)
 今後おそらく日本の鉄鋼業は変わると私は思います。銑鋼一貫方式の製鉄所と電炉工場で同じ鋼材を一tつくるのに必要な電力消費量を比較すると,電炉工場は銑鋼一貫方式の五分の一ですむからです。(中略)それからもう一つは,日本全体に存在する鉄鋼の膨大な在庫です。(長谷川 p184)
 じつは,戦前の日本にも一万五〇〇〇tの大型水圧プレス機があったのです。呉の海軍工廠と日本製鋼所の室蘭製作所にありました。(中略)戦争が終わってからアメリカ軍は,呉工廠のプレス機を戦利品と称して持ち帰った。ところが彼らは装置の使い方を知らなかったため,そのプレス機はスクラップになってしまったのです。(中略) 外から持ってきたものは駄目なんです。自ら苦労して汗水をたらし,貯めたお金を使ってつくらなければ,設備というものは活きないのです。(長谷川 p195)
 知財を盗んで製品を安くつくれば,一時的にはいいように見えます。でも,技術に根がないから,結局,伸びない。単品では成功しても,一貫した長い流れを持つ技術の蓄積ができません。技術伝承がなされないのが途上国の悲しいところです。(長谷川 p210)
● ここで,オンリーワンの技術を持つ企業として名前が出てくるのは,以下の企業。
  本田金属技術(本田技研傘下)
  ファナック
  東洋炭素
  東海高熱工業
  エンシュウ
  コマツ
  富山化学工業(富士フィルム傘下)

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