2013年5月31日金曜日

2013.05.31 松浦弥太郎 『100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート』

書名 100の基本 松浦弥太郎のベーシックノート
著者 松浦弥太郎
発行所 マガジンハウス
発行年月日 2012.09.25
価格(税別) 1,500円

● 人生,生活,仕事の指南書。もっと若いときにこういう本を読めていたらとチラッと思った。が,すぐに思い直しましたね。読んでいてもたぶん,何も変わらなかったろう。
 世の中には,本書を読まずとも本書に書かれていることを実行できる人と,本書を読んだことを契機に実行するようになった人と,本書を読んでも実行できない人,との3種類があるだろう。
 その割合は,ざっくりいって,2:1:97くらいではあるまいか。ぼくは,もちろん97の一員だ。

● いくつか引用。聖書から聖句を引用するようなものだけど。すでに著者の別著から同じ内容を引いてもいるんだけど,あらためて。
 僕の幸せは人と深くつながること。絆を深めることが一番の幸せです。(p27)
 自分の経験しか,本当の情報にはなりません。見たり,読んだり,聞いたりしたことは 情報ではなく知識です。知識が増えると,自分の頭でものを考えなくなります。だから知識はほどほどに。なんでも知っている人ではなく,なんでも考える人になりましょう。(p37)
 誰かより優位に立つために仕事をしているわけではなく,人に喜んでもらうために努力をしているのですから。(p57)
 万年筆でも靴でも洋服でも,買った方が安くても修理して使う。これが,豊かでていねいな暮らしを生み出します。(p79)
 面倒くさいことにこそ,実は楽しさが潜んでいます。ものごとの本質が隠されている気がします。面倒くさがってやらなかったり,人に頼んだり,上の空で嫌々やったりするのは,ずいぶんもったいないことです。(p149)
 お店とは,働く人たちにとってのステージであり,お客様とは,わざわざ来てくれた観客です。(p241)

2013.05.30 文房具朝食会・多田健次 『〔整理・勉強・手帳・ノートの〕100円ショップ文具術』

書名 〔整理・勉強・手帳・ノートの〕100円ショップ文具術
著者 文房具朝食会・多田健次
発行所 ダイヤモンド社
発行年月日 2012.07.26
価格(税別) 1,500円

● 文房具は100円ショップで買っている。身辺をざっと見回してみると,100円ショップ以外のところで買ったものは,システム手帳のバインダー,手帳のリフィル,手帳に挟んでおくボールペン(PILOTのHi-TEC-C CORETO)くらいのものだ。要するに,手帳まわりは100円ショップからは調達していない。
 けれども,保存用バインダーはSeriaでまとめ買いした紙製の製品を鋭意愛用中(ちなみにいうと,とても気に入っている)。

● あとは軒並み,100円ショップ御用達。最も使うのが付箋。安いから心おきなく使えるんですな。ホチキスの針外し(何ていうんだっけ,あれ),ハサミ,メンディングテープ,東京23区地図 etc。
 蛇足ながら,情報カードやメモ帳もついつい買ってしまうが,使ったためしがない。メモを取る習慣のない人間は,デジタルメモや100円の安いメモ帳をいくら買っても,メモの習慣は身につかないのだった。

● 文房具ではないけれど,スマホのホルダーっていうか,置き台もSeriaで売っていたプラスチック製のをしごく便利に使っている。3つ買って,ひとつは勤務先のデスクに,ひとつは自宅に,もうひとつは予備に。自宅でワンセグを見るときには,ありがたさを痛感する。
 ぼくは自転車にも乗るので,パンク修理キットやオイルも100円ショップで購入。もともとの自転車が安物なんで,何の不安もなく百均製品を使っている。実際,何度も助けられている。
 耳かき,鼻毛抜きのピンセット。それから,冷蔵庫の製氷皿も。台所用品もいくつかは百均。ときどき,ビールのツマミも調達。

● というわけなので,コンビニエンスストアとは,いわゆるコンビニではなくて100円ショップのことだと心得ている。

● 「習慣が続かないというのは,一目瞭然で「見えていない」というのが大きな原因です」(p171)とある。
 「見える化」することが重要だってわけなんだけど,本当にそうだと思うのは,散らかっているのをそのまま平行移動して,外から見えないようにしちゃうのを目撃したときだね。
 整理整頓するんじゃなくって,散らかった状態のまんましまっちゃう。散らかってる状態は,見えていた方がいいよなぁ。少なくとも,片づけなくちゃと思わせてくれるもん。

