2015年12月31日木曜日

2015.12.31 千田琢哉 『私たちの人生の目的は終わりなき成長である』

書名 私たちの人生の目的は終わりなき成長である
著者 千田琢哉
発行所 学研パブリッシング
発行年月日 2014.06.17
価格(税別) 1,200円

● こういうものは,時にカンフル剤として使用。しょっちゅう読むものではないのだろうな。

● 気の利いた言い方,気持ちのいい割りきり。そうしたものは眉に唾つけたほうがいい。

● そのうえで,以下にいくつか転載。
 成功者は,成長者であり続ける人なのだ。成功は,我々人類が勝手に決めた基準にすぎない。だが,成長は宇宙基準だ。宇宙は途絶えることなく拡張を続けている。我々人類が成長を続けることは,完璧に,自然の摂理に則っているのだ。(PROLOGUE)
 成長したければ,まず,周囲から応援されなければならない。(中略)応援されるためにはどうすればいいか。誰もが応援したくなるような表情でいることだ。(p20)
 「自分の周囲にはろくなのがいない」というのは,完全に誤りなのだ。人は自分にピッタリのレベル同士で付き合うようになっているのだから。(p27)
 現状維持とは,言い換えれば衰退を意味する言葉だ。刻々と変化し続ける世の中で,真の現状維持を続けるためには,少なくともその変化に合わせて自分を成長させなければならない。(p30)
 もし何かのプロを目指すつもりがないのなら,今いる場所では存在自体が邪魔だから,とっととどこかへ消えたほうがいい。(p50)
 1年間打ち込んで向き不向きがわからなければ,そもそも向いていないのだ。(p58)
 最も成長する人とは,最も本番の数をこなした人のことだ。(中略)本番をたくさん経験しておくと,練習も本番さながらに緊張してできるようになるからどんどん成長していく。(p68)
 人生は,何がどうなるか最後までわからないのだ。ただひとつ言えることは,「あれは無駄だった」と口にした瞬間,その行為が無駄と決定されるということだ。「あれは無駄だった」は,悪魔の言葉なのだ。(p104)
 スピードアップしたほうが,やる気がみなぎって疲れないことに気づくだろう。(p113)
 たいていの仕事の壁は,商売の本質に立ち戻ってみることで突破できる。商売の本質とは,しかめ面で店に入ってきたお客様を笑顔に変えて帰すことだ。(p138)
 どうせいいことをやるなら,人のいない場所でやらないと損なのだ。(p143)
 机上の空論ではなく,今すぐ使えるマーケティングを伝授したい。それは周囲に対して自分が「少し損」をし続けると,人気者になるということだ。(p146)
 クライアントの短所は指摘するな。ひたすら長所を見つけて長所を伸ばせ。短所を指摘したヤツはクビだ!(p152)
 よく「下の人間は,上の人間を3日もあれば見抜く」と言われる。確かにそれはその通りだ。だがそれは,単に下っ端は目上の人の欠点探しが上手いというだけの話で,特に人生を幸せにするような能力ではない。(p162)

2015.12.31 堀江貴文 『本音で生きる』

書名 本音で生きる
著者 堀江貴文
発行所 SB新書
発行年月日 2015.12.15
価格(税別) 800円

● 痛快な人生論。副題は「一秒も後悔しない強い生き方」。
 あれだけのことをやったあとに,あれだけのことがあって,でも堂々の復活。強い人である。

● ウダウダ言うことはない。著者の言うことを聞こう。
 バンジージャンプを思い出して欲しい。テレビで芸人さんが,「跳べない,もう嫌だ」と言って泣き崩れているのをよく見かけるが,はっきりいってバンジージャンプは誰でもできる。ただ跳ぶだけだ。 世の中の多くはそれと一緒。「できない」と思っているだけで,跳んでみたら誰にでもできる。(p4)
 物事というのは,推進しようという意志を持った決定者がいなければ一歩も進まない。(中略)みんなが納得することを待ち続けて,何かが生まれることはない。(p26)
 他人のことなんて,ほうっておけばいいのだ。(中略)誰かがあなたについてどう思おうが,それは自分の問題ではなく,相手の問題だ。他人が誰を嫌おうと,何を考えようと,それはあなたの人生にはかかわりのないことだ。(p30)
 お金が手元になくても,やる気さえあればなんでもできる。それは,分野を問わないと僕は考えている。(p41)
 才能も資質も,それを持っているかどうかなんて,やってみたあとでわかるものだ。やる前から「自分には才能がない」「資質がない」なんて,まったくの勘違いだ。(p48)
 僕はそもそも「やり方」なんてものはなく,すべてが「トライアルアンドエラー」なのだと思っている。ビジネスで成功するためには,思いつく限りのことを次々とやってみるしかない。(p49)
 取り柄がないという人は,物の見方が狭いだけ。はたして本当になんの取り柄もない人などいるのだろうか。(p51)
 一般的には「引きこもりになる原因」があって,「外に出られないという結果」につながったと考えがちだが,アドラー心理学では「原因」つまり言い訳を一切認めない。「外に出たくない」という目的が先にあって,そのために「不安という感情を作り出している」と考える。 要するに、できない言い訳を用意することで,自分が傷つかないで済ませようとしているというわけだ。(p60)
 会社を立ち上げた頃,僕は仕事に没頭していた。この時期は寝ている時以外,ビジネスのことを考え続け,家にも帰らず,家族との時間も持たなかった。結局その時の家族とは別れたが,(中略)そこまで徹底しないと,やりたいことはできない。(p67)
 エキサイティングな人生を送るとは,何かを犠牲にして,何かに没頭することなのだ。「今の自分を変えたくない」が,「ちょっとしたコツ」で「エキサイティングな人生を送りたい」なんて,虫のいい話なのだ。(p68)
 人間関係や職場に「安定」を求めると,人間はダメになっていく。(中略)同じ仕事をしていれば同じように給料がもらえると思っている人から,素晴らしいアイデアなど出てくるはずもない。安定を求めることはリスクだ。その場に留まり続けることは,同じ状態でい続けることではなく,劣化していくということなのだ。(p72)
 「世間体が悪い」「人の目が気になる」というのは,僕に言わせればすべて自意識過剰だ。実際にあなたのことをそんなに注目している人は,そうはいない。多くの人は,自分以外のことになんの関心もないのだ。(中略)実際には存在しない「世間」などというものを気にする必要はまったくないのだ。(p81)
 プライドはなくなったほうが,みんなに愛される。確実にとっつきやすくなって,人が寄ってくる。(p86)
 ノリのよい奴には,あちこちから声がかかるようになり,加速度的にいろんな経験ができるようになっていくのだ。(中略)つまるところ,「小利口」が一番良くない。あれこれとまことしやかに考えて,結局動けずにいる。(p98)
 世界には無限に面白いことが溢れているが,人間に与えられている時間は有限だ。僕にはそれがもどかしい。有限の時間をやり繰りして,仕事も遊びも,面白いことを思う存分満喫することが,僕にとっての人生だ。(p109)
 なぜ,仕事に優先順位をつける必要があるのだろうか? 優先順位をつけることにだって手間はかかる。そんな時間を浪費することはない。片っ端から仕事をこなしていけばいいだけだ。(中略)大事なのは「今済ませられることは,今済ませてしまう」ことなのだ。(p116)
 大勢の人と同時にやりとりできるLINEのような仕組みを導入し,コミュニケーションを徹底的に効率化することで,チーム内での議論も活発になり,いろいろなアイデアが生まれてくる。コミュニケーションにおいても,結局は量が質を作るのだ。(p119)
 「スマホ依存」を問題視する人もいるが,重要なのはどうスマホを使うかだ。70億人が隙間時間を使って,これまでにできなかったことを行えるようになる。それによって,ものすごい価値がうまれつつあることをもっと認識すべきだろう。(p125)
 僕はかなりの数のビジネスを同時に進めているが,それもスマホがあってこそ。逆にいうと,スマホを持っているなら「時間がない」と言い訳することはもうできない。(p126)
 仕事にしても雑務は徹底的に人に任せるようにする。というより,得意な人に任せないのであれば,そもそも会社にする意味がない。(p131)
 僕が見るところ,たいていの人は得意でないことまで無理に自分でやろうとして,パンクしてしまっている。あるいは,自分の持っているスキルや資格にこだわりすぎて,それに関係した仕事は全部自分でやらなければいけないと思い込んでいる。(p133)
 たいていのことは簡単に学ぶやり方がいくらでもあるものだ。体系的に学ぶ必要など,まったくない。(p142)
 知らない技術については本を買い漁って学び,学んだことを仕事で実践していった。僕が仕事をする前にあれこれ考えて「この知識も勉強しておかないと,あんな経験を積んでおかないと」などと考えていたら,無駄な知識のために時間を浪費することになっただろう。 大体,やったこともないことに取り組む時に,どんな知識があれば十分か事前にどうやってわかるというのだ。(p145)
 今の時代,アイデアに価値などなくなっている。あらゆる情報やアイデアは出尽くしていて,本当の意味で画期的なアイデアなどめったにない。必要な情報があればネットを探せばたいてい見つかる。(中略)アイデアの価値は暴落したが,その代わりに重要になったのが実行力だ。アイデアはいくらでも転がっているのだから,あとはやるかやらないかにかかっている。(p149)
 僕が何か特別の人脈やツールで,人とは違う情報を得ているのではないかと考えているのかもしれない。しかし,僕が見ているのは,きっとあなたが見ているのと同じようなものだ。(中略) もし,僕が他の人と違って見えるのであれば,それは情報の量だと思う。僕は,きっとあなたが普段見ている情報の量と,桁が一つ違うくらいの量の情報を見ていることは断言できる。大事なのは圧倒的な情報量とその処理数なのだ。(p150)
 人によっては,情報を遮断し,ゆっくり考えをめぐらすことでよいアイデアが出てくるというが,僕はこの意見に反対だ。(p154)
 個々の情報は記憶するのではなく,浴びればいいのだ。(中略)起業のアイデアなど,頭をひねって考えるようなものではない。情報のシャワーさえ常日頃,浴びるようにしていれば,アイデアはいくらでも湧いてくる。(p155)
 自分の意見をうまくアウトプットできないと悩む人もいるが,それはたんにインプットしている情報量が足りていないだけだ。(p159)
 時間を無駄にしないために,大事なこと。それは,「極限まで忙しくしろ」ということだ。(中略)限界までやりたいことをやろうとする。そうしてはじめて,時間をどうやって使えばよいのかが見えてくるのである。(p163)
 時間を効率的に使うなら「今やる」ことだ。僕には,夢だとか,長期ビジョンだとかいったものがよくわからない。(中略)なぜ,そんな長期ビジョンを持つ必要があるのだ? それは,おいしいのか?(p165)
 ロールモデルになりうる人は活動を積極的に公開しているものだ。コンテンツを丸パクリするのは論外だが,できる人を真似るのは最も早い上達法である。(p174)
 僕は昔から,与えられた以上の価値を必ず相手に与えるようにしている。仕事でいえば(中略)相手の期待以上のものを仕上げてきた。(中略)ビジネスの基本は,もらったお金以上の価値を相手に提供すること。これは仕事以外でも変わらない。(p175)
 この「アクティブユーザー数」は個人についても重要な指標になってくるだろう。(中略)岡田斗司夫さんとも話したことだが,Twitterで100万人以上のフォロワーがいれば,社会的なムーブメントのきっかけを作ることができる。1億円規模のビジネスくらい,簡単に回せるだろう。だが,その逆は難しい。(中略)リアルなお金より,ネット上でのアクティブユーザー数のほうが強い力を持つようになっているのだ。(p178)

2015.12.31 石川悟司 『ノートは表だけ使いなさい』

書名 ノートは表だけ使いなさい
著者 石川悟司
発行所 フォレスト出版
発行年月日 2009.03.29
価格(税別) 1,300円

● 著者はマルマンで“ニーモシネ”ブランド(のノートやメモ帳)を企画,育成してきた人らしい。
 ノート愛の人なのだろう。

● 本書の内容はタイトルにはあまり絡まない。ノート,メモは第二の脳であり,即時筆記が大事だと説く。著者自身も断っているけれど,目新しいところは特にないかもしれない。原理原則が述べられる。
 ただし,これまた著者が言っているけれども,実行している人はそんなにいないわけだ。

● 以下にいくつか転載。
 情報を得た時点で,情報の重要性を判断することはやめましょう。とにかく保存だけはしておく。この方法が,有益な情報を逃すリスクを低減させます。情報の内容を吟味し,取捨選択することはいつでもできる作業です。(p33)
 忘れた頃に必要となる。本当,自分でも嫌になりますが,情報とはそんなものです。(p35)
 「あの人は頭がいい」「あいつは切れ者だ」と言われるライバルに対抗するなら,徹底的にメモをとり,頭の中をクリアにすることをおすすめします。どんなに優れた頭脳も,メモやノートの威力には勝てません。(p37)
 メモとは頭の中の情報を紙に取り出したものです。脳内イメージをダイレクトに表現するなら,やはり手書きに限ります。(中略)書いているうちに発想がどんどん広がっていくというのも手書きの魅力です。(p58)
 脳内にある情報の鮮度と精度を保ったまま紙に取り出すには,自由な表現力が不可欠です。感情や感性が赴くままに,スラスラと紙の上にペンを走らせる感触が必要なのです。(p61)
 鮮度と精度を高めるには,メモをとるタイミングが一番重要です。見たり聞いたりした瞬間にメモをとる。これに勝る方法はありません。(p78)
 世間では「メモにはキーワードだけ書く」という方法が推奨されていますが,原則として私は反対です。速さと完成度を高めるには,可能な限り原型のまま書き留める必要があります。(p78)
 相手がメモをとらないなら,こちらがフォローしましょう。自分自身にメモをとる習慣があれば,相手のためにメモをとるくらいたいした手間ではありません。それだけのことでレスポンス率が上がり,自分の仕事がスムーズに進むのですから,どんどん実践すべきです。(p108)
 企画というと(中略)大きな紙を広げる人もいますが,私の経験ではなかなかうまくいきません。大きな紙を広げて「企画を考えよう」という姿勢を整えた途端に,発想が狭くなってしまうこともあります。日常でしか思いつけないことは,普段から小さなメモにとっておくしかありません。(p135)
 クリエイティブな活動をする際,視点を動かすことが非常に大切です。(中略)しかし,その切り替えを頭の中だけで行うのは,相当むずかしいものです。そんなとき,目の前に一枚のメモがあれば,簡単に視点を変えられます。(中略)自分の脳は一つだけですが,メモやノートによって脳内の情報を取り出しておけば,目の前に別の脳が広がっていきます。(p154)
 「いつかやればいい仕事」なら,「やらなくてもいい仕事」と変わりません。(p173)

2015年12月30日水曜日

2015.12.28 長谷川慶太郎・田原総一朗 『2020年世界はこうなる』

書名 2020年世界はこうなる
著者 長谷川慶太郎
    田原総一朗
発行所 SBクリエイティブ
発行年月日 2016.01.04
価格(税別) 1,500円

● 田原さんは話の引きだし役。しかも,議論をふっかけるというやり方で引きだすのではなく,言葉どおりの引きだし役を務めている。

● したがって,本書で述べられる見解はすべて長谷川さんのもの。具体的な事実情報がどんどん開陳される。
 国際経済,国際政治は,やりようによってはミステリを読むより面白くできそうだ。が,そのやりようが誰でもできるというわけではなくてねぇ。

