2014年9月30日火曜日

2014.09.29 番外:究極の手帳術

編者 渡辺良保
発行所 学研パブリッシング
発行年月日 2014.10.13
価格(税別) 690円

● GAKKEN MOOKの1冊。来年の手帳が発売されるこの時期に,この種のムックや雑誌特集が相次いで出される。鉄板の特集なんだろう。
 ぼくもウマウマとそれに乗ってしまうタイプ。

● 美崎栄一郎,和田裕美,野口悠紀雄,佐々木かをり,佐久間英彰などの定番ともいえる各氏が登場する。もうわかったよ,ってところもあるなぁ。
 だったら,買わなければいいんだけどね,買ってしまう。

● 「一般ビジネスパーソンはどのような手帳を,どのように使っているのか実態調査を実施」した。その結果,「大半のビジネスパーソンが,手帳の機能を持て余している」ということ。
 そうだろうなぁと思う。だからこういう本が売れ続けるわけで。

● たぶん,手帳に対する期待値が高すぎるんだと思うんだよね。自分はまだその期待値に届いていないと思ってしまうんだろうな。
 この種の本がまたそれを煽るからね。手帳を使いこなすとすごいことができそうな気になってしまう。そんなことがあるわけないでしょうよ。たかが手帳ですよ。
 次のような文章は罪作りだと思うよ。
 手帳を使いこなしたいと思っている人は,すなわち成長したいと思っている人でもある。(中略)どうやら同じ手帳を使い続け,それで満足している人は,仕事も現状で満足している人だといえそうだ。(p7)
● 唯一の読みどころは,糸井重里さんのインタビュー記事。
 時間を上手に管理することよりも,自分がその時間で何をしているのかという方が大切。
 効率の良い働き蜂になっちゃだめですよ。自分の人生なんだから,その時間を過ごす自分が楽しくないと。(p35)
● コクヨの鉛筆シャープが付録に付いてくる。1.3㎜芯の鉛筆型シャープペン。これがよさげ。六角形ではなくて三角の縁取りがしてある。シックリくる握り心地。 
 いいものは使っていきたいけれども,鉛筆やシャープペンはなかなか使う機会がない。

2014.09.28 大住 力 『ディズニーの現場力』

書名 ディズニーの現場力
著者 大住 力
発行所 かんき出版
発行年月日 2013.12.20
価格(税別) 1,300円

● よく言われるホウレンソウ。これを忠実にやってちゃダメだろと思ってた。ことあるごとに報告して連絡して,わからなければ相談するんだから,自分で考える余地がない。つまり,そんなことをしてたんでは,いつまで経っても力がつかない。
 数学の問題集を開いて,自分で解き始める前に巻末の解答を見るようなもんだもんな。

● ホウレンソウのいけないところは,ミスを許さない風潮が組織を染めあげていまうことだ。何で相談しなかったんだ,何で連絡しなかったんだ,と。
 ああ,イヤだ,イヤだ。これが強固な閉塞感を作る。会社が面白くなくなる。ウツが増えているとすれば,その理由のひとつはホウレンソウの励行がまかり通っていることにあるだろう。

● 特に新入社員なんか,致命的なミスなんてやりたくたってできないんだから,新入社員だからと見られているうちに,スキーでいえば転ぶ訓練をやっておかないと。
 どうもそれを許さない雰囲気があるかなぁ。だから,ミスしちゃいけないと最初から足がすくむ。
 これ,新入社員を責めるわけにいかないよな。すくませている組織に問題がある。

● 本書は別な視点から,ホウレンソウの問題点を指摘している。それは何かといえば,ホウレンソウは上下の序列を強化する働きをするということ。
 なるほど。それは大いにありそうだ。それがまた閉塞感を生むだろう。

● 上下の序列が絶対なのは,警察とか軍隊だけだ。一糸乱れぬ組織の動きが要請される。そういう業種は仕方がない。
 ちなみに,そういう組織って横の連絡がメチャクチャ悪い(ような気がする)。上下もピシッとしてて,横の風通しもいいっていう組織,ぼくは見たことない。あるんだろうか。

2014年9月29日月曜日

2014.09.27 香取貴信監修 『ディズニーランドであった心温まる物語』

書名 ディズニーランドであった心温まる物語
監修者 香取貴信
発行所 あさ出版
発行年月日 2013.04.12
価格(税別) 1,300円

● この本も清涼剤を集めたもの。夏場に清涼飲料水を飲むような按配で読むべきもので,読んだらそれで終わりだ。

● ディズニーランドでは都市伝説になっているエピソードがいくつもあるようだ。たとえば,子どもの命日にパーク内のレストランに来店した夫婦に,お子様の分もといって3人分の席と食事を用意した話。
 ディズニーランドならやるかもしれないと思わせる。それが,そうした都市伝説が生まれる背景にあるのだろうと思う。

● 本書にはそうした胡散臭さを伴う話は出てこない。だから,安心してゴクゴク飲める。

2014.09.27 鎌田 洋 『ディズニー おもてなしの神様が教えてくれたこと』

書名 ディズニー おもてなしの神様が教えてくれたこと
著者 鎌田 洋
発行所 SBクリエイティブ
発行年月日 2014.03.28
価格(税別) 1,100円

● このシリーズ4冊目。ディズニーを舞台にした寓話3つ。口当たりがよいのと,最後がハッピーエンドなので,スイスイと読める。
 その時間を買うと考えれば,1,100円は高くない。

● 読後に何も残らないのもいい。一服の清涼剤であって,清涼感はすぐに消える。それでいい。
 そこを何か残そうと画策されると,場合によっては本を投げ捨てたくなるからね。

2014年9月28日日曜日

2014.09.26 番外:日経トレンディ特別編集 そこまでやるか!文具王高畑正幸の最強アイテム完全批評

編者 渡辺敦美
発行所 日経BP社
発行年月日 2011.04.29
価格(税別) 1,429円

● 33個の文具を取りあげて,どこが素晴らしいのかを,メカニズムやギミックの工夫にまで踏みこんで紹介。したがって,取りあげられた文具の多くは分解される。
 並の文具好きでは文具王にはなれないね。著者の蘊蓄はこうして作られたのか。

● 文具の王者は何といっても筆記具で,これを扱ったムックや雑誌を作れば,まずは無難な売れ行きが確保できそうだ。
 万年筆から鉛筆まで種類も多いし,価格の幅も大きいし,装飾性とかステータスとか,本来の用途以外の諸々の要素を乗せやすい。

● 本書にももちろん筆記具は登場する。が,テープカッターやステープラー,シャチハタなどどちらかといえば地味目なものを扱った文章の方が面白い。
 ギミック満載だからだろう。ホホゥと言いながら謎解きを楽しんでいるかのようだ。

● どの世界にもマニアと言われる人たちがいる。そのマニアの徹底ぶりをニヤニヤしながら楽しめばいい。この本はそうした楽しみを味わうのに恰好のもの。

2014年9月26日金曜日

2014.09.26 中島美佐穂 『iPadでヨーロッパ旅を10倍愉しんだ私の方法』

書名 iPadでヨーロッパ旅を10倍愉しんだ私の方法
著者 中島美佐穂
発行所 明日香出版社
発行年月日 2012.11.21
価格(税別) 1,400円

● iPadのごく初歩的な入門書。当時は需要があったのだろう。格別の「方法」が説かれているわけでもない。今となっては(あるいは当時でも)誰でも知っていることだ。

● 多くの人はスマホを持っていくことになるんだろうけど,スマホが海外旅行でどう役に立つかについては,吉田友和さんの『3日もあれば海外旅行』や『スマートフォン時代のインテリジェント旅行術』を読んだ方がイメージがつかめると思う。

● 航空券やホテルの予約が日本でできること(旅行代理店を通さずに)。現地で地図を確認できること。前者はパソコンでやることになると思うけど,それだけでもスマホやタブレットの威力は充分すぎる。

● こうした便利さには抗いがたいし,抗うべきでもないだろう。うまく活用していくべし,というありきたりな結論で終わる。

2014.09.26 番外:最高の休日 世界の美しい都市

発行所 日経ナショナル ジオグラフィック社
発行年月日 2014.05.20
価格(税別) 1,850円

● 29の都市を取りあげる。アジアからはハノイとバンコク。写真と文章で構成されているけれど,文章は無視して写真だけを見ていった。

● いわずもがなだけれども,こうした写真はウソをつく。季節や時間帯で刻々と姿を変える都市の,最も見映えがする瞬間を見映えがする角度から写しとったに違いないからね。しかも,汚いものを避けて。

● 写真はだいぶ古いのがある。初代のiBookが写っている。っていうか,古い写真が多いのじゃないか。

● とはいえ,居ながらにして世界の都市を旅した気分になれるんだから,ありがたい。そこから先はこちらの想像力(妄想力)の問題になる。

2014.09.25 番外:傑作文房具100

編者 土居輝彦
発行所 ワールドフォトプレス
発行年月日 2005.06.05
価格(税別) 1,524円

● 監修者的な役割を鳥海忠さんが務めている。9年前の出版だから,内容はそれなりに古い。今,傑作文房具を100個選べば,一定の選手交代があるかもしれない。
 特に照明器具はLEDがあたりまえになっているし,ステープラーやカッターなど地味めのものについても,当時はなかったいいものが今はあるようだ。

