2013年9月26日木曜日

2013.09.25 山内太地 『下流大学に入ろう!』

書名 下流大学に入ろう!
著者 山内太地
発行所 光文社
発行年月日 2008.12.25
価格(税別) 952円

● 冒頭で,三浦展『下流大学が日本を滅ぼす!』(ベスト新書)を槍玉にあげて,下流大学を擁護。なるほどタイトルどおりの内容なのかと思って読み進んでいったのだが,どうもそうでもない。そうじゃなくもない。印象が定まらない内容だ。

● 著者はアジりたかったのかもしれない。自分の人生観や価値観をアジテーションにして,読み手にぶつけたかったのかも。
 が,それにしては,そのアジテーションが場当たり的というかご都合主義的というか,まだ人にぶつけるほどには熟していないのではないかと思った。

● ひょっとすると,著者は世間を直接見ていないのかも。巷間に流布しているイメージをそのまま受けとめているのじゃないかと思われるところもあった。たとえば,次のような。
 日本ではエリートと呼ばれる人間ほど,依存心が強く,何事もお上頼みで,もろい。つまり,乱世に弱い。 この点,下流大学の出身者は,はなから「勝ち組」コースに乗っていないから,かえってたくましい。(p33)
 学問だけが,あなたの人生の行きづまりを突破してくれる,唯一の武器なのだ。(p34)
 この程度の認識で人を煽っちゃいけないよ,世間をなめてるのか,おまえ,と感じてしまったんだけどね。
 本書を書いた時点で,著者は30歳か。しようがないのかなぁ。30歳にしてはちょっとお粗末なような気もするんだけど。

● ただし,大学のルポとしてはそれなりに読める。著者は国内の大学すべてを訪問したそうだ。この部分からいくつか転載。
 彼(東京農大の学生)によると,国際農業開発学科の特性として,入学時は青年海外協力隊にあこがれる学生がとても多いという。しかし「わずか数カ月の研修と2年間の派遣で,目に見えて効果が上がっているかどうか。結局,経済大国としての負の側面の贖罪という形式的なものでしかないという実態を知り,多くの人は目指さなくなる。学科でも年に数人でしょうか。海外協力隊志望の人には,遊び感覚の人も多いそうですよ」とのこと。(p81)
 かつて専門学校時代,働きたくない,大学にも入れないという学生を相手にしてきましたが,それがいまは大学にも広がっています。しかし私(東北文化学園大学の先生)は,すべての学生には潜在的な可能性があると考えています。私たち職員も,学生を育てているのです。(中略)大学は学生あってのもの。学生のために何かをしてあげなくては。こうした意識のない先生は,つまらない授業しかしない。それでは学生は寝ますよ。(p96)
● しかし,何を言いたかったのかはわからず終いだった。
 「現在の大学は,(中略)大学生を勉強させる方向に変化している。いろいろな大学を見学しても,おおむね大学生は勉強熱心になってきていると感じる」(p38)と書いたかと思えば,「多くは,高いお金を出して大学に行かせてもらいながら,大学という場を生かせず,学ぶ喜びも知らず,自らを高めることもできないまま卒業していく」(p115)とも言う。どっちなんだよ。

● 大学を見て歩く暇があるんだったら,世間を見たら,って気がしなくもない。
 が,著者はここに飯の種を見いだしたようでもある。人の商売の邪魔をしちゃいけないよな。

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