● 以下にいくつか転載。
 田原 過去にエズラ・ヴォーゲルという人が,『現代中国の父 鄧小平』という本を出版しました。(中略)私はこの頃,中国経済は大成功すると思ったのですが,長谷川先生はこの本をお読みになった感想はいかがでしたか。 長谷川 中国のキャンペーンにどっぷり浸かったな,と思いました。ハッキリ言えば,中国の経済路線は失敗する事になるからです。それが読めていない。(p12)
 そうした事態に備えて人民解放軍は,鴨緑江のところに鉄条網を三重にして敷設しています。「水の中」「水際」「内陸」を三重に張っているのです。(中略)北朝鮮から難民が入って来られないように,三重に鉄条網を張っているわけです。(p49)
 日本企業は技術改良して中国からレアメタルを購入しなくても,電子部品が製造できるようになりました。(p62)
 アメリカは空白地帯で自然発生的に,治安を回復するための組織が出てくると思ったのです。アメリカでは西部で自然発生的に,シェリフ(保安官)が出てきます。シェリフに全権を渡して,治安を守るという形がアメリカでは一般的でした。それが 地元の警察になってくるわけです。そいういうものがイラクでも出てくるとアメリカ人は勝手に錯覚をしたのです。(p89)
 ゲリラには正規軍では勝てないのです。(中略)警察でないとダメです。(p89)
 田原 ヒラリー・クリントンはダメですか。 長谷川 ダメです。問題になりません。 田原 何でダメですか。 長谷川 機密ですよ。機密保持ができない。個人の通信口座を公的な通信に使うわけです。あんな不用心な人をどうして大統領にできるでしょうか。(p96)
 東芝の場合を言いますと,旧役員を含めて,今,役員は,外国旅行ができないのです。海外に行く事を当局が止めるからです。警察が手を回しています。間もなく捜査の手が入ると思います。(p123)
 資本主義がなくなったら何があるのですか。また,封建主義に戻るのですか。そんな事ができますか。もちろん今さら社会主義になるわけではない。できるわけがないじゃないですか。やっぱり資本主義でいくしかないのです。ポスト資本主義は資本主義なのです。(p124)
 田原 中国のバブルははじけていますが,結構,中国経済は強いという見方があります。(中略)瀬口清之さんがそうです。(中略)それと遠藤誉さんもそうです。 長谷川 みんなそうです。中国が伸びることで,自分たちのメリットが出てくるからです。だから客観的ではないのです。願望を含めているのです。(p139)
 共産主義国家では人間を大切にしません。相手の事などまったく考えていないのです。個人でも国家でも同じです。つまり自分さえ良ければいいという極端な考え方をして,無責任な体制となってしまいます。こうした国家が繁栄するはずがないのです。「人のために」という発想が人類発展のキーワードになる事は間違いありません。今の共産主義体制はその流れに逆行しています。(p171)
 日本でもどの国でもそうですが,バブルというものは一度発生したら破裂するところまで,行き着くところまで行くしかないのです。途中で止められません。(p196)
 金融の運用は多少頭を使えばいいだけで,儲ける事は簡単でした。だけど,研究開発はそういうわけにはいきません。実際,物をつくらないといけないわけですから。これは容易な事ではありません。アイデアができてもそれを実際に具現化するのは,大変な作業と努力が必要となります。その作業が嫌なのです。面倒くさいわけです。GEを御覧なさい。(p206)
 田原 投資効率というのは怖いですね。投資効率,投資効率といって追求したら,第二次産業はどんどんなくなるわけですね。 長谷川 その可能性は十分にあります。第二次産業を温存するためには,別の発想が必要となるのです。具体的には経済の構造的な発展を考える。それが必要なのです。(p207)

2015.12.27 ゆうきゆう 『やりたいことをぜんぶ実現する方法』

書名 やりたいことをぜんぶ実現する方法
著者 ゆうきゆう
発行所 海竜社
発行年月日 2013.08.06
価格(税別) 1,100円

● アメリカの成功哲学に触発されてか,あるいはそれ以前からか,日本にもこうすれば上手く行くよ,上手く生きられるよ,っていうのを説く書物がたくさんある。っていうか,次から次へと出る。
 そういうものに対する需要はいつの時代でもあるっていうこと。いつの時代でも需要はあるんだから,昔の書物がまた読まれればいいのにねぇ。でも,そうはならない。次々に出てくる。

● 以下に転載。
 結果的に多くの夢をかなえてきた自分ですが,そのコツは非常にシンプルです。「それしかない」というくらい,毎日そのことを考えるだけです。(p3)
 何もしないまま,想像の中の敵に縛られ,動けなくなってしまうことは,実際にどんな攻撃をされることより,ずっと情けなく,ずっと悲しいことだと気づいたのです。(中略)実際にやってみれば,現実に「想像の中の敵」レベルの相手が現れることはありませんでした。(p20)
 世界は,つながっています。あなたの幸福は,きちんと,ほかの人の幸福にもつながっています。だから,まずはあなたが,全力で幸せになることを目指して,進んでみてください。(p72)
 いっぺんに千里を進もうとすれば,無理が出て当然です。大事なのは,立ち止まらないことです。(p79)
 何も始めないうちから考えるのは,本当にビックリするくらい,時間のムダです。実際に始めてみれば,最初の思考なんて,何の意味もないことに気がつきます。(中略)最初のアイデアや考えなんて,すべて机上の空論です。(p112)
 人間,危機が迫ると,恐ろしい勢いで気持ちを高めて,強く学習します。すなわち「こういうことがあるかも・・・」という思考より,「実際にこういうことがあった・・・」という思考のほうが,ずっと強いのです。(p115)
 スピードというのは,回転率でもあります。早く始めるだけでなく,とにかく「多くのことを,早く」体験していくこと。(p116)
 早く仕上げ,回数が多くなるほうが,最終的に文章力はアップしていきます。完璧な文章を時間をかけて考えようとするより,そちらのほうがずっとベターです。なるべく早く考え,なるべく速く打ち,なるべく早く送ってしまうこと。シンプルですが,これこそがコミュニケーションの極意です。(p122)
 あなたがどうしてもやるべきこと,やりたいことがあるのなら・・・。とにかく人生における「朝」こと,若いうちにやってしまうことです。あなたのこれからの人生で,もっとも若いのは,もちろん「今」です。(中略)あなたの今こそが,朝なんです。今やりたいことは,今やらないとダメなんですよ。(p138)
 勝ちたいと思うのなら,相手の刀を,鞘から抜かせてはダメなのです。鞘から抜く前に,斬る。これこそが勝利のための鉄則です。(中略)とにかく先手必勝。自分は全力を出し,相手が全力を出し切る前に倒す。(p146)
 「いつか,みんなが同列に扱われる勝負が開催されるはずだ」というのは,甘えに過ぎないのです。そんなことを考えているのは,イコールすでに斬られているのと変わりありません。(中略) あなたの今までの「敗北」を思い出してみてください。これはすべて,ある意味「行動が遅かった」から。(p149)
 優秀なスタッフというのは,最初から「あ,この人,スゴイ」と思われることも多いもの。(中略)「大器晩成」というのは,現実にはなかなかいないのです。(p158)
 「三目並べ」の場合,やってみれば分かりますが,とにかく「先手必勝」なんだそうです。そして「四目並べ」も,やはり先手必勝であることが証明されています。五目並べだけが,複雑になるため,先手必勝ではないとか。いずれにしても,よっぽど複雑なゲームでないと,先手必勝になってしまいます。(p161)
 「先手必勝だから,もう遅い」ではないんです。「先手必勝だから,次の勝負で先手を取ろう」と思ってください。(p165)
 今のあなたの悩みを,老人になって死にそうなあなたに,話してみたと想像してみてください。おそらく,こう言われるはずです。「そんなのはどうでもいいから,今をもっと楽しみなさい」 それが,答えなんですよ。(p178)
 たとえば,「女の子にモテたい!」とか,「お金持ちになりたい!」とか,自分自身の感情すべてを肯定することです。(中略)そこを否定して,カッコつけて,本当にやりたいことや欲望から目をそらしていては,いつまでたっても作りたいものは作れません。(p188)
 とにかく第一歩は,今この瞬間を楽しむこと。「今はつらいけど,未来だけは明るくなるはずだ・・・」そんなふうに思うのはやめてください。今,あなたが笑い,楽しいことを探すことが,何より大切なのです。(p213)
 「その会社を好きである」というときに,仕事へのモチベーションがもっとも高まることが分かったのです。仕事にやりがいがあるとか,社会的意義があるとか・・・。そういうことも重要ですが,もっとシンプルに,「その会社が好き」。これは何より大切なことなのですね。(p216)
 これは人生でも同じです。もっとも効率よく,そして幸せな人生を送りたいのなら・・・。何よりあなたが,世界そのものを好きになること。(p220)
 とにかく「できる!」と思うこと。「できる!」と固く信じ込むこと。(中略)それが行えていないのなら,あなたの夢は,絶対にかなうことはありません。では具体的に,どのようにしたら,「できる!」と信じ込むことができるのでしょうか。そのためのもっとも早い方法は,「繰り返す」ことです。(p257)
 あなたの思考が,絶対的に正しいかどうかというのは,明確には説明できないはずです。ただそれは,周囲から何度も言われてきたから。繰り返されることで,「あぁ,何度も聞くから,それが正しいのかな・・・?」というように思っているのです。人生観・価値観だって,広い意味では「暗示」なのです。(p259)
 たとえば,友達とジャンケン。勝っても負けても,「あー」みたいに無反応な人より,「やった,勝ったー!」「負けたぁっ!ちくしょー!」というように,大げさに喜び,悲しむ人のほうが,よっぽど成功しやすい(中略) これは自分だけに限りません。他人であっても同じです。相手が小さなことで成功したら,とにかく「やったねー!」と,喜んであげること。(中略)「少しだけ大きく表現すること」は,何より大切です。(p276)
● いろいろ書かれているけど,一番は,考えてないでさっさと始めろってところでしょう。
 ぼく的には,最後に転載したところが重要だと思ってて,妙に冷静なインテリタイプは大成しないようなのだ。会社でも偉くなる人って,涙もろいほどに感激屋である人が多いようなのだ。
 インテリだけだと部長止まり。役員にはなれないのじゃないか。

2015.12.26 番外:Re:raku 2016冬号-食べておきたい栃木のイチゴ

発行所 新朝プレス
発行年月日 2015.12.25
価格(税別) 648円

● 栃木はイチゴ王国。昔,女峰,今,とちおとめ。あと,観光いちご園に行くと,「とちひめ」がある。粒が大きくて糖度が高い。傷みやすいので市場に出すのは難しいのだと聞いたことがある。最近はスカイベリーなんてのもね。
 でも,群馬にも「やよいひめ」ってのがあるんだってね。かなり評価が高いようだ。

● イチゴの魅力って3つあると思う。
 イチゴという言葉の語感と,あの色と,あの形と大きさ(小ささ)だ。ので,スカイベリーはイチゴとして許容できるぎりぎりの大きさかもしれない。

● 昔は砂糖や練乳をかけて食べたこともあったけど,今のイチゴはそんなの無用ですな。そのまま食べるのが吉。
 なおかつ,イチゴはイチゴだけを生食するのが一番旨い。

● この雑誌でも,イチゴを使ったスイーツを出すレストランを紹介するページが過半を占めるんだけど,生食を超えるものってたぶんないんでしょうね。
 消費拡大のためにも,いろいろ工夫に余念がないんだろう。そこは敬意を表するにやぶさかではないんだけど,イチゴは普通にスーパーで買ってきて,“こたつでみかん”の要領でパクパクつまむのが一番だよなぁ。

2015.12.26 番外:日経ビジネス 2015.12.28 & 2016.1.4合併号-次代を創る100人

編者 飯田展久
発行所 日経BP社
価格(税別) 639円

● そのうちの何人かについて転載。
 まず,藤田孝典さん。雨宮処凜さんが紹介している。現場だけに埋没しない,まったくニュータイプのソーシャルワーカー。「社会を変えるのは,数人でできますから」って,カッケー。
 社会自体が変動期にあるときは,数人で充分かもしれない。江戸末期の坂本龍馬を見よ,ってことになる。

● 日銀総裁の黒田東彦さん。大蔵省で彼の上司だった行天豊雄さんが紹介。「黒田氏の頭の良さは異様だった。(中略)だが彼は微笑みの多い人である」。
 いるんだろうね,こういう異様に頭のいい人。ぼくと脳細胞のどこが違うんだろう。

● 菊池桃子さんについて,小田嶋隆さんが紹介。「彼女は,半数近い日本人にとって,青春の記憶であり共に成熟を迎えた関係でもある」。
 この場合,美しい人が美しいまま成熟したってところが大事だね。

● 和泉洋人さん。総理大臣補佐官。森信親さんが紹介。スーパー官僚。建設省住宅局の課長補佐のとき,この人が日本の住宅行政を仕切っている人だよ,と森さんは紹介されたそうだ。それはそうだろう。霞ヶ関の課長補佐って,実質的な政策決定者だろうから。
 「諸々の課題について先を見据えた解決策を合理的,効率的に見つけていくその能力」が卓越している。そぉなのかぁ。

2015.12.26 番外:家♥族 7

発行所 NTTドコモ
発行年月日 2013.03.01

● 宇都宮某所のdocomoショップに行ってきた。用があったのは奥さんで,ぼくは運転手を務めた。
 docomoショップっていいよね。美味しいコーヒーをタダで飲める。雑誌やコミック本もある。

● それから,出たばかりの新製品を好きなだけ触ることができる。だけども,この点だけは最近,つまらなくなった。なぜというに,投入される製品が減ったから。
 端末を製造するメーカーが減ってしまった。今は,SONY,富士通,シャープ,サムスン。ときどき,LGといったところか。
 かつては,それに加えて,NEC,カシオ,パナソニック,東芝からも製品が出ていたから,百花繚乱というと大げさだけども,けっこう特徴があるのもあった。

● キャリアの方向性というのもあったのじゃないか。たとえば,auはキーボード付きのスマホに執心していた時期があったように思われる。
 けれども,今は,docomoでもauでもソフトバンクでも,ラインナップはほぼ同じ。iPhoneがこれだけ売れていればそうならざるを得ないんでしょうけどねぇ。

● ただ,そういうことになれば,キャリアが端末をメーカーから買い取ってエンドユーザーに販売する,という形態をやめてもいいんじゃないかと思う。ユーザーがメーカーから購入して,キャリアに持ち込んで通信契約を結ぶ。
 当然,ユーザーが購入する時点でSIMロックなどはあり得ない。そういうふうにはならないものですかねぇ。

● ま,そういうことはさておいて。
 docomoショップにあったこの雑誌を眺めて過ごした。docomoの広告写真を1冊にまとめたものだね。
 この号は“母と娘”を撮影したのがメインになっている。全国各地の母と娘。

● 母親にとって息子はいつまでも息子だけれども,娘はいずれ友だちになり,相談相手になる。娘が大きくなれば,母と娘は対等になる。
 そういうふうになった母娘もいれば,そうなりつつある母娘もいれば,まだ完全に母と娘の母娘もいる。

● 離れたところにいる母と娘をdocomoのケータイがつないでいるっていうのがテーマだ。つないだ結果,母と娘は笑顔でなければいけない。
 写真は名だたるプロが撮っているのだと思う。1枚ずつ見ていくと,いい写真ばかりだ。いい写真というか,説得力のある写真。

● ところが,続けて見ていくと,笑顔の一様性が際だってしまう。全国各地の母娘,どこの母娘の笑顔もみな同じ。それでどうなるかというと,途中で飽きちゃう。
 笑顔って,もともとそういうものですかね。たぶん,そういうものなのだろうな。

2015.12.25 鈴木宗男 『ムネオの遺言』

書名 ムネオの遺言
著者 鈴木宗男
発行所 講談社
発行年月日 2015.11.27
価格(税別) 926円

● 小泉内閣で田中真紀子外相の辞任と引き換えに,議院運営委員長を辞めた。そこからムネオバッシングが始まり,その後の推移は誰もが知っているとおり。

● ぼくらは直接,世間を見ていない。あるいは,見る術を持っていない。マスコミ報道を通してしか見ることができないのだろう。

● その後,田中さんは民主党に移って文科大臣も務めたが,そのことによって政治生命を消費しつくしたようにも思われる。自分のために動いた結果か。
 鈴木さんは刑務所暮らしも経験し,自民党にはいられなくなったけれども,新党大地は生命を保っている。みんなの党や維新のようなことにはなっていない。それらに比べると規模が比較にならないほど小さいからでもあるんだろうけど。