● サクラクレヨンやリキッドペーパー(修正液)など,郷愁を誘うものがいくつもある。おしなべて文房具って郷愁を刺激するものだね。
 文具店を覗くのが楽しいのは,ひとつにはここに理由があるかもしれない。文具を見ながら過去を旅しているみたいな。

● ゴッホの傑作「ひまわり」のスケッチがモールスキンの手帳に残されているのである(p54)とあるけれども,この言い方は誤解を招く。
 今のモレスキンとゴッホが使っていたノートは別物だ。形状は似ているんだろうけど(なぜなら,それをパクッった,あるいは再現したのがモレスキンだから)。

● 裏表紙に,「便利」は「快適」の一側面にしかすぎない,という文章が出てくる。反論するのは難しいけれども,「便利」を究めたその先に「快適」があるのだ,と考える人もいるだろう。

2014.09.25 伊集院 静 『許す力 大人の流儀4』

書名 許す力 大人の流儀4
著者 伊集院 静
発行所 講談社
発行年月日 2014.03.10
価格(税別) 926円

● しみじみと頭を下げたくなるエッセイをたまには読まないと。
 伊集院さんのいう「大人」とは,人には言えないような経験をきちんと言わずにいられる人のことだろうか。
 辛すぎる別離を味わい,世間の冷たさをたっぷり舐めながら,それを自分の底に沈めて闊達あるいは端然としている人のことだろうか。

● 人には言えないようなことをひとつも持たないで人生を終われる人は,まずいないのではないかと思う。誰にでもある。ぼくにもある。
 それをみじんも感じさせないかどうか。まったく自信がない。そこが大人かどうかを分けるところかなぁ。

● たいていのことは笑いとばせばいい。が,そうはできないこともある。目先の仕事に追われることが救いになることも多々あるだろう。
 仕事ができない歳になれば,仕事に代わる何物かが現れるのだろうと思いたい。そうやっているうちに,人生は終わる。

● ふたつほど転載。
 小説は才能が作るものと思われようが,それは間違いである。大半は気力と体力。やる気のあるものには何物かが宿るらしい。(p79)
 夜は,ヤンキースの選手として現役を引退した松井秀喜君と二人で馴染みの鮨屋で酒を交わした。彼が少し酒を飲んでいたので何やら大人になったのだと思った。 数日間の帰国は高校の野球部の仲間と一日甲子園へ行くという約束を果たすためだという。記者となった友のために時間を惜しまない。やはり人間の格が違うのだろう。(p89)

2014年9月24日水曜日

2014.09.23 番外:趣味の文具箱vol.20

編者 清水茂樹
発行所 枻出版社
発行年月日 2011.08.20
価格(税別) 1,500円

● 表紙をめくった次のページの広告に仰天。セーラーが出した5,000万円の万年筆。軸もキャップも天冠もダイヤで覆われている。ほかにも,100万円のや50万円のがあるんだけど,各1本のみ販売し,以降は完全受注生産。
 でも,(腐るほどにお金があれば)買ってもいいなと思ったのは,5,000万円の万年筆のみ。
 もちろん,文具店では売らない。デパートや宝石専門店で扱う。使わないで飾っておくものだろうけど,買えば使って見せびらかしたくなるでしょうね。
 いるんだね。こういうのを買う人がね。

● パイロットの「ペン・ステーション」を紹介した,古山浩一さんの記事が興味をひいた。
 体の正面に紙を置くのではなく,「右手の前に紙を置き換えると,ペンの弾力を使って書け」る。そんなことも知りませんでしたよ。

● プラチナの“♯3776”の記事も勉強になった。Preppyが2006年に登場したことも初めて知った。1,000円のPlaisirは2010年。それらで検証を重ね,回転ネジ式でも完全機密を達成した,と。1年間放っておいても書けなくなることはないよ,と。
 ♯3776のスケルトンタイプはまだ売っているのか。ちょっと欲しいかも。ぼくはカートリッジで使いたいですね。インクの減り具合が外からわかるのは,けっこう便利。便利っていうか,快感。Preppyで日々実感している。
 Preppyに飽きたら♯3776に移ることになるな。その前に万年筆に飽きてしまう可能性がなくもないけど。

● 北星鉛筆の“大人の鉛筆”にもちょっと惹かれた。いや,知ってましたよ。存在じたいは以前から。でも,鉛筆に関心がなかったので,素通りしてましたね。ユニホルダーがあるんだから,これは要らないよな,とも思ってましたよ。
 鉛筆の形をした2㎜芯のシャープペンといえば,それで終わりなんだけど,素材はプラスチックではなく木。価格は600円(クリップつきは700円)。
 買わないと思いますけどね。使う場面がなさそうだから。使うとすれば,万年筆やボールペンで書いているところ(の一部)を“大人の鉛筆”に置き換えることになるんだけど,万年筆もボールペンもこれだと納得して使っているわけでね。

● 増田剛己さんのエッセイも面白く読めた。サラッと軽く。
 「書くことが癒やしになる」とか,「本の文章をそのまま書き写すという行為は,著者と自分がシンクロしているような気分になる」といった話。
 「何もアイデアや考えがない場合でも,とりあえず,万年筆のキャップを取って,紙の上に置くと,自然と文章が浮かんでくる」というのも,たしかにそういうことはあるなと思う。

● ゲームプロデューサーの安藤武博さんのも。無地の紙に筆ペンで書いたのが写真で紹介されている。そこに書かれている文章は次のようなものだ。
贅沢をしよう。時間を。思索を。哲学を。遊戯を。装飾を。鯨飲を。馬食を。放浪を。乱読し,贈答し,多筆しなさい。諧謔的なまでに,無駄を,演ってのけるのです。徹底的に煩悶,空想,夢想のスケルツォを披露するのです。恍惚と手拍子を打ち,頭を,「参」の拍節で大胆に振ればよろしい。そのようにすれば,心躍り,胸晴れましょう。量が質に変わり,全てが最適化されていく仕組みに,抗う事ができるでしょう。誤謬犯せど,美しく勝つ。
 かっこいいなぁ。無駄を重ねることの大事さは,若い人に特に伝えたいことだ。でも,年寄りも基本,同じでしょ。
 が,これができない。無駄だと思ってないでやっている無駄は膨大にあるはずなんだけど,それはダメなんだよね。対象外だ。意識していることが重要なんだな。
 でも,できないんですよ。惜しんじゃう。お金も時間も労力も。明日を考えちゃう。人生はすべからくバランスで成りたっていると思ってしまう。

2014年9月22日月曜日

2014.09.22 番外:俺のダンディズム名品図鑑

発行所 世界文化社
発行年月日 2014.07.15
価格(税別) 1,400円

● これまた,性懲りもなくこういうものを眺めている。今年4月からテレビ東京で放送された「俺のダンディズム」に登場した品々を紹介するという趣向。
 「ニュース番組「ワールドビジネスサテライト」が終わったあとの深夜時間帯に,ビジネスマンが楽しめる情報性の高いドラマを作ろうとし」てできたのが,この「俺のダンディズム」という番組らしい。

● 「ワールドビジネスサテライト」は昔は見ていた。今はまったく。「俺のダンディズム」も見ていない。コメディ色の強い番組だったようだ。

● 腕時計,万年筆,靴,手帳,眼鏡,鞄,財布,傘,シャツ&タイ,スーツ,下着の11項目について,番組に登場した品物が紹介される。

● そのそれぞれについて,自分の現状を告白すると,次のとおり。
 腕時計 していない。ロンジンとダンヒルを持ってはいるけど,家屋内行方不明。
 万年筆 200円のPreppyを常用中。
 靴 バリーとフェラガモを何足か持っている。ヨメが買ってくれた。
 手帳 日本能率協会のシステム手帳。

 眼鏡 メガネ市場で買ったもの。
 鞄 LeSportsacのナイロン製トートバッグを公私を問わず使用中。ヨメが買ってくれた。
 財布 COACHの分厚いやつ。小さな鞄くらいの。ヨメが買ったものだけど,自分では使わず,ぼくに払下げ。使いづらい。慣れたけど。

 傘 ビニール傘を1本。
 シャツ&タイ タイはしない。クールビズだから。シャツもポロシャツのことが多い。
 スーツ まず着ない。昔は毎日着てた。
 下着 ユニクロ。

● だいたい,メモ帳はダイスキン,ペンはPreppyで満足してるんだから,ダンディズムなどには無縁の世界に住んでいる。
 そういうものへの憧れも今はない。情報としてこんなものがあるのかと知っておけば,それでいいと思っている。

2014.09.21 番外:いま泊まりたい ニッポンの名旅館&一流ホテル

編者 高橋俊宏
発行所 枻出版社
発行年月日 2014.06.30
価格(税別) 1,500円

● 性懲りもなくこういうものを眺めている。写真と文章で構成されているわけだけど,文章は無視。写真だけを見ていく。
 こういうものの文章って定型があるっぽい。書き手はその定型を崩さないように注意しながら,そこに何とか読んでもらえる工夫をしなきゃと苦労しているのかもしれない。けれども,内容は広告宣伝なんだから,律儀に付き合わなくてもいいでしょ。

● 「ななつ星in九州」なるクルーズトレインがあるんですね。知りませんでした,こんなのがあったなんて。
 3泊4日コースで安いのが430,000円。それでも,参加できるかどうかは抽選で決まるほどの盛況らしい。世の中にはお金持ちっているんだねぇ。
 昔,JR東日本だかJR北海道だかに“夢空間”という豪華寝台車両があったと思うんだけど,あれはどうなったんだろう。って,ぼくが心配しても仕様がないんだけど。

● こういうのって,たぶん一度で飽きると思う。一度で飽きるものをわざわざ体験しなくてもいいと思う。イソップの酸っぱい葡萄よろしく,お金を持たない貧乏人はそう考える。

2014年9月20日土曜日

2014.09.20 番外:monmiya臨時増刊 とちぎのつけ麺を食べつくせ!!

