2014年1月6日月曜日

2014.01.01 養老孟司 『こまった人』

書名 こまった人
著者 養老孟司
発行所 中公新書
発行年月日 2005.10.25
価格(税別) 700円

● 「中央公論」連載の時評をまとめた2冊目。

● 以下に転載。
 学問のあり方に関しては,私はマルキストである。社会がそれを決定する。アメリカの学問はアメリカの社会のあり方が決める。(p16)
 システムに必要なものは安定性である。(中略)システムとは数多くの要素が複雑に絡み合って成り立つ。その絡み合いが安定を生み出す。だれかがあっちに行けば,別の人はこっちに行く。それを全体として見れば,動かないことになる。民主主義社会が専制社会より安定するのは,乱暴にいうなら,このためであろう。社会のなかの個々人をとれば,民主政体のほうが勝手気ままに見える。しかし全体として見れば,逆に安定するのである。(p44)
 なんの役に立つか,その答えは価値観で決まる。その点で英米に学ぶことは多い。なんの役に立つのか知らないが,彼らはいまでも戦争ばかりしている。でもそこから彼らは,おそらく「なにか」を学ぶ。戦争はともあれ命がけだから,一所懸命にやらざるをえない。それなら,ひとりでに「なにか」を学ぶことになる。そこでその間,ボンヤリしていた人と差ができる。それが大英帝国,アメリカ合衆国の力の根源ではないか。(p95)
 希望は自分が変わることにあるので,世の中が変わることにあるのではない。世の中に比較すれば,自分個人なんてゴミの一粒である。それなら世の中が変わるより,その世の中を「見ている自分」が変わるほうが,よほど大きな変化をもたらすということは,わかりきっているではないか。(p168)
 規制にしたがって走る癖がついていると,(中略)「規制以上のこと」は考えない傾向が生じる。つまり原則規制はより「考えない人」を作る傾向がある。(p179)

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