2014年8月3日日曜日

2014.08.02 長尾藤三 『おじさん自転車革命』

書名 おじさん自転車革命
著者 長尾藤三
発行所 五月書房
発行年月日 2001.08.28
価格(税別) 1,400円

● 13年前の刊行。当然,書店には並んでいない。ヤフオクで購入した。

● 本書のテーマは豊かな老後ですかねぇ。印象的なのは表紙の写真。たぶん,著者の書斎というか一人になるための部屋の写真。
 壁に自転車を吊して,オーディオセットとCDのラック。CDもギッシリあるんじゃなくて,少し。椅子はあるけど,机は写っていない。余計なモノがなくてスッキリ片づいている。撮影のためにバタバタと片づけたのかもしれないけどね。
 ゆったりと上品な空間なんですねぇ。生活自体が形になっているんだろうから,自分もゆくゆくはこういう部屋でくつろげるようになれればなぁと思いましたよ。

● 以前,著者の『快感自転車塾』だか『熱愛自転車塾』だかに,ドロップハンドルはできるだけ下ハンを握るようにしろと書いてあったのを憶えている。自転車に乗り始めて間もない頃だったので,そうなのかと思って実行してみたんだけど,とてもじゃないけど続かない。
 今じゃ続かないのが道理だとわかるんだけど,当時は,自転車って大変なんだなと思った。

● 以下にいくつか転載。
 ちょっと古いマイナーな名作というのは,けっこう人生を考えさせたりするから,こうしてヒマつぶしのように見える映画見物で,おじさんたちは改めて人生哲学を学んでしまっているのだろう。どうして若いときから,働きながら少しはこういう時間も持てなかったのだろうなどと,きっと思っているに違いない。(p46)
 さびしい老後なんて,とんでもない。オレたちがしているのは,地球と仲よく暮らす21世紀型のライフスタイルの先取りなんだぞ。しかも,超高齢化時代に向かって,ひとりで元気にキゲンよく遊べる年寄りというのは,全国民の理想像だ。よし,カッコイイジジイになってやるぞ(p48)
 この街(ニューヨーク)には,はっきりした意思が感じられるのです。向上したい,カッコよくなりたい,認められたい。そのための努力をおしみなくする空気が,心地よい緊張感を生んでいるのでしょう。(p85)
 外国でいうならアレックス・モールトンのような自転車。気品があって,センスがよくて,けっこうよく走る。値段も超一流だけど,仕上げや存在感も超一流で,それに乗っているというだけで人物評価がランクアップしそうな一台。これは難しいよ。技術があっても,思想や文化や教養がないと創れない。乗り手だって,相当な人格やカラダ的資格を要求されるのだ。(p89)
 服のセンスやなんかも含めて,スッキリと洗練されていてサッソーとした人には,なかなか出会えません。日に2~3人もいればラッキーなほう。顔の美醜,老若男女に関係なく,見ているだけでこちらまでシャンとする人が,ほんとにたまにいて,これは大きな歓びです。(p136)
 世界一恵まれているはずの日本なのに,いつからこんな不機嫌大国になっちゃったんだろう。(中略)不機嫌にしていていちばん不愉快な思いをするのは,他ならない自分自身じゃないのか。暗く沈んだ気分を抱きしめていても何も解決しない。(p194)
 ボクの印象では,カラダを動かすことの少ない仕事をしているやつほどキゲンが悪い。(p196)
 カラダがグニャグニャは,魂がグニャグニャ。カラダがうつむいているのは,ココロのうつむき。カラダのぜい肉は,ココロのゼイ肉。魂のまわりに厚い脂肪がついていては,見えるものも見えないでしょう。肺という内臓にニコチンのタールがついていては,いい空気が吸えないばかりか,心も半分閉じているような状態でしょう。(p219)
 経済の原理で動くなら,速さや損得が何より大切でしょうが,動物の感覚で動くなら,快不快が最優先です。 自転車という「ご本尊」を得てから,ボクは進歩に遅れることがこわくなくなりました。自分の肉体が何万年前とほとんど変わらないのだから,生活だってそんなに変わらなくたっていいじゃないか。そういう開き直りができるようになりました。しかもそれは決して悲痛でも決死でもない。その正反対の爽やかで清々しい気持ちなのです。ボクにはむしろ最先端を追いかけている人たちのほうが,必死でお気の毒に思えてくる。(p224)
● フツーでたまるか,という言い回しが出てくる。若い頃からバイクに乗ったりと,フツーであることを拒否してきたようだ。とはいっても,有能なサラリーマンでもあったのだろう。
 実際のところ,どうなんだろう,定年前の現役時代から経済原理に背を向けて,「最先端を追いかけている人たちのほうが,必死でお気の毒に思えてくる」とすませていられるかだな。
 快不快原則の貫徹は老後の楽しみにとっておくしかないのかもな。

0 件のコメント:

コメントを投稿