2013年5月29日水曜日

2013.05.29 ミロスラフ・サセック 『ジス・イズ・サンフランシスコ』

書名 ジス・イズ・サンフランシスコ
著者 ミロスラフ・サセック
訳者 松浦弥太郎
発行所 ブルース・インターアクションズ
発行年月日 2004.09.01
価格(税別) 1,600円

● サセックの絵を楽しむもの。どうやったらこんな絵が描けるようになるのかねぇ。サンフランシスコだから青が多くなる。空と海。

● サンフランシスコの起源もサラッと,しかし骨太に紹介。1906年の地震のことも。
 ゴールデンゲート橋,中華街,ケーブルカーについては,絵で詳しく解説。動物園や水族館の案内も。刑務所や教会についても教えてくれる。

● 34ページにはこんな文章も。
 これは橋ではなく,迷路のような高速道路です。 街並みの景色をそこなうので,サンフランシスコ市民には嫌われています。 しかし,車で走るのはみんな大好き。
 当然,首都高を思いだすわけですね。首都高を醜いという人はたくさんいるんだけど,車は捨てられない。

● その高速道路,1989年の地震で被害を受け,現在はなくなっているそうだ。

2013.05.29 美崎栄一郎 『ただのノートが100万冊売れた理由』

書名 ただのノートが100万冊売れた理由
著者 美崎栄一郎
発行所 徳間書店
発行年月日 2012.05.31
価格(税別) 1,300円

● タイトルのノートとは,キングジムの「ショットノート」のこと。本書はキングジムで「ポメラ」や「マメモ」を開発した社員たちへのインタビューを通して,キングジムがヒット商品を連続させる理由を探ったもの。
 面白く読めた。これが第一。

● キングジムのファンになってしまいそうですな。「ポメラ」と「マメモ」,どう使うか,ホントに使うか,ぜんぜんわからないんだけども,まず買って遊んでみようかなぁ。

2013年5月28日火曜日

2013.05.28 美崎栄一郎 『超iPadバカ』

書名 超iPadバカ
著者 美崎栄一郎
発行所 アスコム
発行年月日 2012.12.25
価格(税別) 1,300円

● 自分ではまず使うことはあるまいと思っているiPad。だけども,本書はある種痛快な読みものになっている。
 iPadでこんなこともできる,こんなふうにも使える,っていう使い方紹介が,当然にしてメインになるわけだけど,著者の思い入れがおのずと載っていて,これが読ませる理由でしょうね。

● 前日に読んだ『頭のいいiPad「超」情報整理術』は2010年の発行だけど,すでにはっきり古くなってるんですね。どんどん新しいアプリが出て,キラーアプリも入れ替わっていく。クラウドサービスも機能が付け加わって,使い勝手が向上していく。
 2年で浦島太郎になるんですな,この世界は。

● 本書を読んで,ちょっと思った。iPad,買ってみようかな。Wi-Fiモデル。
 具体的には,MiniStation Airを知ったこと。Wi-Fiでアクセスできるハードディスク。iPadにも外部記憶装置ができたってことですよねぇ。ここにオペラを入れて,iPadで観る。これ,いいかも。
 じつは,Wi-Fiルータは持ってるんですよねぇ。docomoのL-04D。

2013年5月27日月曜日

2013.05.27 山路達也・田中拓也 『頭のいいiPad「超」情報整理術』

書名 頭のいいiPad「超」情報整理術
著者 山路達也・田中拓也
発行所 青春出版社
発行年月日 2010.11.20
価格(税別) 990円

● 「頭のいい人」は,こういう本は読まないものだろう(という気がする)。ぼくはそうじゃないから読むんだけどね。

● 実際のところ,この本に説かれているほどにiPadを使い倒している人がいたとして,そういう人とはあまりお友だちになりたくないような。著者たちは商売だから,アレコレやっているんだろうけど。
 っていうか,ここまでやるんだったら,ノートパソコンを持ち歩いた方がよくない? 今どきのパソコンはSSDで起動も速いらしいし。

