2014年6月14日土曜日

2014.06.14 ゲッツ板谷 『ワルボロ』

書名 ワルボロ
著者 ゲッツ板谷
発行所 幻冬舎文庫
発行年月日 2007.07.20(単行本:2005.09.25)
価格(税別) 686円

● 2008年7月に一度読んでいる。2年後に続編の『メタボロ』が出た。すぐに読んでおけばいいものを,無為に過ごして今日に至る。
 でも,やっと『メタボロ』の文庫本を買って読み始めたんですよ。でも,ダメ。何がダメかというと,主要な登場人物は『ワルボロ』から継続しているわけだけれども,『ワルボロ』でどんな役どころだったのか忘れちゃってるんですよ。主人公のコーチャンのほかに,ヤッコとキャームはさすがに記憶にあるけど,ほかは忘れている。
 これじゃ『ワルボロ』を読み返さないとダメだわってわけで,『ワルボロ』を再読。

● 再読だから,ストーリーは知っている。知っているけれども,一気通貫で読了。面白い。ゆるぎなく面白い。
 登場人物がみな魅力的。情が細やかで男気があって。それぞれが重いものを抱えていて。
 ストーリーの展開もスリリング。弛みは一切なし。
 神は細部に宿る(のかどうかじつは知らないけど)。細部の描写や語彙の選び方に手抜きがあっては,こちらの集中もそこからこぼれていくだろう。この作品にはそれもない。
 たとえば,最後の最後に登場する昭和中学の安原のたたずまい。その描写は圧巻の迫力で,そうした迫力がこの作品のそこここに散りばめられている。

● 純な恋も横糸になっている。相手をどんどん美化して,身動きできなくなる主人公。中学生だもんな,じゃなくて恋ってそういうもので,だからできるときにしとかなきゃ。
 相手の女子生徒は中学生にしてすでに大人。山田規久子もエミもサユキも。

● 小説というのを読まなくなって四半世紀が経つ。だものだから,その間にどんな小説が世に出ているのかぼくは知らない。そのうえで言うんだけれども,この『ワルボロ』は,阿佐田哲也『麻雀放浪記』以来の本格的なピカレスク・ロマンといっていいのではあるまいか。
 ともあれ。これで『メタボロ』も読める。

● にしても。すごい小説でしょ,これ。

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