● 以下にいくつか転載。
 秘書を束ねられた秘訣は,四の五の言わせないくらい,とにかく私が働いたということ。他の秘書は土日休みますが,私は毎日出ているわけですから誰も文句が言えない。誰も真似できませんでした。(p34)
 角福戦争のとき,田中先生が福田赳夫先生に譲っておけば,ロッキード事件に巻き込まれなかったと後にいわれている。年齢的にも若いわけだから,黙っていても田中角栄の時代が作れたのだからといわれた。しかし田中先生は,「なれる時になる。譲ったからといって,なれるものではない」と言っていた。(p36)
 女房は男の兄弟が3人いるんですよ。やっぱり私の働く姿には一目置いていたんじゃないかな。もう365日,仕事仕事で,女っ気なんて全然ない。私の仕事ぶりを見て,あ,これならば食っていけるという気がしたんじゃないでしょうか。(p39)
 極寒の中,自民党の現職は歳をとっているから窓を開けて手を振れない。中川昭一さんもふわふわした立派なアノラックを着てはいるが,それでも窓を開けるという厳しさを知らない。私は目いっぱい手抜きしないでやった。だから選挙戦後半から流れを肌で感じるようになった。これはいけるんじゃないか。「一生懸命やっている鈴木宗男をなんとかしてやろう」という,選挙民の目に見えない力がきた,と。(p95)
 あれから何度も選挙を経験した。結局,人の気持ちをつかむのは「真剣さ」なんですよ。作り笑いはダメ。形だけの握手もダメ。やはり本当に根性をかけて,心をこめて,「お願いします」と頭を下げられるかどうか。いいかげんでは感動も湧かんし,真剣味は伝わりませんよ。(p100)
 グループの上に立つ者として,私が一番気をつけたのは,笑顔なんですよ。誰でも気さくに取り込む,壁を作らない。とっつきにくいと人は集まってこない。作り笑いや,杓子定規に対応する人のところには,なんとなく足を運びづらくなるものです。(p118)
 私は田中角栄先生から言われて今でも印象に残っている言葉があります。「いいか,鈴木君。1番,これは狙ってもなれない。そのときの,やっぱりさまざまな巡り合わせなんだ。しかし,2番は狙ってなれる」(中略) そう教えられていたので,トップを1年,2年やって終わるよりも,5年,10年と圧倒的な力をもった2番,3番の政治家になる方が,より国や社会に貢献できると思っていた。(p124)
 昔から「出る杭は打たれる」といわれるけれど,私は,出過ぎたら打たれないと思っていた。(中略)ところが「抜かれる」とは計算外だった。(p125)
 とにかく空しいんですよ。人一倍働いてきた,頑張ってきた者が,すべて否定される。その空しさ。人生,生きている意味がないんでないか,死んだ方が楽なんでないか,なんて思いが去来するんですね。 ただ,以前に同じようなバッシングを受けたから,耐えられたということはあったかもしれない。中川先生が自死したとき,私は人殺し扱いされた。そのときに比べたら,今回は抵抗力,基礎体力があった。(p133)
 私は一カ所じゃわからんと思って,セカンドオピニオンで築地のがんセンターに行った。そこでも同じ所見なんですよ。 帰り,「なんでこんな仕打ちにあうかね」と思った。逮捕されたこと自体,理不尽だ,筋が通っていないと思っている。そして,やっと出てきて,選挙に出ようと思っていた矢先。これはやっぱり世の中,神様,仏様はいないのか,と思うくらい。言葉では言えないくらい打ちひしがれて,ただ涙が出た。(p148)
 平成23年3月11日,ちょうどお年寄りをお風呂に入れようとしている最中に,あの大震災が起きたんです。もし車椅子がひっくり返ってケガでもさせたら大変だから,本当にもう渾身の力で車椅子を守ったな。(p169)
 下の世話の手伝いもやった。お漏らししたときには専門の介護士が来る。その手伝いをした。老人といってもひとりじゃ介護できない。2,3人で身体をひっくり返して世話をする。これもいい勉強になった。(中略)人の背中を流すのも全然気にならなかった。(p170)
 あの3月11日まで,私には,なんでこんなところにいなければならないのか,と悶々としたものがあった。しかしその日を境に,意識がまた変わった。「おれはまだ命があるぞ」というように。(p173)
 私は,今はまだ現状維持するのが精いっぱいです。それでも付き合ってくれるというのは,昔からの人間関係があったからなんです。(p179)
 刑務所にいた1年間で悟ったことが3つある。 1つめは,信念を持って生きること。自分がぐらついていたら周りもぐらついて,誰もついてこなくなる。(中略) 2つめは,やはりひとりでは生きていけないということ。(中略) 3つめは,目に見えない力で生かされているということ。万物の霊長,ご先祖様,両親に感謝するという思いをもった。(p180) 
 まだ私は「生きていれば逆転もある。生きていればよいことがある」と思っています。生きている限り,生涯政治家をまっとうしたいと思っているんです。(p182)
 「裁きの座に悪が,正義の座に悪がある」ことは,現実のこの世界では,残念ながらあり得ることなのである。月並みな人間ならば,「正義の座」に悪があるという現実に直面して,人生を半ば諦めてしまう。しかし,鈴木氏は,いずれこのような状態は是正される「定められた時」があると確信していた。それだから,人間に対する愛と信頼とを失わず,闘い続けることができるのである。(佐藤優 p215)

2015年12月26日土曜日

2015.12.24 中谷彰宏 『品のある人,品のない人』

書名 品のある人,品のない人
著者 中谷彰宏
発行所 ぱる出版
発行年月日 2014.10.24
価格(税別) 1,300円

● 品とは何か。品があるとはどういうことか。けっこう難問かもしれないね。
 では,品について語ることは,品のあることなのか。それとも品のないことに属するのか。これもけっこう難問だよね。

● とはいえ,以下にいくつか転載。
 「あの人,恥ずかしいことをやっている」と言う人は,自分自身のことがおろそかになっています。(p25)
 紳士の定義は,「紳士とは紳士的でないことを紳士的にできる人」です。品のある人は,品のないことも品のあるようにできる人です。(p31)
 品のある人は品のある人を見て,品のない人は品のない人を見ます。(中略)今も昔も,世の中には品のある人も品のない人もいて,その量はまったく変わりません。(中略)「品のない人が多い」と感じている人は,自分自身が品のない人だということです。(p52)
 私は,お店に行って「姿勢の悪い人がいるな」と思うと,見ないように気をつけています。見ると,姿勢の悪さがうつって腰が痛くなったりするからです。(p54)
 姿勢は服から直されます。燕尾服を着ると悪い姿勢をとることができません。燕尾服から姿勢を直されるのです。服装をきちんとすることによって,その人のしぐさが変わります。(p75)
 品のいい人も品の悪い人も,「自分は普通だ」と思っています。「まわりの人の中では,私はまだ品のいいほう」と思っているのは,まわりが同じレベルだからです。(p83)
 人間は,お客様になると品が下がります。(p105)
 オシャレなお店でも,土曜・日曜は急激にレベルが下がります。ふだん来ないお客様が土曜・日曜に来るからです。(p127)
 品のある人は,「今,ココ,あなた」を大切にします。(p139)
 胸で挨拶をし,胸で挨拶を受けることが大切です。顔だけで挨拶を受けると,感じが悪い。横柄な感じがします。(p166)
 ギリギリいっぱいで乗れた時に,自分だけ乗れて,安心して立ちどまる人がいます。あれは残念です。うしろにまだ乗ろうとしている人がいるのです。自分がセーフだった時が,一番危ないのです。(p197)

2015年12月23日水曜日

2015.12.23 番外:DIME 2016-2月号 ニッポンのホテル超賢い使い方

編者 大高和久
発行所 小学館
発行年月日 2015.12.16
価格(税別) 639円

● 外国からの旅行者が増えていることは,田舎にいても感じること。2011年こそ東日本大震災で落ちこんだものの,翌年には回復し,以後もかなりの勾配で上昇している。
 特に,東京ではホテルが足りないと聞く。実際,都内のビジネスホテルがなかなか予約できなくなっていることは,自身の経験で実感している。

● 「インバウンド」と言ってるんですね。2020年以降はそのインバウンド効果も下向くと予想されている。オリンピックがピークということですか。
 が,たぶん,現在の訪日観光客の増加は,オリンピックとはほとんど関係ないよね。ひとつには円安。もうひとつは,日本国内の諸々のコンテンツが充実しているからだろう。

● 訪日観光客が無限に増え続けることはもちろんあり得ないけれども,いずれ高値安定ってことになるんでしょ。

● 宿泊以外のホテルの利用の仕方っていうのは,昔から変わらないものだ。朝食を食べに行くとか,商談にラウンジを使うとか。
 ひと頃,ビジネスセンターというのが脚光を浴びたことがありましたね。エグゼクティブビジネスマンに秘書機能を提供するというもの。そこに平凡なサラリーマンが群がった(のかどうか)。
 ソウルのあるホテルのビジネスセンターで,白人男性が複数の女性スタッフを相手に雑談していたのを目撃したことがある。ビジネスセンターをホステスのいるクラブのように使う。あ,こういうふうに使えばいいのかと妙に納得したものだった。

● そのビジネスセンター,今はどうなっているのか。閉鎖されたか,閉鎖はされないまでも無人化されたか。あるいは装いを変えてそのまま残っているのかなぁ。
 ファックスやパソコンが高価だった頃の徒花だったんですかねぇ。現在のようにネット回線があたりまえになると,ビジネスセンターも秘書機能も必要なくなった。

● アマン東京も紹介されている。そういえば,アマンが東京にもできたのだったな。どうなんだろ,東京のアマン。
 どうなんだろといっても,ぼくには関係のないことだけどね。

2015.12.22 和田秀樹 『一生ボケない脳をつくる77の習慣』

書名 一生ボケない脳をつくる77の習慣
著者 和田秀樹
発行所 ディスカバー21
発行年月日 2014.02.20
価格(税別) 1,300円

● こういうタイトルの本を見ると,無視できない年齢になってきた。

● 人が老いを自覚するのは,物覚えが悪くなった,階段を昇るのがしんどくなった,といった記憶や運動に関するところから。
 が,そういうものは側頭葉や頭頂用の作用であって,じつはもっと重要なものがあるという。感情とそれを司る前頭葉の老化だ。
 人間は,“思わぬところ”から,思わぬほど早い時期から老化が始まり,しかもそれを放っておくと体も見た目も老けてゆき,ボケまで始まってしまうので要注意です。 この“思わぬところ”とは--「感情」です。感情は40代頃から老化し始めるのです。(p1)
 前頭葉の鍛錬にあたって,特に意識しておきたいことがあります。それは,「入力(インプット)系より出力(アウトプット)系が肝心」ということです。(p4)
 記憶より想起の方が大事だということ。

● ほかにも,いくつか転載。
 多くの人は日常,「考えて文章を書く」という機会はほとんどないのではないでしょうか。仕事の予定を手帳に書き込む,会議の要点をノートに記録する,電話の内容をメモする--これらはあくまで書き「入れる」作業であり,記憶や考えを書き「出す」作業とは一線を画します。(p45)
 「脳」というのは,他人とのネットワークから大きな快感を覚え,より活性化するもの。逆にいえば,無口になって人と話さなくなった生活,ブログやFBなども利用せずこれまでの枠を出ない付き合いしかしなくなってしまった生活のなかでは,脳はしょぼくれ,どんどん縮んでいってしまいます。(p47)
 知識や情報もため込むだけため込んで「使わない・出さない」でいれば何の役にも立たないように,お金も「貯める」ためではなく「遣う」「出す」ためにあるのです。(中略)お金の遣い方には,人それぞれの表現力やオリジナリティが如実に現れてきます。(p51)
 中高年以降の「勉強」はいかに入力の割合を下げるか--そこがポイントになります。(p57)
 「数学オリンピックの優勝者は数学者としては大成しない」と言われますが,数学オリンピックのように「解く力」を競うところで長けていても「問題をつくれる力」がなければダメ(p139)
 この「円満な生活」というのは,前頭葉への刺激も少ないため「ボケる」リスクが高いのです。(p141)
 脳のアンチエイジングを目指すなら,人付き合いへの「投資」は必須と心得ましょう。(p155)
 健康オタクも不調自慢も,「健康」くらいしか関心事がないということ,それだけ脳に刺激のない人たちということで共通していますが,そんなことをやっているヒマがあるのなら,新たに興味の持てることを探し,一所懸命になることです。そうすることで脳が喜び,むしろ真の健康を得ることができるはずです。(p183)
 アマチュアは自分の欠点を補おうとするが,プロは欠点に目をつぶっても自分のよさを伸ばしていこうとする--といいますが,実はそこが,人を惹きつけるプロと,どんなにうまくてもあまりオーラを感じさせないアマとの違いなのです。前頭葉が衰える年代になったら「ベストアマよりプロ的な何か」を目指したいものです。(p187)
 スキルやテクニックにはまりやすいのも,前頭葉が老化したときに現れやすい傾向のひとつですが,それであればなおさら,スキルやテクニックなどは二の次にして,「上手になる」より「好きなようにやる」ことを目指したほうがよいのです。(p191)

2015年12月18日金曜日

2015.12.16 茂木健一郎 『人工知能に負けない脳』

書名 人工知能に負けない脳
著者 茂木健一郎
発行所 日本実業出版社
発行年月日 2015.09.01
価格(税別) 1,300円

● 再び,人工知能が脚光を浴びつつある。その人工知能がどんどん発展し,ぼくらの周りにあたりまえのように存在するようになったとき,人工知能といかに対峙していくか。人口知能に埋もれないでいられるためには何が必要か。
 そういう話が本書では展開される。