● そもそも,ぼくはiPadを持ってないし,今後も持つことはないと思うんですよ。だったら読むなって話なんだけど,この本で説かれていることの大半はAndroidでもやれるんでしょ。
 Androidタブレットなら,ひょっとして持つことがあるかも。ひょっとしてだけど。

● さらにいうと,apple製品を使ったことがない。今後もないと思う。でも,この業界におけるappleの先導性は認めている。デザインが秀逸であることにも異論はない。
 要するに,嫌いなんだけど気にはなってる。いや,正直にいうと,apple製品に自分は選ばれまいと思っている。どういうわけか,apple製品に劣等感を持ってしまっているのかも。

● ぼく的には,目下はGoogleと心中する構え。ブラウザは当然にしてChrome。ブログサービスも「Blogger」を利用。メールはGmail。
 ま,このへんで停まっちゃうんだけどさ。

● さて,本書はiPadの解説書なんだけど,ScanSnapの使い方やEvernote,Gmailなどクラウドサービスの利用法にも及んでいる。こちらの部分で,いくつか蒙を啓いてもらった。

2013.05.25 晶文社学校案内編集部 『通信教育の大学・短大・大学院案内 2013-2014年度用』

書名 通信教育の大学・短大・大学院案内 2013-2014年度用
編者 晶文社学校案内編集部
発行所 晶文社
発行年月日 2012.09.10
価格(税別) 1,900円

● 通信制でも大学院は高くつく。ここで紹介されている通信制大学院の中で最も授業料が安いのは佛教大学の大学院なんだけど,それでも入学金などを含めると,初年度の納付金は35万円になる。
 それだけのモトを取れるか。よく考えた方がいいよね。

● 会社や役所で働いている社会人で,修士や博士の資格がどうしても必要って人がいるのかどうか知らないけれども,必要という人にとっては,通信制大学院は有力な選択肢になるんだと思う。
 そんなものは要らないっていう大半の社会人にとっては,当然だけど,無用の長物。

● 中には勉強が趣味っていう人がいるかもしれない。そうした人たちにとっては,(通信制の)大学院なんかかえって迂遠に感じるのじゃないか。完全独学の方がスピードが出るんじゃなかろうか。
 オーソライズされたカリキュラムじゃ,自分にとっては無駄だっていう部分がどうしたって出るだろうしね。

● 今はどこでも社会人学生を獲得するのに躍起になっている感があるけれども,こういうのにとっ捕まって,うかうかとカモになるのもなぁ。
 ちょっと前の臨床心理士なんか典型的な例かも。大学院まで行って受験資格を取って,どうにかこうにか臨床心理士になったはいいものの,それだけで喰えるほど世の中,甘くないっていうかさ。

● きれいな仕事っぽくて(汚れ仕事じゃなくて),少しばかり知的な雰囲気があって,これからは花形の仕事だなんて言われてその気になって。どうよ,こういうの。
 黎明期にさっさとなって,教える側に回り,その後になろうとする人から授業料を取ることによって喰っていく以外に,さほどの使い途はあるまいに。

● 結局,社会人大学院,とりわけ通信制大学院なんてのは,勉強を道楽にしている人たちの中の,あまり頭脳のスペックが良くない人のもの。
 そういう仕分けは乱暴か。

● ちなみに,お金のことだけをいえば,一番安くあがるのは放送大学の大学院。それでも学部の2倍だけど。

2013年5月23日木曜日

2013.05.20 隈 研吾 『自然な建築』


書名 自然な建築
著者 隈 研吾
発行所 岩波新書
発行年月日 2008.11.20
価格(税別) 700円

● 本書に紹介されている著者が設計した建築物のうち,3つが栃木県内のもの。
 那須町(芦野)の「石の美術館」。素材は芦野石と呼ばれる地元で産出される石。
 高根沢町の「ちょっ蔵広場」。大谷石の米蔵をリニューアル。あるいは,解体して作り直した。
 那珂川町(旧馬頭町)の「広重美術館」。杉と和紙を使った。
 「石の美術館」にはじつは行ったことがない。が,「ちょっ蔵広場」と「広重美術館」には馴染みあり。気取らない造作が好印象だと思っていたんだけど,当事者には苦労がたくさんあったんですな。言われなければ気づけない。

