2015年2月10日火曜日

2015.02.09 茂木健一郎 『加賀屋さんに教わったおもてなし脳』

書名 加賀屋さんに教わったおもてなし脳
著者 茂木健一郎
発行所 PHP
発行年月日 2014.11.19
価格(税別) 1,400円

● 加賀屋という温泉旅館があることは,もちろん知っていた。ただし,言うも愚かながら,行ったことはない。

● 加賀屋では社員(特に,新入社員)にものを教えるときは,行動主義をとる。そりゃそうだね。座学の研修なんてやっている場合じゃないだろう。
 行動主義は言葉を換えれば,形から入るということだ。 行動主義による「真似をして,この通りにできるようになりなさい」という指導法は明快だ。これが座学でコンセプトや本質論が中心になると,「察しろ」「あうんの呼吸」といった側面が強くなってしまう。これは海外では通用しない。(p128)
 正しく「形」を身につけて,それが高度化していくと「本質」が見えてくる。(p134)
● しかし,たぶん,誰でもうまく行くというものではないのだと思う。大本の性質がものをいうと思われる。
 疲れている人や困っている人に手を差し伸べる,そんな当たり前の行為ができる人が,つまり「お母さん力」の高い人が,これからますます求められるはずである。言い換えると「他人に関わることを厭わない人」でもある。(p143)
● 集中しつつリラックスしている“フロー”状態について。
 このフローの状態になると,集中と同時にリラックスする。さらに時間の経過を忘れてしまう。「あれ,もう五時間経った」「もう八時間経った」という感覚,これがフローである。 このとき,脳では先述した報酬系と呼ばれる回路が働いて,ドーパミンが出ている。自分の行動自体がうれしい,快感であるという状態だ。脳にとって報酬になっているのである。(p72)
 小学校の短距離走がパワーアップして,必死さがマックスに達したときに世界新記録が出るわけではないのである。(中略)彼(清水宏保)はこんなことを言っていた。「茂木さん,世界新記録っていうのは,流しているような感覚のときに出るんですよ」(中略) この「流しているような感覚」という表現は,まさにフローそのものだ。(p78)
● 今までの著書でもしばしば説かれていたことのひとつが,脳はオープンエンドであること。
 はっきりしていることは,脳はオープンエンドであるということだ。要するに終わりがない。脳はたくさん学習していったからといって,ハードディスクのように満杯になることはない。(p178)
 だから,途中で学習を止めてはいけない。それは脳の自然に反することだから。 頭の柔らかさは,かなりの部分で「自分の至らなさがわかる」ということに尽きるのだ。つまり「柔らかい頭」とは,どんなステージになっても,まだ学ぶことがあると気づいているというのが重要なポイントである。(p177)
 「自分はわかっている」という客観性の欠如が思い込みをもたらす。「わかっているつもり」ゆえの「かくあるべし」という思い込みは,脳に抑制をかけるので,ガチガチにしばられて変われなくなってしまうのだ。(p180)
● 他に,いくつか転載。
 少し前まで,「文化はメシにならない」と言われていましたが,今は,文化が背筋にシャンと通っていると,「これは奥行きがあるな」と人気のある地域になります(小田禎彦 p30)
 学びは人間の脳にとってはいちばんの喜びだ。(中略) 安ければ消費者は喜ぶだろうという考え方が,今の日本を覆っている。だがその一方で,人ときちんと向き合うことでお客に喜んでもらおう,その土地の文化に触れてもらおうという加賀屋のような方向性は,学びの意欲も教養もあるお客を惹きつける。(p30)
 女将の言葉を借りると,「十把ひと絡げで『さあこうしましょう,こうしなさい』ではダメ」ということだ。「お客さまがお一人ずつ違うように,客室係の子たちもみんな違います。だから客室係にも,それぞれ接し方を変えています。そして,こちらの言うことをきちんと理解してくれて,うまく対応ができたときには,必ず褒めます」(p66)
 ストレスをなくす方法は,はっきりしている。まず自分の努力によって結果が変わることと,そうでないことを峻別する。前者に対しては全力で努力する。つまり自分がコントロールできることについてはベストを尽くす。できないことは諦める。できることについてベストを尽くした結果,うまくいかなかったら諦める。この整理ができれば,ストレスがなくなるのである。(p182)

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