2014年10月31日金曜日

2014.10.31 日経デザイン編 『アップルのデザイン戦略』

書名 アップルのデザイン戦略
編者 日経デザイン
発行所 日経BP社
発行年月日 2014.05.19
価格(税別) 1,900円

● スティーブ・ジョブズなきあとも,appleは絶好調だ。その理由を製品のデザインから探ってみようとするもの。
 といっても,apple製品のデザインについては昔から多くが語られており,本書で何か新しい視点が提供されているわけではない(と思われる)。

● ただし,製品を分解して,ユーザーが見ることのない内部にまで,appleがどれほどこだわって美しさを追求しているかを,写真で見せ,解説している。その具体性が本書のウリですかね。
 あるいは,製品のパッケージ(箱)にいたるまでのappleのこだわりを紹介している。

● でも,ぼくのような素人には,それらがどれほどすごいことなのか,いまいちピンとこないのも正直なところ。
 細部にこだわることは,当然にして製造コストを増大させる。スペックや機能が他社と同じでも,製造原価はapple製品の方が高いんだなというのは,何となくわかったような。

2014.10.31 三浦 展 『データでわかる団塊の財布・ジュニアの財布』

書名 データでわかる団塊の財布・ジュニアの財布
著者 三浦 展
    三菱総合研究所生活者市場予測システム
発行所 洋泉社
発行年月日 2014.05.07
価格(税別) 1,600円

● 三菱総合研究所が行った調査「生活者市場予測システム」のデータを三浦さんが分析したもの。分析の仕方によっていろんな結論を引きだせるのだろうが,本書はひとつの引きだし方を示したもの。

● 団塊ジュニア世代の階層意識調査では,公務員の階層意識が最も高くなっているらしい。「労働時間は短く,地方公務員なら転勤が少なく,共働きもしやすいからです」。
 これに対して,三浦さんは次のように警鐘を鳴らす。
 団塊ジュニア世代で公務員の階層意識が高いのは,民間企業の魅力が低下していることの裏返しであり,日本の活力という観点からはよいことだとは思えません。新しい事業に挑戦し,GDPを生み出すビジネスマンより,前例主義でもやっていける公務員のほうが「上流」に近づけるというのでは,日本の国力は衰えていくばかりでしょう。(p116)
● 団塊ジュニア世代の男女別・家族類型別に「金持ちになり,高級品を持ちたい」という意識を比較した調査では,一人暮らしの男性と妻が専業主婦である男性とでは,かなりの差があるらしい。
 男性の場合,結婚していること,特に妻が専業主婦であることが「金持ちになって,高級品を持ちたい」という意識を高めるのです。逆に言えば,金持ちになりたい男性は,「究極の高級品」としての専業主婦を求めるとも言えるでしょう。(p133)

2014.10.31 加藤昌治 『考具』

書名 考具
著者 加藤昌治
発行所 阪急コミュニケーションズ
発行年月日 2003.04.04
価格(税別) 1,500円

● 5年前に買って積んどいた。読んでみればめっちゃ面白かった。広く読まれているんだろうね。2008年3月で27刷だから。
 ジェームス・W・ヤング「アイデアのつくり方」と並んで,企画マンのバイブルのような存在になっているのかも。

● 読みものとしても面白い。スラスラ読んでいけるように工夫されている。ぼくは企画で生きている人間ではないから,まぁ,お気楽に読んでしまった。

● ビジュアルの重要性が何度も説かれる。
 メモを取る,となったらまずほとんどの方々は文字のメモのことだと思われるでしょう。それを絵メモにしてみる。人に見せるものではありませんから,うまい下手は関係ないです。 あるいは絵と文字が一緒くたになった複合型のメモ。ビジュアルで描くことに慣れると本当に役に立ちます。(p64)
 アイデアを探し続けるわたしたちにとっては,1種類のボールペン×10本よりも,10種類のボールペン×1本ずつ,の方が可能性が広がるんです。多種多様な要素を併せ持つ感覚をどこかでもっていたいなあといつも思います。(p65)
 実際の企画はどんなものであれ,企画書を飛び出して,生き生きとして動くもの,立体的なものです。アイデアを考えるとき,そして企画にまとめていくときには,理想型のイメージを立体的に描いてください。ビジュアルで考えてください。(p178)
 「絵にならないもの」は企画として成立しません。企画が実施されたとき,何がどうなっているのか? 何かを製作したとしたなら,それはどんな姿・形をしているのか? プレゼンしているあなたがイメージできないのに,話を聞いただけの相手が想像図を頭の中でうまく結べるはずありません。(p179)
 ビジュアライズは企画化作業の奥義かもしれません。絵にさえできてしまえば,5W1Hに整理することも簡単だし,タイトルだってつけられそうです。ビジュアライズ,本当に重要です。(p181)
● 直線思考はダメだよというのも強調される。あっちに行き,そっちに跳ぶ。それに逆らうな,ついていけ,ということ。
 わたしたちがこれまで受けてきた教育はかなり一直線的なパラダイムに支配されているようです。順番をしっかり守るパターン。しかし「考える」という知的作業は,その反対。行きつ戻りつすることが頻繁に起こります。行きつ戻りつの試行錯誤がない企画もまたパワーがないのです。迷う=複数の選択肢の可能性に自分を置いてみることは大事です。創造性がない,と言われる背景には,こうした選択肢があまりに少ない環境で結論を出してきたことにもあると感じます。(p103)
 ポストイットにネタ素を書き出している最中にいいことを思いついたら即,そっちに取りかかってください。そのままそっちに行きっぱなしで構いませんから。(p106)
● パソコンより手書き。
 まず紙を1枚。普通のノートのように綴じてあってページが切り離せないもの,横罫のものは避けた方がいいと思います。この時点で紙に落としていきたいのはアイデアのエッセンスであって,文章ではありません。左上から書く必要はありませんし,やめた方がいいです。(p92)
 様々なアイデアの素を頭の中から拡げ出していくときには,スピードとフレキシビリティを大切にしたいです。なので最初からパソコンを使うことはあまりお薦めしません。メモ書きと同じレベルで,手書きで大らかに書き出していきましょう。(p92)
 パソコンは単なる入力装置。様々な情報やヒントがインプットされ,アイデアとしてアウトプットされるのは,あなたの頭の中。最新機種を追いかけてばかりではダメですよ!(p140)
● その紙は惜しみなく使うことも大切。
 両親から,また学校でも紙を無駄にしてはいけないと教えられた気がします。でもアイデアを出す上では,それがとても邪魔になってしまいます。意識改革してください。紙はじゃんじゃん使ってください! 環境のことを考えるなら,コピーの反故紙をどっさり使いましょう。わたしもそうしています。(p97)
● 考具のひとつに“マンダラート”が紹介されている。ぼくは『スマホで捗るライフハック』で発想技法に対して揶揄するようなことを書いてしまったんだけど,著者は“マンダラート”をしっかり評価している。使ってもみないで揶揄してはいけないね。
 が,スマホじゃなくて紙を使った方がいいんだとは思うけど。 

● ほかに,ふたつ転載しておく。
 アイデアのヒント・要素は作り出すのではなく,探す・見つけるという捉え方の方が正解です。(p147)
 アイデアに行き詰まったら,質問,問いかけを拡げまくる。あなたの脳は,必ず応えてくれます。(p212)

2014年10月30日木曜日

2014.10.30 『学校では教えてくれない人生を変える音楽』

書名 学校では教えてくれない人生を変える音楽
発行所 河出書房新社
発行年月日 2013.05.30
価格(税別) 1,200円

● “14歳の世渡り術”シリーズの1冊。想定読者は中学生。

● 人生を変える1冊や1曲があるんだろうか。ぼくは疑っているわけですよ。でも,本書を読むとあるのかもしれないなと思わせられる。人生を変えるっていうか,危機を救ってくれる曲。
 ぼくがそういうのを持っていないのは,小さい頃から安定志向で,自分に対しても周囲に対しても鈍感だったからかもしれないな。

● 26人が手記を寄せている。多くは,危機救済の恩人とでもいうべき1曲について語っている。
 あとは,好きな曲に対する思い入れを語るものもあるし,自身の音楽観を語っているものもある。

