2015年3月10日火曜日

2015.03.07 長谷川慶太郎 『経済国防』

書名 経済国防
著者 長谷川慶太郎
発行所 ヴィレッジブックス
発行年月日 2015.01.20
価格(税別) 1,400円

● 第1章は「世界的なインフラ再整備の時代がやってきた」。パナマ運河が拡充されるし,アメリカの鉄道が改修期(80キロレール化)に入っている。各国の地下鉄も拡充される。
 これらは日本抜きでは進捗しない。80㎞レールを生産できるのは,世界に2箇所しかない。新日鐵住金君津製作所とJFEスチール東日本製鉄所だけだ。
 日本は「新幹線」が非常に好きでこだわりが強く「世界一の技術を持つ新幹線を海外に売りたい」という夢を捨てきれずにいるが,ここに拘泥するよりは,海外向けにはシステムやメンテナンス,鉄道に投資ならば新幹線より地下鉄。国内においては,LCCの積極的な導入を行うほうが正しいと私は考えている。(p36)
 リニア鉄道は一日も早く計画を中止したほうがよい。葛西敬之氏(現名誉会長)が憑かれたように推進したリニアだが,「いつ開通するか」より「いつ撤退するか」が問題になる案件であろう。(p38)
 日本は世界で一番,長期資金が余っている。したがって,どの国でも日本の資金を借りて,設備投資やインフラ投資に向かう。
 「金」と「情報」は,どちらもあるところにさらに集まり,ないところには集まらない。金のあるところには,さらに金が集まり,同時に情報も集まる。これが古今東西の経済の鉄則である。(p48)
● 第2章は「エネルギー安全保障が世界経済を決める」。中心はアメリカのシェールガス開発。
 (再生可能エネルギーの)固定価格買取制度は一時的な太陽光発電の増加にはつながったものの,結果的に普及を妨げたと言わざるを得ない。(p53)
● 第3章は「北朝鮮,中国崩壊が世界経済に与えるインパクト」。日本にとっては,北朝鮮が崩壊する前に拉致被害者や日本人妻を帰還させなければならない。残された時間はあまりない。
 中国の崩壊は,北朝鮮の崩壊をきっかけにして起こる可能性が非常に高い。これは,私だけが言っているわけではなく,世界中の専門家の常識である。とくにヨーロッパの人間はそれを肌身で感じている。というのも,彼らは1989年11月のベルリンの壁崩壊,そしてわずか2年後の91年にソ連が崩壊したのを目の前で見ているからである。(p94)
● 第4章は「2015年以降の投資を展望する」。日本の強みは重厚長大にあることや,LEDの産業(特に農業)に与える効果が説かれる。
 ついでに,アメリカの大統領に対して,次のように批判。
 彼(オバマ大統領)が掲げたオバマケアは,格差解消を目指す目玉政策のひとつでもあったが,結局低所得者へのバラマキ政策にすぎず,むしろアメリカ経済の足を引っ張る形になった。(中略)すでにオバマ流の「リベラル」は時代遅れのものになっているということだ。(p116)
 私は,機軸通貨を持つ国家のトップが,オバマケアを正論として世界経済を危機に追い込むようなことがあってはならないと思っている。アメリカ経済が世界経済に与える影響を自覚できない人物がトップに座るできではない。(p117)
● 第5章は「投資家脳を鍛えて未来を自ら読む方法」。
 世界経済を知ろうとするとき,大変役に立ち,しかも面白いのが地図を見ることである。私は常に手元に大きな世界地図帳を置いている主要都市については詳細なものが掲載されたものだ。鉄道路線図も入っている。地図を見ながら勉強すると,たとえ現地に行ったことがなくても,勉強が生きたものになり非常に面白い。たとえばロンドンの詳細地図を眺めていれば,「ずいぶん乱雑な街だなあ」ということが一目でわかる。(p142)
 国際情勢を見極め,将来を見通すために,私がその大きな材料しているのは,自分自身で目にしたものである。なかでも世界各地の工場を見て回った経験は大きな財産になっている。(p143)
 実はジャーナリストを名乗る人でも,現場をくまなく見て歩いている人は少ない。広報担当者の話だけしか聞いていなかったり,多くの情報をネットばかりに頼っているようにさえ見える。企業トップにインタビューする機会があっても,相手を喜ばせるようなことだけしか聞き出せない,という人も多い。(p151)
 初対面の経営者にいいインタビュー,真に面白いインタビューをするためには,相手をどこかでビックリさせる必要があるが,そのためには私自身の勉強,知識が必須である。(p154)
 業績にかかわらず5年も6年もトップが替わらない企業は人事が梗塞しており,だいたいこうした企業は先行きが暗い。一族経営を長年続けるうち業績がずるずると悪化する企業がその典型である。(p185)
 余剰資金でどんな投資をしようが個人の自由だが,私は「投資」は,投資家の個人を明るくするものであってほしいし,またそれによって企業が支えられるものであってほしいと思っている。投資のための勉強も楽しんでほしいのだ。もちろんそれで利益が出るのが一番だが,きちんと勉強してから行ってほしい。(p190)

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