編者 野末泰博
発行所 新朝プレス
発行年月日 2012.07.25
価格(税別) 476円

● 栃木県の86店を紹介。見開き2ページを使って紹介している店,1ページの店,半ページの店があるけど,お勧め度の違いによるものじゃないだろう。掲載料というか取材協力費というか,要はお金を多く出してくれた店を大きく扱っているんだろう。
 中には,掲載を辞退した店もあったかもね。いまさら宣伝する必要はないよ,ウチは,ってね。

● ともあれ。フレンチや本格和食の店にはなかなか行けないけれども,ラーメン屋ならいけるもんね。しかも,旨いときている。
 とっくの昔に,日本食の代表選手ですよね。ラーメンとカレーライスが日本を代表する食べ物でしょ。天ぷらとか寿司じゃなくて。

● つけ麺っていうと,“こってり”や“濃厚”が圧倒的に多い。つけ汁なんだから普通のラーメンの汁よりは濃くなるのは当然として,この“こってり”や“濃厚”がいつまで好まれるのか。
 もっというと,つけ麺ブームの賞味期限もそろそろ切れるんじゃないか。そんなことを感じたりもする。

● わが家ではこの本にも登場している「みやこ家」にけっこう頻繁に行っている。氏家にあるお店。宇都宮にも出店したんで,そちらメインで行ってた時期もあったんだけど,今はもっぱら氏家の方。
 最初に行ったのはぼく。5年ほど前かな。ヨメはあまり反応しなかった記憶があるんだけど,ほどなくして逆転した。今はヨメが行きたがる。母親の好みを自分の好みとする豚児も同じ。
 代表メニューは「濃厚つけ麺」。1本の麺も残さず喰う。

● 飽きかけたことが何度かあった。ところが,ヨメに慫慂されて行ってみる。食べるとやっぱり旨い。
 最近は「まぜめん」(旧名:油そば)にはまっている。「カレーつけ麺」にはごはんも付く。残ったスープをごはんにかけて喰う。

● たいていの食事処は女性がお客のメインになっている。カップルの場合でも,女性主導じゃないかと思える。
 が,ここは男性客が多い。ガッツリ喰えるからね。男メシという感じ。

● ということなので,“濃厚”ブームはそろそろ終わりじゃないかと,頭では思ったりするんだけど,身体はまだ“濃厚”を好んでいる。
 頭より身体の方が,たぶん賢いと思う。

2014.09.20 長谷川慶太郎 『2015年 長谷川慶太郎の大局を読む』

書名 2015年 長谷川慶太郎の大局を読む
著者 長谷川慶太郎
発行所 李白社
発行年月日 2014.09.30
価格(税別) 1,600円

● 具体的で明解。こんがらかった結び目がスルスルとほぐれていくような快感を味わえる。
 持っている情報量がすごい。ここまで隔絶した情報差があれば,こちらは黙って拝聴するしかない。っていうか,ぼくは何の情報も持ってないわけだから。

● 黒田日銀総裁を評価している。日銀の対応も間違っていない。
 説得力のある発言を可能にするためには何が必要かというと,まず現状がどういう方向に動いているかがわかる適切な判断力。加えてその判断力に基づいて論理を組み立てる力が不可欠である。その論理はいろいろな角度から試されるわけだが,試されるたびに論理を組み立てた本人が動揺していては仕方がない。(中略)黒田総裁はその説得力をしっかり持ち合わせており,久しぶりの大物日銀総裁だと私は評価している。(p28)
● 株式投資についての一般的な指南。
 現在は株式情報についてもインターネットを活用している人が多いが,ネット時代になったとしても『日経会社情報』や『会社四季報』の利用価値はひじょうに高い。大変に有益な情報が詰まっている。 私がこれらを読むさいに最も注目しているのはまず「従業員の平均年齢」である。平均年齢が三八歳以上の企業の株を買うのは避けることにしている。(中略) 次に見るのが「研究開発投資の金額」だ。主にメーカーだけれども売上高の少なくとも一%以上を研究開発投資が占めている企業は伸びる。逆にそれ以下の企業は先細りとなる。(中略) 最後が「キャッシュフロー」で,これからは換物ではなく換金の時代だから金融資産を増やしている企業が有望である。(p61)
 資産形成についてふれれば,思い切った決断力を持った人間だけが個人資産を形成することができるのだ。(中略)相場のトレンドを一〇年くらいのスパンで考えると,今後,おそらく日経平均株価の最高値である三万八九一五円(一九八九年)を超える相場も出現するだろう。それを狙い,決断力を持って投資すれば利益を上げることができるに違いない。 一方,株を持たない人には資産ができないだろう。(p63)
 リスクが高いからといって規制していたのでは金融取引は成り立たない。金融商品自体が合法的なものであれば規制すべきではなく,あくまで自由競争のうえでの自己責任が基本だ。(p64)
● 推奨しているわけではないけれども,いくつかの銘柄をあげている。いずれも重厚長大産業に属する。
 具体的には,東芝,三菱重工,川崎重工の3社の名があげられる。

● 同じ重厚長大産業に属していても,新日鉄住金は「残念ながらダウントレンドの渦中にある」。その理由を次のように指摘。
 グローバル化とデフレの時代を乗りきる能力を持った経営者がいないからだ。社内の終身雇用型・年功序列型の下での持ち上がりの人材だとなかなか時代に対応できる経営者にはなれない。 新日鉄住金のような大企業は新卒を採用するときには日本中の学生のなかから最優秀クラスの人材を集めている。だが,最優秀クラスの人材であっても均一の力の持ち主では時代に対応できない。新卒には入社してから均一の人材に教育されてしまうという面もあるだろう。(p77)
● アメリカ経済は上昇気流に乗った。弱点があるとすれば,オバマ大統領その人。
 オバマケアは国民が医療サービスを受けやすくなることを目指して二〇一四年一月から全国民に保険加入を義務付けたものだから,ばらまく先は高額所得者ではなく,いわゆる低所得者である。低所得者へのばらまきでは経済的な効果もひじょうに小さい。(p116)
 アメリカ社会は貧富の差を前提にしているものではないとしても,自由経済をとっているのだから貧富の差は必然的に生じる。自由経済を採用していながら貧富の差のない社会はありえないというのもまた事実なのである。(p117)
 二〇一四年一一月に行われる中間選挙では民主党が完敗し下院だけではなく上院でも多数の議席を失って両院ともに過半数を割るだろう。逆に両院で過半数を得た共和党はオバマケア廃止法案を出すはずで,そうなったら両院で可決されてオバマケアが廃止になる公算が高い。(p118)
● 情報化が戦争を抑止するという指摘も,言われてみれば,なるほどそういうこともあるかと思う。
 ウクライナやイラク,パレスチナなどでの武力を伴った紛争が今後さらにこじれたとしてもそれらが戦争につながることはない。もはや戦争は起こらないのである。 その最大の理由は情報化だ。(中略) 国境を越えて多くの人々が双方向のコミュニケーションを行っており,それによって住んでいる国は違っても人々の相互理解が自ずと進んでいく。(中略)世界の情報化がどんどん進んでいけば民族的な対立であってもいずれ消滅していく。(p168)
 国民一人ひとりがいくらでも情報をやり取りできるようになって,もはや政治家だけが情報を独占できるような時代ではなくなったのだ。政治家にとって都合のいい偏った情報だけを国民に与えることで戦争は遂行されていくのだた,もはや国民に対して偏った情報だけを与えるようなことができるはずがない。いわばデマを流す余地がなくなってしまうのだ。(p169)
● 中国が片づいたあとの東アジアはどうなるか。沖縄の時代になる。
 中国共産党が消滅して(もちろん北朝鮮もなくなっている)東アジア地域が平和になれば,沖縄は東アジアの人や物の流れの大きな拠点となる。(p189)

2014年9月19日金曜日

2014.09.19 番外:宇都宮 上等なディナー

書名 宇都宮 上等なディナー
著者 ジェイアクト
発行所 メイツ出版
発行年月日 2009.06.30
価格(税別) 1,600円

● たぶん,今はバージョンアップ版が出ていると思う。この本に紹介されている店のいくつかは,すでに消えているかもしれない。
 『ランチ』にも登場する店が過半を占める。記事まで同じだったりするから,一度の取材で2冊作ったわけ。一粒で二度美味しい,という作り方。

● 食べることは快感だ。ぼくは,自分では作らず,食べるだけの人なんだけど,受け身で味わえる快感としては,第1位に来るものではあるまいか。
 美術や音楽と同じで,味わい方に定型や優劣はないから,食べたあとは無責任な批評家になることもできる。それも含めての快感だ。

