2013年12月10日火曜日

2013.12.06 茂木健一郎 『それでも脳はたくらむ』

書名 それでも脳はたくらむ
著者 茂木健一郎
発行所 中公新書ラクレ
発行年月日 2007.12.10
価格(税別) 700円

● 中公新書ラクレの3冊目のエッセイ。

● 意欲が大事なことはたぶん誰でも知っている。問題はその意欲の掻きたて方なんだな。それを教えてくれというのは,甘えるのもたいがいにしろ,ってことなんだろうけど。
 いやいややっても身につかない。これもたいていの人にとっては経験則のひとつになっているだろう。けれども,いやな勉強や仕事を楽しむ術がわからない。これまた,そこまで人に教えてもらおうというのは,論外の沙汰かもしれないけれど。

● ちょっとずれるかもしれないけれども,「人の行く裏に道あり花の山」っていう格言が相場の世界にあるらしい。大勢が行く道を行ってはいけない,と。これまた頭では理解できる。
 けれども,人の逆をやるというのは,犬が西向きゃ尾は東,というわけには行かない。大勢の誤りを自分が認知できるなんてことはまずないだろうから。
 誰もがそう言っている,テレビも新聞も雑誌もそう言っている,なおかつ自分もそう思う。そういうときに,大勢に付かないというのは,自分の考えの逆をやることと,ほとんどイコールだ。

● 英才教育というものに感じるかすかな胡散臭さ。その正体は次のようなもの。
 幼少期から数理系の専門的な訓練をするいわゆる「英才教育」を行った事例がよく知られているが,若くして大学に進むなどの成果はあるものの,その後伸び悩んでしまうことが多い。(中略) 総合的な教養,知性という「裾野」があって,初めて鋭利な専門的能力も立ち上がる。(中略) 人間としてのトータルな力がなければ,どんな専門性においても天才という名に相応しい仕事を残すことはできない。どうやら,それが真実であるようである。(p69)
● 信用されるためには正直であること。もちろん,建前を排して本音だけを言えということではない。
 他人に信用してもらうにはどうすればよいか。説得力のある人になるための秘訣は何か。 言い古されたことだが,「正直」になるのが一番である。他人が正直にものを言っているかどうかを判定することが,時に生死にかかわる重大事となりかねないから,脳も必死になる。(p86)
● 昨今は社会人大学院の隆盛で,大学院の学部化が進行しているように思ってるんだけど,学部にしたって,とんでもない人はいるものだ。
 大学で科学哲学を専攻した私の友人は,指導教官であった哲学者の廣松渉さんに「君,一日三〇〇〇ページ読まないとダメだよ」と言われたという。 当時,私はその話を聞いて「えっ,三〇〇〇ページ!」と絶句したが,学者というものは本来それくらいのテクストに向かい合う覚悟を決めなければならないという戒めなのだろう。(p109)
● お金を使ってする遊びは必ず飽きると思っている。飽きないのはタダでできる遊びだ。あるいは,ごく少額ですむ遊び。
 高級ホテルに泊まるのも,高そうなレストランでご飯を食べるのも,集中してやってしまうと短期間で飽きる。
 贅沢とは,絶対的に決まるものではなく,人それぞれが世界の中で置かれている立場によって変化するものである。一昔前の日本人だったならば,都会的な贅沢は希少なものだったかもしれない。しかし,今日ではむしろ自然のほうが贅沢である。(p128)

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