● アヴァンギャルドという言葉を思いだした。前衛芸術という意味で使われるのだろうが,著者は最先端に立つ人っていうイメージ。変革者っていうか。変革の結果をしっかりと形にするっていうね。

2013.05.17 飯田史彦 『生きがいの創造Ⅴ』


書名 生きがいの創造Ⅴ
著者 飯田史彦
発行所 PHP
発行年月日 2013.03.22
価格(税別) 1,700円

● こういうのって,好きな人ととことん嫌う人と,両極端に分かれるんだろうな。
 人は自分の人生を自分で決めて(計画して)生まれてくる。したがって,耐えきれないような状況には遭遇しない。
 死んでも魂は不滅。光になって永遠に不滅(また生まれてくる?)。
 というわけだからね。

● 著者も言っているように,使えると思えば使えばいいのだろう。功利的に判断すればいい。実際,この本を読んで救われないまでも,荷が軽くなったと感じた人はたくさんいるかもしれない。
 ぼくはといえば,わりと読む方なんですよね,この手のものを。

● 養老孟司さんなんかは,こういうものにはまったく否定的なはずだと思うけど,養老さんがお書きになるものも面白い。
 面白く読めるものが読むに値するものだと割りきっている。何かを学ぶ,何かを得るための読書があってももちろんいいけれども,基本,読書は消費だと思うから。

2013年5月16日木曜日

2013.05.15 森 博嗣 『100人の森博嗣』


書名 100人の森博嗣
著者 森 博嗣
発行所 講談社文庫
発行年月日 2011.09.15(単行本:2003.03)
価格(税別) 581円

● エッセイのバラエティ(?)のようなもの。自作解説と他者作品の解説があるのが特徴。当然,面白い。この面白さを分析できればいいんだけど,わがことながら,よくわからない。
 独自であること。明快であること。透徹であること。そのへんに快感を感じていることは確かなんだけど。

● たとえば,なんでもないようだけど,次の文章なんか。
 各分野で一流といわれる人は,どこか違うのである。(中略)最もニュアンスが近い表現は「オーラを感じる」というもの。この「オーラ」とは,ほんのり,ぼんやりと見えるものかというと,全然違う。(中略)もっと圧倒的,つまり「超眩しい!」という感じなのである。だからこそ「オーラ」なのだろう。したがってオーラが多いとか少ないという表現も馴染まない。つまりは,ONかOFFである。実に明快だ。(p244)
 他ではなかなか出てこないだろう。「ほんのり,ぼんやりと見えるもの」ではないっていうあたりがね。

● 高校生に向けて次のように語っている。
 本当に何かをしたければ,そのためには何をしたら良いのかってちゃんと考えていくはずなんです。そうすれば,そのとおりになっていく。やっぱり望んで,信じていることが大事で。真剣に考えたら,必ず実現すると思うんですよ。(p290)

2013年5月14日火曜日

2013.05.13 森 博嗣 『悠悠おもちゃライフ』


書名 悠悠おもちゃライフ
著者 森 博嗣
発行所 講談社文庫
発行年月日 2007.07.13(単行本:2006.07)
価格(税別) 752円

● 世の中の大多数の人が「おもちゃ」という言葉から連想するものと,本書に登場する「おもちゃ」たちの間には,隔絶といっていいほどの距離があるかも。
 ヘタに理解しようとしない方がいいのだろう。ここまで来てれば,天才の領域だと了解しておいた方が無難だ。

● いくつか転載。
急ぐことに比べて,ゆっくりと進むことは案外難しいものだ。(p40)
 エンジニアにとって最も大切な教訓とは,「理屈どおりいくことは奇跡だ」である。(p151)
 名人と呼ばれる陶芸家のアトリエを見よ。天才デザイナーの作業場を見たことがあるか。新進気鋭の学者の研究室を知っているか? クリエーティブな仕事をしている人間の活動場所は,例外なく散らかっているものだ。(p167)