● ただし,人工知能と違っていればそれでいいというわけでもなく,人口知能的なものを具備していることが重要でもあるらしい。

● 以下に多すぎる転載。身体性というのが,ひとつのキーワードになってるようだ。
 もともと私たち人間の脳は,論理(ロジック)と感情(エモーション)という二つの軸のうち,感情のほうに重点を置いて発達してきました。 そのため,論理的な思考は苦手な傾向がある一方で,非常に豊かな感情表現を備えています。だからこそ,対人関係において巧みなコミュニケーションをとることができるのです。(p33)
 ここで重要なポイントとは,Googleは研究論文などひとつも発表していないということです。なぜなら,そのようなことは何の意味もなさないという現実を彼らは知っているからです。(p38)
 ルールを逸脱しても大丈夫なように,人工知能が後始末してくれる,要するに“ケツもち”は人工知能がやってくれる時代になることで,私たちはより一層,仕事でも勉強でも冒険やチャレンジができるというわけです。 英語のスペリング一つを取ってみても,ミススペルしてもコンピューターが瞬時に正しいスペルにしてくれます。そういう「人生のミススペルを恐れない」イメージで,自分たちの生き方を捉えていくことが大切なのです。(p43)
 スイスの名門寄宿舎学校で世界一学費が高いといわれている「ル・ロゼ」では,年間約1500万円かかるといいます。 それこそ,各国の王族やセレブといった世界中のお金持ちの子息,子女たちが集まり,非常に細かい個人別のカリキュラムで勉学に励んでいるわけですが,おそらく人工知能が発達していくと,このような名門学校で提供しているサービスと同じものが100円ほどのアプリで実現できてしまうかもしれません。(p51)
 人工知能の発展によって,私たちが働く速度,生きる速度がどんどん加速しています。これについていけない人は,やはりチャンスを活かすことが難しいでしょう。(p59)
 人工知能に対しても,おそらく“ラッダイド運動”が出てくると思います。なぜなら,現状でさえテクノロジーの進化に何らかの不安を抱えている人たちがいるからです。(p68)
 知性というのは,すなわち「危うさ」であるとも言えるのではないでしょうか。なぜなら,危うさを制御するために知性があるからです。そこで何もしないでじっとしているのであれば,知性など要らないのです。(p65)
 最近,私のまわりで成功している一流のビジネスパーソンを観察している中で,ある傾向を発見しました。それは,富と名声を手にした成功者の究極の自己啓発として,「身体性の向上」が挙げられるということ。(p74)
 経済的な格差社会と言われているようでも,実はネットが登場して以来,自分の脳を鍛えるリソースにアクセスするコストは限りなくゼロに近づいてきているということ。つまりは,お金の格差が元になって格差を生み出しているのではないということです。 では何が原因かというと,実は,持っている情報やマインドセットの格差です。(p75)
 ツイッターやFacebookを使いこなして積極的にコミュニケーションを取れない人というのは,「違う世界」で生きていると言わざるを得ません。 ここで何が言いたいかといえば,現状でもすでにITを使いこなせる人と使いこなせない人の間には,「生きている感覚」に大きな差が生まれてしまっているということです。(p84)
 そのような外部性ノイズへの対応策として私が提唱したいのが,「基本的に無視する」ということ。これに尽きます。(中略) しかし,私たち日本人は意外とそのようなノイズにムキになって付き合ってしまう傾向があります。(p96)
 身体性で伸び悩んでいる人というのは,まさに脳への負荷をかけることから逃げている人が多く見られます。(中略)誤解を恐れずに言えば,負荷をかけるというのは本来楽しい作業です。なぜなら,それは自分の成長をもっとも実感できる機会だからです。(p118)
 ネットの情報にしても,科学や技術,文化的なものも,最高のレベルは英語圏に集まっているということも覚えていてほしいと思います。(中略) これが何を意味するかと言えば,英語で参加しなければ最高の舞台には上がることができないということ。(p117)
 大半の人はToDoリストを“外”に持っている,つまり,手帳やスマホで管理しているのではないでしょうか。 ところが,私の経験から導き出した結論として,成功している経営者や優秀なビジネスパーソンとうのは,ToDoリストを常に頭の中に持ってその情報をリアルタイムで書き換えているのです。これは,まさに人工知能のアルゴリズムと似た発想です。(p121)
 人間の仕事もコモディティ化してしまったものは,どんどん価値を見出せなくなってくるでしょう。それを私自身が肌で感じているのが,大学の非常勤講師という仕事です。(p123)
 トラブルというものの本質を分析してみると,意外とチャンスだったり,リスクをヘッジできるものであったりすることが多い(p127)
 人間は制約を設けられたときに,「できる理由」よりも,「できない理由」を見つけることが得意だと言えます。 また,「できない理由」といっても,人工知能的な発想で考えれば,できない理由にすらなっていないケースも見られます。なぜなら,たいていの場合は感情が邪魔して思考停止に陥ってしまい,ひとつでも「できる理由」を見つける努力をしていないからです。(p130)
 人間の判断はたったの2秒,その直感やひらめきによって,人は物事の本質を見抜いていることが多いという数多くの事例や学術的根拠が存在することがわかったのです。 このようなことから導き出される答えとは,データを蓄積しなくても結論がすぐに出せるというのが人間の強みでもあるということです。(p133)
 実は,人工知能的なアプローチ,すなわち論理的で網羅的,緻密で非常に公平な思考ができる人のほうが,かえって直感をうまく使うことができるということが脳科学の研究でも明らかになっています。(p136)
 とにかくこれからの時代はスピード感を持って直感を信じて行動してみるべきなのです。それこそが,直感力を磨いていく最良の方法でもあるからです。(p139)
 私がよく受ける質問に,次のようなものがあります。「茂木さんのおススメの本を教えてください」 このような質問もまた,自分の直感やセンスを磨くうえでの足かせになっていくことを知ってほしいと思います。そもそも,自分で読みたい本は自分の直感で選ぶべきなのです。(p144)
 人工知能がなかなか追いつけない人間の感性こそ,「好き嫌い」なのです。(中略)とにかく自分の気持ちに正直に,「好き嫌い」を大事にしてみる。(中略)特に,「嫌い」という感覚よりも,まずは「好き」という感覚を磨いてほしいと思います。(p148)
 自由というのは「何も束縛がない状態」ではなく,むしろ「制約が存在することを自覚していることが,一番の自由だ」ということです。(p158)
 安定した人生にはそれほどの知性は必要ありません。知性を養っていくためには,リスクがあって浮き沈みのある,不確実性が多い人生ほどよく,それは同時に,脳にとって成長を遂げていくチャンスだということ。(p159)
 ITを中心にして,技術的進歩が加速化していくのが,まぎれもなく人工知能時代の非常に大きなトレンドです。(中略)だからこそ,できることは瞬時に済ませるという癖をつけることが大事です。(p178)
 実際にどのようなときに人間は落ち込んだり,ストレスを感じるのでしょうか。脳科学者として言うならば,「飽きる」ということです。 「飽き」というのは,新鮮なことがないという状態。それは人間の脳が活動していない証拠なので,気持ちを落ち込ませる元になるのです。(p179)
 人間というのは多少不便でも我慢して,それが当たり前だと思って受け入れてしまう習性がある。いわゆる「我慢の美学」みたいなものです。 でも,そんな美徳はなるべく捨てたほうがいい。そうなれば,それだけ人生を楽しめる時間の余裕ができるのです。(p189)

2015年12月14日月曜日

2015.12.13 番外:POPEYE1月号

編者 木下孝浩
発行所 マガジンハウス
発売年月日 2015.12.10
価格(税別) 704円

● 「もっとデートしよう。そして彼女を笑顔にしよう。」
 男を奮い立たせるのに,これほど効果的なコピーはそうそうないね。男の基本は単純(女もそうかもしれないけど)。男の場合,行動の動機の究極は“モテたい”だろう。

● この雑誌は,どんなデートにするか,具体例をいくつも挙げてくれている。それを参考にしちゃうのは,もちろんモテない男たちだろうな。
 ならば,この雑誌はなんのために読むのか。中条あやみを始めとして,登場しているモデルたち(少女から大人に移るあわいにいる子たちが多い)を愛でる。ほぼ,それに尽きる。

● 次の一行は,ぜひとも紹介したい。っていうか,懇々と自分に言い聞かせたい。
 人類最大の敵は「面倒くさい」だ。(樋口毅宏 p47)

2015年12月12日土曜日

2015.12.09 桐山 勝 『万年筆国産化一〇〇年 セーラー万年筆とその仲間たち』

書名 万年筆国産化一〇〇年 セーラー万年筆とその仲間たち
著者 桐山 勝
発行所 三五館
発行年月日 2011.03.03
価格(税別) 1,600円

● 長原宣義,川口明弘,石丸治といった,セーラーゆかりの社員というより職人,を最初に登場させる。
 実際のところ,万年筆のヘビーユーザーは,会社の社長の名前は知らなくても,こうした職人たちのことはくまなく知っているものだろう。

● 会社としてのセーラーが他に秀でて賢かったとは思えない。会社あるいは組織というのは,常に必ず近視眼的で,目の前にあるもの以外は見えないものだ。組織は馬鹿者である。
 が,組織内の個人を見ると,先が見える優秀な人がいる。そういう個人が組織を救う。組織あるいは経営が,組織内の個人を救うことはない。
 セーラーもまた,そういう企業であったようだ。

● 筆記具,特に万年筆は,文化の体現者と見なされやすい。万年筆の使用者もまたしかり。文字を書くというのは文化の根幹だから。
 このあたりが,万年筆ユーザーの優越感をくすぐるところかもしれない。

● デジタル化のこの時代に,紙の手帳の売上げはかえって増えている。万年筆もひと頃の不振期を脱して久しい。
 インターネットが普及して,誰もがネットに投稿するようになり,人の投稿を読むようになった。たしかに本は売れなくなっているのかもしれないけれども,読まれる文字量(?)はネット以前より大きく増えているはずだ。
 それを経た人たちが,再び,紙と万年筆の世界に戻ってきているのだとすれば,この国の筆記文化,読書文化の懐は,巷間言われているよりも相当に深いところに達しているのかもしれない。

2015.12.06 津田大介 『Twitter社会論』

書名 Twitter社会論
著者 津田大介
発行所 洋泉社新書
発行年月日 2009.11.21
価格(税別) 740円

● 本書が刊行されたのは東日本大震災の前。Twitterは多くの人の命を救ったとも言われたし,風評被害を拡散したとも言われたが,本書刊行の時点ではそんなことは知る由もない。
 それと,まだスマホが普及する前だった。iPhoneが出たあたりだろうか。このあと,短時日のうちに,スマホがガラケーに取って代わることになるわけだけど,本書が書かれた時点ではスマホは一般的ではなかったようだ。

● したがって,この時点でTwitterを始めていた人っていうのは,スマホの導入も早かった人。マーケティング用語でいうアーリー・アダプターになるんでしょうね。

● 以下に転載。
 ユーザーが日常の他愛もないことを140字で書き込んでいくだけというサービスは,「人間同士のコミュニケーションは,得てして他愛もないことから始まる」という彼(ジャック・ドーシー)の信念によるものだった。(p16)
 ユーザーのアイデア次第でツイッターはどんな目的でも使うことができる。単なる日常生活の報告ツールという枠組みで捉えていると,ツイッターの本質は見えてこない。(p45)
 そんな多彩なつぶやきの中,特に筆者の興味を引いたのが,何かの現象や出来事,ニュースを目の前にしたときに,そこから派生して感じたことや普段から考えていることをメモ的につぶやくというものだ。(中略)自分でもツイッターに日々の生活の中で思いついた提案や教訓,仕事をしていて知ったちょっとした豆知識などを積極的につぶやくようになった。すると,ツイッターの使用感がガラッと変わったのだ。自分の思考をあいまいなまま「垂れ流す」ことで,(中略)当初は想定していなかったイレギュラーな出来事が次々と起き,ツイッターというサービスが筆者にとってどんどん刺激的なものになっていった。(p55)
 SNSは相互承認プロセスがなければユーザーは情報を見られないので,情報の伝播力でツイッターに劣る。ブログはハッシュタグのように特定の話題で一覧できるような連動性や,話題に対して即座に反応できるというリアルタイム性でツイッターに劣る。(p102)
 事後の細かい監視作業は調査報道と同じで非常に時間・金銭的コストがかかる。メディアやジャーナリストも商売である以上,コストに見合わないことをやり続けるというのは難しい。(p102)
 ブログ時代は「メイン=マスメディア」と,「サブ=ブログ」という明確な力関係があったが,ツイッター時代になり,両者は徐々にフラットな立ち位置に向かっている。その方向に向かえるのは,ひとえにツイッターの持つ強烈な属人性とリアルタイム性が個人の情報発信力を最大化させているからだろう。(p117)
 まずは賞味期限が短い情報を旬の内に発信しておいて,後から形を整えてブログに掲載するといった利用もできるだろう。(逢坂誠二 p120)
 公職選挙法が改正され,ネットで情報発信することのインセンティブが高まれば,ツイッター議員が増えることは十分予想できる。そうなればどぶ板的人情論でなく,冷静に政策ベースで支持する議員を選びやすくなるという意味でネットユーザー側にも大きなメリットがある。(p131)
 こういうのを筆の滑りというのか。冷静な政策ベースの議論って,どぶ板的人情論に勝るかい? どぶ板人情論を実践できてない議員が,頭で冷静に政策を語ってみたところで,何も始まらないだろうよ。むしろ,票は逃げていくのではないか。
 ストックされることの多いメルマガより,個々の日常に密接したライムラインに突如「オトク情報」が入ってくるツイッターの方が購入欲が喚起されるのは疑いがない。 というのも,ネット通販における大原則は「ユーザーに考える時間を与えたら負け」だからだ。ネット通販は,購入までの確認画面を1つ挟む度に購入率が落ちていく。(p141)
 ツイッターで人気を集めやすい書き込みはまさに,そうした現場の人間にしかわからない裏話やエピソードだ(p144)
 そもそも閑古鳥が鳴いている「企業ブログ」を放置しているような企業がツイッターを試してみたところで結果は同じなのだ。(p154)
 いいつぶやきをしていくことが大事ですよ。私はマーケットを信頼している方なので,ちゃんといいものを提供している人はきちんと見つけられると思っているんです。(勝間和代 p172)
 結局,人から直接聞いた情報が一番質がいいんですよ。ツイッターは当然文字ベースのサービスなんだけど,ブログやニュースサイトに比べると,その情報はかなり「生」に近い。(勝間 p178)
 こうしたツイッターの本質は,ある程度フォローする人数を増やさなければ理解することができないだろう。(中略)ツイッターの独自性が理解できるのは,知り合い以外も含めて100人以上フォローするあたりからだ。そうするt,新聞やテレビなどのメディアを見るような感覚でツイッターを楽しめるようになってくる。 そしてライムラインの景色が変わるのが,フォロー数300~500を超えるあたりだ。ここまでフォロー数が増えると,情報の流れも速いため,「タイムライン上の情報はすべてみなければいけない」といった強迫観念から解放される。(p189)
 ツイッターの一番の楽しさは,自分が好きな人の他愛もないつぶやきを見て笑ったり,共感したり,ときには噛みついたりして,その人のことをより好きになっていく,そのプロセスにあるんじゃないかな。とにかく「人間」が好きな人なら,何らかの方法で絶対にツイッターを楽しめること請け合い。(p191)
● 今までTwitterの解説書は何冊か読んでいると思う。が,本書を読んで初めて,自分のスマホにTwitterアプリをダウンロード&インストールした。速攻でアカウントも取った。
 さて,このあとはどうすればいいんだ? 気になる人たちをどんどんフォローしていくか。

2015年12月5日土曜日

2015.12.04 和田茂夫 『「手書き」の力』

書名 「手書き」の力
著者 和田茂夫
発行所 PHPビジネス新書
発行年月日 2008.10.03
価格(税別) 800円

● ぼくは現在は小型ノートをいつも持ち歩き,じじゅうチョコチョコ書いているけど,ワープロ登場後,長らくデジタル崇拝派だった。
 いくら書いても重量というものが発生しない。修正がいくらでもできて,その跡が残らない。ビジネス文書は一度作っておくと,何度でも使い回せる。
 何より,手で書くよりキーボードから入力した方が省エネになる。つまり,疲れない。ある程度まとまった文章を書くなら,断然,キーボード入力がいい。

● ので,すべてデジタル化できたらどんなにいいだろうと思っていた。特に,キーボード付きのザウルスが出たときには,これで長年の宿願(?)が達成できるかもと思った。
 現在でも,その夢が頭をもたげてくることがある。ポメラを使えばそれができるんじゃないかと思ってしまったり。

● この本の著者も,オールデジタル化を実践したことがあるそうだ。が,つまくいかなかった。そういう実体験を踏まえて,手書きの効用を説いているので,ぼくとしてはかなりの説得力を感じた。
 観念やイメージを排して,実利のみで押していく。