● その26人は次の人たち
 又吉直樹,宮下奈都,みうらじゅん,小路幸也,乙武洋匡,松井咲子(AKB48),西研,山田ズーニー,町田康,辛酸なめ子,高嶋ちさ子,林丹丹,浦沢直樹,柴田元幸,池辺晋一郎,池谷裕二,桜井進,遠藤秀紀,本川達雄,清塚信也,角田光代,雨宮処凜,小手鞠るい,近藤良平,大崎善生,今日マチ子。

● いくつか転載。
 自分の道をヴァイオリンと決めてからは,われながらよく努力したものだと思う。一日も休まず練習してきた。わたしに限らず,演奏家はみんな,幼い頃から膨大な時間を練習に割いている。その集中力をもってすれば,大概のことは成し遂げられるはずだ。(高嶋ちさ子 p81)
 そうだろうなと思う。コンサートホールで実際に演奏を聴きながら,そのことを客席から感じるのは毎度のことだ。
 「この音楽,俺のストライクですよ」みたいな言葉をよく聞く。でもそのストライクゾーンって,真ん中にミットを構えてそこに入って来た球を取っているだけではないのか。音楽に限らず,小説,映画,漫画すべてに言えることだが,悪球を全力で取りにいくことである日その悪球すら自分のストライクにした時,初めてその面白さに気づくというもの。(浦沢直樹 p96)
 ドビュッシーの音楽はビブラートを前提として作曲されていません。現代のオーケストラでドビュッシーの音楽を演奏すると,作曲家本人が想定した音色が出ないのです。(池谷裕二 p115)
 ビブラートなしで演奏したCDも出たらしい。インマゼール指揮,アニマ・エテルナ演奏のもの。
 芸術鑑賞っていうのは,作品と出逢うところから始まっているのだと思う。誰かに薦められて「これいいよ」っていう簡単なお見合いでは,なかなか気持ちを入れて聴く事は難しいんじゃないかと思う。(中略)だから,安易に作品を薦めるという事は,むしろ人から貴重な出逢いを奪ってしまう結果となりうるのだ。(清塚信也 p137)

2014年10月29日水曜日

2014.10.29 茂木健一郎・ 山崎まゆみ 『お風呂と脳のいい話』

書名 お風呂と脳のいい話
著者 茂木健一郎
    山崎まゆみ
発行所 東京書籍
発行年月日 2014.06.07
価格(税別) 1,400円

● 温泉をめぐる四方山話。固くいえば温泉社会学。話題は義経の八艘飛びさながらに,多方面にわたる。
 山崎さんが訊いて茂木さんが答えるという役割分担が,だんだん入り乱れてくるところも面白い。活字からうかがわれる以上に,山さん,座談が上手いのではないだろうか。

● いくつか転載。
 最近思うのはやっぱりライブですよね。インターネットがこれだけ普及しちゃったんで,情報自体は本当にどこでも手に入るんですけど,何を求めているのかっていうと,結局ライブ感であって,温泉ってその最たるものかなと思うんですよ。(p27)
 「お風呂入ってる時って少し怠けてる私」みたいなイメージがあったんだけど,実際はそうではなくて,違うモードでアクティブになってるっていうことがわかってきてますよね。(p47)
 脳と心はイコールなんですよ。ただし,心って体から入りますよね。(p51)
 ある種ね,恥ずかしさを超えた向こうにある快感みたいなのが,日本の文化のいちばんの根本にある気がしてですね。上手くいえないけれども,ハリウッド映画でクラーク・ゲーブルがクールな恰好しているとそれは恥ずかしくないみたいな。(中略) だけど日本の温泉文化って,外国人がハマるともう抜けられないような魔力があるわけ。実は今、そこにおいて日本が世界をどんどん制服しているわけ。(p84)
 人間の脳の栄養としては,雑談がいちばん大事ですね。だから,自分の人生の中で雑談しない時って,基本的に調子が悪い時っていうか。(p120)
 欧米のホテルと日本の旅館の違いで言うと,日本の旅館は高ければ高いほどリラックス数値が上がっていって,外国は高いホテルほど緊張感が漂う。(山 p145)
 ヨーロッパでもアメリカでも中途半端に高級なところだとドレスコードが何とかって言うんだけど,そこを突き抜けてほんとにいちばんハイクラスになると,皆リラックスしてるというか。(p147)
● 雑談が脳の一番の栄養なのかぁ。とすると,一般的に男性より女性の方が豊富に栄養を摂っているね。
 “男は黙ってサッポロビール”的な道徳律はまだ死んでないものな。真面目で優等生的な男子ほど,その呪縛に絡めとられているかもな。
 ただ,ここでいう雑談とは,居酒屋で上司やその場にいない同僚の悪口を言い合ったり,グチをこぼしあったりすることではないだろう。喋ってりゃいいというものでもない。

2014年10月28日火曜日

2014.10.28 茂木健一郎 『茂木健一郎の脳がときめく言葉の魔法』

書名 茂木健一郎の脳がときめく言葉の魔法
著者 茂木健一郎
発行所 かんき出版
発行年月日 2014.04.21
価格(税別) 1,300円

● 著者がいくつも出している人生論風エッセイの一冊。既刊本との重複も多い。
 が,面白いので,つい読んでしまう。本の読み方はそれでいいのだと思う。論文を書こうとして参考文献を読んでいるんじゃないんだから。

● 以下にいくつか転載。
 幸せとは脳が生み出すイリュージョン,つまりは幻想です。だから,脳が喜びときめく言葉を送りつづけていると,脳内で「幸せ」というイリュージョンが生み出され,実際に幸せを感じられるようになる。(p8)
 今を生きるということを私なりに解釈すると,「目の前のことに夢中になる」ということになるのですが,結局はこればいちばん時間の使い方がうまいといえます。(p67)
 科学者であっても,スピリチュアルなことに興味を持ってもいいと思うのです。つまりは,自分の考えに整合性をとろうとすると窮屈になるということです。(p129)
 人は何かに縛られてしまうと,結局は損をしてしまうことがよくあります。なぜなら,「らしさ」というのは,ときに自分自身に不必要なまでの制約をつくってしまうことがあるからです。(p133)
 やりがいのある仕事ができている人と,そうでない人を分けているのは,結局のところ仕事から逃げているか,それとも仕事にうまく逃げ込んでいるかという姿勢の違いだと思っています。仕事から逃げるのではなく,仕事に逃げ込むほうが自由になれるということです。(p142)
 教養を身につけるというのは,誰もが知りえないことを知るということに魅力があります。そしてそのためには,入り口を見つけ出して源流までだとりつけるかどうかが重要なのです。(p234)
 なぜ貯蓄ばかりするのでしょうか。それは,「安全基地」をつくろうとしているからです。しかし安全基地というのは,あくまでも外の世界に向かってチャレンジしてくためにあるというのが,本来の目的でなければなりません。安定志向の人がつくる安全基地というのは,ニセモノの安全基地です。だから安全基地として機能することはありません。(p239)

2014年10月27日月曜日

2014.10.27 ジェイ・エリオット 『ジョブズ・ウェイ』

書名 ジョブズ・ウェイ
著者 ジェイ・エリオット
    ウィリアム・L・サイモン
訳者 中山 宥
発行所 ソフトバンク クリエイティブ
発行年月日 2011.08.10
価格(税別) 1,700円

● ああ,面白い本を読んだなと思った。ところが,あとで記録を調べてみたら,この本,前に一度読んでいるんでした。
 読了年月日が入っているんだから間違いないと思う。思うんだけど,まったく記憶がないんですよ。狐につままれたような気分。

● 同じ本を二度買うという失敗は何度かしている。それも1年も2年も前に買ったわけじゃなく,ほんの2ヶ月前に買っているのに,それを忘れてまた買ってしまったこともある。
 けれども,一度読んだ本をそれと気づかずに読み始めた場合は,途中で気がつくでしょうよ,普通。それが気づかなかったばかりか,前に読んでいることを首肯しかねる自分がいる。ったく,何を読んだんだかね。

● 数あるスティーブ・ジョブズの伝記もののひとつといっていいのだろう。主にアップル創業以後のジョブズを描いている。著者はジョブズのそばにいて,ずっと行動を共にしてきた人のようだ。ジョブズを称揚する内容になっている。
 本書が書かれた時期も影響しているかもしれない。iPod,iTunes,iPhone,iPadと,ジョブズが連続ホームランをかっ飛ばしていた時期に書かれている。