2013.05.11 森 博嗣 『TRUCK&TROLL』


書名 TRUCK&TROLL
著者 森 博嗣
発行所 講談社文庫
発行年月日 2012.06.15(単行本:2010.03)
価格(税別) 648円

● 『DOG&DOLL』に続く,音楽(を素材にした)エッセイの2冊目。面白いエッセイを読む時間を持てるのは,なんだかんだいって,かなり上質な幸せというものだろう。
 読んで,自分の何かが変わるわけではないけれども。ただし,著者は次のように言っている。
僕が観察したところ,多くの人の自由を奪っているのは,その人自身の「きっと自分には無理だから」という錯覚である。(p154)
● いくつかを転載。
 たとえば,勉強した方が自分のためになるとわかっているのに,ついサボってしまう。ダイエットしたいと真剣に考えているつもりでも,つい甘いものを食べてしまう。この場合,サボることや食べたいものを食べることが自由だと考えがちだが,違う。それは,自分の意志が,なにかに負けているわけだ。よく,「意志が弱くてね・・・・・・」などと言い訳をする。これは,意志に優るなにものかに支配されている証拠である。支配されている,ということは,すなわち自由ではない。(p152)
 著者の屋台骨のひとつが,この「自由」だ。何ものにもとらわれないこと。世間や常識やマスコミや過去の自分や。
 ブログがここまで増えすぎてしまうと,これはもうみんながいっせいに歌いだしたカラオケ大会みたいなもので,「誰も聴いていない」状態になっていることは,数の原理からいって確実だ。(中略) 誰も読まない文章をこれほどまでに量産した時代はかつてなかったはずである。文章はゴミにならないから環境を汚すわけではないけれど,ネット上での検索の障害にはなっている。ま,いいけど・・・・・・(p156)
 このブログの話もすでに何度か出てきている。ごもっともな話で,このままいけば書く人ばかりで読む人がいなくなる。書き手自身が唯一の読者ってこともあるだろう。ブログの書き手は,このことは拳々服膺しておくべきでしょうね。

2013年5月11日土曜日

2013.05.10 森 博嗣 『森博嗣のTOOLBOX』


書名 森博嗣のTOOLBOX
著者 森 博嗣
発行所 日経BP社
発行年月日 2005.10.17
価格(税別) 1,500円

● 『日経パソコン』の連載をまとめたもの。かといって,パソコンの話ではなく,著者が工作に使っているいろんな道具が紹介される。それら道具を媒介にして,著者の人生観が披瀝されるわけですね。

● ちなみに,著者はMacユーザー。だから,自分もMacに替えようかとは間違っても思わない。なぜって,Macに替えたからといって,自分が著者のようになれるわけではぜんぜんないからね。あたりまえだけど。

● いくつか引用。
 手を前後に動かすそのワンストロークが,最終的な結果に結びつく,という充実感を,多くの技術者は感じているだろう。自分の仕事が何の役に立つのか,と不満に思っているビジネスマンと対比される。工作の手応えとは,そういうものだ。(p113)
 これはちょっと印象的。なぜって,「自分の仕事が何の役に立つのか」がわからないことが,ビジネスマンを病ませている究極の原因だと思っているのでね。
 うつ病が増えていると言われていて,実際にそうなんだと思うけど,その理由の究極は,自分がやっていることが何の役になっているのかわからない,見えない,手応えがない,ってことなんじゃないかと思っている。それがズンズン感じられれば,人間関係をはじめ,たいていのことには人は耐えていけるんじゃないだろうか。
 カメラを買うときには,僕は写真機としての性能をまったく気にしない。そうではなくて,見た目の形だけで選んできた。(中略) 理由は主として2つ。まず,スペックの限界を使い切るようなことが僕にはないし,だいたい新発売の製品を買っていれば,極端に劣った性能のものはない,といえること。それから,形状に優れている,新しいと感じさせるようなデザインの機種は,性能的にもすぐれていること。(p191)
 もちろん,カメラに限らない。パソコンなんか典型的にそうだ。っていうか,見た目で選ぶしかしようがない状況になっているだろう。