● 背中を押してもらえたような気がする。そういう意味で,これは読んでよかった本。

● 以下にいくつか転載。
 人に送る年賀状や暑中見舞いはもちろん,自分で使うスケジュール帳やToDoリストもすべて,パソコンや携帯情報端末で処理しようとした。 だが,どうもうまくいかないのだ。(中略) うまくいかない理由がわかったのは,ある編集の人のひと言がキッカケである。その編集者は,私の別の本に掲載された自筆のメモをみてこう言った。「やっぱり手書きは迫力がありますねえ」 そうだ,手書きには,それだけで一つの「力」があるのだ。(p4)
 アナログの良さは,私なりに説明すると「情報量」の多さである。たとえば,「あ」という文字をパソコンなどのデジタルデータとして入力すると,二バイト。(中略)だが,手書きで「あ」と書いたときの情報量は,その比ではないはずだ。文字データとしては二バイトかもしれないが,その人の書きグセや筆圧の違い,字の大きさや微妙な変形を含めれば,膨大な情報量になる。 この膨大な情報量で,情熱を持って力を込めて書いた,相手のことを思ってていねいに書いた,といったことも情報として記録さえる。そしてそれが,見る人に伝わるのだ。(p7)
 印刷された文字と,画面上に表示される文字が圧倒的多数で,手書きはむしろ少数派だ。絶滅危惧種の希少動物ならぬ希少文字種である。 希少であるからには「希少価値」がつく。つまり,手書きはもの珍しく,それだけでも価値が高いのだ。(p34)
 自分より字がヘタ(と思われる)人が,ていねいに書いた字は好感度が高い。(p42)
 手書きのメッセージは,世界中に同じものが二つとない。たとえば,月並みな「よろしくお願いします」とう一文でも,同じ人が同じ紙とペンを使って同じに書こうとしても,厳密にまったく同じに書くことは,まず不可能だろう。(p45)
 今年の目標とか,人生のモットーとかを手帳に書いておくことがあるが,これも手書きに限る。長い間見るものだと思うと,つい,ワープロソフトできれいにプリントアウトしたくなるが,多少見苦しくても自分の字が実はいちばん効果的なのだ。(p61)
 手書きにすることで何が変わるかというと,コミュニケーションの性質が変わるのだと思う。パソコンでつくった書類などは,どうしても不特定多数に向けてつくられた印象を与えてしまう。(中略) それに対して手書きは,間違いなく「パーソナル・コミュニケーション」だ。(p62)
 パワーポイントなどを使うと,つい付属のテンプレートを使って済ませたくなるものだ。だが,手書きのラフスケッチをつくれば,自分のもともとの発想が一度形になる。 それが自由な発想を伸ばすトレーニングになるのである。(p83)
 メモがとりやすい状況で,メモがとれるのはあたりまえだ。しかし普通はメモがとれないような状態でも,簡単にメモがとれてこそ本当のメモと言える。(中略)心がけだけでは,うまくいかない。いつでも簡単にメモがとれ,メモがとりにくい状況でも比較的楽にメモがとれる環境が必要なのである。(p94)
 「沈思黙考」と言うが,何もしないでただ考えるというのは,実はあまりよい方法ではないらしい。それよりも,文字や図をかきながら,手を動かして考えてみるほうがいいのだ。 このように手書きには,アイデアを考えたり,考えをまとめたりするのを助ける働きもある。伝えるだけではないというのが,手書きの奥深いところだ。(p155)
 どんな場合にも言えることだが,方法とかコツなどのソフトウェアとともにハードウェア,つまり道具の助けを借りることである。 (中略)その場その場に適した道具を持っていれば,手書きは楽に,楽しいものになる。ストレスが減るのだ。(p173)

2015.12.02 美崎栄一郎 『結果を出す人はノートに何を書いているのか』

書名 結果を出す人はノートに何を書いているのか
著者 美崎栄一郎
発行所 ナナ・コーポレート・コミュニケーション
発行年月日 2009.09.17
価格(税別) 1,400円

● 本書が著者のデビュー作らしい。この1年後に『実践編』も出ており,そちらは出たばかりの頃に読んでいる。

● 以下にいくつか転載。
 ノートに蓄積していないと,あなた固有の経験は消えていきます。ノートに蓄積し,検索できるのは,あなた自身の知識と経験です。グーグルで検索できるのは,他人の知識と経験です。(p4)
 記憶を引っ張り出す「鍵」としては,そのときに使っていたモノを用いるのが一番有効なのです。(p54)
 スケジュールは「紙」でマネジメントするべきです。いろいろ試行錯誤したので,これは断言できます。(中略) 今のところ,どんなツールも紙のスケジュール帳より早く情報にアクセスできません(中略)。スケジュールを決める際に,相手を待たせることになってしまいますので,私はデジタルツールを使わないのです。(p127)
 自己投資も複利なのです。(中略)自己投資は短期で運用するべきだと思います。(p164)
 仕事での活用を意識するのであれば,本の情報をどう活用するかのほうに重点をおくべきなのです。 ここでいう活用とは,「本の内容を,自分の仕事の中でつぐに使う」ということです。(p173)
 知り合った人を自分の人脈として大事にしていくのにもっとも大切なことは,相手に興味を持つことです。(p190)

2015年12月4日金曜日

2015.12.01 番外:twin 2015.12月号-冬のごちそう 至福の煮込み料理

発行所 ツインズ
発行年月日 2015.11.25
価格(税別) 286円

● 冬の煮込み料理はたしかにごちそうだ。栃木県内のレストランが出す,煮込み料理を写真と文章でご紹介。

● が,だ。レストランで白い皿で供される洋風の煮込み料理より,和風の,たとえばおでん,煮込み料理に惹かれますなぁ。
 煮込み料理とくれば,当然,酒が付きもの。熱燗じゃなくていい。熱い煮込みに冷たい酒。これが冬の楽しみ。

● さらにいうと,これを味わうためにわざわざ外に出るのも億劫だと感じるようになってきた。家で作った素人おでんで充分だ。

2015年11月30日月曜日

2015.11.30 指南役 『情報は集めるな!』

書名 情報は集めるな!
著者 指南役
発行所 マガジンハウス
発行年月日 2010.03.25
価格(税別) 1,300円

● この情報過多の時代に情報を集めようなんて,やってることが真逆だよ。そんなこと,やめちゃいなよ。インターネットもいいけど,それほど使えるものじゃないからね。
 というような内容。

● 何より,体験だよ。面白い体験をたくさんして,それに引っかかってくるものを拾っていけばいいんだよ。あと,メモって大事だからね。
 そういうことが書かれている。 

● 以下にいくつか転載。
 一昔前の情報整理術なんて役に立たない。やれハーバード式だ,やれ超整理法だと言っても,それらのノウハウは,情報の総数がかろうじて把握できた時代の話。それが天文学的数字にまで膨らんでしまった現代にあっては,その種の作業は時間だけがやたらにかかり,終わりが見えない。(p3)
 アイデアを生み出すために一番確実な方法は,面白い演劇を見たり,話題のレストランに行ったり,新進気鋭の研究者の話を聞いたり,とにかく多種多様な経験を積むこと。そうやって知識の量が増えれば増えるほど,アイデアが降臨する機会も増える。断言していいけど,何も見聞しないでアイデアが閃くことは絶対にない。(p17)
 この世にアイデアマンなんていない。そう思われている人がいたら,気の遠くなるような努力を積み重ねている人である。 0から1は生まれない。「面白い」と思える体験をどれだけ積み重ねているか。それがアイデアマンと凡人との境界線になる。(中略)逆に言えば,記憶のストックがなければ,ある分野において有用な情報を探そうとしても,それは雲を掴むような作業になる。(p18)
 恐らく僕はそれまでに何度も同じ種類の情報に出会っている。でも,その時は必要に迫られていなかったので,見過ごしていた。必要になって初めて,その情報が目に見えたのである。(p24)
 あなたが欲する情報はこの世に氾濫し,常にあの手この手であなたにアプローチしている。情報を入手するのに,わざわざ外国に出かけたり,学者先生に話を聞く必要はない。興味さえ持てば,あなたが欲しい情報は,あなたの手の届くところにある。(p27)
 人間というのは基本,出し惜しみが苦手である。200ページのビジネス書を書くとしたら,筆者は自分の知識を早く披露したがるので,大抵,最初の章に書いてしまうことが多い。(p58)
 僕はあんな風に気軽に質問できない。何か壁にぶつかったら,つい自分で解決しようと思ってしまう。でも,人に聞いたほうが手っ取り早いし,そのほうが解決に結びつくケースも多い。個人の力など,たかが知れているからだ。(p83)
 ネットというのは膨大な情報があるようで,その実,コピー&ペーストが大半。(p84)
 「サロンから文化は生まれない」という言葉がある。同好の士が集まったところで,そこから斬新な何かが生み出せることはほとんどないという意味。なぜなら,独創的な情報や才能を持っている人物など,ほんの一握りしかいないからである。(p110)
 現場の空気は,毎日オンラインで本部に上がってくる売上げのデータからは見えてこない。お客さんの顔やスタッフとのやりとり,お店の特徴などは,頻繁に現場に足を運ばないと見えてこない。それができるのは,時々,店に顔を出す本社の役員ではなく,四六時中店に貼り付いている店長である。(p116)
 東京の情報は地方の人間に聞くに限る。東京に目が向いている地方の人間は,出張などの際,限られた時間を有効に使おうと,常に最新のデータが上書きされている。ダラダラと東京で生きている人間よりも,遙かに東京に精通している。(p125)
 歴史を紐解くと,アメリカの米西戦争やナチスの政権獲得なども,民意の強力な後押しで成されている。権力者が暴走したわけじゃない。民主主義において,国民は常に正しい選択をするとは限らない。(p126)
 あなたのことを一番よく知るのは,多分,あなたじゃない。あなたの友人であり,恋人であり,家族である。(p131)
 書けない日もある。書きたくない日もある。そういう時はどうしたらいいか? チャンドラーはこう言っている。「たとえ一行も書けなくても,とにかくそのデスクの前に座りなさい。デスクの前で2時間じっとしていなさい」 ペンを持って書く努力をしなくてもいいが,その代わり,他のことをしてはいけない。(p140)
 「聖書,ギリシャ神話,ウィリアム・シェークスピアの戯曲の中で,人類の本質的な物語は全て語られている」「それにもかかわらず,それらの根本的なプロットには数千のヴァリエーションがあり,我々は様々な形式や登場人物を使って偉大なストーリーが何度も何度も語られるのを聞くことに,けっして飽きることはないようである」(p145)
 何か新しいことを始めたい時,何も前を向いて最新の情報に目を光らすことはない。後ろを向いて,先人たちの優れた古典を紐解けばいい。(中略)どだい人間の想像力など,たかが知れている。あなたがオリジナルのアイデアと自画自賛していても,大抵,先人も同じことを考えている。(p148)
 どうやって,それらの情報を集めているかって? これが,何もしないのだ。(中略)日々,いつも通りの生活を送るだけ。しかし,それだけで,自然とネタが天から降ってくるのだ。ウソじゃない,本当だ。あとは,それをメモればいい。(p157)
 エジソンやアインシュタインなど,天才と言われた人たちの多くはメモ魔だった。(p157)
 「ちょっとトイレ。あとでメモるから」「お茶を一杯。メモはそのあと」-などと悠長なことを考えていると,間違いなく忘れる。たとえ午前3時であっても1秒後にメモらないと,間違いなくあなたはその他の場面でも同じような過ちを繰り返す。(p162)
 メモはできる限り,詳しく書いたほうがいい。単語の羅列は,その時は理解できても,後で読み返すと理解できない。(p162)

2015.11.29 伊藤まさこ 『東京てくてくすたこら散歩』

書名 東京てくてくすたこら散歩
著者 伊藤まさこ
発行所 文藝春秋
発行年月日 2007.05.10
価格(税別) 1,143円

● 京都編に続いて,東京編を。こちらの方が先に刊行されているんだけど。
 東京は日本最大の観光地でもあって,見どころにはことかかない。その中から,吉祥寺,根津・谷中,二子玉川,田園調布・等々力,浅草,西荻窪,青山,本郷,築地,代々木上原,神楽坂が紹介されている。
 銀座や新宿,渋谷は出てこない。こうして並べてみると,東京の中でもしっとりしたところが選ばれていることがわかる。伊藤さんの好みなのか,版元の意向なのか。

● ぼくの好みはというと,名所旧跡や歴史的建造物よりも,近過去(?)の残存物-当時の人たちの生活の残り香が感じられるようなところ-か,思いっきり現代的な建物や施設に惹かれる。
 といって,具体的にここに行きたいというのはないのが困る。

● 京葉線の新木場で降りて,錦糸町まで歩いてみたいとか,上野を起点に谷根千あたりまでやはり歩いてみたいと思ったりはするんだけど。
 してみると,下町に惹かれているのかねぇ。

2015.11.28 番外:ラーメンWalker 栃木 2016

編者 長瀬正明
発行所 KADOKAWA
発行年月日 2015.10.29
価格(税別) 800円

● 午前中,トヨタのディーラーに行く用事があって。そこの応接室というか待合室に置いてあったので,頼んだ作業が終わるまでの間,この雑誌を見て過ごした。

● 自分が行ったことのある店は載っていない。ちなみに,ぼくが行くラーメン店は氏家の「みやこ家」と「登竜」,宇都宮のベルモールに入っている「風神社中」だけなんだけど。

● 行ってみようかなと思ったのは黒磯の「丸信」。というのは,「丸信」って昔は矢板にもあって,そこには何度か行ったことがあるからだ。あのラーメンはまた食べてみたい。
 逆にいうと,まったく行ったことのない店は,こういう雑誌に出ていても,あまりそそられないものだね。

2015年11月29日日曜日

2015.11.27 番外:GOETHE 2016.1月号-秘書こそ,仕事の羅針盤

編者 二本柳陵介
発行所 幻冬舎
発売年月日 2016.01.01
価格(税別) 741円

● 『GOETHE』恒例の秘書特集。その号はだいたい買う。なぜかというと,登場する秘書たちのビジュアルに惹かれて。メルヘンの世界にひたれるからね。
 この特集からイメージするところとリアルは,相当違うはずだけどねぇ。ビジュアルの影響力ってやっぱり大きいなぁと思いますね。

● 表紙は山本彩。こんな人に,秘書といわず,職場にいられたら,ぼくなら仕事にならないね。胸元をチラチラ見てしまうだろうな。この点に関しては盤石の自信があるね。

● 一部上場企業の秘書室にいわゆる“いい女”が集中しているのだろうな。ビジュアルもそうだけれども,礼儀作法とか言葉遣いとか,いわゆる教養とか。
 そうした若い(若くないかもしれないけれど)女性たちを企業が奥の院に囲い込むのは,社会の損失じゃないかと思ったりもする。ところが,外に出すと,彼女たちのそういう部分が薄まってしまうってことがあるかもしれない。

● 「人に嫌われない能力」という言葉が出てくる。秘書ってボスのスケジュール調整だけやってればいいというのは古典的な時代の話であって,今は,ボスに代わって折衝したりってこともあるんだろうから,これは大事な能力になるんだろう。
 が,この「人に嫌われない能力」っていうのが努力で身につくものなのかどうか。明るいこと,笑顔が多いこと。突き詰めてしまえばそれだけかもしれないんだけれども,それだけのことができない人にはなかなかできないもんね。

2015.11.27 番外:モバイル超仕事術 flick!特別編集

書名 モバイル超仕事術
編者 村上琢太
発行所 枻出版社
発行年月日 2015.12.10
価格(税別) 722円

● 買ってしまうんだなぁ,こういうの。自分がモバイラーになるなんて,ありっこないとわかっているくせに。
 さらにいうと,現実にモバイル的なことをしている人はかなりいると思われるんだけど,それってやらなくてもすむことなんじゃないのと感じることが多い。

● 「達人に聞く,モバイルワークの極意」と題して次の4人にインタビュー。これが本書の核をなすもの。
 四角大輔さん。日本とニュージーランドに住み処を持つデュアルライフの人。都心をニュージーランドで釣りに行くかのような格好で歩いている写真が載っている。本人の意思か取材側の要望によるものかはわからないけれど,格好いい。

● コクヨでCamiAppを推進する山崎篤さん。加ト吉にいた末広栄二さん。広告業に携わりながら大学院に通う中村光代さん。ライブ・アースの庄司真史さん。
 山崎さんはいろんな機材を使い分けるタイプだが,末広さんはiPhoneのみ,ほかの3人はスマホ(全員がiPhone)のほかにはパソコンがメイン。

● 末広さんの発言から2つ引用。
 今はみんな,何でも保管したがります。でも残したデータは,実際には使わないことの方が多い。メモしても忘れることは忘れるし,重要なことは忘れない。忘れてしまうのは,その程度の情報だからです。
 モバイルでExcelデータって見づらいじゃないですか。作る手間もかかるでしょう。それなら,目の前にある売上報告書の紙を写真に撮って送れ,と。
● もしぼくがモバイラーになるとして,そこでやることは何かといえば,テキスト入力だ。とすれば,持ち歩くのはパソコンになる。今どきのパソコンは1㎏を切るのがあるし,起動も速い。
 が,iPad ProにSmart Keyboardを合わせて使うのも魅力的だ。重量はこちらのほうがパソコンより重くなるんだけど。