● いくつか転載。
 わたしは以前,IBMやインテルの有名な企業リーダーたちのもとで働いた経験がある。また,ジャック・ウェルチ,バックミンスター・フラー,ジョーゼフ・キャンベルなど,すぐれた指導者や思想家にも会った。組織構造のあたらな変化をめぐって,ジョン・ドラッカーと議論を交わしたこともある。 しかしやはり,スティーブ・ジョブズは別格だ。(p1)
 Macやそれ以降の製品はただの製品ではない。スティーブの全身全霊がこもっている。未来を強く思い描く人間が素晴らしい芸術や製品をつくれるのは,九時から五時までしか働かないといった態度とは対極の生きかたをしているからだ。(p30)
 このアイデアを実現したい,この問題を解決したい,この誤りを正したいなど,自分が使命と感じる何かで,心が燃えたぎっている必要がある。最初から熱意にあふれていなければ,貫き通すのは不可能だ。(p33)
 ユーザーの負担を軽くしようと思うと,開発作業は増えて,設計もきめ細かくならざるをえない。細部への極度なまでのこだわりが,スティーブや彼の製品の成功の大きな要因といっていい。(p35)
 重要な点は,スティーブが執務室にじっとすわったまま命令を下したりしなかったことだ。スティーブは現場にいた。いわば炭鉱の中に入って,ほかの仲間のすぐそばで働いた。メンバーそれぞれのもとに立ち寄るたびに,驚くべき熱意で開発にかかわっている事実が,周囲にじゅうぶん伝わっていった。(p70)
 自分はいま,業界の行方を,いやおそらく歴史の行方までも変えようとしている,と本気で信じるのなら,途方もなく長い時間働くことも苦ではないだろう。特別な使命を帯びた者と自負して,しばらくのあいだ,人生のほかの要素をあきらめるほかない。(p71)
 この動向(スカリーVSスティーブ)は,一見すると,ふたりの最高幹部の権力争いに思えるだろう。しかし,はるかに深い意味を持っている。きっちりとした製品戦略を持たず,製品グループを明確にしないまま,機能分野にもとづいて体制づくりをした場合,企業がどうなっていくかという実例だ。(p161)

2014年10月26日日曜日

2014.10.26 堀部篤史 『街を変える小さな店』

書名 街を変える小さな店
著者 堀部篤史
発行所 京阪神エルマガジン社
発行年月日 2013.11.20
価格(税別) 1,600円

● 「京都のはしっこ,個人店に学ぶこれからの商いのかたち」が副題。著者は恵文社一乗寺店の店長。
 「今,商店街ってほとんど解体されたじゃないですか。ぽつんと1軒,どんなにおもしろい商品構成した店があっても,なかなか成り立たないと思うんですよね。そういう意味では,僕は自分の店だけを頑張るって感じを超えて,つながりながら輪を大きくしたい」(p221)という視点で,自分の店の近くにある「個人店」を取材している。

● 喫茶店「迷子」の山本耕平さんが筋金入りのユニークさ。
 過去にすばらしい商品や作品が完成しているのに,なぜそれらのまがいものの再生産を,騙されたふりで消費し続けなければならないのか。貼りかえられたラベルだけを見て消費を続けるのならば,商品そのものの優劣はおざなりになってしまいかねないでしょう。誰かが勝手に決めた価値観にふりまわされたくないし,余計な付加価値で商売するくらいなら,じっとしていたほうがマシ。(p105)
● 古書店「三月書房」の宍戸恭一さん。
 基本的に本が好きということです。本ていうのは生活の糧であり,生き物ですからね,魂を持っている。一冊だけポツンとあったんではダメです。関連させて初めて生きてくる。(p137)
● ほかに,いくつか転載。以下は著者の言葉。
 あらゆる細胞に変化できる万能細胞の一種,ES細胞もマップヘイター的性質(自分の行きたいところに行くのに地図や案内板など全くたよりにしない。むしろ地図など面倒くさいものは見ない)を持つそうで,自身の存在目的や,組織の全体像を把握せずに,ほかの細胞との関連性によって自己を規定するため,皮膚から肝臓までなんにでも姿を変えることができるという。(p139)
 雑誌の本屋特集や,本屋ガイド本では,個性的な商品構成の店ばかりがとりあげられがちだが,大型書店が存在しないことには,小さな街の本屋もなりたたない。 大型書店以外にも,ヒントを探しに休みの日には,だいたい街をうろうろしている。(p187)
 ウェブ検索が「知る」ことの最短距離として定着したここ10年ほどで,関心のないものごとに触れる機会がずいぶん貴重になった。自分のなかの「検索ワード」を増やさなければ,生きた棚はつくれないのだ。(p189)
● 「過去ととなりあわせに生きる京都では,競争を勝ち抜いて大きくなることよりも,変わらぬあり方で老舗の暖簾を守り,長くあり続けることこそが価値とする考え方が昔からある」(p113)という。
 東京一極集中で,地方はどこも寂れつつあるという程度の認識しかぼくは持っていなくて,地方の個性や独自性とか言われると,そんなものがあるのかよっていう反応をしちゃってた。
 そのあたりをまず修正する必要がありそうだ。

2014.10.24 今井栄一 『世界の美しい書店』

書名 世界の美しい書店
著者 今井栄一
発行所 宝島社
発行年月日 2014.07.02
価格(税別) 1,800円

● 前書きに,アンドレーア・ケルバーケルの『小さな本の数奇な運命』が紹介されている。
 1冊の本がある。出版された当時は大いにもてはやされ,版を重ねた。時代が変わり,今では見向きもされない。本は名作としてのプライドから,今,自分がこうして古本屋の棚に並んでいることに傷ついている。そして,あと数週間して売れなければ,棄てられ,ダンボールになる運命だということに恐怖を感じ始めている。 その古書店でその本は,「今日こそは誰かが僕を買ってくれるだろうか」と待ち続けている。
● こうした擬人化はストンと腑に落ちてくるから困る。なぜ困るかというと,最近,本を大量に処分し始めているからなんですけど。古本屋に持っていくつもりはなくて,文字どおりの処分。
 今までも少しずつ棄てるようにはしていた。既読本のうち,これはもう読まないだろうなというものを。
 でも,少しずつでは埒があかない。ある程度思い切って,まとめて棄てないと。既読本は原則すべて処分。ほとんどの本は二度読むことはないからだ。
 未読であっても読みそうにないものは,投じた金額を忘れて処分する。これがべらぼうに多いのが悲しい。今,その作業中。

● 処分される本たちは泣いている? 昔と違って本は大量に作られるからね,稀少性は皆無だ。ゴミになるサイクルが早まっているのは仕方がないね。

● 恵文社一乗寺店について,次のように紹介している。
 ここではあらゆる本が心地良さそうにしている。本はどれも,「この書店から出たくない」と思っているのではないか。すべての本がちょうどよい場所にある。(中略)置かれている本たちがこれほどハッピーな表情をしている本屋を,ほかには知らない。(p94)
 こうまで書かれていると,行ってみたくなるね。京都市左京区の有名すぎる書店にね。

● あとがきでは「ハプニング,出逢い,気づき,インスピレーション,本屋はいつも,そういったものを与えてくれる」と書いている。
 本だけに用があるならアマゾンでいいけれども,本が集積している場所と,そこに集まる人が好きなら,リアルの書店に行くしかない。

2014年10月23日木曜日

2014.10.23 堀井塚 高・井上真花・松村武宏 『スマホで捗るライフハック』

書名 スマホで捗るライフハック
著者 堀井塚 高
    井上真花
    松村武宏
発行所 技術評論社
発行年月日 2014.09.10
価格(税別) 1,580円

● スマホを使って「仕事と生活を改善する30の技」を紹介。
 まず,「スマートフォンならではの情報収集」。Google検索の使い方,SNSのリアルタイム検索,キュレーションサービスなどが紹介される。
 自分が必要とする情報をうまく取りこみましょうという話。が,そんなことをしていたら,ノイズまみれの生活になってしまわないか。そんなに“情報”が必要か。
 情報なんて放っておいても入ってくるわけで,いらない情報をいかに遮断するかが,むしろ大切なライフハックではないのか。