2013.05.08 森 博嗣 『DOG&DOLL』


書名 DOG&DOLL
著者 森 博嗣
発行所 講談社文庫
発行年月日 2011.07.15(単行本:2009.03)
価格(税別) 648円

● 著者は音楽にも強かった。クラシックからジャズ,ロックと聴く分野も広い。恐れ入谷の鬼子母神,っていう言い方が昔されたけれど,そんな印象。

● いくつか引用。
 ボーカルやリードギターが自由奔放になれるのは,ドラムやベースがしっかりしている場合に限られる。そうでないと,自由奔放になった瞬間に全体が崩壊してしまうのだ。どんな破天荒な音楽でも,やっぱり地に足がついている感じがないと,長くは聴いていられない。(p20)
 分野を問わずそうなんでしょうね。クラシックだって,チェロやコントラバスがしっかりしていればこそのヴァイオリン。
 「好きこそものの上手なれ」という諺があるが,僕自身はこの言葉をあまり信じていない。だいたいの人間は,好きなものと上手なものが別だからだ。好きなものを仕事にして成功する例は少ない。ただ,好きだと長く続けられる,という効果があるだけだ。(p33)
 何でもないことのようだけど,ここをちゃんと見ている人は少ないでしょうね。諺や警句は無条件に受け入れてしまう,っていう人が過半だろう。
 でも,成功するのと,長く続けられるのと,どっちをとるかは,けっこう悩みどころかも。
 ちなみに,ぼくは「適材適所」っていう言葉をちょっと疑っている。
 映像も音楽も,言葉のように「説明」するために使うものではない。色彩も音色も,解釈を求めて選ばれるものではない。(p138)
 映画「第三の男」は,それがよくわかるお手本になっている,という。20歳くらいのときに,この映画を見た記憶がある。何が何だかサッパリわからなかった。ぼくには難しすぎたか。DVDで見直してみようか。
 この頃,ほとんどの音楽は,電車に乗りながら,車を運転しながら,歩いたり走ったりしながら,というように,ほかの行動,ほかの環境,ほかの情報と組み合わせて吸収されている。音楽に真っ直ぐに感性を向けるような機会は,普通の生活の中では稀少な体験になってしまったといえる。(中略)ほかのものを排除し,なにもない時間,なにもない空間で,音楽だけに集中することもたまには必要だと思うし,そうすることで初めて気づくもの,得られるものが必ずある。(p228)
 これは,音楽を聴く人の多くが折にふれて感じることだろう。ぼくは奏者を選ばないで(選んでしまうと,チケット代が高額になるから)生演奏を聴きに行くんだけど,そうでもしないと「音楽だけに集中する」時間を作れないからだ。それだけが理由ではないけどね。
 それ以外で音楽を聴いているのは,電車に乗っているとき,歩いているとき,に限られるといってもいいくらいだ。著者の言うとおりだ。
 逆に,携帯プレーヤー(ぼくはスマホを使っているが)を忘れて,たんに歩いているだけ,電車に乗っているだけだと,時間を捨てているような気分になる。これはやはり本筋ではないだろうなと思っている。

● 巻末の解説は,夫人のささきすばる氏。当然,夫人にしか書けない著者のプロフィールが披瀝される。

2013.05.07 倉下忠憲 『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』


書名 ソーシャル時代のハイブリッド読書術
著者 倉下忠憲
発行所 C&R研究所
発行年月日 2013.04.01
価格(税別) 1,400円

● 読書術と銘打たれた本を読んで,本の読み方が変わったっていう人は,ひょっとしたら皆無ではあるまいか。
 では,なぜ読んでしまうのか。われながら,よくわからない。何かあるんじゃないかと思ってしまうのかね。

● 著書が説く「ソーシャルリーディング」ってやつ。ブログやSNSで感想を発信すれば,それが誰かに届いて・・・・・・って。
 たぶん,それはないんじゃないかな。普通の人の普通の感想など,誰が読むものかってことなんですよね。そうしたコラボが発生するためには,最初の文章が核になり得るだけの品質を備えていないとね。それって,かなり少ないものでしょ。
 このブログも著者が定義する「ソーシャルリーディング」に該当するんだけど,反響なんてないからね。この水準では当然だと思っている。求めてもいない。ぼくも他人様の読書ブログってまず読まないしね。

● 具体的に役に立ちそうだと思えたのは,「眠気に対抗するために立って本を読む,という方法もあります。難解な本を読む場合は一度,試してみるとよいでしょう」(p107)というアドバイス。そういう手があったのか。
 ほかにも2つ,引用。
 読書中に1つの姿勢を忘れてはいけません。それは,「信用せよ,されど検証せよ」のスタンスです。(p128)
 読書中に考えたこと,思ったこと,感じたことはあまさず記録を残すようにすること。これが本を読む際に重要な要素です。(p140)