● でも,まぁ,タブレットはぼくには無用の長物で,持ち歩くとすればパソコンでしょうね。

2015.11.26 外山滋比古 『ライフワークの思想』

書名 ライフワークの思想
著者 外山滋比古
発行所 ちくま文庫
発行年月日 2009.07.10(単行本:1978)
価格(税別) 560円

● 知識の脆弱性と,ことばの,良きにつけ悪しきにつけ,強力な作用。このふたつが説かれている。

● イギリスのパブリックスクールを素材に島国の特徴を考える。イギリスについて言えることは日本にもあてはまるかもしれない。

● 以下にいくつか転載。
 日本人はこれまで,ヨーロッパに咲いた文明の“花”を切り取ってきて,身近に飾ることを勉強だと思い,それを模倣することをもって社会の進歩と考えてきた。(中略)これでは,いかにして花を咲かすかを考える暇は,もちろんない。(p10)
 もし人生が百メートル競走なら,スタートにおける五メートルの遅れは,決定的なつまずきになろう。だが,人生をマラソンと考えるならば,出足の遅速など問題にならない。マラソンのスタートでトップに立ったからといって,誰がその人の優勝を予想するだろうか。(p18)
 まず,何もしないでボーッとする時間をもつことだ。充実した無為の時間をつくることである。これがやってみると意外に難しい。たいていの人は,空白な時間を怖れる。よほど強い個性でないと,ぼんやりしていることはできないのである。本を読むのも結構だが,読まないのもまた,きわめて大切な勉強である。(p19)
 日本の文化はだいたいにおいて若年文化だ。若い時には華々しくても,少し齢をとるとまたたく間にダメになってしまう。日本の音楽家は十代のときには国際コンクールで優勝したりするほど水準が高いのだが,二十代ではだいぶあやしくなり,三十代になるとすっかり元気がなくなる。(p21)
 経験を思いつきとを一緒にし,これに時間を加える。この時間なしには酒はできない。(中略)頭のなかにねかせておいてもよいが,この二つのことを何かに書きとめておくのが便利である。そして,時々これを取り出して,のぞいてみる。のぞいてみて,何も匂ってこなければ,まだ発酵していない。(p27)
 エリートが齢をとるとだんだんつまらない人になってくるのは,彼らが一筋の道を折り返しなしに走っているからだろう。 前半の四十五歳くらいまでは,なるべく個性的に,批判的に,そして自分の力で生きていくのが,その人間を伸ばす力になるが,折り返し点をまわった人間は,もう小さな自分は捨て,いかにして大きな常識をとり込んでゆくかを考える。(p30)
 ことばで考えるのは技術的である。根本のところは体で考えるのでなくてはならない。体を動かさずに頭だけ働かすことができるというのは迷信であろう。(p39)
 横のものを縦にすることさえ億劫がるような人間が,ダイナミック(動的)な思考などと言う。空虚なことばの乱舞。(p39)
 近代において,比喩は,ほかに描写の方法がないとき,やむを得ず援用されるもので,できれば避けたいものと考えられている。(中略)こういう常識は発見の心理にいちじるしく不都合であるといわなくてはならない。(p61)
 ものが存在すると,そのものはそのかげにあるものをかくす。ものと同じように,知識もそのかげにあるものを隠蔽する。それで知識が多くなると,それだけものが見えにくくなる。(p66)
 発見するには,成心があってはならない。何とか発見してやろうというような緊張があってはならない。かたくなな心ではだけである。心を半ば空しくしている必要がある。(p72)
 自分のプライベートな利益のために,パブリックなものを利用しようとする考えは,いついかなるときも,卑劣である。(p175)
 役に立つ教育といったケチな目標でなされることが,子供の魂に火をつけるわけがない。(p176)
 デパートで正札千五百円の下着があまり売れないから,二千五百円に正札をつけ替えたら売れるようになった。品物を買っているのではなく,値段を買っている。(中略)高級品のイメージを買いたいのである。(p181)
 われわれは似たりよったりということを好まない。すこしでもほかの人たちと違ったことがしたい。賢くなりたい,美しくありたい,ひとより多くの収入がほしいと思う。これがまさしく“常民”である証拠だ。常民はだいたいにおいてどんぐりの背比べである。似たりよったりである。だからこそ,すこしでも違うところを見せたがる。逆にそれだけ一般的価値観につよく支配されていることになるのだ。(p195)
 どんなに巧妙なCMでも,リピートが不足していたのでは効果は上がらない。なぜか。繰り返しによって,表現が固有名詞に近い性格のものになるからである。(p218)
 人を傷つけると言う。実際の危害を加えなくても,ことばひとつで相手に当分立ち上がれないくらいの打撃を与えることができる。(中略)ことばの力はこんなにもつよいものである。(p223)
 わたしたちにとって本当の幸福とは,いったい何か。(中略) 心の楽しみがなくてはいけない。つまり,人からほめてもらうことだ。人をほめること,これがいまの世の中でいちばん欠けている。(p229)
 若さを保つにはどうしたらいいか。いちばん簡単なのは,新しいことばを毎日すこしずつ英語でもフランス語でも,あるいは朝鮮語でもマレー語でも結構。(p231)

2015年11月28日土曜日

2015.11.24 小山龍介・土橋 正 『STATIONERY HACKS!』

書名 STATIONERY HACKS!
著者 小山龍介
    土橋 正
発行所 マガジンハウス
発行年月日 2009.10.01
価格(税別) 1,500円

● HACKSというよりは,こんな文房具があるんですよという文房具紹介。
 とはいえ,なるほどこれは便利かもというのがいくつもあった。次のような文具だ。

● LEDブックライト(IDEA LABEL)
 超小型のブックライトで取り回しが楽そうだ。実際にそれほど使うことはあるまいと思われるけどね。

● ブックスタンダー(カール事務機)
 ぼくのこのブログは,読んだ本からの転載が多い。そういうときにこれがあると便利だ。価格も手頃。ぼくは丸形の事務用文鎮をふたつ使ってページを開いた状態で固定しているんだけど,新書なんかではこの方法ではうまくいかないことがある。

● ナレッジストックシリーズ メモパッド(コクヨ)
 名刺サイズのメモパッド。ミシン目から切り離すと名刺サイズになる。が,メモパッドは名刺サイズにこだわることもないか。A7のロディア等で間に合うことがほとんどだろう。

● マルチエイト(ぺんてる)
 色鉛筆のシャープペン。8色が一本に収まる。マインドマップを書くのに便利ということなんだけど,ほかにもいろいろと使い道がありそうだ。
 ちょっと食指が動く。といって,今まで色鉛筆を使ったことがない。

● AmiVoice es 2008(アドバンスト・メディア)
 音声をテキストに変換してくれるソフト。このソフトのことは以前から知ってはいたけど,精度が上がっているらしい。が,音声で入力すること自体,ぼくの場合はなさそうだ。
 たとえば,大学の先生が授業をもとに講義録を作るなんて場合には威力を発揮するのではないか。

● ノックスブレインのジョッター
 首から提げて携帯できるネックストラップ付きのジョッター。「鞄からカードを取り出す手間を省いて,サッとメモが取れるのでおすすめ」ということなんだけど,ぼくも似たようなのを持っている。伊東屋のネームカードホルダーだ(ブランド名はROMEO)。裏側がジョッターになっている。
 ただ,ジョッターとしては一度も使ったことがないのが問題だ。

● リージャスの「ワールド メンバーシップ ゴールドカード」
 「年会費34,650円のゴールドカードに入会すれば,リージャスの(国内17カ所など)ビジネスラウンジで落ち着いて仕事ができる」(p121)んだそうだ。
 34,650円で1年間,外部に書斎というか隠れ家を確保できるということか。毎日でも使えたりするのか。とすれば,ネットカフェより安くなるね。こりゃすごいわ。
 栃木にはそのビジネスラウンジは存在しないのではあるけどね。

● 他にいくつか転載。
 メンター(師)と仰ぐ人からある日,こんなアドバイスをいただきました。「自分のランクを上げたいと思ったとき,まず持ち物を変えてみなさい」。プロとして仕事の質にこだわるのなら,その質に合わせた道具を使うべきだというのです。道具を変えることで,その人の持つ人格すら変えていく力がある。そういうアドバイスでした。(p4)
 これはよく言われることだね。本当なのかね。弘法筆を選ばず,ともいうけどね。
 整理ボックスに何を入れるかなんてことは考えず,とにかく引き出しを区画整理していくと,いろんな小物が次々と収まっていくはずです。(中略)綿密な計画もいいのですが,まずは直感的に整理ボックスを入れてみてから考える。そうした思考錯誤が,整理の近道です。(p9)
 自信を持って堂々とプレゼンテーションをすればいいわけですが,その際のポイントしてビジネススクールで学んだのが,間をしっかりと取ること。(p92)
 メーカーが他社を買収したあと,最初にすることが4Sの徹底だといわれます。この4Sとは,「整理」「整頓」「清潔」「清掃」のこと。業績の悪化している企業は,ほぼ例外なく散らかっていたり,汚れていたりするそうで,まずそうした環境を改善するところから,企業の立て直しが始まります。これは企業に限った話ではありません。(p108)

2015.11.22 吉野朔実 『吉野朔実劇場 本を読む兄,読まぬ兄』

書名 吉野朔実劇場 本を読む兄,読まぬ兄
著者 吉野朔実
発行所 本の雑誌社
発行年月日 2007.06.20
価格(税別) 1,300円

● 著者と平山夢明さんの対談。残酷について。ここから平山さんの発言を2つ転載。
 世の中絶対値の残酷っていうものが存在するじゃないですか。なんでこんなことがってほどに人智を超えた残酷が,たまに起きるでしょう。僕はそういうのが好きなんです。(p41)
 山田洋次の笑いって,日本人的な笑いというよりも,残酷の保証があって成り立っている笑いなんですよ。(p42)
● 1万円札に載せる肖像は誰がいいかという話題。手塚治虫がいい,と。これも,ぼくには出ない発想。

2015年11月27日金曜日

2015.11.22 吉野朔実 『吉野朔実劇場 犬は本よりも電信柱が好き』

書名 吉野朔実劇場 犬は本よりも電信柱が好き
著者 吉野朔実
発行所 本の雑誌社
発行年月日 2004.09.25
価格(税別) 1,300円

● お勧め本の紹介。ぼくが読んだことがあるものは1冊も出てこない。ミステリが多いように思うけど,それに限られるわけではない。外国の小説が多いからで,そこはぼくが読まない分野だから。

● でも,この本はこの本として面白い。たとえば,「50歳とか70歳とかになってから一日,二日,一週間と,好きな時に23歳の自分を返してもらえる」としたら,という話。
 「歳って少しずつ一日ずつ取ってくから無自覚でいられるんでしょ? 耐えられるんですよ」という。

● ぼくはべつな理由で若い頃に戻りたいとは思わないんだけど,上の指摘もかなり説得力があるね。

2015.11.20 外山滋比古 『「読み」の整理学』

書名 「読み」の整理学
著者 外山滋比古
発行所 ちくま文庫
発行年月日 2007.10.10(単行本:1981.11)
価格(税別) 560円

● 「未知」を読むことの重要性を説く。著者は,わかっていることをスラスラと読むアルファー読みに対して,そういう読書をベーター読みと名づけ,ベーター読みこそが読書だという。
 
● 何度も読まなければならないから自ずと時間がかかるし,時間をかければ了解に至るとも限らない。しかし,それを試みなければならない。禅の公案を何年も考えるがごとくに。

● 以下にいくつか転載。
 つまり,わかることは読めるが,わからないことは読めない,ということである。(p17)
 文学作品や評論のようなものを読んで,文章が読める,というのは,いわば,錯覚である。科学,技術などの文章はほとんど読んだことがないから,詩を読むようなつもりで,マニュアルを読むという誤りをおかして平気でいられる。(p21)
 知らないことを文章で知るのは,マニュアルに限らず,つねに困難である。(p22)
 文章やことばを,あるがままに読んだり解したりする,というけれども,客観的な理解ということは,頭では考えられても,実際には存在しない。頭に入ってきたものは,かならず,受け手の先行経験や知識によって「加工」される。(p52)
 人間には,批評本能ともいうべきものがあるらしい。真の批評を理解するだけの素養はないという読者も,その批評本能を満たしたいとは考える。そのための文章が人物評である。(p89)
 これまでの日本人は翻訳という名のもとに破壊された日本語を読まされて,どれほど頭を悪くしてきたか知れない。 (中略)ところが,ごく最近になって,そういう悪文の標本みたいな翻訳も,案外われわれの文化に貢献してきたのではないかと考えるようになった。これは決してたんなる皮肉ではない。(中略) 難解至極な訳文と悪銭苦闘することが,とりもなおさず,読者にとって,知的活力の源泉になったのではないか。(p92)
 既知にみちびかれて読む読み方はやさしく,ときにたのしい。それでいて,ものを読んでいるという満足感を与えてくれる。しかし,知っていることをいくら読んでも新しいことがわかるようにならない。(p104)
 素読を可能にするには,古典的価値の高い少数の原典を選定することである。それを学習者,そのまわりの人々が絶対的なものであると信じ込む必要がある。信頼していないものでは反復読みに耐えられるはずがない。(p151)
 くりかえし読んだ本のない人は,たとえ,万巻の書を読破していても,真に本を読んだとは言われないのである。(p158)
 昔のことは古い。だからと言って古くさいとは限らない。新しいことはおもしろそうだが,時の試練をくぐり抜けていない。新しいものごとは古くなるが,古いものはもう古くならない。(p160)
 本当に読むに価いするものは,多くの場合,一度読んだくらいではよくわからない。あるいはまったく,わからない。それでくりかえし百遍の読書をするのである。時間がかかる。いつになったら了解できるという保証はない。(中略) わからぬからと言って,他人に教えてもらうべきではない。みずからの力によって悟らなくてはならない。(p187)
 正しい解釈,解決を得るのに,「時間」が大きな働きをするのが,こういう場合で見のがしてはならないところであろう。即座の理解では。時の働く余地がない。(中略)時間によって,未知である対象も,わかろうとする人間も,ともにすこしずつ変化して,やがて,通じ合うところまで近づくようになるのかもしれない。(p190)
 古典化は作者の意図した意味からの逸脱である。いかなる作品も,作者の考えた通りのものが,そのままで古典になることはできない。誰が改変するのか。読者である。(中略)読者は,作者とは別の意味において,創造的である。(p202)
 いかに細かく書いた文章でも,第三者からすれば,不明なところ,不可解なところが随所にひそんでいる。そのわからないところがすなわち読者の未知である。これは読者みずからによって解明するほかはない。解明はしばしば発見になる。(中略)創造的であり創作的な読みは,その不明部分を補充して,その読者に固有の意味をつくり上げる。(p220)

2015.11.18 宮田珠己 『旅するように読んだ本』

書名 旅するように読んだ本
著者 宮田珠己
発行所 ちくま文庫
発行年月日 2015.06.10(単行本:2012.05)
価格(税別) 740円

● 著者の書評集。あるいは,著者の楽屋を公開した本と言ってもいいのかも。宮田さんはこういう本を読んでいたのか,っていう。

● 本書に登場する本の中で,ぼくが読んだことがあるのは,アラン・ド・ボトン『旅する哲学』のみだった。
 読んでみたいと思ったのは,五来重『四国遍路の寺』(角川ソフィア文庫)と河本英夫『飽きる力』(NHK新書)。

● 以下にいくつか転載。
 孤立した文化というのは,ユニークになりがちだ。世界の国々を見ても鎖国していた国ほど独特な社会になる。(p89)
 死んだ後に,ストレスのない楽ちんな天国(極楽)と,苦痛に満ちたしんどい地獄があるという発想は,洋の東西を問わず共通しているが,ただ個々の地獄描写には,書き手がどんな苦痛を思いつけたかによってそれなりの違いが生まれてくる。そうした書き手の創意工夫が,地獄案内本の読みどころと言えよう。(p124)
 鈴木理生には,もう一冊ちくま学芸文庫になっている著作があって『江戸の町は骨だらけ』というのらしい。まだ読んでいないが,読まないうちから,強力おすすめである。(p166)
 中野美代子という人は,周囲がどう評価しようとまるで気にせず,自分の興味関心に向かって突っ走る人なのだ。他人のことなど知ったこっちゃないスタンスが徹底しているから,読む側も小気味いい。(p170)
 歩けなかった患者が歩けるようになったとき,よっしゃ,ってんで,いっぱい歩いてしまうとそれ以上よくならない。意識的な身体運動は,一生懸命になるほど歪んでいく。(p214)
 素晴らしい著作だけれど,内容が専門的だったので真面目に読み込んでしまってネタに昇華させられず。残念。(p246)

