2014年9月18日木曜日

2014.09.18 いしたにまさき 『ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である』

書名 ネットで成功しているのは〈やめない人たち〉である
著者 いしたにまさき
発行所 技術評論社
発行年月日 2010.12.25
価格(税別) 1,480円

● 励まされるタイトルだ。本書の肝もこのタイトルに収斂される。
 エキサイティングでもある。すでにブログやSNSを使っている人たちにとっては,小気味よい進軍ラッパに聞こえるだろう。

● 本書で展開されている議論の出発点は,著名な活動をしているブロガーに協力を依頼したアンケートだ。その回答がそのまま掲載されている。ここがやはり一番の読みどころになる。
 その回答からいくつかを転載。
 半径3メートル以内の出来事を発信する。遠いものは出向くか引き寄せる。とにかく半径3メートル以内に入れる。(ジェット☆ダイスケ p45)
 サラリーマンとして仕事に100%満足出来ていたら,たぶんネットの活動は積極的にやっていなかったはずです。不満足さ,満たされなさ,退屈さが自分のネット活動の動機なので,長く続いているからといってあまり褒められたものではありません。(真実一郎 p71)
 「自分の書くことに価値なんてないのでは?」「自分よりももっと上手に書ける人がいるのでは?」「自分のいうことなんて人は聞いてないのでは?」といった囁きに屈してはどんな情報も出せなくなってしまいます。 自分が自分であること,それ自体が価値なのだという信念を愚直に守ること(堀正岳 p81)
 友達が少ないこと。なにか思いついても伝える人がいないのでネットに書くしかなかったのだと思います。(林雄司 p91)
● 林雄治さんとGoogleマップに関わった上田学さん,河合敬一さんとの対談も掲載されている。
 僕は「ネットのことをネットで語るのはやめよう」と思ってるんです。恥ずかしいというか,企画として狭くなっちゃうんで。(林 p149)
 言葉でうまく説明しちゃうと,エッジがとれちゃう。本当はおもしろいだけでやっているのに,「役に立つ」とか,そういうまじめな引力に負けちゃう。 まじめなことって魅力的じゃないですか。「頭がいい」と思われたりとか。そういう魅力に負けちゃうと,「いや,おもしろいじゃないですか」ってずっと言い続けるのはバカみたいな勇気がいる。(林 p150)
 全部解決するまで社内でずっと温めておくのではなくて,なるべく早く多くの人の手に届くところにリリースして,そのフィードバックをいただきながら改善していくというやり方をGoogleでは取っています。(上田 p159)
 Googleの仕事は,要するに「世界中の情報をうまく整理してお見せしたい」というのが社是なので,やっぱりどこかでネットの外に出ていかないといけないタイミングがあるわけです。とくに地図とか,本とかそうですよね。(河合 p163)
● 次に,著者の地の文章から。
 ネットというのは面白いもので,「見て欲しい!」という気持ちが先に立っている記事やツイートは,いともあっさり空振りします。(中略)その反対に,軽い気持ちで書いた記事が,思わぬ方向に広がって,時間差でぐっとアクセスを集めたりします。(p125)
 それはなぜなのかという分析がなされるわけだけれども,これはぼくも経験している。なんでこんなものがと思うエントリーが思わぬPVを集める。
 だからといって,味をしめて似たようなのを出してもほとんど顧みてもらえない。そういうことが一再ならずあった。

● 3年間はブログをやめるなという。1年目は「種まきの期間」。2年目は「熟成の期間」。3年目が「刈り取りの期間」。毎日更新が前提のようだ。
 1年間で300程度の記事を書けば,「何かひとつは当たりくじを引くはず」だから,2年目は「当たりくじを育てる時期」だ,と。「1日のPVが500PVになるかどうかぐらいがひとつの目安にな」る。
 ここで,ぼくはガックリきた。もう3年目に入っているブログでも,いいとこ1日100PVだから。出発点にまだ立てていない。正直,1日500PVという世界は想像の外にある。
 よほど役に立つか,よほどユニークか,よほど達意の文章じゃないと厳しいよなぁ。あるいは,書き手の属性がユニークであること。

● ログの重要性も強調される。「結局は人とログ」だという。
 最初に著者が関わった「ライフスライス」が紹介される。「デジタルカメラを身体に装備して,人の手による撮影ではなく,カメラのインターバルタイマーで自動撮影して,人の一日の行動を100枚ほどの写真の束で移動観測するプロジェクト」(p200)。
 なるほど,これをたくさん集めていろいろ研究したり分析するのもいいけれど,自分が個としてやってみるのも面白そうだ。

● そのログの大切さを説く文章からいくつかを転載。
 ログという資産を運用可能な状態にするには,どこかで「あなたの情報」として公開することがいちばんなのです。誰かに理解してもらうためには,ログを生の状態ではなく,ひと加工して理解してもらえるような形にすることで,その情報が流通して,その資産はさらに成長するからです。(p237)
 iPhoneに代表されるスマートフォンでも,クラウドを既に使っていて,ログデータを既に持っている人に大きな先行者利益がありました。これからデータを準備する人,既にデータは用意している人。ここに大きな差がうまれてしまうのは,仕方がない話です。そして,残念ながら最新のサービスはそういった人たちに向けて作られています。それは作り手がもうとっくにそういう世界にいるからです。(p243)
 「続ける」という積極的な姿勢は,それ自体はほめられる行為として見ることができるでしょう。ただ,それはあなたの生活に負担をかけていないでしょうか? 「続ける」ことに目を奪われていないでしょうか? 「続ける」ために目新しいものに次々に飛びついていないでしょうか? あなたがそういう状態では,ログはあなたに語りかけてくれません。むしろ「やめない」という自然な姿勢の方が,あなたの日常を広げてくれるのです。(p250)

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