● 次が,「スマートフォンではじめるアイデア発想」。“アイデアデッキ”や“MandalArt”,“SimpleMind+”といったアプリを紹介しながら,スマホでKJ法やマインドマップを試みることを勧めている。
 昔,アイデアプロセッサーと呼ばれるジャンルのパソコンソフトがあった。“インスピレーション”がその代表だったかと思う。そのソフトは買って使ってみたが,すぐに使わなくなった。
 こうした発想技法はむかしから色々ある。嚆矢となったのは,梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』だと思う(こざね法というやつ)。が,それら技法の汎用性がどこまであるか。
 それにマインドマップは(ぼくは試みたことはないんだけど)大きめの方眼用紙を使って手書きで書いた方が効果があるんじゃないか。

● 3番目が「ライフログを残して日々の生活をより快適に」。EvernoteやFacebookの解説。Evernoteの解説書として読めば,役に立つかもしれない。
 ぼくはログを残すこと自体はわりと好きな方だ。EvernoteもFacebookも使っていないけれども,手帳やメモ帳にチョコマカと書いている。
 が,その活用はあまり考えたことがない。要は,記憶のトリガーを残しておきたいということだ。未来を快適にするためにライフログを残しておこう,とは考えたことがないな。

● 4番目は「スマートフォンではじめるヘルスケア」。いろんな器機やアプリがあることはわかった。
 それらを駆使して睡眠や運動や食事を記録し,消費したカロリーと摂取したカロリーを計算して,SNSにアップする。そうすれば友だちから励ましてもらったりカツを入れてもらったりできるから,ひとりでやっているより長続きする。

● 仮にそれらを実行している人がいたとする。ぼくがそいつに言いたいのは,次のひと言だ。おまえ,どんだけ暇なんだ?
 といっても,ぼくも少しはやっている。“Sleep as Android”で睡眠ログを取っている。どこまで正確なのかはわからないけど。
 “My Tracks”で自転車走行の記録を取っている。が,活用はしてない。だんだん積みあがっていくのが嬉しいと感じる効果はあると思うけど。

● 最後は「スマートフォンでスケジュール&タスク管理」。GTDと呼ばれる考え方があるんだそうだ。それを中心に色々と。

● というわけなので,スマホでこういうこともできるんだよと知ることはできたけれども,自分もやってみようと思ったものはひとつもなかった。紙とペンを使った方がいいと思うものが多かった。
 それでは面倒で続かないというのであれば,それはそもそもあなたには必要のないことなのだから,デジタルでもやらない方がいいんじゃないか。
 必要のないデータはゴミであって,ゴミを集めても仕方がないと思うよ。いくら簡単に集積できるとしても。

2014年10月21日火曜日

2014.10.21 ロンダ・バーン 『ザ・シークレット 日々の教え』

書名 ザ・シークレット 日々の教え
著者 ロンダ・バーン
訳者 山川紘矢
    山川亜希子
    佐野美代子
発行所 KADOKAWA
発行年月日 2014.09.30
価格(税別) 1,800円

● 引き寄せの法則。『ザ・シークレット』以後,この言葉じたい,だいぶ普及したのではあるまいか。
 本書は同じことを手を変え品を変えて述べている。繰り返しを省けば,数ページで収まってしまうだろう。

● が,読ませる工夫としては巧み。1年365日の日めくりカレンダーのような体裁。どこから読んでもいいし,飛び飛びに読んでもいい。

● いくつか転載。
 気づくと面白いのですが,人々が言う「悪」とは単に親切が欠如していることなのです。元々悪があるのではなく,悪とは親切がないことなのです。(p164)
 宇宙は完全にあなたと相思相愛の関係にあります。あなたがそんな失敗を繰り返そうと,どんな人生を送っていようと,また自分のことをどのように思っていようと,宇宙は永遠にあなたを愛しているのです。(p215)
 引き寄せの法則はあなたの考えや言葉にそのまま反応します。ですkら,あなたがそれは将来起こることだと考えてしまうと,それがこの瞬間に起こるのを邪魔してしまうのです。(p252)
 お金が入ってくるのは,もはやお金は必要ないと感じる時です。お金が必要だと感じるのは,それが十分にないと思うからで,その思いが不足した状況を創造してしまうのです。(p258)
 心と魂を最高に成長させるには,陽気な気質であることが必要です。つまり,気質が明るく,楽しく,可愛いほど,どんな才能も容易かつ早期に開花します。(p343)

2014年10月19日日曜日

2014.10.19 番外:日経WOMAN 2014年11月号-手帳で変わる,私の未来

編者 佐藤珠希
発行所 日経BP社
発行年月日 2014.10.07
価格(税別) 537円

● スケジュール管理のための手帳からログを残すための手帳へ,っていう手帳術(?)の流れがあるのかなぁと思わせる内容。
 「ほぼ日手帳」をはじめ,1日1ページタイプが普及しているようなんだけども,そのことを象徴する事象ですかねぇ。
 「ほぼ日手帳」とそのプロモーションの影響って,けっこう大きいような気がするんですよね。

● 記事のメインは,実際のユーザーが自身の手帳を公開して使い方を語るというもの。スケジュールはマンスリーでやって,ウィークリーには行動記録を書いておくという人が何人かいた。

● スノーボードで銀メダルを獲得した竹内千香さんもそのひとり。その彼女の発言をひとつ転載。
 失敗したら最初に戻ればいいだけ。変化は自分を成長させてくれる最大のチャンスだし,私にとって楽しい学びなんです。(p30)
● 以下に,記事の見出しをあげておく。
 毎日がもっと充実する「記録手帳」始めよう!
 “振り返り日記”でもっと好きな私に近づく
 手帳でラクラク♪ 目標達成プランニング
 手帳で目標を達成するテク,教えます
 書くだけでなぜか夢がかなう手帳&ノート

● 目標達成にひかれるのは真面目で律儀な優等生,夢がかなうというのにひかれるのは楽して得を取りたい横着者,というイメージがあるかな。

2014.10.19 永江 朗 『本について授業をはじめます』

書名 本について授業をはじめます
著者 永江 朗
発行所 少年写真新聞社
発行年月日 2014.09.22
価格(税別) 1,600円

● ユーカリの木から紙になって物体としての本ができあがるまでの過程。
 著者がいて編集者がいて挿絵画家がいてデザイナーがいてという,本の中身ができあがるまでの過程。
 洞窟壁画から粘土板,パピルス,羊皮紙,紙という歴史。印刷に関する歴史。
 そうした本に関する諸々のことがらを(たぶん)小学生に説こうとする。

● さらに,本の未来のこと(ほぼ,イコール電子書籍の話)。書店や図書館のこと。読書について。自分が書くことについて。

● 本が好きな子どもたちは,いつの時代でも一定数いるに違いない。そうした子どもたちには,とっつきやすい本のガイドブックになっていると思う。

2014.10.18 鎌田 洋 『真夜中のディズニーで考えた働く幸せ』

書名 真夜中のディズニーで考えた働く幸せ
著者 鎌田 洋
発行所 河出書房新社
発行年月日 2014.09.30
価格(税別) 1,300円

● 河出書房新社の“14歳の世渡り術”シリーズの1冊。中学生に人生を語るというもの。

● 鎌田さんは,ディズニーランドで仕事がしたくて,紙の専門商社を退社して,ディズニーに転職した。転職できるとは限らない時期に辞めてしまったのが肝。
 その商社でも「人事異動で(営業部から)商品部という,いわば在庫管理の部署に異動になった。(中略)あとから,営業部の部長がこの異動に異議を唱えて人事部に乗り込んだという話を聞いた」(p146)というから,仕事がつまらないからディズニーに転職しようとしたわけではない。

● さらに,ディズニーにすんなり転職できたわけでもない。その間,生活費を稼ぐために,住宅販売の企業にいうなら腰かけで就職した。
 そこでも「新人にはどうにも当てにならない手垢のついた顧客名簿が渡される。(中略)これを当てにしても無駄だと思った。成績をあげるためにはどうしたらいいか,真剣に考えた。他の営業マンがやっていないこと,どうやったら新規のお客様を獲得できるかを!」(p151)という働き方をしている。