2015.11.16 外山滋比古 『思考力』

書名 思考力
著者 外山滋比古
発行所 さくら舎
発行年月日 2013.08.06
価格(税別) 1,400円

● 本書で説かれていることは,すでに読んだ著者の中でも言われている。学歴有害論というか,知識有害論である。
 と書くと,著者は,いやそこまでは言っていないと仰るだろうけど。

● 自分が習う知識はすべて借りものである。借りもので頭の中をいっぱいにすると,自分で考える思考力は落ちざるを得ない。
 だから,憶えたら忘れることが大事で,忘れることによって頭の中に空きを作ららなけれならない。そういうことが説かれている。

● 以下にいくつか転載。
 知識を教えるのは簡単だが,思考力というものは,知識のようにうまく教えられない。だから,趨勢としては,依然としてベーコンの「知識は力なり」という考えがいまもつづいている。(p9)
 知識とは,いろいろとある雑多なものから抽出した究極の形だから,不純物を含まない。○か×,白か黒しかない。しかし,人間の実際の経験では,白と黒のどちらかわからない,灰色の中から,白ができたり,黒ができたりしているのに,いまの人は経験が乏しいから,はじめからこれは安全,これは危険,これはいい,これはいけない,と善悪を決めてしまう。(p10)
 実行力がある人は,教養をあまり重んじない。昔から「インテリは使いものにならない」といわれるのは,経験に乏しいから知恵がない,応用がきかない,という意味である。こういう人が,一人でなにかをしようとすると,たいてい失敗する。(p20)
 自分で論文を書くには,まがりなりにも頭で考えなければならない。ところが,とくに学校の成績がいい学生ほど,途方にくれる。(p25)
 我流というものは,しぶとくてなかなか滅びない。 一方,借りてきたものは,すぐに賞味期限が切れてしまう。その代わりを自分でつくれないから,また借りてくる。(p33)
 人間としての存在価値は,「忘れる」ことでしか発揮できない。記憶と忘却が共存し,記憶したものの中で不要なものを忘れ,忘れたあとに新しいものを記憶し,忘れてさらにその先を考える・・・・・・忘却は睡眠中だけではなく,覚醒時に意識的にできるところまでいけば,コンピュータにも負けない。(p36)
 思考力低下の最大の原因は,知識偏重の風潮である。他人の論文などは,必要以外ほとんど読まなくてもいい。(中略)知れば,それにとらわれて,そこから抜け出せなくなる。(中略)自由な発想のためには,すぐれたものをごく少数だけ読んで,あとはよけいなことは知らないでおいたほうがいい。(p42)
 日本で,学問のあるバカの存在を最初に指摘したのは,おそらく菊池寛だろう。「学術的根拠をもっているバカほど始末が悪いものはない」というようなことを述べている。(p46)
 ものを吸収したい,勉強したいという気持ちをおこすには,頭は空腹の状態でなければならない。満腹状態でいくら勉強しても,それ以上は入りきらない。(p55)
 女性にくらべ,男性は指をめったに使わないが,パソコンのキーボードを打つのは有効な運動になるかもしれない。(p62)
 手の散歩のほかに,口の散歩も有益である。 散歩で足を使うのと,口でしゃべるのとでは,使うエネルギー量は後者のほうが多いという学者もいる。人によってもちがうが,発声にはおどろくほどのエネルギーが必要だ。(p62)
 坊さんが概して長生きなのは,年をとってからも読経という運動をしているからかもしれない。後継者ができて,自分ではあまりお経をあげなくなると,すぐに老けこんでしまうことが多い。(p65)
 小学校で,体育の次に軽視されているのが,理科である。その理由は,女性教師の割合が圧倒的に多くなったことだ。(p68)
 知識というのはすべて借りものである。自分で考えた知識を,われわれはほとんどもっていない。(中略)そもそも,「学ぶ」の語源は「まねぶ」,つまり,まねることである。 したがって,勉強を長くしていると模倣性が強くなり,それにつれて,自分のオリジナルなものを考え出す力が低下していく。日本で高等教育を受けると,能力の低い専門家が増えてしまう。(p73)
 ぼんやりとしか目標にしていなかったものに失敗すると,とたんに自分の目標がはっきりとすることがある。落ちれば,たいていの人はそこでいやでも考える。考えて,新しい発見をすることもある。これは貴重な機会である。(中略) いま日本人がもっとも嫌っているのは,「落ちる」ということだ。入学試験に落ちる,就職試験に落ちる・・・・・・。とにかく,多くの人は落ちることを頭からおそれ,極端に嫌っている。これが日本人を弱くしているということに気づくべきである。(p85)
 いまの家庭は,いいことばかりをやろうとしている。それが,子どもにとって理想的な環境だと思っている。しかし,いいことばかりやっていると,悪いことに弱くなる。ある種の危険は,次の安全に向かっての大事な訓練である。(p87)
 たとえば,本田宗一郎とか松下幸之助といった人は,学歴といえるものがない。この人たちがもし大学を出ていたら,あれだけの仕事はできなかったのではないだろうか。(中略) 学校を出ていない人は,知識が不足しているので,ことを為すのに苦労をする。けれども,天賦の能力がつぶされないまま残っているところが多いから,いったん動き出すと,目ざましく伸張する。(p106)
 いまの少子化の最大の問題は,マイホーム主義だ。こどもを自分の家の中に囲いこんで,大人が一生懸命に世話をすれが,いい子が育つ,というまちがった考え方からは,できるだけ早く脱却しなければならない。(p110)
 人がやることは,あらいざらい,やらなかった。人がやらないことばかりを,やってきた。意識的に人のやらないことだけをやろうと考えていたわけではないけれど,あまり常識的な生き方ではつまらない,とは思っていた。(p154)
 当時のサラリーマン,先輩教師などを見ていると,定年になると,口では悠々自適などと言うものの,とたんに元気がなくなってしまう。その原因は,どうもお金の問題らしい。(p155)

2015年11月26日木曜日

2015.11.15 番外:Good Sense “服・モノ・暮らし”センスを学ぶ

編者 袖木昌久
発行所 宝島社
発行年月日 2015.04.23
価格(税別) 920円

● “クリエイター”にセンスについてインタビュー。それをまとめたもの。そんなのを読んでセンスが良くなりますか。読む時点でダメでしょ。
 といいながら,読んでしまう自分が悲しい。

● っていうか,正直,センスなんてぼくにはないし,必要を感じたこともあまりないんだけどね。
 でも,完全にそうなら,戯れにでもこういうものを読む気にはならないだろうから,横目でチラチラと気にしているんだろうね。

● 次にいくつか転載。
 オレが思うのは,自分の思う基準に対して真剣に取り組めてるっていうのが,センスのいい人間。「センスはあるのに」って,それは詰め切れていないってことで(高橋盾 p8)
 ものを選ぶときに,ひっぱりこむ力というのもあって。普通とは違うものを選んで着ても,自分のものにできる。それはたぶんもとがしっかりしてるんですよ。(菊池武夫 p15)
 基本的には自分の好きなものを着るべきで,好きなものが似合わないことはないと思っています。(中略)それが好きなら,着たことのない洋服でもどんどん挑戦すべきです。(鈴木大器 p17)
 社会でもファッションでもアートでも,真正面ではなく斜めから見てみる。真に受けず,疑問を持ってみる。(中略)すべてを真正面から受け止めていたらやっていけないんですよ。(加賀美健 p24)
 私の周りのセンスがいい人に共通するのが,10代はアウトローだったってこと。そういう過去があると,20代になって自分の選択で生きられるようになったときにまた磨かれるというか。(福田春美 p33)
 音楽でも言葉でも洋服でも,それに対して無我夢中になって,きちんと自分のものにできるかどうかにかかっていて。とにかく突き進めばいい。そうしたら,センスなんて後からついてくると思うよ。(島津由行 p41)
 技術だけで上に行くのは難しく,そこに気持ちや感性が必要になってくる。自分というものを信じて,思ったこと,感じたことを突き詰めていく決意。それがセンスにつながっていくんじゃないでしょうか。(小林英幸 p51)
 そうやって深く物事に通じていても,染まりきらないというのは大事かもしれませんね。(KIKI p66)

2015年11月20日金曜日

2015.11.15 番外:Bicycle Navi 2015〔Autumn〕

編者 河西啓介
発行所 ボイス・パブリケーション
発行年月日 2015.11.20
価格(税別) 1,111円

● 書店で見かけてパラパラと立ち読み。速攻で購入。合い言葉(?)は「Bicycle is Life」。
 購入の動機になったもののひとつは,自転車乗りのモデルさんが載っていたこと。ひとりは日向涼子さん。もうひとりは,塚本奈々美さん。塚本さんはレーシングドライバーでもある。
 日向さんは清楚系で塚本さんはワイルド系。だけれども,お互いに逆もやれるだろうね。

● 石田ゆうすけさんも登場している。
 力を抜く事。この言葉は常に自分に言い聞かせるくらい大事なものですね。例えば自転車を漕いでいても常に力を抜いていれば疲れ方が全然違います。(p39)
 そうか。拳々服膺しよう。

● 82歳のアイアンマン,稲田弘さん。写真も載っているんだけど,下半身の筋肉と肌の張りは若々しいとしか言いようがない。
 彼は超人なのか,誰でもやり方次第では彼のようになれるのか。

● ほかに2つほど転載。
 人はもしかすると,移動によってのみ,新しい発想を生み出せるのかもしれない。(森 稔 p75)
 より広がる方向でのツーリズムっていうのと,マナーをすごく重視しながら,お金もかかるし,でもジェントルな人達がやっている高級スポーツというのはハッキリ分かれるような気がしますね。(菊地武洋 p131)
● 自転車のムックはいくつも見ているけど,これは隅から隅まで目を通した。初めてのことだ。

2015年11月19日木曜日

2015.11.15 番外:Associe 2015年11月号-1年が劇的に変わる!手帳術 2015年 完全版

編者 泉 恵理子
発行所 日経BP社
発売年月日 2015.10.10
価格(税別) 694円

● 日経Associeの11月号は例年,手帳の特集。結局,今年も買ってしまった。

● 内容は5部構成で,第1部が「私が“紙の手帳”を使い続ける理由」。リコー,アサヒ,モンテールの社長の手帳が紹介される。
 アサヒの社長は能率手帳ゴールド,モンテール社長はNOLTYリスティ2を使っている。リコー社長は自社手帳を使っているが,中身は能率手帳のようだ。能率協会が制作を請け負っているのかもしれない。社長には能率手帳が強いようだ。

● 第2部は「のぞいてみたい プロフェッショナルの手帳」。社長ではないけれども,5人の手帳をご紹介。その中のひとり,ソムリエの中本聡文さん。「お客様の来店履歴や好みなどはメモに残さない」という。「記録が役に立つこともありますが,お客様が飲みたいものは季節や体調で変わります。それを察してサービスすることが,お客様の満足につながるのです」(p48)との考えから。
 高級ホテルではパソコンで顧客名簿を作り,前回までのリクエストやオーダーも記録していると聞いたことがある。で,言われる前に部屋のセッティングも好みに合わせて整えておく。
 しかし,それだけでは限界があるということかなぁ。

● 第3部は「目的別“強化手帳”の作り方」。問題解決,目標達成,アイデア発想,貯蓄,婚活を取りあげて,それぞれの目的のために手帳をどう使ったらいいかを解説するもの(だと思う)。が,ここは完全スルー。
 第4部は「まだまだある!手帳の使い方」。ここもスルー。

● 第5部は「ニーズ別最新手帳カタログ」。ここはサラッと見ておいた。サラッと。

● この号には例年付録が付いてくる。一昨年と昨年はペンケースだった。一昨年のペンケースは便利に使わせてもらっている。
 今年は万年筆が付いてきた。これは残念ながらぼくには使えないもので,職場の同僚にもらってもらった

2015年11月18日水曜日

2015.11.15 番外:The Life Wear Book

● ユニクロのPR誌。A4変形版で本文116ページという堂々たるもの。充実した取材に質の高い写真。ファッション雑誌としても充分に通用するものだろう。

● はるかな昔,サントリーが『洋酒天国』を発行していた。こちらの現物は残念ながら見たことがないのだけれども,『洋酒天国』の連載からいくつもの単行本が生まれている。
 ことがらの性質上,それと比較するのは妥当ではないと思われるものの,ユニクロはファッションという文化に資する(あるいは,資したいと考えている)企業だと訴えたい,との意図は達成されていると思う。

● ユニクロはファッションをこう考えるというのも伝わってくる。冒頭に登場する「服に個性があるのではなく,着る人に個性がある」という文章に集約される。
 このことは,フリースがブレイクした頃にすでに柳井社長が言われていたことで,ここにブレはないように思われる。言葉だけではなく,商品にも。

● 企業哲学のようなものも示される。ユニクロの基本姿勢のようなもの。
 ユニクロの革新には限界も例外もない。すべてのアウターウェアは,常に改良の余地があり,ディテールにこだわり続ける価値があり,生地の研究開発が実現しうる希望がある。(p81)
● たぶん世の中のお洒落さんには常識になっていることかもしれないけど,ジーンズについて蒙を啓かれた。次のようなところだ。
 デニムジーンズの発祥の地はアメリカだが,日本で独自の発展を遂げた。特にここ数十年間においては,日本のデニムジーンズは,一つの文化としてその地位を築くこととなった。世界中のほとんどのデニムジーンズ工場が大量生産に応じた織機へ以降する中,日本の工場はその耐久性と高い品質にこだわり,シャトル織機を使い続けた。そのこだわりこそが今日,日本のデニムが世界でも一目置かれる存在となった理由である。(p32)
 ぼくはジーンズはおろか,デニム地のものは生まれてこの方,一度も身にまとったことがないんだけれども,そういうことなら一度は着てみようじゃないかと思った。

● ユニクロといえばヒートテック。その仕組みを簡単に説明してある。
 レーヨンが,身体から発散される水分を吸着。水の分子には気体になると空気中を動き回る性質があり,繊維にキャッチされても動こうとする水分子の運動エネルギーが,熱エネルギーに変換されて発熱する。その発熱で温められた空気が,マイクロアクリルの持つ断熱性の高い空気層によって糸の内部にとどめられ,保温性が確保される(p45)
 糸の断面図が添えられているので,それを参照しながら読むと,わかったような気になる。本当にわかったかどうかは別だけれど。

● このコマーシャルブックは,顧客よりもむしろ社員に向けて発刊されたのではないか。
 店頭で無料で顧客に配っているのはいうならオマケであって,まず社員に向けて,あなたが勤める企業は何をどうしたいと考えていて,今までどうしてきたのか,これからどうしたいと考えているのか,それをこの本で理解してほしい。会社の実績もわかりやすく載せているから,できうれば,誇りと愛着を抱いて欲しい。
 そういうことなのではないかと思えた。

2015年11月16日月曜日

2015.11.12 伊藤まさこ 『京都てくてくはんなり散歩』

書名 京都てくてくはんなり散歩
著者 伊藤まさこ
発行所 文藝春秋
発行年月日 2008.10.30
価格(税別) 1,238円

● 伊藤さんは著者というよりモデルの立ち位置。それが可能になるルックスの持ち主だということ。ルックス以外の要素も多々ありそうに思えるんだけど。

● 京都の甘味処や喫茶店,布地や小物を扱うお店を紹介。もちろん,名所旧跡のいくつかも。

● 前回,京都に出かけたのは何年前になるだろう。15年前か。いや,もっと前か。行くんだったら海外だと思っていた時期もあったし,ディズニーランドの時期もあった。
 で,今はどこにも出かけないようになった。せいぜいが東京に出る程度。あとは自転車に乗って近場をサイクリングするだけになっている。