2013.05.07 森 博嗣 『議論の余地しかない』


書名 議論の余地しかない
著者 森 博嗣
発行所 講談社文庫
発行年月日 2008.10.15(単行本:2002.12)
価格(税別) 571円

● 著者の作品から箴言を取りだして1冊に編んだもの。
 小説に人生についての学びの種を求めるのはよろしくないという意味のことを,著者自身がどこかで書いていたと思う。おそらく,本書は著者の発案ではなく,出版社サイドからの企画でしょうね。

● しかし,面白いことに変わりなし。最も印象に残ったフレーズは,「人は一瞬で死ぬわけではない。だんだん死んでいく。楽しく死ぬことが人生かもしれない」(p103)というもの。

● 解説は糸井重里さん。この解説はおいしい。糸井さんは,まず「消費の達人」として著者を観る。
 「消費というか,現代では金遣いとして表現されるものごとにも技術と思想があり,それはまた学ぶにむつかしい,運動神経とおなじような天賦の才みたいなものが要る」(p106)のだけれども,その「消費」の達人が森博嗣である,と。

2013.05.06 有限会社アリカ編 『京都読書さんぽ』


書名 京都読書さんぽ
編著者 有限会社アリカ
発行所 光村推古書院
発行年月日 2011.09.12
価格(税別) 1,500円

● これも京都の本屋さんを紹介したもの。『KYOTO本屋さん紀行』に登場する本屋は,ほぼこちらにも載ってる。
 で,本書の方が京都への誘い効果は高いような気がした。

● いろんな業態の本屋がある。のだが,ユーザーは飽きっぽい。ユニークさで生き残っていくのは,並大抵じゃないだろう。慣れればユニークじゃなくなるわけだし。

2013.05.05 『KYOTO本屋さん紀行』


書名 KYOTO本屋さん紀行
発行所 玄光社MOOK
発行年月日 2013.04.04
価格(税別) 1,200円

● 紹介されている「本屋さん」は以下のとおり。
 メリーゴーランド京都
 恵文社一乗寺店
 FUTABA+京都マルイ店
 ミシマ社の本屋さん

 町家古本はんのき
 London Books
 大垣書店高野店

 古書善行堂
 三月書房
 レティシア書房
 NOT PILLAR BOOKS
 アスタルテ書房
 大龍堂書店
 書肆砂の書
 Green e Books

 MEDIA SHOP
 山崎書店
 Books&Things
 赤尾照文堂

 ガケ書房
 世界文庫
 nowaki
 Hedgehog Books and Gallery

● 京都の旅行ガイドのようなつもりで読んだ(写真をながめた)。でも,本屋に惹かれて「よし,京都行こう」と思う人はいないだろうな。いるのかな,中には。

2013.05.04 『KYOTO図書館紀行』


書名 KYOTO図書館紀行
発行所 玄光社MOOK
発行年月日 2013.04.04
価格(税別) 1,200円

● 紹介されているのは次の24館。
 京都国際マンガミュージアム
 京都芸術センター図書室
 アンスティチュ・フランセ関西 ポール・クローデル・メディアワーク
 ゲーテ・インスティトゥート・ヴィラ鴨川 図書室
 世界人権問題研究センター人権図書室

 京都府立図書館
 国立国会図書館関西館
 京都市右京中央図書館
 亀岡市立図書館ガレリア分館

 京都市子育て支援総合センターこどもみらい館子育て図書館
 ピッコリー(こども図書館)
 大宮交通公園 電車文庫
 京都御苑 森の文庫
 京都府立植物園 きのこ文庫

 京都大学附属図書館
 京都大学医学図書館
 京都造形芸術大学 芸術文化情報センター
 京都精華大学情報館
 京都府立医科大学附属図書館
 佛教大学 成徳常照館

 松下資料館 経営図書館
 京都伝統産業ふれあい館
 今日庵文庫
 kokoka 京都市国際交流会館
 
● 京都国際マンガミュージアムの館長を務める養老孟司さんが,エッセイを寄せている。
 でもマンガも本も,手当たりしだいに読んでみて,自分が気に入るものを自分で探す。これがいちばんじゃないでしょうか。いいものを他人に探してもらおうなんて,楽をしてはいけません。それが私のような年寄りからの忠告です。(養老孟司 p5)
 これで連想するのは,CDのいわゆる名盤ってやつ。音楽本で最も売れるのは名盤(と著者が考えるもの)を紹介するってものだろう。で,どうせ聴くなら名盤(として評価が確立しているもの)がいいと,手っ取り早く効率を求める。
 書く方も書く方なら,読む方も読む方だ,とまでは思わないんだけど(ぼくもいくつか読んじゃったし),たぶん,これはダメなんだろうね。自分にとっての名盤を自分で手間ひまかけて探してナンボ,ってことなんだろう。

