2014年7月28日月曜日

2014.07.26 長谷川慶太郎 『2015年~ 世界の真実』

書名 2015年~ 世界の真実
著者 長谷川慶太郎
発行所 WAC
発行年月日 2014.07.31
価格(税別) 900円

● アベノミクスが功を奏して,雇用環境はかなり改善されてきた。パート社員がなかなか集まらなくなっているところもある。社員を定着させるために正社員化の動きも広まっている。
 当然,賃金も上昇傾向。賃金を上げることができるのも,円安が効いて国際比較で日本の賃金水準が低下してきているから。
 そうしたことが具体的に説明されていて,ああ今はこうなっているのかと納得。

● 中国が火種。北朝鮮は放棄せざるを得ない。その後,さほど経たないうちに中国自身が崩壊の道をたどる。最近の著書で繰り返している長谷川さんの主張だ。
 本年,七月三日,中国の最高指導者・習近平は,同盟国の北朝鮮よりも三十八度線の停戦ラインを隔てて北朝鮮と対立する立場にある韓国の首都ソウルを訪問して,言葉ではなく,自身の行動で「北朝鮮の放棄」を国際社会に伝えたのである。(p6)
 日本ではあまり知られていないが,中国は保有するアメリカ国債を売り始めた。その額は二〇一四年一月だけで三百四十六億ドルにのぼる。これを人民元買いの資金に充てた。それでも下落を止めることができなかった。(中略) 中国が保有するアメリカ国債は二〇一三年末で一兆三千二百億ドルだった。月に五百億ドルを売っていけば,二年強でゼロになる。為替介入をする実弾がなくなったとき,人民元は紙切れと化す。(p113)
 ジョークのような実話だが,重慶の石炭火力発電所が日本から四百億円のODAをもらって窒素酸化物や二酸化炭素を除去する装置を導入した。ところが,その装置を稼働させない。なぜか。稼働させれば部品を交換する必要が出てくるし,メンテナンスもしなければならない。そのお金がないから使わない。これが中国サイドの理屈である。 では,何のために設備をつけたのか,といっても始まらない。上がやるといったからやっただけで,環境対策などは二の次というのが社会主義体制下での発想である。(p118)
 アメリカの企業が中国に進出するときに国務省がアドバイスする。そのポイントは,アメリカ人を中国に出すな,ということだ。「中国に進出するのは差し支えない。その際に大事なことはアメリカ人の駐在員をできるだけ置かないことだ。その代わり,アメリカに留学した経験を持つ中国人を雇う。彼らは英語ができる。そして,あなたの会社の方針をきちんと理解し,忠実に執行するだけの実行力を持っている」。現実にいま,中国在住のアメリカ人は一万人程度に減った。日本人の十四万人前後と比べれば,その少ないことに驚かされるのではないか。(p139)
 日本の外務省はそういうことをばかばかしいと思っていて,中国進出の危険性を伝えたりはしない。しかし,日本企業はアメリカの国務省の忠告を我がこととして受け止めるべきである。 中国へ出たいという日本の企業経営者に対して,「アメリカに子会社をつくり,アメリカの子会社の名前で出なさい。そうすればアメリカ政府がカバーしてくれる。日本の名前で出たら外務省はカバーしてくれない。その違いをわきまえて行動されたらいかがですか」と私はアドバイスしているが,中国に進出しないことが一番の対策だ。(p215)
 安倍首相が集団的自衛権の解釈を変更しようとしているが,何を想定しているかといえば,中国の在留邦人救出である。たとえば,上海には約六万人の邦人がいる。これを救出するためにはアメリカの軍艦が上海に行き,収容するしかない。アメリカの軍艦が上海から日本人の避難民を乗せて帰るとき,海上自衛隊が何もしないで済むか。海上自衛隊の艦船がアメリカの軍艦とともに揚子江の河口まで行き,護衛して佐世保に帰るという行動が必要だ。それをいいたい。しかし,いえない。いまの段階ではまだ中国がつぶれていないからだ。(p140)
● アメリカは政治がモタモタしたとしても,シェールガス革命もあり,アメリカ経済は問題なし。もちろん,個々の企業を見ていけば,厳しい局面に入るところもある。
 携帯端末のアプリは個人や小企業が活躍している。そのほうが豊かな発想でおもしろいものが次から次へとできるのだ。逆にいうと,大企業の力をもってしなければできない仕事ではない。だから,マイクロソフトはアプリでも稼げない。(p77)
 冷たい戦争を熱い戦争に転化しないことが何よりも重要になる。朝鮮動乱がそうだし,ベトナムがそうだが,熱い戦争にすると失敗した。逆に,熱い戦争に転化しなければ自動的に東側はつぶれる。それをアメリカは確信している。だから,アメリカは中国にわざわざけんかをふっかけたりはしないし,現実にその必要もない。(p138)
 オバマの最大の欠陥は理想主義者ということだ。理想主義ではギリギリの選択を迫られたときに決断力が発揮できない。シリアもそうだし,クリミアもそうだ。決断力がないから,その程度の制裁を出した。(p186)
● 日本経済も順調に推移する。ソニーやシャープはダメになるとしても,日本経済の屋台骨は別のところにある。重厚長大産業だ。三菱重工であり,日立であり,東芝であり,新日鉄住金である。
 長谷川さんのこれまでの著書にも何度か登場しているエピソードが今回も語られている。
 アベノミクスの第一,第二の矢の財政,金融政策は成功した。では,第三の矢の成長戦略はどうかということを盛んにいう人がいるけれども,何が成長するかはやってみないとわからない。事前にわかるようなら不況にはならない。(p198)
 海部首相と会ったときに「ベルリンの壁は崩れます。ソ連も危ない」と伝えたら,「えっ」と驚いて言葉を失った。私に入ってくるレベルの情報を日本の総理大臣が知らない。いや,たとえそうだとしても,「なぜか」「根拠は何か」と問われなかったことのほうが深刻な問題である。(p217)
 あの人(大平正芳氏)は勉強家だった。紫檀の大きな机に本の山がある。本はすべて開いたまま積んであった。「これはどういうことでしょう」と聞いたら,「ここまで読んだとわかるようにしている。それを一番下に入れて,こんどは一番上のところをとって,また読みだす」という。そういう山が三つも四つもあった。 (中略)大平氏が田中内閣の外務大臣として中国との国交正常化に尽力したことは知られている。それは世界で起こっていることに注意を払い,勉強を怠らない姿勢があってなし得たことである。(p219)

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