● 以下に,いくつか転載。
 人を鼓舞するためにはいろいろな方法があるが,一番の特効薬は気高き理想を臆面もなくまじめに情熱をもって伝えることだ。人は普通のことでは燃えない。まだ見ぬ理想を提示されると,それを目指して頑張れるのだ。(p97)
 ナイトカストーディアルは業務中にゲストと触れ合わないし,仕事ぶりを見てくれる上司もいない。そんな状況で仕事をしている。人は自分に関心がもたれていないと感じるのは,とてもダメージが大きいものなのだ。(p115)
 ゲストは待ってくれない。もしも君が出来ることなら君が処置をすべきだね。誰の担当とか責任とか関係ない。(p119)
 我々の仕事はパークを浄化するだけではない。人の心をも浄化するのだ。(p124)
 仕事に対するそうした真摯さが,実はとても大切なのだ。よく「運も実力のうち」だといわれるが,「よい運」は日頃の人生に対する姿勢で決まるのではないかと,最近は特に思うのだ。(p156)
 私はディズニーの世界に入ってから,人間という動物をより信頼するようになった気がする。そうすると,自分自身をも信じられるようになるのだ。(p165)
 誰かの目や評価を期待すると,その評価によって自分の気持ちが左右されてしまう。つまり,自分の感情が誰かによってコントロールされる。そうなると自分の主体がなくなってきて,まるで操り人形のように仕事をすることになる。(p169)

2014年10月18日土曜日

2014.10.16 宮本真由美 『世界一幸せになれる7つの魔法』

書名 世界一幸せになれる7つの魔法
著者 宮本真由美
発行所 PHP
発行年月日 2013.01.25
価格(税別) 1,200円

● 身内に問題がある。先月の末にその問題が先鋭化してしまった。自分はどうすればいい? って,何もできないでいるんだけど。
 苦しいときの神頼みで,本書を読んでみた。しみじみとそうだよなと思うところが多い。ほぼすべてがそうだ。

● 「7つの魔法」の7つとは,次のようなもの。
1 幸せになりたいという気持ちを持つこと。
2 不幸と幸せの正体を知る
3 上気元で生きる
4 体をいつも上気元にする
5 環境を今すぐよくする
6 幸せバリアを築く
7 人を幸せにしようとする

2014.10.15 林 忠彦 『林忠彦写真集 日本の作家』

撮影 林 忠彦
発行所 小学館
発行年月日 2014.09.23
価格(税別) 2,200円

● 巻末に撮影したときの林さんの印象をまとめてある。これが一番面白い。
 今 東光 六十過ぎから青春がまたやってきたような,本当にめったに現れない変わった人でした。
 亀井勝一郎 これほどノーブルな顔の人というのはあまり見たことがありません。女流作家でも宮本百合子とか平林たい子とか,いい育ちの人がかえって左翼運動に熱中するというのは,ちょっと不思議な感じですが,男では亀井さんはその一人だったんですね。
 三島由紀夫 五十すぎてひとかどの人物であれば,絶対にどこかいい顔をしている。(中略)ところが実に不思議なことに,三島由紀夫さんだけは,この「顔のきまり」があてはまらなかった。
 野上弥生子 ひとかどの人物というのは,カメラを持っていけば,それだけでいい写真になるものですが,それはたいてい男性の場合です。野上先生は,女性としては珍しくカメラをスゥーッと持っていけば,いい写真になるような雰囲気で(中略)すばらしい顔だったと思います。
● たぶん,女性は50歳になっても60歳になっても娑婆っ気が抜けないんだと思いますね。
 男性が「カメラを持っていけば,それだけでいい写真になる」のは,何事かを諦めた顔になっているからだろうと思うんですよ。女性はしぶとく諦めないんじゃないのかなぁ。
 
● 自分の顔はどうなのかな。こうした味わうに足る顔にはなっていないだろうな。「ひとかどの人物」になれていないから。

● ぼくは,昔,“第三の新人”と呼ばれた人たちの作品に夢中になったことがある。だれか一人といわれれば,吉行淳之介だった。彼についての,上記のコメントがないのは残念。

2014年10月15日水曜日

2014.10.15 星野けいこ 『こども手帳術』

書名 こども手帳術
著者 星野けいこ
監修者 浅倉ユキ
発行所 パルコ
発行年月日 2014.09.26
価格(税別) 1,600円

● 冒頭に汐見稔幸氏(白梅学園大学学長)と著者の対談が収録されている。そこから汐見先生の発言をふたつ,転載。
 子どもが自立していくとほめることが減っていくのは当たり前。無理にほめようとするのではなくて,「共感」してやればいいんです。頑張ったときに「よく頑張ったね」,うまくいかなかったときに「ああ,悔しいね」って言ってあげればいい。(p17)
 楽しく会話したいのなら,親自身がその日に考えたこと,感動したこと,子どもに伝えたいことを自分から語るべきなんです。お母さんが語れば,子どもは「どうして?」「そういえば僕もね」とかしゃべりだす。(p18)
● 日本能率協会マネジメントセンター編『中学生・高校生のための手帳の使い方』を読んだときにも,中学生にこういう手帳の使い方を指導するのがいいことなのかどうか,疑問に思った。
 本書でも同じ違和感を感じた。子どもに手帳? 子ども期は大人への準備期ではなく,固有の価値があって,その価値に生きているものだろう。段取りとか計画とか,そんなものに気をやるより,もっと子ども期に固有な大事なものがあるんじゃないかって。

● しかし,子どもは大人と同じことをやりたがるものでもある。面白い試みなのかもしれないな。
 そもそも,「こども手帳」は親が楽になるようにというところから発想されたものだ。子育てはとんでもなく大変なものだから,その発想はよくわかる(つもりだ)。

● 本書で説かれていることをそのまま実行できる人は,大人の中にもそうはいないだろう。大人にはできなくても子どもにはできる。そういうことはたくさんありそうだ。手帳術がそのひとつに該当しないとは言えない。
 が,けっこう大変そうではあるな。

2014.10.13 番外:Associe 2014年11月号-最強の手帳術 2015 決定版

編者 泉 恵理子
発行所 日経BP社
発売年月日 2014.10.10
0価格(税別) 676円

● やはり買ってしまうな。こういうタイトルの雑誌が出ると。

● 昨年(の同誌の同特集)とはだいぶ様相が違う。ほとんど読むところがない。
 こういうのは目を皿のようにして,参考になりそうなところを探していくというものではない。ほほう,なるほど,と肯きながら(あるいは,突っこみながら)楽しむためにある。その楽しみがほとんどないんだな。
 「もしドラッカー&アドラーが手帳を使ったら」は妙に頭でこねくり回した企画という印象。

● が,特集以外に興味を惹いた記事が2,3あった。雑誌はそれで元が取れるものだ(と思わないと)。

2014年10月14日火曜日

2014.10.13 斎藤一人 『おもしろすぎる成功法則』

書名 おもしろすぎる成功法則
著者 斎藤一人
発行所 サンマーク出版
発行年月日 2014.09.30
価格(税別) 1,500円

● ここでいう成功ってのは,お金持ちになることではない(と思う)。楽しく,あるいは幸せに,生きていくっていうことだ。
 そのためにはどうすればいいのかという方法論を示す。

● その方法論を転載。
 心って,思いようなんです。「不安症」の人は,何があっても悪く考えるクセが抜けないけれど,悪く考えていたほうが,エネルギー使わなくてラクなんだよね。「何があっても良く考える」っていうのは,実はものすごいエネルギーがいるんだよ。(p46)
 よく「知恵と勇気が必要だ」って言うけれど,「勇気のない知恵」はいくらあっても,なんの役にも立ちません。(中略) 「勇気って,どうやって出るんですか?」って,「出しグセ」をつければいいんだよ。勇気ってね,少しだけでも出るようになると,また少し出るようになるの。それで,「出しグセ」がつくと,いくらでも出るんだよ。(p47)
 世の中って,運と実力の両方がいるんです。世の中って,「運」がないと,上がってはいけません。だけど「実力」がないと,上がっても,落っこちちゃうんです。(p56)
 「あなたは運がいいんだから,楽しくやってな」って言っているうちに,仕事でもなんでも,実力は後からついてくるんです。人って楽しければ,努力するんだよね。(中略) みんなも人を育てようと思ったら,「実力がいるから,努力しろ」って言っちゃダメなんだよ。これが人をつぶしちゃうんだよ。(p57)
 年齢を重ねるにつれて,わかったことがひとつあります。それは,「歳をとっても外見が変わるだけ。気持ちは,16歳のときとまったく変わらない」ということ。(p69)
 実は,人は,「神さま」という存在を,信じるようにインプットされているんだよね。困ったときに,「神さま」という存在に,すがるようにできているんです。 あのね,神さまって,やさしんだよ。(中略)すでに困っている人が,そこからお祈りを始めても,ちゃんと助けてくれようとするんだよ。神さまって,すごく器が大きくて,懐が深いんだよな。(p89)
 「大好きなこと」に対して,モチベーションが落ちるってことはないんだよね。オレは,「仕事をおもしろくやる」のが好きなの。オレは仕事を「おもしろいゲーム」にしてからやるの。(中略)みんなは仕事を「おもしろくないままやってる」から「モチベーションが落ちる」とかって言うんだと思うよ。(p122)
 問題が出てきたら,一歩下がるんじゃなくて,そのドアをノックして開けてください。そうすると,そこには必ず道が開けます。(p200)

