2014年9月20日土曜日

2014.09.20 長谷川慶太郎 『2015年 長谷川慶太郎の大局を読む』

書名 2015年 長谷川慶太郎の大局を読む
著者 長谷川慶太郎
発行所 李白社
発行年月日 2014.09.30
価格(税別) 1,600円

● 具体的で明解。こんがらかった結び目がスルスルとほぐれていくような快感を味わえる。
 持っている情報量がすごい。ここまで隔絶した情報差があれば,こちらは黙って拝聴するしかない。っていうか,ぼくは何の情報も持ってないわけだから。

● 黒田日銀総裁を評価している。日銀の対応も間違っていない。
 説得力のある発言を可能にするためには何が必要かというと,まず現状がどういう方向に動いているかがわかる適切な判断力。加えてその判断力に基づいて論理を組み立てる力が不可欠である。その論理はいろいろな角度から試されるわけだが,試されるたびに論理を組み立てた本人が動揺していては仕方がない。(中略)黒田総裁はその説得力をしっかり持ち合わせており,久しぶりの大物日銀総裁だと私は評価している。(p28)
● 株式投資についての一般的な指南。
 現在は株式情報についてもインターネットを活用している人が多いが,ネット時代になったとしても『日経会社情報』や『会社四季報』の利用価値はひじょうに高い。大変に有益な情報が詰まっている。 私がこれらを読むさいに最も注目しているのはまず「従業員の平均年齢」である。平均年齢が三八歳以上の企業の株を買うのは避けることにしている。(中略) 次に見るのが「研究開発投資の金額」だ。主にメーカーだけれども売上高の少なくとも一%以上を研究開発投資が占めている企業は伸びる。逆にそれ以下の企業は先細りとなる。(中略) 最後が「キャッシュフロー」で,これからは換物ではなく換金の時代だから金融資産を増やしている企業が有望である。(p61)
 資産形成についてふれれば,思い切った決断力を持った人間だけが個人資産を形成することができるのだ。(中略)相場のトレンドを一〇年くらいのスパンで考えると,今後,おそらく日経平均株価の最高値である三万八九一五円(一九八九年)を超える相場も出現するだろう。それを狙い,決断力を持って投資すれば利益を上げることができるに違いない。 一方,株を持たない人には資産ができないだろう。(p63)
 リスクが高いからといって規制していたのでは金融取引は成り立たない。金融商品自体が合法的なものであれば規制すべきではなく,あくまで自由競争のうえでの自己責任が基本だ。(p64)
● 推奨しているわけではないけれども,いくつかの銘柄をあげている。いずれも重厚長大産業に属する。
 具体的には,東芝,三菱重工,川崎重工の3社の名があげられる。

● 同じ重厚長大産業に属していても,新日鉄住金は「残念ながらダウントレンドの渦中にある」。その理由を次のように指摘。
 グローバル化とデフレの時代を乗りきる能力を持った経営者がいないからだ。社内の終身雇用型・年功序列型の下での持ち上がりの人材だとなかなか時代に対応できる経営者にはなれない。 新日鉄住金のような大企業は新卒を採用するときには日本中の学生のなかから最優秀クラスの人材を集めている。だが,最優秀クラスの人材であっても均一の力の持ち主では時代に対応できない。新卒には入社してから均一の人材に教育されてしまうという面もあるだろう。(p77)
● アメリカ経済は上昇気流に乗った。弱点があるとすれば,オバマ大統領その人。
 オバマケアは国民が医療サービスを受けやすくなることを目指して二〇一四年一月から全国民に保険加入を義務付けたものだから,ばらまく先は高額所得者ではなく,いわゆる低所得者である。低所得者へのばらまきでは経済的な効果もひじょうに小さい。(p116)
 アメリカ社会は貧富の差を前提にしているものではないとしても,自由経済をとっているのだから貧富の差は必然的に生じる。自由経済を採用していながら貧富の差のない社会はありえないというのもまた事実なのである。(p117)
 二〇一四年一一月に行われる中間選挙では民主党が完敗し下院だけではなく上院でも多数の議席を失って両院ともに過半数を割るだろう。逆に両院で過半数を得た共和党はオバマケア廃止法案を出すはずで,そうなったら両院で可決されてオバマケアが廃止になる公算が高い。(p118)
● 情報化が戦争を抑止するという指摘も,言われてみれば,なるほどそういうこともあるかと思う。
 ウクライナやイラク,パレスチナなどでの武力を伴った紛争が今後さらにこじれたとしてもそれらが戦争につながることはない。もはや戦争は起こらないのである。 その最大の理由は情報化だ。(中略) 国境を越えて多くの人々が双方向のコミュニケーションを行っており,それによって住んでいる国は違っても人々の相互理解が自ずと進んでいく。(中略)世界の情報化がどんどん進んでいけば民族的な対立であってもいずれ消滅していく。(p168)
 国民一人ひとりがいくらでも情報をやり取りできるようになって,もはや政治家だけが情報を独占できるような時代ではなくなったのだ。政治家にとって都合のいい偏った情報だけを国民に与えることで戦争は遂行されていくのだた,もはや国民に対して偏った情報だけを与えるようなことができるはずがない。いわばデマを流す余地がなくなってしまうのだ。(p169)
● 中国が片づいたあとの東アジアはどうなるか。沖縄の時代になる。
 中国共産党が消滅して(もちろん北朝鮮もなくなっている)東アジア地域が平和になれば,沖縄は東アジアの人や物の流れの大きな拠点となる。(p189)

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