2014年11月20日木曜日

2014.11.18 マイケル・ホワイト 『モーツァルト』

書名 モーツァルト
著者 マイケル・ホワイト
訳者 松村佐知子
発行所 偕成社
発行年月日 1998.04.01
価格(税別) 2,000円

● モーツァルトもまた苦難の人生。自らの性癖をもてあましていたのかもしれない。一方で,茶目っ気があって人に愛される性格でもあったらしい。ベートーヴェンはなお顕著であったのかもしれないのだが。

● いかんせん生活力がない。稼ぐんだけど,稼ぎに合わせることができない。世俗的な欲望も旺盛で,足を知るということがない。
 けれども,もしモーツァルトがそうしたことができる人だったら,果たして今に残る作品群があったかどうか。

● 天才とは危ういバランスのうえに成りたつもので,わずかでも何かが欠けていたり過剰だったり満ちていたりすると,そっくり瓦解してしまうものなのかもしれないと思った。

● 多くの作品群の中で,ぼくが最も多く聴くのはクラリネット協奏曲だ。最晩年の作品。あくまで透明で,突き抜けた明るさがあり,曲のどこを切っても高貴なるものに満たされている。
 陽気ということではなくて,明るさを突き抜けた明るさっていうか。明るさだけをどれほど煮つめたところで,突き抜けることはできないのではないかと思う。突き抜けるためには,悲しみや諦めをブレンドして,相当な葛藤を経ないとたどり着けない境地なのではないかと思うのだけれども,モーツァルトがそうした葛藤を経たのかどうかはわからない。
 それなしでポンとそこに行けてしまうのが天才の天才たる所以かもしれないんだけど,たぶんそうではなくて,苦さをタップリと味わって呻吟する時期があったのだと思いたい。

● いくつか転載。
 モーツァルトの右に出る作曲家はいない。ベートーベンは,音楽を「生み出し」た。それに対して,モーツァルトの音楽はただそれが「見出され」たのかと思うほど,清らかで美しい。あたかも,天地万物の内部に眠っていた美の一部を,モーツァルトがはじめて明らかにしたように感じられる。(アインシュタイン p12)
 生まれてはじめて深い感動を覚えた音楽が,「ドン・ジョバンニ」だった。この,我を忘れるような体験は,のちに大きな実を結ぶことになる。この音楽との出会いにより,わたしは偉大な天才のみが住む芸術的美の世界へ一歩踏みいれた。一生を音楽にささげることになったのは,モーツァルトがいたからにほかならない。(チャイコフスキー p126)
 ボルフガングが生きている間に,モーツァルトの作品の真価を認めたのは,同じ音楽家で天才のヨゼフ・ハイドンや2,3人の人たちだけだった。(イアン・マクリーン p157)

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