2013年10月6日日曜日

2013.10.05 関川夏央 『寝台急行「昭和」行』

書名 寝台急行「昭和」行
著者 関川夏央
発行所 NHK出版
発行年月日 2009.07.30
価格(税別) 1,400円

● 宮脇俊三さん亡き後,鉄道紀行のバトンを受け継ぐ人は,目下のところはいないものと思っていた。迂闊も迂闊,大迂闊だった。関川さんがいたのでした。

● 彼の作品は,ソウルオリンピックの前,日本が韓国ブームに沸き返っていた頃(四半世紀も前のことになった),『ソウルの練習問題』を読んだのが最初。次いで『海峡を越えたホームラン』を読み,ほかにもエッセイ集をいくつか読んだ。
 それから,ずっと遠ざかってしまって,現在に至る。

● 4つのパートに分けて収録している。最初のパートに収められている文章に登場する,編集者のOさん,魅力的な女性だ。初出は「現代」だから,講談社の社員だね。才気煥発で,作家を大いに刺激する。関川さんも華やいでいるようだ。
 なるほど,編集者が作家に書かせるってこういうことか,っていう一例。

● 宮脇さんを題材にした文章が2本。ほかにも,宮脇作品の引用がいくつかある。この分野で文章を書く以上,避けては通れない。
 っていうか,下手すると,どうしたって二番煎じになってしまいかねない。影響を受けないわけにはいかないけれども,そこから脱する必要がある。

● 三陸鉄道で田老に行く。防潮堤の上から街を眺める。防潮堤について,次のように書く。
 街の真ん中を走る防潮堤は,一九五八年(昭和三十三)に第一期工事が完成した。それは,一九六〇年五月二十四日,太平洋を横断して到達したチリ地震津波の被害の軽減に大いに貢献した。防潮堤がなければ犠牲者は百三十九人ではとても済まなかっただろう。(p172)
 東日本大震災ではこの防潮堤がかえって油断を生んだとか,役立たずの構造物,税金の無駄遣いだとか,とかく批判や避難の対象になったわけだが,こういう指摘もあったことは知っておいて損はない。

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