2014年8月4日月曜日

2014.08.04 中西大輔 『放浪哲学』

書名 放浪哲学
著者 中西大輔
発行所 SBクリエイティブ
発行年月日 2014.07.14
価格(税別) 1,500円

● 副題は「11年かけて130カ国15万キロの自転車ひとり旅」。日本を発ったのは28歳のとき。旅を終えたのは39歳のとき。
 学生のときから追手門学院大学の「ニューサイクリング部」でツーリングの経験を本格的に重ねていた。それにしてもなぁ。こういう人が日本にもいるっていうのが,何がなし嬉しくもあり。

● この自転車旅で植村直己冒険賞を受賞した。実際,これは間違いなく冒険で,ひとつ判断を間違ったら命を落とすような局面に何度も遇っている。
 ダリエン地峡は,麻薬密売ルートや反政府ゲリラの拠点としても知られるジャングル地帯だ。この地峡を命の危険を冒して踏破した勇敢な先人旅行者の話を聞いて奮い立つが,日本大使館の人からは「決して通らないように」と厳命された。それでもいこうかと思ったが,結局,断念した。(p66)
 砂地に沈み込むタイヤはビクとも動こうとしない。沈んだタイヤの下に鉄板をかませるが,波の周期のほうが砂をかき出すより早くてうまくいかない。波はドアにたどり着くほどに高くなってきた。(中略) 自動車が完全に沈んでしまう前に,車内の荷物や自転車などを外に持ち出さなければならないが,ここにいる黒人たちに盗まれるのは目に見えている。万事休すか。(p148)
 自分はこうした判断を間違えないで,自転車に乗り続ける自信はまったくないなぁ。

● ひたすら自転車を漕いで前に進んでいく。それだけを書いたのでは作品にならないこともないだろうけれども,なかなか起伏はつけずらいのではないか。
 作品として面白くするのに恰好なのは,現地の人たちや旅先で知り合った人たちとのやり取りだろう。これが豊富にあると面白い読みものに仕上げやすいだろう。
 問題は,それができるだけの社交性があるかどうか。ここのところも,ぼくは自信がないなぁ。
 それからは金欠だからと暗い顔をするのはやめ,笑顔でいることに努めた。道ゆく人たちと目が合えば,こちらから笑顔で話しかけてみる。そうしていると,それまで以上に人々と接する機会が増え、地元の人たちからさまざまな手助けを受けることになった。(p257)
● その旅先で出会う人たちのホスピタリティの厚さに驚く。そういう人たちが何度も登場する。どうしてここまでできるんだと思うような人たち。
 自分だったらここまで親身に面倒をみれるだろうか。これまたまったく自信がない。関わらないですませようとしてしまうだろう。

● こういう旅をしてみたいという憧れはある。あるけれども,自分にはとうてい無理だろう。冒険という以前に,この旅を敢行するために著者が捨てたものは気が遠くなるほどに膨大だ。
 それだけの決断ができる人なんて,そうそういないとしたものだろう。せいぜい,その人たちが著した本を読んでその渇を癒やすといったあたりにとどまる。

● でもやってみたいよなぁ。何年も続けるのは無理だから,もっと細かく刻んでね。著者がやったようなモンブランやキリマンジャロの登攀なんてのは無理に決まっているから,そういう無謀なことは試みないで。危険なところには近寄らないようにして。世界遺産なんぞどうでもいいから,そのためにわざわざ遠回りするなんてこともしないで。厳密な世界一周じゃなくていいから,自転車で世界を走ってみたい。
 いわゆるひとつの夢。

● ひとつ不思議なことが。一人旅のはずなのに,走行中の写真があるのはなんで?
 知り合った人に撮ってもらうんですかねぇ。お互いに撮りあってってことをするんでしょうかね。

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