2014年8月24日日曜日

2014.08.22 牧野武文 『Googleの哲学』

書名 Googleの哲学
著者 牧野武文
発行所 だいわ文庫
発行年月日 2014.08.15
価格(税別) 700円

● Googleの数多くのサービスのうち,自分が使っているのはごく一部に過ぎないし,Google以外のサービスには目もくれないということではないんだけど,やっぱり一番お世話になっているのは,現状ではGoogleだ。
 結果的にGoogleが膨大な個人情報を握ることになる。そのことに危惧を表明する人はたくさんいる。イチタスイチハニダと声高に言いたがる人たち。

● が,Googleのアカウントを取るに際して,住所や氏名や電話番号をGoogleに提供しなければいけない仕様にはなっていなかったと思う。
 この点でいえば,アマゾンに提供している個人情報の方がずっと多い。住所や氏名の他にクレジットカードの番号まで知らせているんだからね。
 あるいは,ヤフオクの出品者とか。銀行の口座情報を知らせることになる。

● そうであっても,Googleがその気になれば,おまえの趣味や好みまで全部わかるんだよってか。それはそうだわな。結果,自分にドンピシャリな広告が表示されたりする。
 が,それ以上のことはありえない。なぜか。Googleがその気にならないからだ。Googleをその気にさせるだけの価値は,ぼくには絶対にないからだ。
 ビッグデータのサンプルの一つになるのは,むしろ本望だ。数十億分の一のお役に立てるのなら,ぜひ立ちたいものだ。

● というわけなので,パソコンやスマートフォンの利用に関しては,Googleと心中するというのが,ぼくのモットー。
 Chrome,Gmail,YouTube,Picasa,Bloggerなど,最も多くをGoogleに負っている。

● 本書は,そのGoogleをかなり好意的に紹介している。以下にいくつか転載。
 よく「お客様の視点に立って・・・・・・」というフレーズが企業の現場で使われます。しかし,これはおかしな言葉遣いです。企業人だって,ものを買って生活をする消費者なのですから,わざわざお客様の視点に立つ必要はありません。こんな言い方を使うということは,普段は消費者ではない視点に立っているからでしょう。(p46)
 多くの人がグーグルのような成功した企業について,その成功の秘密を知りたがります。それは創造性にあるのだとか,意思の共有にあるのだとか,経営者のすぐれた先見性だとか,さまざまな意見を言います。それらは間違いではなく,確かにそうなのでしょう。しかし,最も大きなポイントとして言えるのが,失敗したときの撤退の早さなのです。(p58)
 (かな漢字変換プログラムの開発は)思いつきでできるほど簡単な仕事ではありません。 これを思いつきでやってしまったのがグーグルです。(中略)グーグルは,検索で入力されるキーワードの情報を集めて,かな漢字変換の辞書を作ってしまいました。どのような単語が何回入力されたかは簡単にわかりますから,どの単語を優先して変換候補にすればいいかは,膨大な数のユーザーが決めてくれるというわけです。(p150)
 となれば,だれもが知りたくなるのが,「では,その隠れたウォンツは,どうやって見極めればいいのか?」ということでしょう。 これも答えは簡単です。「自分に聞いてみろ!」が答えです。(中略)しかし,それは簡単なことではありません。「自分が心からほしいもの」ではなく,「世に出したら,お金儲けができたり,人から尊敬されるもの」をしばしば「自分がほしいもの」と勘違いしてしまうからです。(p167)
 なぜシリコンバレーの人たちはみな“いい人”で,惜しみなくアイデアを与えてくれるのでしょうか。先ほどの方のある一言で,私の疑問は消えました。「彼らはパイが永遠に拡大していくと信じているんです」(中略) ですから,出し惜しみをして孤立しながら事業を進めるよりは,惜しげもなく人に与えて,自分も与えてもらうほうが,確実に得だと考えているのです。(p259)
● 「まえがき」に,「本書にはグーグルの公開情報しかなく,だれもが知らない「グーグルの秘密」のようなものは書かれてありません。しかし,公開情報であっても,それを論理的に読んでいき,グーグルが何を考えてそのような行動をしたのかを懸命に追っていけば,必ず読者の仕事のヒントになるような考え方にたどりつける」とある。
 話は脱線するんだけど,病院なんかに行くと,大学院生が論文を書くために,アンケートを依頼してくることがある。たいていはくだらない中身。くだらないのはいいんだけど,これってすでにデータがあるんじゃないのって思う。探せば絶対あるぞ。
 彼(彼女)にとっては論文を書くことが至上命題で,データを取ることはそのための手段。探したデータでは論文は書けないんだよって怒られるんだろうけど。

● 必要な情報ってあらかた公開されているのじゃないか。秘密を盗みに行くのは二重につまらない。
 第一に,秘密になってるようなものはたいてい大したものじゃない。第二に,したがって算盤に合わない。

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