● ではあっても,そうそうは行けない。それゆえこうした紹介本を見て,しばし空想のグルメを味わうわけだね。
 工夫を凝らした紹介文が付くんだけど,その裏から透けてくるものを推測しちゃうスレッカラシにはなっているわけで,あ,ここは行かなくてもいいかと決めつける楽しみもある。

● お金を出さなければ味わえないものは当然ある。それも,水準が高くなればなるほど,もう半歩先を味わおうとすれば,2倍,3倍のお金が必要になるのだろう。
 コスパだけを考えていたんではどうにもならない。でも,コスパ第一主義を脱せられないでいる。つまらない男だな,オレ。

2014.09.19 番外:宇都宮 とっておきの上等なランチ

書名 宇都宮 とっておきの上等なランチ
著者 ジェイアクト
発行所 メイツ出版
発行年月日 2012.10.25
価格(税別) 1,600円

● こういうものはつまるところ拡販商品(カタログ)なんだからタダで配れ,という意見もあるかもしれない。ながめていっときの暇つぶしができるのだから有料で当然だ,文句があるなら買うな,というまっとうな意見も当然ある。
 どっちにしても,宣伝をパッケージして販売しているのは,旅行ガイドブックをはじめ,世にいくらでもある。

● 宇都宮のレストランを和洋中とりまぜて(インド料理の店もある),56軒を紹介。その中でぼくが一度でも行ったことがあるのは4軒にすぎない。
 ひとつには経済的な問題。昼食に1,000円以上かけるのはなかなかできない。数百円ですむ蕎麦とかラーメンになる。テイクアウト専門のカツ丼屋なんかもある。なんだったら,コンビニで弁当を買う。
 休日に出かけたときも,駅ビルに入っている店に行っちゃうことが多い。

● こうした商売で何が難しいかといって,飽きられることだろう。安かろうが旨かろうが,なぜか飽きる。
 お客は回遊魚のようなものでしょ。問題は,順番に飽きてくれればいいのに,みなが一斉に飽きることだ。

● けれども,本書でも38年続いている店が紹介されている。ほかにも,長く続いている店がいくつかある。これは驚異だと思う。なぜ続いたのか。
 やっている方に訊いてもたぶんわからないだろう。「当たり前のことを当たり前にやってきたら38年になってしまいました」ということになるんだろう。

● さらに,レストランのライバルは他のレストランだけではない。この本でも「少しだけ贅沢して心を豊かにしましょう」とか「日常からちょっと離れてすてきな時間をすごしませんか?」というコピーが付いているんだけど,食事だけがすてきな時間の過ごし方ではないし,心を豊かにする方法(そんなものが本当にあるのかどうかはわからないけれど)も贅沢な食事だけではない。
 書店で過ごす。美術館やコンサートに行く。お稽古事に励む。そうした他業種と,お金だけでなく,配分時間の争奪戦を繰り広げなければならない。シビアな仕事だと思う。

2014.09.18 森 博嗣 『つぼやきのテリーヌ』

書名 つぼやきのテリーヌ
著者 森 博嗣
発行所 講談社文庫
発行年月日 2013.12.13
価格(税別) 490円

● 頭の中が耐震構造になっているような感じの人ですね,森さん。自分の流儀を揺さぶられても,倒壊することはない。
 頑なというのではない。頑なだけじゃこういうエッセイは書けるはずもないし。つまるところ,頭がいい人だなぁと思う。

● 解説は嗣永桃子さん。「踊るさんま御殿」に登場しているのを何度か見ている。あの世界はタフで利発じゃないと渡っていけないと思うんだけど,その利発さに満ちている解説。彼女にしか書けない解説で,読む価値あり。
 著者に対する立ち位置をどこに置くか。って,その位置決めは自ずと限られるんだけど,限られたなかでピタッと照準が合っている感じ。

● ITに関する意見に限って,以下に転載。
 個人の呟きでは,酷い差別用語も使いたい放題だし,嘘も中傷も好き勝手にできる。よほどのことがないかぎり炎上しない。これは,誰もその呟きを見ていないし,何を言おうが社会に影響がない,と認識されているからだ。ようするに,それくらい個人の発言は,今や「没して」しまったということである。(p95)
 実際には,誰も聞いていないが,聞いているように錯覚させるのがネットワークの機能である。まあ,ときどきなにかの弾みで,レスポンスがある。それで舞い上がってしまう。(p116)
 ツイッタが無料で利用できるのは,メリットがある側が存在するからである。逆にいえば,一般の大勢の利用者が平均的に損をしていることになる。(p127)
 現代では,大金を少数から巻き上げる方式は犯罪になる。合法的な商売は,相手がもっと多数で,少しずつ,あるときは気づかれないうちに搾取をする。その大勢を相手にするツールとして,ネットは好都合だったわけである。(p208)
 ツールというのは,広まってきたときには既に終わっている。その増幅率を手に入れた人で溢れかえっていて,ツールに対する需要も消えている。 それより大事なことは,自分のコンテンツを見つけ,そのオリジナリティを研くことだ。それさえあれば,増幅させる作業は人に任せることだってできる。(p209)
 十年くらいまえまであった「なにか新しい世界があるのではないか」という夢は,完全に消えてしまった。 何故消えたのかというと,いくら大勢が参加しても,結局は,金を稼ぎたいとか,友達を作りたいとか,そういった「普通」の目的にしか使われなかったからだ。使う人間が新しくなっていないのに、ネットが新しさを生み出すことはできない。(p212)
● タダだからという理由で,「支配」を感じないで使う鈍感さが,本書では批判の対象になっている。リアルの世界でも無料のポイントカードなど著者は作ることがない。個人情報の漏洩と引換では高すぎるだろうということ。
 以上はブログやツイッター,フェイスブックを念頭に置いたものだろう。それ以外のネット通販やメールなどは,著者も普通に(あるいは積極的に)利用しているようだ。便利なものだとも言っているしね。

● ぼくはどうかというと,無料サービス使いまくり。主にはGoogle。Androidアプリで有料のものは2つしか使っていない。
 ツイッターやフェイスブックはやっていないし,やるつもりもないけれども,これは「支配」に敏感だからではなく,たんに面倒そうだから。

2014年9月18日木曜日

2014.09.18 いしたにまさき 『ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である』

書名 ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である
著者 いしたにまさき
発行所 技術評論社
発行年月日 2010.12.25
価格(税別) 1,480円

● 励まされるタイトルだ。本書の肝もこのタイトルに収斂される。
 エキサイティングでもある。すでにブログやSNSを使っている人たちにとっては,小気味よい進軍ラッパに聞こえるだろう。

● 本書で展開されている議論の出発点は,著名な活動をしているブロガーに協力を依頼したアンケートだ。その回答がそのまま掲載されている。ここがやはり一番の読みどころになる。
 その回答からいくつかを転載。
 半径3メートル以内の出来事を発信する。遠いものは出向くか引き寄せる。とにかく半径3メートル以内に入れる。(ジェット☆ダイスケ p45)
 サラリーマンとして仕事に100%満足出来ていたら,たぶんネットの活動は積極的にやっていなかったはずです。不満足さ,満たされなさ,退屈さが自分のネット活動の動機なので,長く続いているからといってあまり褒められたものではありません。(真実一郎 p71)
 「自分の書くことに価値なんてないのでは?」「自分よりももっと上手に書ける人がいるのでは?」「自分のいうことなんて人は聞いてないのでは?」といった囁きに屈してはどんな情報も出せなくなってしまいます。 自分が自分であること,それ自体が価値なのだという信念を愚直に守ること(堀正岳 p81)
 友達が少ないこと。なにか思いついても伝える人がいないのでネットに書くしかなかったのだと思います。(林雄司 p91)
● 林雄治さんとGoogleマップに関わった上田学さん,河合敬一さんとの対談も掲載されている。
 僕は「ネットのことをネットで語るのはやめよう」と思ってるんです。恥ずかしいというか,企画として狭くなっちゃうんで。(林 p149)
 言葉でうまく説明しちゃうと,エッジがとれちゃう。本当はおもしろいだけでやっているのに,「役に立つ」とか,そういうまじめな引力に負けちゃう。 まじめなことって魅力的じゃないですか。「頭がいい」と思われたりとか。そういう魅力に負けちゃうと,「いや,おもしろいじゃないですか」ってずっと言い続けるのはバカみたいな勇気がいる。(林 p150)
 全部解決するまで社内でずっと温めておくのではなくて,なるべく早く多くの人の手に届くところにリリースして,そのフィードバックをいただきながら改善していくというやり方をGoogleでは取っています。(上田 p159)
 Googleの仕事は,要するに「世界中の情報をうまく整理してお見せしたい」というのが社是なので,やっぱりどこかでネットの外に出ていかないといけないタイミングがあるわけです。とくに地図とか,本とかそうですよね。(河合 p163)
● 次に,著者の地の文章から。
 ネットというのは面白いもので,「見て欲しい!」という気持ちが先に立っている記事やツイートは,いともあっさり空振りします。(中略)その反対に,軽い気持ちで書いた記事が,思わぬ方向に広がって,時間差でぐっとアクセスを集めたりします。(p125)
 それはなぜなのかという分析がなされるわけだけれども,これはぼくも経験している。なんでこんなものがと思うエントリーが思わぬPVを集める。
 だからといって,味をしめて似たようなのを出してもほとんど顧みてもらえない。そういうことが一再ならずあった。