2013.05.03 森 博嗣 『的を射る言葉』


書名 的を射る言葉
著者 森 博嗣
発行所 講談社文庫
発行年月日 2010.11.12(単行本:2004.09)
価格(税別) 448円

● こういう本も作ってたんだねぇ。著者謹製の箴言集。

● こういうものから引用するのも,能がない話だけれども,特にこれはと思ったものをいくつか。
 天は二物を与えず,はそのとおり。三物以上与えるのが普通。(p9)
 「議論がしたいんだよ」とは,「僕の意見を聞いてよ」と同義である。(p10)
 「人間関係が一番大切だよ」と言う人ほど人間的魅力がない。(p42)
 「思ったことの半分も言えない」よりも「言っていることの半分も思ってない」の方が圧倒的多数。(p56)
 「やる気」の有無は重要ではない。問題は「やる」か「やらない」かの違いだ。(p67)
 人が怒る理由のうち最も多いのは,「相手が怒っているから」である。(p70)
 多くの組織は新人の献身的な働きによって成立している。(p91)
 「どうもうまくいかない」という仕事の95%は,「最初からやらなければ良かった」ものである。(p95)
 貫禄と威厳は,中を覗けば,僅かな経験と単純な思い込みだけ。(p97)
 「最近の若者はやる気がない」というのは,「正直なのでやる気のあるふりができない」という意味です。(p115)
 「健康が一番だ」という人には,是非とも「二番目は何?」と問いたい。(p119)
 「残り僅か」という場合,大半は「最初から僅か」である。(p129)
 人の役に立ちたいといくら願っても,少しも役に立ちやすくはならない。(意気込みが問題を解決することは希である)(p131)
 書き手がいう「読者」とは複数。読み手がいう「読者」とは自分一人のこと。(p147)
● 養老孟司さんが巻末に解説を寄せており,これはおまけとしてはお得過ぎる。

2013年5月2日木曜日

2013.05.02 池波正太郎 『正太郎名画館』


書名 正太郎名画館
著者 池波正太郎
発行所 河出書房新社
発行年月日 2013.04.30
価格(税別) 1,600円

● 初出は1977~84年。当然,本書に登場する映画たちは,40年近くも昔のものってことになる。数は少ないけれども,ぼくも見た映画も出てくる。
 のだが,正直,懐かしいという感じはしない。さほど映画が好きじゃなかったのだろうな。

● 名画座で3本立てを見続けた数年間があるにはあったんだけど,鮮烈に記憶に残っている映画ってない。当時の流行スタイルに乗ろうとしてただけなんだろう。映画を見る自分ってどうよ,かっこ良くない,ってね。

● しかし,池波さんは,当然ながら,そうではない。夥しい量の映画を見続ける。主には配給会社の試写室で。
 これだけ見てるんだから,玉石混淆だったに違いないのだが,池波さんは貶しっぱなしにはしない。どんな映画でもどこか一箇所はほめている。
 芝居の演出も手がけていた人だから,映画もまた演出に注目する度合いが高かったようだ。もちろん,脚本への目配りも。

● 職業ゆえ,細部をキチッと捉えていると思われる。それをギュッと凝縮して,簡素な文章に反映させているのはさすがというべきでしょう。短い文章の積み重ねなんだけど,盛られている情報量はとんでもなく多い。
 問題は読み手であるこちら側が,その情報量のどこまでをキャッチできているか,ってこと。

● ちなみに,「エマニエル夫人」。シルビア・クリステルが主演したやつ。ぼくも見たんですけどね,つまらなかった記憶しかないんですよね。たんなるポルノとしか思えなかった。
 いまどきのAVの方が,よっぽど鑑賞に耐えると思うんだけど,今,見直せば印象が変わるのかなぁ。見直す気にもなれないけれど。