2014年12月10日水曜日

2014.12.07 三浦 展 『大人のための東京散歩案内 増補改訂版』

書名 大人のための東京散歩案内 増補改訂版
著者 三浦 展
発行所 洋泉社新書
発行年月日 2011.05.21
価格(税別) 1,000円

● 本書の序文に「(旧版と)写真を並べてみて思うのは,街を壊すのは簡単だが,造るのは大変だということである」と書かれている。
 ところが,人間は壊すのが好きなのだろうな。自分で壊さなくても,東日本大震災のような災害があれば,いやでも壊されてしまう。街ははかないものっていう諦観が日本人のどこかにあるようにも思う。

● 著者の街歩きでは,同潤会のアパートや賃貸住宅がランドマーク(?)になっているようだ。何か思い入れがあるんだろうか。

● 著者は勉強もできたんだろうけど,高校生の頃から勉強だけの人ではなかった。「私は新潟県,越後高田の出身だが,音楽好きの私の好奇心を満たすには地元のレコード屋だけでは不足だった。だから私は高校時代,毎年春休みになると,東京までレコードを買い出しに行っていたのだ」(p124)という。
 ぼくはこういう人にコンプレックスを感じてしまう。レコードだろうと本だろうとスポーツだろうと楽器だろうと,勉強以外に入れこんでいたものを持っていた人には。
 文章であれ映像であれ音楽であれ,いうところのクリエイティブな業績を残した人は,そうしたそれぞれの余裕というか余力を,何かに注いでいた人じゃないかと思っていてね。
 ま,自分がそうじゃなかったからなんだけど。

● いくつか転載。
 下町情緒がどうだこうだといっても,人にとって魅力的な街というのはつまるところ色気のある街ということであり,色気というのは結局芸者さんやカフェの女給,お妾さんといった,そうしたわけありの女たちの気配が感じられる街ということなのかもしれない。(p105)
 ニュータウンというものは街にまったく色気がない。これは本当に不思議なくらいない。そこはあまりにも「健全」で,「正しく」て,父と母と子どもからなる典型的な家族ばかりがいて,芸者さんもお妾さんも母子家庭もいない。(p109)
 あまりに街に闇も日陰もないから,心の中のどんな小さな闇ですらなんだかひどい病気に見えてしまい--つまり闇は「病み」なのだ--それがどんどん沈殿して,真っ黒などろどろの固まりになってしまいそうだ。 本当の街には,人の心を汚す泥も,その汚れを流す水の流れも,同時に必要なのだ。(p111)

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