● 3年間はブログをやめるなという。1年目は「種まきの期間」。2年目は「熟成の期間」。3年目が「刈り取りの期間」。毎日更新が前提のようだ。
 1年間で300程度の記事を書けば,「何かひとつは当たりくじを引くはず」だから,2年目は「当たりくじを育てる時期」だ,と。「1日のPVが500PVになるかどうかぐらいがひとつの目安にな」る。
 ここで,ぼくはガックリきた。もう3年目に入っているブログでも,いいとこ1日100PVだから。出発点にまだ立てていない。正直,1日500PVという世界は想像の外にある。
 よほど役に立つか,よほどユニークか,よほど達意の文章じゃないと厳しいよなぁ。あるいは,書き手の属性がユニークであること。

● ログの重要性も強調される。「結局は人とログ」だという。
 最初に著者が関わった「ライフスライス」が紹介される。「デジタルカメラを身体に装備して,人の手による撮影ではなく,カメラのインターバルタイマーで自動撮影して,人の一日の行動を100枚ほどの写真の束で移動観測するプロジェクト」(p200)。
 なるほど,これをたくさん集めていろいろ研究したり分析するのもいいけれど,自分が個としてやってみるのも面白そうだ。

● そのログの大切さを説く文章からいくつかを転載。
 ログという資産を運用可能な状態にするには,どこかで「あなたの情報」として公開することがいちばんなのです。誰かに理解してもらうためには,ログを生の状態ではなく,ひと加工して理解してもらえるような形にすることで,その情報が流通して,その資産はさらに成長するからです。(p237)
 iPhoneに代表されるスマートフォンでも,クラウドを既に使っていて,ログデータを既に持っている人に大きな先行者利益がありました。これからデータを準備する人,既にデータは用意している人。ここに大きな差がうまれてしまうのは,仕方がない話です。そして,残念ながら最新のサービスはそういった人たちに向けて作られています。それは作り手がもうとっくにそういう世界にいるからです。(p243)
 「続ける」という積極的な姿勢は,それ自体はほめられる行為として見ることができるでしょう。ただ,それはあなたの生活に負担をかけていないでしょうか? 「続ける」ことに目を奪われていないでしょうか? 「続ける」ために目新しいものに次々に飛びついていないでしょうか? あなたがそういう状態では,ログはあなたに語りかけてくれません。むしろ「やめない」という自然な姿勢の方が,あなたの日常を広げてくれるのです。(p250)

2014年9月17日水曜日

2014.09.16 美崎栄一郎 『Facebookバカ』

書名 Facebookバカ
著者 美崎栄一郎
発行所 アスコム
発行年月日 2012.05.05
価格(税別) 1,300円

● 「友達を365日たのしませる男の活用術」が副題。美崎さんは次のように書いている。
 リアルの人間関係をサポートするのが私の使い方です。 基本方針は,お会いした人,そしてこれからお会いするであろう人,会いたいと思っている人と友達申請をして繋がっていくようにしています。(p32)
 私が人と繋がることを熱心にやるのは,人は人と会うことで変わると思っているからです。(p34)
● 自分がFacebookをはじめ,SNSに手を染めないのは,ここのところだ。人とつながっていたい欲望があまりない。
 「人は人と会うことで変わる」のはそのとおりで,人と会うことでしか変われないと思う。にもかかわらず,人と関わるのが面倒くさいと感じてしまう。
 本質における怠惰のゆえだな。あるいは,変わりたいと思っていないんだろうな。

● SNSにどこか胡散臭さを感じてしまっているってのも,あるにはあるけど。面と向かって話すのはさほど苦にしないんだけど,電話で話すのは苦手だ。それと同様なこと。
 試してもみないでそう思っているわけだけどね。ぼくの場合は言いっぱなしですむブログどまりが相当かなと,今のところは思っている。

● ほかに,美崎さんの発言をいくつか転載。
 フェイスブックの中で,「ノイズ野郎」に成り下がることだけは,絶対に避けたい。(中略)つまり,宣伝はしないということ。(p119)
 投稿する記事をフェイスブックとツイッター,mixiボイスなど全部で同じ内容のものをポストする人がいますが,これは読んでくれる人のことを意識していない行為です。このような人の投稿は,読まないようにしています。(p125)
 私が記事を投稿するときの意識と基準は,「自分は,どういう人として覚えてもらいたいか」です(p130)
 フェイスブックノートを,読まれる内容にするためには,写真を入れるのが一番です。文字だけにしないことが重要です。(p170)
 最終的には,日本社会でもフェイスブックがなければ始まらない世の中になっていくと私は確信しています。(p195)
 これまでは犯罪などをしない限りはマスコミのネタになることはありませんでした。しかし,フェイスブックでは,犯罪には問えないような規模の小悪に対しても伝播できる仕組みがありますから,個人的にはより楽しく安全な世の中になるのではないかと思っています。(p221)

2014年9月15日月曜日

2014.09.15 櫻井雅英 『出張ホテルの超達人』

書名 出張ホテルの超達人
著者 櫻井雅英
発行所 USE
発行年月日 2013.07.25
価格(税別) 1,200円

● 「失敗しない出張でのホテルの選び方・使い方」が副題。著者は出張が多い仕事で,ホテル宿泊が5千泊は超えているという。「十数年はホテルで寝起きしたことにな」る。その経験をふまえて,本書を著しましたよ,と。

● 宿泊を伴う出張って,ぼくにはまずない。まずないっていうか,“まず”はいらないな。ない。
 ホテルに泊まるときは,必ずプライベートだ。著者は何度も,本書は出張で泊まるのを前提にしたものだと断っているけれども,出張で泊まるのにいいホテルはプライベートで泊まったっていいに決まっている。
 リゾートホテルに出張で宿泊することはないだろうけれども,地方の人が東京に出張する,あるいは東京の人が地方に出張するというときに,ここはいいホテルだったとなれば,ぼくが休日に泊まってもたぶん同じ感想を持つに違いない。

● “週刊ダイヤモンド”誌(に限らないが)が毎年,ホテルのランキング特集をやる。これに対して著者は内容に疑問を呈する。だいたい,その都市を代表するラグジュアリーホテルが上位に入るからで,そんなホテルに宿泊できる出張費を出している会社はないぞ,と。一部上場企業の社長や役員だって,会社から支給される出張費だけでは,そんなところには泊まれないはずだ。

● で,本書で一番面白かったのは,「出張宿泊費で泊まれる推薦ホテル100」だ。著者の基準で選びだしている。歯に衣着せぬ寸評に読みごたえあり。
 いくつか挙げてみる。
 ホテルアソシア豊橋:できれば名古屋に戻って泊まるほうがよい。新幹線はのぞみが使えないと不便だし,豊橋の夜は恐ろしいほど退屈だ。(p174)
 松山東急イン:問題は(中略)絨毯のシミなどが気になる老朽化である。2階のフロント近くに多目的な飲食施設があるが,ライバルのJALシティ松山などと比べると見劣りがする。(p183)
 リッチモンドホテル(全国):寝るだけのホテルは心が貧しくなる。施設が新しいだけ。(p188)
● ちなみに,北関東地区(群馬・栃木・茨城)は「首都圏からは完全に日帰り圏で魅力あるホテルがない」とのことだ。
 ただし,宇都宮に関しては,「餃子・ジャズなどで熱心な町おこしをして都心部は活気があり,人口も50万を超え大都市に変身中」だとある。ニヤッとしてしまった。
 JR駅前のリッチモンドホテルアネックスが宇都宮の一番人気であることも,本書で知った。新しいホテルなんだけど,リッチモンドって「寝るだけのホテル」で「心が貧しくなる」んだよなぁ。そういうホテルが一番人気か。たぶん,その理由は安さにあるのだろうな。

2014.09.15 アラン・パワーズ(今井由美子訳) 『自宅の書棚』

書名 自宅の書棚
著者 アラン・パワーズ
訳者 今井由美子
発行所 産調出版
発行年月日 2006.11.10
価格(税別) 2,900円

● 『素敵な蔵書と本棚』と同じような趣向の本。写真を中心にサッと斜め読み。

● 8年前の出版でけっこう古い本ではあるんだけど,43ページの写真には,初期のMacintoshが写っている。しっかり様になっているんだけど,さすがに古すぎる写真ではないか。
 そうした古い時代を知っている者としては,まったく違和感は受けないんだけど。

● ふたつ転載。
 明らかに「不要な」商品がこんなにも多く売れていることを考えれば,消費者が物を買う動機は,必要だから,欲しいからだけではなく,退屈と単調を避ける意味もあることがわかります。(p68)
 本にとっての新たな敵は,付せん紙です。はがした時点では跡が残っていなくても,やがて紙を変色させたり,残った糊がホコリや汚れを吸着してしまうことがあります。メモを書いた細長い紙で代用できるわけですから,付せん紙をやめ,昔ながらの方法にこだわりましょう。(p127)
 ほとんどの本は消耗品だから,たいていの場合,上の指摘はあてはまらない。稀覯本に限った話だ。で,稀覯本に付せん紙を貼る人は,まずいない。書き手もそんなことは百も承知で書いていると思う。

