2015年1月28日水曜日

2015.01.28 森 正人 『四国遍路 八八ヶ所巡礼の歴史と文化』

書名 四国遍路 八八ヶ所巡礼の歴史と文化
著者 森 正人
発行所 中公新書
発行年月日 2014.12.20
価格(税別) 760円

● 著者は三重大学で教鞭をとる人文地理学の先生。四国遍路を文化現象として捉え,歴史を軸にしてその変遷を叙述したもの。

● 巡礼の作法や衣装などにこれといった定めはもともとなかった。自由度が高かったらしい。
 一九三〇年代に東京で活動した巡礼集団が白装束を本物の巡礼衣装と定め,それが広く普及するのは昭和二八年以降に一般化する巡礼バスツァーが強く関係している。(p24)
 が,現在でも白装束ではない恰好で歩いている人も,それなりの数いるのではないか。作法は作法として,必ずしもそれにこだわらなくてもよいことになっているのではあるまいか。このあたりは融通無碍で,それ自体,日本的といえると思う。

● 巡礼に出る人もいれば,巡礼者を「お接待」するために四国に入る人もいた。
 大分県臼杵市周辺からの接待講は,第二次世界大戦が勃発するまで,松山市の五二番太山寺でうどんを振る舞っていた。春に講員一〇人が接待船を仕立ててやってきて,太山寺の茶屋に宿泊しながら一〇日から一ヶ月近くうどんを振る舞い,・・・・・・。(p51)
 こうした「お接待」は「無条件の愛」によるものではなく,「巡礼者への接待は空海への接待に等しい」と考えられたことによる。「ご利益」を期待してのものだ。

● だとしても,自分が巡礼するのではなく,巡礼者を接待するために,1ヶ月も国をでて無償の行為を続けるとは驚いた。
 どっちが難しいかといえば,接待する方が難しいのではないか。人は主役を取りたがるものではないか。

● もともと,宗教的な色彩は希薄だったようでもある。四国遍路と真言宗の結びつきはあまりない。そういうことも含めて,四国遍路の概観をザックリと知るには恰好の本だと思った。

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