● どこに行こうが,行った先でいつもと同じことをすることになるわけで,これじゃ出かけなくてもいいかなぁと思っている。
 あともうひとつ。ルーティンから外れると,元に戻すのが大変になったというか,受ける打撃が大きくなった。元に戻すのにかかる諸々の面倒を考えると,出かけなくてもいいかと思ってしまう。これを加齢現象というのだということもわかってるんだけどね。

● それよりも何よりも。鈍行列車で2時間もかからないで行けるところに東京がある。東京の存在というのは,ぼく的には圧倒的なものがあって,せっかく東京があるのに,なんでそこを通過して京都まで行かなければならないのか。
 沖縄でも北海道でも同じなんだけど,そこまで交通費をかけて行くんだったら,その交通費分も東京で使いたいと思う。そのほうがよほど楽しいじゃないか。

● というわけで,京都に行きたいという思いは,今のところ,ぼくの中にはない。その分,こうした本を読んで,空想旅行をすればいいかな,と。

2015.11.11 前島勝義 『日曜日は自転車に乗って』

書名 日曜日は自転車に乗って
著者 前島勝義
発行所 平原社
発行年月日 2009.12.14
価格(税別) 1,200円

● 著者は東京都北区の在。休日に地元の仲間たちと50~70㎞のサイクリングに出かける。大宮,葛飾,浅草,銀座など。
 その先々や道中で,その街や史跡の蘊蓄がうるさくない程度に披瀝される。あるいは,子ども時代が回顧される。

● 一篇一篇が後味の良い読みものに仕上がっている。登場人物のそれぞれがキャラが立っていて面白い。碩学が子どもを前にしてかみ砕いて易しく話しているような趣がある。

● 以下にいくつか転載。
 いい年をしたおやじたちがする会話ではない。小中学生のじゃれあいだ。二時間弱とはいえ,自転車を走らせると,大の大人が子どもに還ってしまう。 ボクは,これがサイクリングの効用のひとつだと思っている。(p38)
 ボクの小学校時代なんて,戦後の混乱期で文部省の指導力が弱かったから楽しかった。(中略)だが,日本が復興するとともに官僚制度が復旧して,窮屈な社会になってきた。(p92)
 自転車はひとりでも楽しいが,仲間がいるともっと楽しい。彼らは友だちづくりがへたな子たちなのかなあ(p135)
 ボクらはまもなく,ガソリン・スタンドの前で自転車をとめた。若い女の子が「いらっしゃい」といいかけて,途中で言葉を飲み込んだ。 「おねえさん,満タン」と,黒ちゃんがいった。女の子は自転車を見て,目を白黒させている。 「どこに入れるんですか?」 「ちがうよ。おれの膀胱が満タンなの。トイレ貸してくれない?」 女の子は笑いながら,トイレのほうを指さした。(p219)
● 「彼らは友だちづくりがへたな子たちなのかなあ」とは,ひとりで走っている自転車少年や自転車乙女を見ての著者の感想だけれども,ぼくも初老ながら「友だちづくりがへた」で,ひとりで走っている。
 著者の仲間とのサイクリングは楽しそうで羨ましいのではあるけれど,自分で同じことをやってみたいとは思わない。ひとりで走っていたい。

2015.11.09 佐々木かをり 『自分を予約する手帳術』

書名 自分を予約する手帳術
著者 佐々木かをり
発行所 ダイヤモンド社
発行年月日 2011.11.04
価格(税別) 1,200円

● 『ミリオネーゼの手帳術』,『佐々木かをりの手帳術』に続く著者の手帳術3冊目。週間バーチカルを普及させた推進力のひとつになった。

● 著者のアクションプランナーは,しかし,かなりとんがった手帳のように思われる。超整理手帳と双璧をなすのではないか。
 著者の手帳術の肝は次のようなもの。
 計画とは,課された仕事や他人との約束だけでなく,自分のやりたいことも含まれる。すべてを同じ一本のタイムラインの上に書くことで,遊びまでも計画できると言っているのだ。やらなければならないことだけを書くのではなく,自分のやりたいことも書く。自分がどんなふうに時間を過ごしたいのかを,まるごと,見えるようにしていく,ということだ。(p65)
● メモもTodoリストもない。すべてを時間軸の上に置いていく。これは,怠け者にはできない芸当だ。
 はっきりしない予定,いつかできたらいいいなという願望のようなもの,そうしたものはたくさんあるだろう。それらをも時間軸に置くためのノウハウは開陳されているんだけど,なかなか大変だと思った。
 むしろ,時間軸を一切無視して,Todoリストだけで仕事や家事を処理していくのもありなのではないかと思う。

● 以下にいくつか転載。
 自らが貢献することから,すべてが始まることを理解しておいてほしい。(中略) 自分が幸せだと,自分を機能させることができる。自分が機能すれば,周囲に役立つということであり,存在意義が実感できる。さらに幸せ体験が増える。(中略)だから,いつも自分自身が一番機能する状態にしておくのが,一人ひとりの責任なのである。(p41)
 誰とも約束をしていない,空いているように見える時間こそが,自分の財産で,幸福度を上げる源だ。(p67)
 この手帳の中に,書ける限り,私は多様なことに取り組むことができる。さまざまな挑戦をすることができる。この手帳に書き入れる隙間がないときは,どんなに頑張っても時間が取れないということ。(p77)
 会社内で,皆が共有しているスケジューラーはどうだろう。私は,このソフトこそが,社員の生産性を落としている原因だと信じている。人間は会議室ではない。(中略)人が「work」する(機能する・役立つ)ためには,心と頭が意欲的でなければならないはずだ。 自分の意志とは関係なく,スケジューラー上で時間が空いているからと,会議を入れられてしまう。これでは,その会議に対してのモチベーションは上がりづらいだろう。(p171)
 私は「バタバタ」という言葉は使わない。「時間に追われる」とも言わない。意味がないうえに,自らが無計画で慌てているように聞こえる単語を発すると,自分が本当にそんな人になってしまうからだ。(p173)

2015.11.09 夢枕 獏 『秘伝「書く」技術』

書名 秘伝「書く」技術
著者 夢枕 獏
発行所 集英社インターナショナル
発行年月日 2015.01.31
価格(税別) 1,100円

● タイトルに惹かれて読んでみた。こういうものは真似しようとしてできるものではない。
 が,実績ある人が書いたものは,一般知がそこここに落ちていて,それはそれで参考になる。参考になるという言い方は不遜かもしれないけれど。参考にできるかどうかはこちら側の力量にもよる。

● しかも,優れた人が書いたものは,読みものとしても面白い。本書はまさにそれ。一夕の歓を尽くすことができる。ああ面白かったという上質の消費としての読書ができる。
 読書なんて消費でいいと思っている。というより,自分を高めるだの知識を得るだのっていうのは,下賤な感じがする。

● 以下にいくつか転載。
 小説のアイディアを思いつくと,ぼくはカードに書いています。(中略)一つのカードに書くのは,一つのアイディアと決めています。時と場合によりますが,基本的に思いついたままに,脈絡とか使えるとかを気にせずに,とにかくメモしていくんです。 ぼくは小説を書く前に必ず取材に出かけるのですが,取材のときもカードを使います。(p5)
 書かない日というのは基本的にありません。サラリーマンの土日のような日はない。好きなことをやっているわけですから,休みたいとは思わないんです。(p14)
 「書くぞ」と気合を入れて机に向かうことは,若い頃はありましたけれど,この頃は少なくなりました。やる気をつくってから書くのは,時間がかかってしまうんですね。そうではなくて,机に向かって書くという行為によって,やる気が湧いてくる。「やる気」があるから「やる」のではなく,「やる」から「やる気」が出てくるんですね。これは書くことに限らず,何かを長く続けていくには必要な姿勢ではないかと思います。(p14)
 小説に関連する資料を読む上でいちばん重要なのは,「何がわかっていないか」を知ることです。当然ながら,本に書いてあるのはわかっていることで,わかっていないことは書いてない。文献資料などを読み込んでいくうちに,どこまでがわかっているのかがわかるようになる。容易なことではありませんが,わかっていることと,わかっていないことの間に線を引くことがとても重要です。(p29)
 ぼくの場合,大きなアイディアはわりと出てくるのですが,細部にいくほどアイディアを出すのがしんどい。そんなときどうするか。 まず「死ぬほど」考えるんです。(中略)考えるべきことだけに集中して必死に考えます。家にソファがあるので,そこにごろんと寝転がって,一時間でも二時間でも考えます。(中略)考えに考えて,そのときのぼくの感覚を言葉にするならば,「脳が鼻から垂れるまで」考える。 こうやって考え抜くことで,「神を生む力」が得られるんです。言い換えれば,小説のアイディアを生み出す力ですね。(p38)
 脳が鼻から垂れるまで考えても,うまくいかないときがあります。(中略)そんなときはどうするかといえば「とにかく書く」。これが最終兵器です。 とにかく書く,というのは素晴らしいんです。何が素晴らしいって,一行書くと,次の一行が出てくるんですね。(p40)
 書くことによって自分を物語世界のなかに入れていくんです。そうすることで,外側から物語を構築しようとしていたときには思いもよらなかったこと,あるいは見えなかったことが,浮かび上がってくることがあるのです。(p42)
 小説の書き方次第で,複数のラストを書くことができるはずだと,ぼくはいま考えているんですね。 何のためにこんなことをするかと問われれば,答えはしごく単純,「面白そうだから」。面白いことを書きたい,これはもう,作家の生理的な欲望です。もう一つ言えば,新しいものができるかもしれないから。特定の人だけのために書くやり方も,ネットで読者の注文を取り入れていく方法も,他者の声を物語に反映させていくという面があります。これによって,ぼくという一人の作家の殻を破れるかもしれないという期待があるのです。(p61)
 小説に限らず,ものを生み出そうとする人には,誰もやったことのないことをやってやろうという野心があってしかるべきで,逆に言えば,そういった野心なしに,面白いものは生まれ得ないとぼくは思っています。(p81)
 将棋では,この手を指したら確実に負けるという手を「悪手」といいます。対局をしていると,どんな手を指しても「悪手」になりそうだという局面が訪れることがあるんです。これが勝負をしてはいけない局面ですね。そんなときに打つのは「紛れの手」です。これは言わば,何も指さないで相手に「どうぞ」とパスをするような手。(中略) 小説でも「紛れの手」を打たなければいけない局面はときにやってきます。そんなときは勇気を持ってストーリーを前に進めないようにしています。(p103)
 長い作家生活のなかでぼくが必要だと感じているのは,一つ一つの作品を完結させていくこと。年月をかけてでも終わらせる作業をしていかないと,ステージが上がっていかないんですね。(p105)
 ぼくをさまざまなジャンルに向かわせたのは,同じことをしていては書けなくなるという恐怖感です。(中略)いくつもの引き出しを持つことで,こっちがダメなときはこっちが助けてくれる,というリスク分散が可能になりました。(p117)
 考えたアイディアは決して無駄にならない,むしろ,あるとき無駄だと思われたアイディアが,ひょんなところで我が身を助ける,ということを学んだわけです。だからアイディアは,使えるかどうかは二の次で,まずはどんどん練って,どんどん出していくのが良いとぼくは思っています。(p121)
 描写は訓練すればするほどうまくなります。一つの場面をどれだけでも長く描写できるようにもなるし,もちろん長い描写が良いわけではなく,細部に目が届くようになると,おのずと無駄な描写がなくなります。(p125)
 表現力を付けるためには,才能プラス,面白がる心と訓練,いわば真似です。小説に限らずさまざまな表現に接して,面白がる心が自然に育つというのがいいと思います。(p128)

2015年11月11日水曜日

2015.11.09 中川右介 『すっきりわかる! 超訳「芸術用語」事典』

書名 すっきりわかる! 超訳「芸術用語」事典
著者 中川右介
発行所 PHP文庫
発行年月日 2014.11.19
価格(税別) 800円

● 美術,音楽,演劇,映画の4分野で用いられる用語を解説。こういうことができる人は,著者のほかに何人いるんだろう。

● ガチガチの専門家的解説ではなく,ときに茶化したり,斜めから見たり,闊達自在な説明で,したがって腑に落ちることが多い。
 厳密にやるとそこから抜け落ちるものが多くなって,かえって不正確になるってことがあるんじゃないだろうか。

● その分野の専門家が読んでも頭の整理ができるんじゃないかと思う。ま,ぼくは専門家じゃないので,このあたりは想像で言うんだけど。

● 以下に転載。
 音楽も美術も,文字だけで説明できないものを描くために存在するものなので,それを文字だけで説明するのはかなり無理があります。(p4)
 バロック音楽の依頼主は,教会や宮廷でした。曲のイメージとしては,優雅,典雅,儀礼的なもので,人間の内面を表現し始めたバロック絵画とは異なり,表層的です。「天から聴こえてくる」ようなものが多いので,一時期ヒーリング・ミュージックとしても流行しました。中身がないと言えば,ない。(p37)
 美術における写実主義=リアリズムは,自然や人間の顔などをありのままに,つまり写真のように描くことではなく,「社会のありのままの現実」を描くことです。(中略)芸術家の社会参加であり,ジャーナリズムと芸術の融合でもあります。そういう絵ですから,美しいものばかりではありません。美術が美しくなくなる,その始まりとも言えます。(p61)
 二十世紀初頭に,ロシアの作曲家ストラヴィンスキーの作風が,プリミティヴィズムと呼ばれています。《春の祭典》などがそれで,強烈なリズムの音楽で,たしかに野蛮というか原始的です。それが新しく,革命的でした。それまでの西洋音楽は周期的なリズム構造だったのが,不規則になり,次に何が出てくるのか予測がつかない。そんな音楽でした。音楽においては,原始主義が現代音楽へと直結します。(p77)
 オペラは,歌で表現するので,演劇ではありますが,あまり複雑な会話はできません。話の筋は極めて単純なものが多く,あらすじだけ読んだのでは,何が面白いのか分からない作品も多いわけです。その陳腐なストーリーを,いかに大げさに盛り上げて感動させるかが,上演する側の腕の見せどころとなります。(p95)
 批判するのは簡単ですが,ウェルメイド・プレイを作るのには,ストーリーの卓越した構成力,セリフの面白さが必要とされるので,才能が必要です。「分かる人にだけ分かればいい」という,高尚な芸術志向の演劇とは違い,「誰にでも楽しめる演劇」のほうこそ,難しい仕事です。(p167)
 日常会話と同じように発声したのでは,客席まで声が届かないし,聞き取れません。いかに「日常と同じ」ように見せるかという演技術が必要となります。そのため,日本では独特の「新劇みたいな話し方」という発声と抑揚が生まれ,俳優たちがリアルに演じれば演じるほど,嘘っぽく見えるという皮肉な事態となりました。(p174)
 お金持ちは劇場の一階の両側にある桟敷席や,前のほうの一等席で見るわけですが,そういう人たちは社交として来ていることが多く,本当に芝居の好きな人は,安い大向う(劇場の舞台から見て正面の,最上階)で何度も見ます。だから,ここにいる芝居好きの人たちが感心するような名演技を,「大向うを唸らせる」といいます。(p210)
 二十一世紀初頭になると,「膨大な過去」を目の前にして,芸術家たちは,もはやオリジナリティなどありえないと考えるようになり,シミュレーショニズムに到達します。(p266)
 彼(セザンヌ)は一枚の絵が複数の視点を持つ技法を編み出しましたが,ピカソはそれを推し進め,視点の移動という「時間」も,取り入れました。あるモノを最初は正面から見て,次に右にまわって,それからうしろにまわって見て,さらに上からも下からも見る--それぞれの場所で見えたものを,一枚の絵に描き込んでみたのが,ピカソの絵だったのです。(中略) キュビズムは衝撃を与えましたが,驚かれるのは最初だけなので,いつまでもやっていても仕方がない。ピカソが偉大だったのは、キュビズムを生み出しながらも,世間が驚いているうちに,あっさりやめてしまい,次の段階へ行ったことです。(p269)