2014年10月13日月曜日

2014.10.12 宮本真由美 『モテモテ道』

書名 モテモテ道
著者 宮本真由美
発行所 PHP
発行年月日 2014.09.17
価格(税別) 1,200円

● 昔,ナポレオン・ヒルをはじめ,成功哲学の本を読みあさったことがあった。そんなことをしても成功するわけではない。ぼく自身がその生きた実例だ。
 が,なんて言うのかなぁ。落ちこんでいるとか明日が辛いとか,そういうときにね,精神安定剤というかカンフル剤というか,そういった薬を服用するような感じでね。いくつか読みましたよ,と。

● でも,アメリカの成功哲学って,何だか嘘くさいというか薄っぺらいというかね。どこかに引っかかりがあるんだよねぇ。
 その点,日本人の書いたものは,スッと入ってくる。そうなんだぁと思える。その代表が中村天風さんと斎藤一人さんでしょうね。

● 本書は斎藤一人さんのお弟子さんが書いたもの。こういうものを読むときは,やや気持ちが弱っているときだね。本当は,こうしたものを読まずにすむようになるといいんだと思うんだけどね。
 でも,弱ったときには,無理をせず薬を服用した方がいいんですよ。

● 以下に多すぎる転載。
 強くなるためには「空手道」という道があります。師匠の元に弟子入りして,教えのとおり素直に一つひとつ学んでいくと,普通のおじさんや女性だって,素手で瓦を割れるようになります。ところが,瓦を割ることもできないのに,師匠の教えにつべこべ口をはさんでいるようでは,いつまでたっても上達できません。(p5)
 いちいち相手に合わせて,相手が好いてくれる恰好にするんじゃないの。自分の好きな格好を磨き抜いていくの。そうすると,あなたを好きな人が出てくるの。(中略) それなのにみんな,人の意見を聞きすぎるの。そんなことをしているから,言っていることにも魅力がない,見た目にも魅力がない,やっていることにも魅力がなくなるんだよ。(p23)
 しぼり込みすぎるからダメなんだよ。彼氏はひとりとか,彼女はひとりとか,旦那はひとりとか,奥さんはひとりとかって決めすぎるの。(p29)
 道徳的にいけないことって,その道徳ってだれが決めたの? オレじゃないことは確かだよ。(p34)
 この人とつきあうと自分がプラスになるっていう人に色気を感じるようになってるんだ。要するに,人は,自分を成長させる人が好き。いちばん嫌いなのは,押さえつける人間なの。(p38)
 「一人さんみたいにお金持ちになりたい,お金持ちになると女にモテるから」。それって,言ってることに魅力がないんだよ。(p44)
 人に影響力を与えられる「魅力的な人間」って,「カッコイイ! この人みたいになりたい!」って,相手が思わず思っちゃう人だよな。 だから反対に,人をどうこうしようとしている人間は,魅力もないし,影響力もないの。(p47)
 ハイヒールだって,カッコはいいけど,足が痛いんだよ。だからオシャレとは,我慢だよ。カッコよさも,我慢なの。 男性が女性とつきあってカッコよく生きようと思ったら,常に男性が損するしかないの。(p48)
 あなたの洋服を見たとしてもね,自分で買っているものなのに,好みって一貫しているようだけど,バラバラなの。 だから,男の人の好みもいろいろなの。女の人の好みもいろいろなの。(p49)
 いいかい? 人生っていうのは,一度失敗したことは二度とやっちゃいけないの。 たとえば,髪の毛を七三にして右分けで行ってダメだったなら,次に合コンに行く時には左から分けていくの。とにかくなんでもいいから,絶対に変えていくんだよ。同じままで行ったらダメなんだよ。(p51)
 「1+1=2」なのに,初めに「3」と間違った答えを書いたら,次は4と書こうが,5と書こうが,3と書くよりましなんだよ。また3と書くのだけは,絶対にダメ。(p52)
 いい人でも無意識のうちに一〇〇に一つイヤなことを言ってしまっている。その一つのイヤミが人生を一〇〇%ダメにしてしまうんだよ。(p103)
 年齢は単なる背番号。勉強,習い事,仕事,オシャレ,恋愛・・・・・・,何かやりたいことを始める時に年齢制限はないのです。 勝手に自分で制限して,ババ臭くしていっているのは,自分が口にしている「もう年だから」というカッコ悪い言葉のせいです。(p113)
 全員とは言わないけれど,食べものの好き嫌いが激しい人は,人の好き嫌いも激しいんだよ。だって,スキとかキライとかって,自分の許容範囲の大きさだろう。だいたい好きでも嫌いでもどうでもいいことに目くじらたてて,白黒はっきりさせようっていうのがおかしいだろう。(p115)
 神さまに頭を下げられないのは強欲です。素直に助けを求められないのは傲慢。(p118)
 「もう年だから」「収入が低いから」「仕事が忙しいから」「田舎に住んでいるから」「片親だから」「親の介護をしているから」というように自分がモテないことを人のせいにしたり,年齢や職業など,何かのせいにしたりする人がいます。 でもね,何かのせいにするのは,あなた自身の魅力が,その条件に負けてしまっているということ。それ自体,本当はおかしくないですか!?(p126)
 人生は『好感度コンテスト』なんです。(p173)
 この年になると,これは本当にそうだということがわかる。頭が切れるとか,学歴がどうだとか,そんなことじゃないんですよね。
 ぼくは迂闊きわまる人間で,こんな単純なことをずっと失念したままできたね。
 しかも,わかってもなかなか軌道修正ができないんだよなぁ。 
 どんなに暗いヤツでも,自分以外の暗い人は大嫌い(p192)

2014年10月11日土曜日

2014.10.10 番外:TOKIO STYLE 2006年9月号

さ編者 林 俊介
発売所 金沢倶楽部
発行年月日 2006.08.01
価格(税別) 762円

● 巻頭のインタビューは,原田知世,スタニスラフ・ブーニン,平松宏之,アンドレ・プットマン,平野暁臣の5人。

● 特集は「ソファのある人生」。こぐれひでこ,野口孝仁,宮脇彩,藤代冥砂,安西水丸の5人が自身のソファについて語っている。
 デザイン,制作する側のピエロ・リッソーニ氏にも取材していて,彼の発言から転載。
 私はデザイン上,コンフォートを優先して,エステティック(美学)の側面を犠牲にすることはないですね。(p27)
 取材者は「カタチは機能に従うと語ることが良心的ともいえる世界で,こうきっぱり語れる作り手はなかなかいない」との感想を付している。「おざなりなコンフォートい優先してばかりいると,人間は緊張感もエロスも失って退屈な存在になってしまうだろう」とも。
 ぼくはそっちの口だと思いますね。緊張感もエロスも失った退屈な存在なんだろうな。

● 「スタイリッシュ・ソウル案内」なる記事もある。この年にできた「セブンラックカジノ」の紹介がメインだから,広告連動記事だと思うんだけど,この時期のソウルにはたしかにこうした輝きがあったのだろう。
 現在の韓国からは消えてしまった。韓国の迷走ぶりは,傍目にもどうなってしまったのかと思うほど。民族主義っていう内向きの姿勢もほどほどにしておかないと,自分たちが大損こくことになると思うんだがな。

● 「ホテルに泊まるといふこと」もその流れで,ソウル新羅ホテル。この連載はこの号で最終回になるらしい。
 ソウルだったらウェスティン朝鮮がいいと思っている。けど,諸々泊まり比べたわけではない。

