2013年10月18日金曜日

2013.10.18 関川夏央 『汽車旅放浪記』

書名 汽車旅放浪記
著者 関川夏央
発行所 新潮社
発行年月日 2006.06.25
価格(税別) 1,700円

● 萩原朔太郎,高村光太郎,川端康成,坂口安吾,小林秀雄,上林曉,山本周五郎,中野重治,松本清張,林芙美子,太宰治,宮沢賢治,宮脇俊三,夏目漱石,森田草平,内田百閒。
 本書に登場する作家,文芸評論家たちだ。本書は,鉄道を大道具として使いながら,彼らと彼らの生きた時代を描写する。
 鉄道そのものに対する歴史的,社会学的な考察も随所に出てきて,それも面白いんだけど。

● 著者は高校1年の夏休みに,単独で自転車旅行に出る。夏休みのほぼすべてを費やす,当時としたら立派な冒険旅行だったろう。
 故郷の新潟から敦賀まで日本海側を走り,本州を横断して,神戸へ。それから紀伊半島,東海道をまわった。その理由については,「夏休みだからだ。そしてコドモは誰でも夏休みに武者修行をしたがるものだからだ」(p50)としか書いていないけれども,「私の鉄道好きは,一九五〇年代への回帰衝動である。それは十代以前である。ヒステリーの母親に苦しめられた私は,個室を強く欲した。できれば家を出たかったが,それはかなわぬ希望だった。長い長い編成の貨物列車を見てその車掌車に憧れた。車掌車に乗って昼夜を分かたず走りつづければ,個室を持ちながら旅の暮らしがつづけられるのにと痛切に思った」(p278)とあるのも,たぶん,関係あるのだろうね。

● さらに,無礼かつ根拠のない推測を重ねれば,母親のヒステリーというのは,今の言葉でいえば統合失調症の亜種だったのではないか。
 はっきりそうとは断じかねる程度の症状をまとった,この病の母親に苦しめられている子供は,今でもかなりの数,いるのではあるまいか。

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