2014年9月14日日曜日

2014.09.14 ダミアン・トンプソン(田中敦子訳) 『素敵な蔵書と本棚』

書名 素敵な蔵書と本棚
著者 ダミアン・トンプソン
訳者 田中敦子
発行所 ガイアブックス
発行年月日 2012.08.20
価格(税別) 2,900円

● 書斎に憧れた時期がやはりありまして。正確にいうと,書斎でひとりの時間を過ごしているオレ,っていうイメージに憧れたんですけどね。
 重厚な机と椅子。机の上には電気スタンドとノートパソコン。この場合,パソコンはAppleかIBMに限ると思ってましたよ。まだ,IBMがパソコン生産から撤退してなかった時分ですね。
 んでもって,本棚が周囲を囲んで,ピシッと掃除が行き届いている書斎。

● でもね,部屋は持ち主に従うしかないわけで,ぼくの部屋はゴミがうっすらと積もる物置みたいになったんでした。
 そのうち,その部屋にいる時間は極端に少なくなってね。ま,お決まりのコースですか。

● 本書は,本と本棚を使って,インテリアをいかにデザインするか,どうディスプレイするかっていう内容。実際に書斎で仕事をしたり読書をしようと思っている人が読んでも,あまり参考にならない。
 中には,読むためではなく,人に見せるために,本の購入も本棚のレイアウトも,一切合切をその道の専門家に任せるお金持ちもいるらしい。そういう人が読むと勉強になりそうだ。

● メインは,文章ではなく写真。ため息をつきたくなるような写真ばかり。
 ただし,日本の普通の家屋ではちょっと気後れするというか,真似しちゃいけないよなと思わせるものばかりでもある。

● 著者はイギリスの人らしい。英国人らしいウィットっていう言われ方があった(今でもあるのか)。本書にも,斜に構えたような皮肉っぽい表現が頻出する。
 ウィットというより,少々,目障りな印象の方が強い。

● その中から気の利いた表現をいくつか転載。
 知るべきことはあまりにも多く,人生は短い。(p59)
 一般に初版本の価値の6割はカバーが占める(p60)
 最後にファディマンはこう結ぶ。就寝時の読書に最適なのは「明日の存在を忘れさせてくれる」書物であると。(p103)
 本を買う余裕があるのに,本がまわりにない環境で子どもたちを育てる権利は誰にもない(ホーレス・マン p135)
 書物がわれわれの人生に深い影響を及ぼすとすれば,それはおそらく子ども時代だけであろう(グレアム・グリーン p143)
 15世紀の活版印刷術の発明をはじめ,新たなテクノロジーはいつの世も道徳的パニックによって迎えられたことを歴史は示している。(p143)

2014年9月13日土曜日

2014.09.13 木村衣有子 『わたしの文房具』

書名 わたしの文房具
著者 木村衣有子
発行所 KKベストセラーズ
発行年月日 2006.10.05
価格(税別) 1,320円

● 巻末に“参考文献”が11冊ほど掲載されている。そのうちの3冊はぼくも読んでいる。その1冊が串田孫一『文房具56話』。だいぶ昔のことだ。

● 本書は,その串田さんの本とテイストが似ている。お気に入りの文房具について語るとか,特定の文房具についてのこだわりを開陳するとか,自分ならではの使い方を紹介するとか,そういったものではない。
 文房具を素材にしたエッセイ集。全編がそうではないけれども,メインはそこにある。

● ぼくもできればこういうものを書いてみたい。が,とうてい無理だろう。
 自分が使っているモノや道具にていねいに向き合うことができていないといけないから。安物を使っているのがいけないのではない。おざなりに使っているのがいけない。
 “ていねいに”“きちんと”といったあたりをクリアしていないと,なかなかこうした文章は書けなさそうだ。

2014年9月11日木曜日

2014.09.11 内田青蔵・小野吉彦 『学び舎拝見』

書名 学び舎拝見
著者 内田青蔵
    小野吉彦(写真)
発行所 河出書房新社
発行年月日 2007.07.30
価格(税別) 1,600円

● 紹介されている“学び舎”は次の10校。

  慶應義塾大学
  東京慈恵会医科大学
  自由学園
  東京海洋大学
  東京女子大学

  東京大学(本郷キャンパス)
  日本女子大学
  明治学院大学
  立教大学
  早稲田大学

● 著者は建築の専門家で,主には建築史の観点からの解説を読むことになる。しかし,写真も豊富に掲載されているから,キャンパスガイドとして楽しむこともできなくはない。

● 著者が一貫して言っているのは,古い建物を残せということ。学生に伝統を伝え,先人とのつながりを実感させるには,それを体現している具体的な事物を残すしかないではないか。

● 上記の大学の中で,行ったことがあるのは東大と早大のみ。こういうところで学べる学生を羨ましいと思ったか。案外,それはなかったような気がする。

2014.09.10 清水玲奈 『世界で最も美しい書店』

書名 世界で最も美しい書店
著者 清水玲奈
発行所 エクスナレッジ
発行年月日 2013.02.27
価格(税別) 3,800円

● 同じ版元から3冊出ている『世界の夢の本屋さん』のダイジェスト版かと思ったけど,そうではない。紹介されている世界の書店は次のとおり。

 アトランティス・ブックス(サントリーニ ギリシャ)
 バーター・ブックス(アニック イギリス)
 ディエチ・コルソ・コモ・ブックショップ(ミラノ イタリア)
 ドーント・ブックス(ロンドン イギリス)
 ヴィラ書店(サンパウロ ブラジル)

 カフェブレリア・エル・ペンドゥロ(メキシコシティ メキシコ)
 クック・アンド・ブック(ブリュッセル ベルギー)
 バーツ・ブックス(オハイ アメリカ)
 アリオン・エスポジツィオーニ書店(ローマ イタリア)
 アメリカン・ブックセンター(アムステルダム オランダ)

 レール・デヴァガール(リスボン ポルトガル)
 ポプラ絵本館(北京 中国)
 VVGサムシング(台北 台湾)
 レロ書店(ポルト ポルトガル)
 シェイクスピア・アンド・カンパニー(パリ フランス)

 セレクシス・ドミニカネン(マーストリヒト オランダ)
 エル・アテネオ・グランド・スプレンディッド(ブエノスアイレス アルゼンチン)
 代官山蔦屋書店(東京 日本)
 ザ・ラスト・ブックストア(ロサンゼルス アメリカ)
 ザ・ブックワーム(北京 中国)

● といっても,こっちは日本語しか読めないわけだから,仮にこれらの書店を訪ねる機会があったとしても,手に取れるジャンルの本は画集とか絵本に限られるなぁ。
 数学の本も言語の制限を受けなそうだけど,残念ながら数式も読めないからね。

● 「まえがき」が書店の機能というか特性を要約している。書店は「駅」であり,交流の「広場」であり,「メディア」である,と。
 理想型としてそうあるべきだ,そうありたいということだと思う。

● 藤本荘介さんの発言から。
 図書館というのは,検索可能で序列化されたリニアなシステムです。しかもカテゴリー分類にも対応する必要があるので,より高度な検索性が要求されます。でも,本に“出逢う”時というのはリニアに進んだその先に必ずしもあるわけではない。(p42)
● 原研哉さんの発言から。
 本がたくさんあると心地いい。これはなぜだろう。データは非物質として持つ方が効率的なことは誰もが分かっている。しかし紙の本がなぜ心地いいのかについては本気で考えていない。所詮ノスタルジーだろうと高をくくっているからかもしれない。(p187)
 本はデータではなく人の叡智を大事にしようとする敬意の集積であるから,それを扱う態度は基本的に丁寧でなくてはならない。だからディスカウントショップや画一化されたチェーン店のような,殺伐とした雰囲気は,注意深く排除されなくてはいけない。(p189)
● その他,いくつか転載。
 この世界に存在するありとあらゆるテーマが,いずれかの本のページに書かれている。それが,本屋の美しさを作る。(p56)
 すべての良いものは,ゆっくりと時間をかけてつくられる。急いでいるときこそ,ゆっくりやらなくてはならない。(p114)

2014年9月10日水曜日

2014.09.09 鴨志田 穣 『日本はじっこ自滅旅』

書名 日本はじっこ自滅旅
著者 鴨志田 穣
発行所 講談社文庫
発行年月日 2011.01.14(単行本:2005.03)
価格(税別) 581円

● 作品は作者が生みだすものだけれども,生みだされた作品は作者から切り離されて,作品として独立する。読者にとっては作品がすべてで,作者の性向や行状はどうでもよい。
 ただし,本書において厄介なのは,自らのアルコール障害について作者自身が何度か言及していて,それが作品の重要な(と言っていいと思う)要素になっていることだ。

● 「小説現代」の連載をまとめたもの。連載されたのは2003年から2004年。鴨志田さんは2007年3月に腎臓癌で亡くなっている。
 連載の時期は,アルコール依存症に苦しめられていた絶頂期にあたるのだろう。実際,『アジアパー伝』に比べると,文章が淡白になっていると思えば思えないこともない。
 しかし。とはいっても。その最中にこれだけの文章を残すんだからね。

