2014年4月5日土曜日

2014.04.05 野嶋 剛 『銀輪の巨人』

書名 銀輪の巨人
著者 野嶋 剛
発行所 東洋経済新報社
発行年月日 2012.06.14
価格(税別) 1,600円

● 台湾の自転車メーカー「ジャイアント」を取材したもの。世界のトップメーカーですな。
 台湾といえば,あの東日本大震災のときに親身に支援してくれたのが記憶に新しい。中国や韓国とは対照的。「ジャイアント」社も大いに奮戦してくれた。
 疋田智さんのメルマガが情報源なんですけどね。

● だものだから,次にロードか折りたたみ式のミニベロを買う機会があれば,ぜひとも「ジャイアント」にしようと決めている。

● 著者はジャーナリスト。だから読みやすいんだけど,表層をなぞっているだけなんじゃないかと感じる部分もある。たとえば,冒頭の次のような部分。
 昨今の日本は,自分たちの金城湯池だった製造業の分野で次々と外国製に敗北を喫し,「ものづくりの国」というプライドを揺さぶられている。(p8)
 グローバルマーケットにおける日本の製造業の「失敗」が,最も早い段階で,しかも劇的に進行したのが自転車産業だったのである。(p8)
● こういうのってさ,かつて日本のドル箱だった繊維,縫製がもはや日本では成り立たなくなったのと同じで,自転車とかテレビとかが日本では採算が取れなくなるのは理の当然。だけれども,日本でしかできない製造業の分野は厳然としてあって,そこでは日本は圧倒的に強い。
 「ものづくりの国」というプライドを揺さぶられているってのは,消費者に見えやすい家電やIT関連などで起きていることにすぎない。

● 自転車でいえば,組み立てて最終製品にするのはもう日本の仕事じゃない。けれども,自転車の心臓部である変速機の生産ではシマノが世界のトップシェアを握っている。エンドユーザーではなく企業相手のパーツメーカーとしてはダントツの存在だ。
 もちろん,かつてはシマノ以外にもパーツメーカーはあった。が,紆余曲折を経てシマノが残った。これは仕方がない。
 というわけだから,そんなに悲観することもないのじゃないか,と。

● もちろん,著者はそこははずしていなくて,シマノの社長にも取材している。
 新商品にこだわる理由について,島野は「業界間競争を勝ち抜くため」と強調した。(中略) 「スポーツにおいても,テニスもゴルフもスキーもあるなかで,消費者に自転車に乗ってもらうためには,ほかの業界にない価値のあるものをたくさん打ち出していけるかどうかにかかっています。(中略)自転車業界をいかに魅力的にするか,自分たちがどれだけ魅力的になるか。それがユーザーを育て,ユーザーによりいい自転車に乗ってもらうことになる。」(p195)
 「業界間競争」か。たしかにその通りだと納得した。自転車業界について日本で誰よりも考えているはずの人の言葉だ。

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