● 109ページ以降の“スカイラウンジで夜と語る”に仲島未野さんの絵がいくつか登場する。癒し系だね。柔らかいタッチで。

2014.10.09 番外:TOKIO STYLE 2004年4-5月号

編者 林 俊介
発売所 金沢倶楽部
発行年月日 2004.04.01
価格(税別) 762円

● 巻頭のインタビューは,田丸美寿々,玉村豊男,渡邊かをる,ケイコ・リー,荒木経惟の5人。
 “グラビアインタビュー”は寺島しのぶ。「ホテルに泊まるといふこと」はグランドハイアット東京。

● 特集のひとつが「東京25時」。
 早朝は築地市場,相撲部屋。ホテルで朝食を食べて,朝湯。理髪店に行って身だしなみを整え,小さな美術館を訪れる。歌舞伎を見に行って,幕間の幕の内弁当を賞味。
 昼過ぎは,シティスパを味わって,ラーメンか蕎麦を食べて,アメ横を冷やかす。夕方になったら隅田川クルーズ。レストランで晩餐。寄席かフラメンコを見に行って,バーで締める。

● 「茫々酒中日誌」にはグランドハイアット東京を取材したときの裏話など。

2014.10.08 番外:TOKIO STYLE 2004年6-7月号

編者 林 俊介
発売所 金沢倶楽部
発行年月日 2004.06.01
価格(税別) 762円

● 編集人の林俊介さんの“巻頭エッセイ”,母親のことを書いている。母親の再婚に反発して,母親とは長く音信不通。父親は父親でいろいろあって,やはりずっと会わないで過ごした。
 その母親が80歳で亡くなったという話。

● 巻頭のインタビューは,黒川紀章,加藤タキ,川瀬俊郎,天野安喜子,勅使川原三郎の5人。勅使川原さんの発言を転載。
 自由とは自分という器をよく知って,正しく使いこなせるようになることだと思うんです。(中略)独自のものを探すためには,まず他者を受け入れていく姿勢が必要なんですね。(p17)
● “グラビアインタビュー”は毬谷友子。
 ふだんの私は,女優が束の間の休息をとっている姿なのかもしれないと思うようにもなりました。(p110)
● 「ホテルに泊まるといふこと」はザ・ブセナテラス。
 このホテルには泊まったことがないけれど,観光地というかリゾート地のホテルは,わざわざ泊まりに行こうとは思わない。なぜかというと,あまりいい思いをしたことがないからだ。
 沖縄のホテルもハウスキーピングなんかけっこう以上に杜撰。客の都合よりも自分たちの都合を優先するような感じがそこここにあって,何だかなぁと 思うことが多い。
 経営側もコスト削減を第一テーゼにしているようだった。それは別に悪いことじゃない。そういうところに,ぼくは行きたくないというだけで。

2014年10月7日火曜日

2014.10.07 番外:TOKIO STYLE 2004年8-9月号

編者 林 俊介
発売所 金沢倶楽部
発行年月日 2004.08.01
価格(税別) 762円

● “巻頭エッセイ”を読むと,編集人の林俊介さん,振幅の大きい人生を生きてきたことがわかる。「三十五歳で興した会社が行き詰まり,私の髪の毛の半分がそれこそほんの数夜で真っ白になった」とか,「亡くなった妻とつきあいはじめたとき,私は別の女性と暮らしていました」とか。
 “妻”と“私”はいいとして,“別の女性”はきつかったろうな。

● 巻頭のインタビューは,是枝裕和,安藤優子,藤代清治,石井幹子,弘兼憲史の5人。
 特集は「ホテルを食べる」。ホテルのレストランの紹介。自分には無縁の世界だ。だからこそなんだけど,こういうものにぼくは冷淡。
 特に何年か前の吉兆事件で品下れる経営陣が白日に晒されるとか,去年だったか,食材を偽って表示していたホテルが次々に明るみに出るようなことがあると,ホテルのみならず,そこで食べている連中の味覚のいい加減さも際立ってしまう。雰囲気も味のうちといったって,ものには限度があるだろう。

● ぼくは街の大衆食堂がいいや。けっこう水準の高いとこ,あるもんね。あるんだよ。とんでもなく安かったりしてね。お金は賢く使わないとね。
 料理を芸術品にしてもしょうがないわけだから。芸術家じゃなくて職人が作る料理がいいでしょうよ。

● 次の特集は「今宵,音楽のある店で」。ジャズバーというのか,ジャズの生演奏を聴きながら飲む店。これもぼくは経験がないな。今のところ,音楽と食事(飲酒)は両立しないと思ってる。ひょっとして,大きな楽しみ方を捨てている? 喰わず嫌いか。
 「ホテルに泊まるといふこと」は山の上ホテル。“グラビアインタビュー”は前田美波里。

● 巻末の「茫々酒中日誌」。「人間がいかに人間を求め,そして人間によってしか救われない不確かな存在であるか」にはそうなんだよなぁと思わされる。
 「高い酒は飲まなくなった。ワインは,もっぱら『酒のやまや』で買う紙パックのものを飲んでいるし,日本酒もせいぜい四合千円程度のものばかりである。これでなければということが本当になくなってきた」とあるのを読んでは,オレもそうなんだよと言いたくなる。ただ,ぼくの場合は,高い酒を飲んだ時期はなかったというところだけが違う。

● というわけなので,この雑誌は林俊介さんの雑誌ってことになるのだろう。良くも悪くも,林さんが投影された雑誌だと思う。

2014.10.06 清野恵里子 『樋口可南子のいいものを,すこし。その3』

書名 樋口可南子のいいものを,すこし。その3
著者 清野恵里子
    浅井佳代子(写真)
発行所 集英社
発行年月日 2014.03.06
価格(税別) 1,900円

● 登場するのは次の人たち,あるいは場所。
  川瀬俊郎(花人)
  柚木沙弥郎(染色家)
  スソアキコ(帽子作家)
  小島悳治郎(型染め)
  三上亮(陶芸家)
 
  朱文筵工房(漆器)
  美弥好(更紗)
  清野工房(ホームスパン)

  土井善晴(料理研究家)
  李青(韓国喫茶)
  カフェ・ヴェルディ(珈琲店)
  ミロンガ・ヌオーバ(タンゴ喫茶)

  さゝま(和菓子店)
  天野屋(甘酒)
  たかはしよしこ(ケータリング)
  渡辺英男(蜂飼)

  日本民藝館 西館
  和久傳(数寄屋建築)
  通崎睦美(長屋のリノベーション)
  木村優(建築家)
  タミゼ クロイソ

  大分 桑原政子(鶴見市場)
      小野九洲男(椎茸栽培)
      原尻の滝

  高松 流政之(彫刻)
      永見眞一(家具)
      栗林公園

  気仙沼 ヴァンガード(珈琲店)
        茶瓶(珈琲店)
        アンカーコーヒー&バル 田中前店
        斉吉商店(水産加工)
        盛屋水産(牡蠣・帆立の養殖)
        煙雲館
        愛耕幼稚園

● タミゼ クロイソは行こうと思えばすぐ行ける。『伊藤まさこの雑食よみ 日々,是,一冊』にも紹介されていて,一度行ってみようと思いながら,その機会を得ていない。
 要するに,本気じゃないんだな。そういう人間に来られては,来られる方が迷惑だろう。

● 浅井佳代子さんの写真を楽しむものだろうね。そこに写っている樋口可南子さんの美しさに見とれていればいいんじゃないかなぁ。

2014.10.05 番外:TOKIO STYLE 2005年5-6月号

編者 林 俊介
発売所 金沢倶楽部
発行年月日 2005.04.01
価格(税別) 762円

● 最近,自分の駄目さ加減が人を著しく傷つけていたことを次々に知らされる機会があった。子育てのことなんですけど。傷つけられたのは自分の息子で,傷つけたのが自分。
 もちろん,友人や職場の同僚に対しても,同様な過ちを犯していたに違いない。

● 編集人である林俊介さんの“巻頭エッセイ”に慰められた。「人は多くの間違いを犯します」という一文に慰められたというわけ。
 林さん,少年時代に刑務所暮らしを経験しているらしい。人は多くの間違いを犯すものなんだよな。