● 残された作品から受ける印象は,何ていうのかな,最後までカッコツケをやめられなかった人っていうものなんですよ。エエカッコシイが堂に入ったまま亡くなった,っていうか。
 そのカッコツケが仮面ではなく皮膚にまでなっていた人じゃないかと,勝手に推測している。

● ただ,そこまで身についていれば,それはもうカッコツケではないとも言える。
 安定を拒否するような壮絶な生き方は,自ら飛びこんでいったものだろうし,怯懦を憎むのも尋常ではない。激しい性格の人だ。

● 想像を逞しくしてみる。2005年9月に友人であるゲッツ板谷の『ワルボロ』が出た。鴨志田さんの『遺稿集』に若いときの焼き鳥屋での修行話を書いたものがあったと思うんだけど,これを書いたのは『ワルボロ』の後なのか前なのか。
 『ワルボロ』を読めば,創作に関する才能の格差を自覚せざるをえなかったはずで(実際には,向いている分野が違うというだけのこと),そういうことも彼を苦しめたかもしれない。
 って,そういう見方は,彼が最も蔑むものかもしれないけれど。

● ひとつだけ転載。
 東南アジアの民と決定的に違う所,自由は自分自身で勝ち取るものだという考え。 タイヤフィリピンから出稼ぎにやって来た女性達も同じように赤貧生活だったはずなのに,毎日が,一瞬が楽しいとそこで止まってしまう。 この目の前にいるルーマニア娘二人は,ずっと先の自分達の未来を想いえがいていて生きている。 どちらが幸せかはわからない。 けれど,僕はタイ人のようにはなれない。(p251)

2014年9月9日火曜日

2014.09.08 桑原晃弥 『スティーブ・ジョブズ名語録』

書名 スティーブ・ジョブズ名語録
著者 桑原晃弥
発行所 PHP文庫
発行年月日 2010.08.18
価格(税別) 552円

● 「人生に革命を起こす96の言葉」という副題。言葉を知ったって革命は起こせないけどね。
 自分もそうなんだけど,この種のものを読んじゃう人って,だいたいダメなヤツが多いんでしょうね。

● スティーブ・ジョブズの真似をしようとか,エピゴーネンになろうとかしちゃダメだよねぇ。鵜の真似をする烏にもならないもん。

● ただ,読んでいると面白い。皆さん,ジョブズの真似をしようと思って読んでいるわけではないんだろうな。つまり,ダメな人たちではないんだろうな。
 同じ著者のジョブズものをもう1冊持っているんで,近いうちに読むつもり。

● わが家では豚児はapple派。パソコンはMacでスマホはiPhone。ぼくは逆。パソコンはWindowsでスマホはAndroid。
 このあたりは好きずきでどっちでもいいと思うんだけど,原則,若い人たちのチョイスの方が正しいような気がするんだよね。昔の空気を吸ってない分,只今現在への適応は的確なはずだと思うんですよ。
 だから豚児に倣おうかということでもないんだけどね。若い人たちがすべて豚児と同じってわけでもないからね。

2014年9月8日月曜日

2014.09.07 番外:これ1冊で完全理解 PCオーディオ

編者 石井智明
発行所 日経BP社
発行年月日 2012.10.13
価格(税別) 1,219円

● 日経BPパソコンベストムックの1冊。サッと斜めに読んだ。

● この世の中には様々な趣味の世界があって,その中にはぼくも手を染めているものがあるんだけど,ぼくなんか及びもつかないほどに入れこんでいる人がいる。どんな世界にもいるね。
 PCオーディオに関しては,本書は入門書で,そんなに濃い内容が詰まっているわけでもない。それでも,ぼくにはよく理解できないところがあった。

● わかるところしか読まないっていうかさ。インターネットラジオの概括的な解説とか,そういうところには目を通したんだけど,ちょっと難しくなるとパスしちゃうんですねぇ。

2014.09.07 番外:仕事がはかどる文具術

編者 坂巻正伸
発行所 日経BP社
発行年月日 2012.08.01
価格(税別) 838円

● 日経BPムックの1冊。読みごたえのあるムック。
 佐藤卓さんのインタビュー記事から。
 道具選びとは,自分が惚れるかどうかが,実は使い心地より前にあると思うんです。なぜなら人間には応用力があるから。(中略)道具でも人でも,好きという気持ちが勝れば,気に入ったものに自分を合わせようと本能的に動く。(p58)
● 石渡美奈さんの発言から。
 万年筆は何かと手間がかかるもので,使わないとインクが出なくなるし,磨かないと色あせてくる。仕事に追われて私が余裕を失うと,万年筆の状態も悪くなる・・・。(p64)
● そうかぁ。そうだとすると,ぼくは万年筆は使えないな。っていうか,万年筆に使ってもらえないな。手間がかかるのは敬遠したい方だから。ペットとかもダメだし。
 ぼくは200円のPreppyを愛用しているんだけど,Preppyは石渡さんのいう万年筆の定義には該当しないでしょうね。手間がかからないからね。
 で,なぜ自分がPreppyがいいと思っているのかわかった気がした。安いからだけじゃない。面倒くさくないからだ。

● しかし,と思う。もし万年筆が「何かと手間がかかるもの」であり続けるなら,万年筆は好事家のものにとどまるだろう。その方が万年筆にとっては幸せかもしれない。
 が,販路拡大を望むなら,値段は高いままでもあっても,ユーザーに手間をかけさせない方向に舵を切るしかないのではないか。それをひと言でいえば,Preppy化ということになる。「使わないとインクが出なくなる」ということのないような工夫を施す方向である。

● こんなのもある。
 次の行動に思い当たる節はないだろうか。 ①ここ数年,文具の入手先はコンビニか会社の庶務。 ②ノベルティのボールペンをもらうとうれしい。 ③気がつくと,同じようなペンが何本も鞄に入っている。 ④ペンなどをすぐなくすけど,ぜんぜんショックじゃない。 1つでも当てはまれば要注意。どれだけ仕事ができても,“見た目”で評価を下げるリスクがあるからだ。
 ぼくは①に該当する。コンビニではなくて百円ショップだけど。
 でね,若い頃はこういう話に納得したと思う。一も二もなく折伏されていたんじゃないかな。今はケッとしか思わない。そんなことで下がる評価なら最初から要らないよ。大事なところは任せられないぞと言われれば,べつに任せてもらわなくてもいいわって感じ。

● 使い方の工夫で面白かったのは,清水昭洋さんの「A5のカードケースをホワイトボード型ToDoリストに」。100円ショップで売っているA5サイズのクリアカードケースにルーズリーフを入れ,ケースのうえからホワイトボード用マーカーでToDoを書く,というもの。
 ホワイトボードじたい,100円ショップで買えるじゃないかと言ったって,清水さんは外で仕事をすることが多いので,ホワイトボードを持ち歩くのはかさばって不可なんでしょうね。

● 立てておけるペンケースを使っている人が複数いたのも印象的。ペンケースは立たせなくてもいいんじゃないかと思ってたんだけど,それはぼくが室内で仕事をしているから。
 外回りが多い人にとっては,これはポイントなんだね。なるほどなと思った。

2014.09.06 番外:今,欲しい! 使える文具

編者 駒見宗唯直
発行所 成美堂出版
発行年月日 2013.04.15
価格(税別) 850円

● 足澤公彦さんがモンブラン149について書いているエッセイが面白かった。149を愛用している多くの作家の中から,北方謙三と伊集院静について書いている。
 「私が愛用するモンブラン149は私をあえて選んで訪ねてきてくれたのだと信じたい。名品を持つにふさわしい自分でありたいと思う」(p63)。
 149ではないけれど,ぼくも若いときにモンブランを買ったことがあった。が,すぐさまインク漏れを起こしてくれて,まもなく使わなくなった。あれはモンブランが,おまえなんかに使われたくないぞと,己の意思を表示したものだったのか。
 まぁ,そう思えば思えなくもないねぇ。

● “モレスキンvsロディア徹底分析”という18ページにわたる記事がある。モレスキンは,最近,1冊だけ使ったことがある。その印象はあまり芳しいものではない。モレスキンのクオリティーは大衆品レベルだと思っている。
 けれども,この記事によれば,「長い歴史とこだわりの作りで知られるノートブック界の雄」であり,「熱狂的な愛用者がい」て,「世界中で」「時代を超えて愛用されている」。
 広告連動記事にイチャモンをつけるつもりはないけれども,仮にそうだとすると,自分のことは棚にあげるどころか,宇宙に放り投げたうえで言うんだけれども,・・・・・・世界はアホで満ちている。

2014年9月5日金曜日

2014.09.05 ジュウ・ドゥ・ポゥム 『マリメッコのデザイナーの暮らし』

書名 マリメッコのデザイナーの暮らし
著者 ジュウ・ドゥ・ポゥム
発行所 ジュウ・ドゥ・ポゥム
発行年月日 2013.10.20
価格(税別) 1,700円

● こういう本が出版されるくらいだから,マリメッコって日本でも一定の人気があるんでしょうね。でも,この色遣いが日本の風景を背景にして映えるのかどうか,ぼくにはわからない。
 ただ,これを着こなせる人って,相当なセンスの持ち主だとは思う。そんなこともないんだろうか。子どもになったつもりで着ればOKよ,ってことなんですか。

