2015年2月2日月曜日

2015.02.01 夏野 剛 『iPhone vs.アンドロイド』

書名 iPhone vs.アンドロイド
著者 夏野 剛
発行所 アスキー新書
発行年月日 2011.03.10
価格(税別) 743円

● 「iPhone vs. アンドロイド」というタイトルながら,iPhoneとアンドロイドは競合しないというのが著者の考え。
 アップルは1社でこの垂直統合を成し遂げ,ユーザーを囲い込んでいる。アップルが囲い込んでいるユーザーはアップル製品に対するロイヤリティ(忠誠心)が非常に高く,逆に言えば,少々競合製品より価格が高くても,長くアップルの製品とサービスを使い続けてくれる優良顧客だ。つまり,アップル1社と,(中略)多数のアンドロイド陣営で競争しているわけではない。市場の一角を占めるこの優良顧客層を囲い込んでおくことで,アップルは他社とのシェア争いとは距離を置くポジションをとることに成功しているのである。(p29)
 インターネットへの接触時間を増やすことで,グーグルのサービスを使う時間も増えていく,そして広告が表示される機会も増えていくという仮説に基づいて,グーグルはビジネスモデルを組み上げている(p41)
 グーグルにしてもアップルにしても,どこで儲けるか,そのためにどの部分を呼び水として割り切るか,という戦略が非常に明確だ。(p42)
 ユーザーからすれば,ネットの情報をフルに使い倒せて,しかもフリーというモデル。広告以外の他のプレイヤーから見ても競合するところが全くない存在,それがグーグルの本質だ。(p45)
● 本書の力点は,日本(のキャリア)にもまだチャンスはあるということ。
 わたしはまだチャンスは残されていると考えている。スマートフォンよりもいわゆるガラケーの方が,出荷台数でもずっと多いのだ。現状まだすべてのキャリアを合わせてもスマートフォンの出荷はわずか数百万台、ドコモ単体でも5%にも達していない。残り95%をスマートフォンにこのまま移行させてよいのか,という当然の疑問を持つべきだ。 ここにこそ,アンドロイドを採用し,ガラケーで培われたキャリア独自のサービスを投入するべきなのだ。(p116)
● が,本書の刊行から4年を経た現在,そのチャンスは潰えたと言っていいだろう。キャリアはむしろスマートフォンへのシフトを加速させようとしてきた。その方が通信料で儲かると考えたのだろう。
 「土管」への道をひた走ってきた。キャリアははっきり土管になったと見ていい。
 いま,アンドロイド登載スマートフォンを買ってきたユーザーが真っ先に行うことはなんだろうか? 言わずもがな,グーグルアカウントの登録である。(中略)この瞬間,ユーザーはキャリアのサービス圏内から離れ、グーグルの「お客さん」となるのである。もうその後は,キャリアがどこであろうが関係のない世界が待っている。(p115)
 そういうことなのだよね。たとえばdocomoでスマホを買うと,docomo独自のアプリがいくつか登載されているけれども,使うことはまずない。だから削除したいんだけど,削除できない仕様になっていて腹を立てるというのが,大方のユーザーのありようではないか。

● 日本の企業,特に経営層に向けての厳しい意見を転載。 
 資本主義の社会にあって,「株式会社が独裁だと悪い」という考え方がわたしには理解できない。会社は民主主義で運営されるものではないのは,社員や株主の投票を経て意志決定をするわけではないことからも自明だ。(中略) 企業の経営者の評価は結果で問われることが重要であり,強烈なリーダーシップ=独裁といった見方を早く捨てていかないと,(中略)日本企業の再生はできないと断言できる。(p34)
 最終責任が曖昧な組織で得てして起こりがちなのは,意志決定をマーケティング調査に頼り,それに責任を負わせるということだ。(中略)マーケティング調査というものは,聞き方と仮説に対する信念があればいくらでも「作り出せる」ものだ。逆に経営層に自信がないと漫然と現状を追認するだけの作業になってしまい,やはりイノベーションを生み出すことは期待できないのだ。(p146)
 いろいろな国の職場を見てきたが,新入社員が「指示を待たずに仕事を探そうとする」雰囲気があるのは日本だけだ。(p158)
 英語は極めてシンプルな外国語だ。何歳になってからでも身につけられると断言できる。(中略) そもそも日本の会社は「今いる」人に優しく,「新しい人」には厳しい。本気で世界に出て行くためには,経営者や管理職に英語の試験を免除しているのは論外である。(p162)
 近親交配をくり返した種族は生き残れない。なぜか日本企業においては,「同じ釜の飯」という言葉のように,同じ会社で同じようなキャリアを積んできた人たちだけの経営を正当化しているが,これは経営上たいへん重大な問題である。(p165)
 政治においても経営においても,トップがまるで自分の責任ではないかのように日本の弱さを語り,会社の社風を嘆く。それに手を打つのが自分たちの役割であることを忘れているかのように。(p166)

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