● 巻頭のインタビューは,糸井重里,夏木マリ,東儀秀樹,長島有里枝,林家正蔵の5人。
 自分はこれが好きだと思っても,周りには判断を曇らすものがいっぱいあるわけでしょう。だからたとえば鮨が好きだと思ったら,毎日三食,鮨ばかり食べてみる。とことんまでつきあって,鮨の本当の姿を知る。(糸井重里 p7)
 やるなら一流をめざしたいのに,自分の力はそこからかけ離れているわけね。でも絶望したまんまじゃ,死ぬしかない。(夏木マリ p9)
 どうせなら,精一杯のことをやり尽くしてから死にたいと僕は思う。のんびりできない質なんですよ。(中略)喧噪だってとことん満喫したいです。(東儀秀樹 p11)
 僕は自分の色で攻めていきたい。代々やってきたものに自分という新しいものを乗っけてこそ,私,九代目正蔵の意味が出てくるのかなという気がしてますね。(林家正蔵 p15)
● 特集は「運命の一軒」。レストラン紹介。
  秋元康-京味(新橋)
  千住博-味満ん(六本木)
  古川日出男-オー グー ドゥ ジュール メルヴェイユ(日本橋)
  中村江里子-すきやばし次郎(銀座)
  坂村健-アラジン(恵比寿)
  井上絵美(料理研究家)-富麗華(東麻布)
  ダリオ・ピニッスィ(オペラ歌手)-ピオラ(白金)
  弘兼憲史-栄児家庭料理(板橋)
  パトリス・ジュリアン(フランス大使館文化担当官)-ローブリュー(南青山)
  塩島賢次(ホテル総支配人)-室町砂場赤坂店
 という組合せで。言うも愚かながら,ぼくには無縁な世界。

● 次の特集は「丸の内を究める」。レストランや物販店の紹介。
 林俊介さんの連載「ホテルに泊まるといふこと」はホテル西洋銀座。
 “グラビアインタビュー”は高島礼子。このとき,彼女,40歳。“東京料理人百撰”は「上野毛 吉華」の久田大吉さん。

2014年10月6日月曜日

2014.10.05 番外:TOKIO STYLE 2005年1-2月号

編者 林 俊介
発売所 金沢倶楽部
発行年月日 2004.12.01
価格(税別) 762円

● これだけ質の高いビジュアル。多彩な登場人物と取材先。168ページのボリューム。これで762円。そうとうな数が捌けないと赤字になるのではないか。
 実際,10年前に登場して,3年もったかどうかといったあたりで消えていった。

● 当然,版元もそのあたりは折りこみ済みだったろう。長く続けられる雑誌ではない。取材対象の主なところは,ホテルとレストランだ。しかも,しっかりしたホテルとレストラン。
 いかにしっかりしていても,これまた浮沈はある。が,いかに浮沈があろうと,年6回発行される雑誌の取材先がなくならないほどには激しくない。

● 巻頭のインタビューは,中村吉右衛門,戸田恵子,山本益博,稲葉賀惠,佐藤可士和の5人。佐藤さんの発言からひとつ転載。
 高級ブランドを身に着けて百円ショップで買い物することがヘンでも何でもない。だから少しぐらい振り切ったことをやっても吸収して馴染ませてくれる。そんな場所は世界中のどこを探しても東京以外にはない(p15)
● 特集は「東京プチホテル」。次の8つのホテルが取りあげられている。
  アグネス ホテル アンド アパートメンツ 東京(神楽坂)
  山の上ホテル(神田)
  フォーシーズンズホテル丸の内 東京
  クラスカ(目黒)
  ホテル西洋 銀座
  アリマックスホテル渋谷
  アリエッタ ホテル&トラットリア(五反田)
  東京ステーションホテル
 雑誌はウソをつく。行ってみたら何これって感じだったよ,ってのはまぁ普通にあるとしても,まぁ魅力的なホテル群には違いない。
 違いないとしても,そうしたとことに泊まりたいという気持ちはなくなっている。ただ,「朝食という誘惑」はまだ自分をとらえているかも。朝ご飯をたまにホテルに食べに行く。
 でも,そのためだけに東京に出るというのはありえないもんな。

● 次の特集は「今宵,カウンター席で」。進藤晶子,高橋睦郎のインタビューと次の13店の取材。
  パリアッチョ(イタリア料理 中目黒)
  Le Gaulois(フランス料理 表参道)
  OZAWA(フランス料理 白金台)
  トゥリオ(イタリア料理 渋谷)
  レディタン ザ・トトキ(フランス料理 銀座)
  SASAO(フランス料理 本郷)
  ahill(鉄板フレンチ 西麻布)
  コム・シェ・ヴ(フランス料理 代々木上原)
  うち山(銀座)
  鮨 かねさか(銀座)
  左京ひがしやま(銀座)
  てんぷら 深町(京橋)
  馳走 喜多おか(外苑前)

● 編集人である林俊介さんの連載「ホテルに泊まるといふこと」。この号では伊豆の「あさば」を取りあげている。
 “グラビアインタビュー”で草刈民代さんを取りあげ,“東京料理人百撰”で「きよ田」の木村正さんを取りあげ,“立木義浩の会いたい人”には渡辺貞夫さんが登場している。

● “東京ウォッチング”で市井の人たちに「今,何にワクワクどきどきしてますか?」と訊いている。ゴルフだの娘の成長だのラーメン屋めぐりだのといった,普通の話がやっと出てくる。
 最後は編集人の「茫々酒中日誌」で締められる。斜に構えるのはいいとして,斜の勾配がやや急すぎないかと突っこみながら読める。

2014年10月5日日曜日

2014.10.03 伊藤まさこ 『ならいごとノート』

書名 ならいごとノート
著者 伊藤まさこ
発行所 ソニー・マガジンズ
発行年月日 2010.02.20
価格(税別) 1,500円

● 10個の「ならいごと」のうち7つは料理。あとの3つは,銅板を叩いて鍋作り,かご編み,クリスマス・リース作り。好きこそものの上手なれ。

● 自分は手先が不器用で,こういうことが苦手だ。小学校の図工や中学校の技術・家庭の時間は苦痛だったな。
 だから,できる人はすごいなと思う。

● ひょっとすると,小中学校では苦手だと思っていたのは,器用不器用ってこと以外に理由があって,今やってみるとけっこう面白いじゃないかと思ったりするのかもしれないんだけど。

2014年10月3日金曜日

2014.10.02 伊藤まさこ 『伊藤まさこの食材えらび』

書名 伊藤まさこの食材えらび
著者 伊藤まさこ
発行所 PHP
発行年月日 2013.05.27
価格(税別) 1,500円

● この食材ならこの料理という,レシピ集のようなもの。ぼくでもいくつか作ってみたくなるようなっていうか,ぼくにも何とか作れそうな簡単な料理もある。ソーメンのごま油炒めとか。素うどんとか。

● 「今まで市販のぽん酢にどうもピンとくるものがなく,自分で作っていたのですが」(p88)とか,「じゃがいもに染み込む牛肉の味は,おいしいものでないといけない。せっかく手をかけて作ったのに,すべてが台無しになってしまいますからね」(p120)とか,なかなかできないことだし,言えないことだと思う。
 構えが違うな。料理のアマチュアエキスパートというんだろうか。

● そういうものに自分もなりたい。けど,そういう構えはとれっこないとどこかで諦めている。

2014年10月1日水曜日

2014.10.01 伊藤まさこ 『あの人の食器棚』

書名 あの人の食器棚
著者 伊藤まさこ
発行所 新潮社
発行年月日 2009.02.25
価格(税別) 1,500円

● 書斎探訪的な書籍や雑誌があるとついつい買ってしまう。書棚に並んだ本のタイトルや机の上の様子を写真で見るのが,覗き見趣味を満たしてくれる。
 本書は書斎ではなく台所,書棚ではなく食器棚の探訪記。

● 書斎にせよ,アトリエにせよ,台所にせよ,使い込まれていることが風格を作るのだろう。
 私の憧れの台所は,やすやすとは手に入らない。毎日の積み重ねの中から生まれた知恵や経験を活かし,自然と一緒に暮らし,家族や友人のためにせっせと手を動かすことを厭わない人だけが持てるものなのだ。(p76)
● ぼくも書斎的な部屋を作ったんだけど,結局,風格はみじんも生まれないまま事実上放棄している。そうなるに至ったのは,使い込まなかったからだな。
 工房に限らず,道具万般,ノートでもペンでも鞄でもスマホでもパソコンでも,使い込むことが大事だなと再認識。
 あとは,掃除と手入れ。ズボラな人間にはこれが難しいんだけど。