2014年11月23日日曜日

2014.11.22 網野善彦 『日本社会の歴史・中』

書名 日本社会の歴史・中
著者 網野善彦
発行所 岩波新書
発行年月日 1997.07.22
価格(税別) 630円

● 10世紀から鎌倉幕府滅亡までを扱う。中学や高校で日本史を習ったときも,この頃になると動きがめまぐるしくなってきて,面白いと思った記憶がある。
 鎌倉幕府を東の王朝として,西の天皇家を中心とする朝廷と対比する。ここまで明解に言ってもらうと,それまでモヤモヤとしていたものが氷解していくような快感を覚えた。そうだったのか,そういうことだったのか。

● 列島の内発的な変化とアジア大陸から及んでくる外発的な動きの綾もわかりやすい。読み手であるぼくの錯覚かもしれないけれど。
 視座が広い。それが著者の史観の特徴。面白いから引きこまれる。グイグイ読んでいける。

● 信西(藤原道憲)は「宋人と中国語で話ができたといわれるほどの驚くべき博識と学才をもつ人物」(p83)で,保元の乱を後白河の勝利に導いた立役者であったらしい。
 こういうことも教えてもらえる。

● いくつか転載。
 列島の東西におこったこの反乱(天慶の乱)のなかで,短期間ではあれ,京都の天皇による日本国に対する支配が分断されて麻痺し,とくに東国に独自な国家がごく短期間ではあれ誕生した意義はきわめて大きかった。新皇将門,白馬に乗る英雄将門の記憶は長く東国人のなかに生き続け,東国が自立に向かって歩もうとするときにこの記憶は甦り,それを支える役割を果たすことになったのである。(p20)
 このこと(紫式部や清少納言らが輩出されたこと)は,宮廷という狭い世界ではあれ,自らの自由な目を失わず,人間の関係を批判的に見通し,それを女性独自の文字,平仮名によって文学として形象化する力量をこれらの女性たちがもっていたことを物語っており,おそらくこれは,人類社会の歴史のなかでもまれにみる現象といえるであろう。(p30)
 太政官の事務局-官務を小槻氏,外記局の実務-局務を中原氏が世襲独占したように,官司を特定の家が世襲的に請け負う体制も,鳥羽院政期にはほぼ固定化するようになった。おのずと官職の昇進コースは家格によって定まることになったので,貴族たちはそれぞれその家格に応じて官職を請け負い,それに応じた実務を行うことをいわば「芸能」とするようになったのである。(p61)

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