● 本書に登場するデザイナーは大半が女性。女性がデザインした服を女性が着る。
 好きなことがそのまま仕事になっている感じ。当然,仕事となれば,好きなことだけしていればすむってもんじゃないんだろうけどね。大変なことはたくさんあるんだと思うけど。

● どなたの作業机にもMacがある。Macじゃなければhpのパソコン。それはそうですよね。パソコンなしでやりたいっていうのは,むしろわがままになるのかもね。
 でも,正直なところ,Macといえども,マリメッコのデザインの現場にパソコンは,ふさわしからぬ点景に映る。

2014.09.04 番外:文房具スタイル

発売所 ワールドフォトプレス
発行年月日 2006.12.05
価格(税別) 1,524円

● 525,000円のキーボードが紹介されている。輪島漆塗りのキートップ。もちろん,文字は刻印されていないから,タッチタイプができる人じゃないと使えない。今どきは,たいていの人がタッチタイプはできるんだと思いますけど。
 でも,このキーボード,まだあるんだろうか。

● 「手帳やノートといった文房具は長らく貴族階級のものであり,広く一般に活用されるようになるのは民主化の機運が高まる18世紀以降のヨーロッパでのことだった」(p102)らしい。
 そうだったのか,元々は貴族のものだったのを,ぼくらは使っているのか。って,そりゃそうだよねぇ。それ以前のヨーロッパじゃ,大衆のほとんどは読み書きができなかったろうからね。文字を操れることじたいが,貴族的なるものだった。

● 文具は知の生産のための道具だ。ノートと筆記具は直接そのために使われる。それ以外のすべての文具も,それを後方から支援するためにある。
 文具の魅力ってここに由来するんでしょうね。知の生産のための道具だっていうところ。鉛筆1本にも高貴さのようなものが宿っているかに思われるんだけど,それは知を生むための道具だからなんでしょうね。
 知の中身は問わない。落書きでも雑記でも知の生産(あるいは知の発露)に違いない。読み書きができなければ,落書きもできないわけだ。落書きができるようになる,それだけでも文字を習う価値はあるものだろう。

● 「自分の手で書くのがどんなに楽しいかを知っている人は,素敵な暮らしをしている人だという。でも現実はどっぷりパソコン漬け。自分で書く機会はどんどん減っている。ゆえに,自分で書く楽しさも減っているというわけ」(p107)というのは,業界代表的な言い方だけれども,たしかにそういうことってあるんだよなぁ。
 効率とか生産性とかというのとは無縁の世界で,書くことを楽しむ時間は持っていたいと思いますねぇ。

● 巻末の広告がウィルコムのW-ZERO3。懐かしかった。これ,けっこう欲しかったな。Windows Mobileを搭載したPHP。機能てんこ盛りのシャープ製端末。
 「うれしいのは,パソコンと同じQWERTY配列のスライド式キーボードを搭載していることだ」なんて書いてある。そうだった,そうだった。超小型のパソコンじゃん,しかもテレビも見られるんだ,とか思ってましたね。
 わずか8年前ですよ。今や,このタイプのガジェットは影も形もなくなった。iPhoneとAndroidが席巻し,キーボードが付いているのはひとつもない。BlackBerryも日本からは撤退したし。ユーザーはタッチパネルでの指先入力を選択したということだね。

2014年9月4日木曜日

2014.09.03 番外:STATIONERY magazine no.005 今すぐ欲しい文房具

編者 清水茂樹
発行所 枻出版社
発行年月日 2009.05.20
価格(税別) 1,300円

● マルマンの石川悟司さんの次の発言には,心から納得。
 書く行為に潜む心地良さには,頭を整理したり発想を豊かにする成分が確実に隠れていますよね(p44)
● 三菱鉛筆のユニ。「そのままペンケース代わりに使うことができるユニのダース箱は子ども達の憧れ」。ぼく,これ,持ってますよ。ハイユニの方ですけど。
 手に入れたのは社会人になってから。鉛筆が欲しかったんじゃなくて,プラスチック製のケースが欲しかった。30歳を過ぎても使ってたかな。今も捨てられなくて持っている。
 子どもの頃は,とてもじゃないけど手が出なかったね。親に買ってくれなんて間違っても言えなかった。

● 絶対に使わないだろうと思いながら,気になるアイテムのひとつがジョッター。使わないと思うんですよ。カードにメモをとることなんてないもん。
 たくさん書くときは,次々に差し替えなくちゃいけないから,けっこう不便っぽいし。カード型のポストイットの方が工夫しだいで便利に使えるのじゃないか。
 でも,ジョッターにメモしているシーンが想起させる重厚感というか,インテレクチュアルな感じというか,イギリス紳士的なイメージというか,そういうものを勝手にこしらえて,それに惹かれているんだと思う。
 そういうものって,文具にはかなりあるね。

2014年9月2日火曜日

2014.09.02 番外:愛しの文房具 no.3 欲しいのは,こころ潤すステーショナリー

編者 清水茂樹
発行所 枻出版社
発行年月日 2013.06.10
価格(税別) 1,300円

● 面白いなと思ったのは,万年カレンダーのスタンプ。しかし。使うことはないだろうな。
 使うことがないから買わないという人と,それでも面白そうだから買ってみるという人と,二派に別れるのだろうな。

● このムックシリーズは女性を読者に想定したもの。インタビュー記事に登場するのも女性が多い。その人たちの発言をいくつか転載。
 ただ消費されていくものではなく,使いこむことで価値が増していくものに魅力を感じます。革,木,真鍮など,使い続けることで深い色合いとなり,使った時間の長さだけ思いも残っていくような,そんなものに囲まれていたいんです(p111 中井明香さん)
 文房具はまさに仕事道具。いつも携帯して使っているものなので,綺麗なものでないと持っていたくないんです。(p113 村田奈緖子さん)
 ゴミが混ざってムラがあるような紙が大好き。(p121 小倉みどりさん)
 使いこむことで価値が増していくものかぁ。なるほどなぁ。そういうもの,ぼくの手元にはないかなぁ。ていねいな暮らしをしている人に許される特権だろうな。ぼくは革の手入れも億劫がっちゃう方だからな。

2014.09.02 番外:愛しの文房具 no.2 ステーショナリー大好き

編者 清水茂樹
発行所 枻出版社
発行年月日 2012.06.30
価格(税別) 1,300円

● 巻頭に登場するのはお笑いタレントのだいたひかるさん。最近見かけなくなった。ぼくがテレビを見なくなったからか。
 大の文具好きらしい。「図書館が近いことで住まいを決めるほどの読書家」でもあるらしい。お笑いタレントにはそういう人が多いようですね。ピース又吉とか爆笑太田とか。
 そうでないとつとまらない職業か。

● いろんな文具が紹介されている中で,こんなのもあるのかと思ったのが,世界地図のスタンプ。これ,ちょっと欲しいかも。
 ただ,使うあてはない。遊びに使う。っていうか,使うことが遊び。

● 今の文具って,実用品じゃないんだなという印象。もちろん実用にもなるんだけど,それだけにはとどまらない。実用以外の付加価値の勝負になっているんだなぁ。
 遊びを取り入れている。その結果,実用性を多少阻害することがあっても,遊びを優先するという商品が多いようだね。

● だから,ないと困るものではない。豊かな今の世相を最も典型的に体現しているのが文具かもしれないね。

2014年9月1日月曜日

2014.09.01 番外:NOTE&DIARY StyleBook vol.5-心地よい・使いたい ノートと手帳

編者 清水茂樹
発行所 枻出版社
発行年月日 2010.11.20
価格(税別) 1,500円

● ユーザーや生産者のインタビュー記事もあって,楽しく見ていける。ぼくが知らなかったノートや手帳も(当然ながら)たくさんある。
 こういうのって,東京まで出て行けば実物をみることができるんでしょうね。けれども,田舎ではそうはいかない。本物の絵画は見に行けないから画集で我慢する的な感じ。

● といっても,ノートと手帳に関しては,良くも悪くもぼくのスタイルは固定している。手帳は能率手帳のシステム手帳版(Bindex NO.011)。ノートは百円のダイスキン(こちらは,無印の「開きやすいノートA6」になったり,コクヨのCampusになったり,セリスキンになったりすることもある)。
 あわせる筆記具は,手帳にはハイテックCコレト(黒,赤,緑,青の4色を使用)。ノートにはプラチナのPreppy。200円の万年筆ね。
 これ以外のものを使うことは,当分ないと予想。

● 福澤諭吉の「西航手帳」が写真で紹介されている(p7)。「縦書き,横書きが混在し,日本語,オランダ語,英語,フランス語,ドイツ語,ロシア語,ポルトガル語など様々な言語で書き込んである」。
 すごいですな。しかし,そういうことよりも,紙面からある種の風格が立ちあがっている。諭吉の手帳だとわかって見るから,無意識に風格を作りだしちゃっているのかもしれませんけどね,こちらが。

● 成蹊大学の塩澤一洋さんが,本書にも登場している。ここでは測量野帳のユーザーとして。縦開きで使用。道具を自分にひきつけて使っている。
 こういうふうに使えるようになりたいなぁと思わせる。