2013年8月7日水曜日

2013.08.06 村上春樹 『意味がなければスイングはない』

書名 意味がなければスイングはない
著者 村上春樹
発行所 文藝春秋
発行年月日 2005.11.25
価格(税別) 1,333円

● ジャズ,ロック,クラシックなど,著者が聴く音楽にジャンルは関係なし。この辺のところは,「あとがき」で著者自身が説明している。
 この「あとがき」,著者の超ミニ自叙伝としてもファンにとっては興味惹かれる内容になっているのではあるまいか。
 僕の両親は音楽をとくに好む人々ではなかったし,子供のころうちにはレコードの一枚もなかった。音楽を自然に耳にする環境ではなかったということだ。それでも僕は「独学」で音楽を好むようになり,ある時期からは真剣にのめり込んでいった。(p277)
 十代の初めから終わりにかけて,僕はまわりの誰よりも,多くの小説を読みあさった。その時期,僕くらいたくさんの小説を読んだ人間は,それほどはいないだろうという自負みたいなものがある。図書館にあった主要な本はほとんど読破してしまった。読み方もずいぶん深かった。気に入った本があれば,三回も四回も読み返した。そのように書物を読み,音楽を聴くことが(そしてときどき女の子とデートすることが),十代の僕にとっての生活のほとんどすべてだった。学校? 勉強? そういえばそういうものもあったかもしれない。よく覚えていないけれど。(p278)
● その著者が自身の音楽観を語ったのが本書。具体的な演奏家,作曲家を取りあげて,自在闊達に説きまわっているように思えるんだけど,その仕事ぶりは次のようなものだったようで,簡単にスラスラと書いたわけではない。
 うちにこもって,机の上にレコードやCDや資料を山と積み上げて,ずいぶん手間暇をかけて書いた。寝食を忘れ・・・・・・というほではないにせよ,さらさらと簡単に片づけられる仕事ではなかった。(p276)
 語るための素材に選ばれた演奏家,作曲家は,次の11人。
  シダー・ウォルトン
  ブライアン・ウィルソン
  シューベルト(ピアノ・ソナタ第17番ニ長調)
  スタン・ゲッツ
  ブルース・スプリングスティーン
  ゼルキンとルービンシュタイン
  ウィントン・マルサリス
  スガシカオ
  フランシス・プーランク
  ウディー・ガスリー

● 著者の音楽観を共有できるのは,こちらとしても嬉しいこと。なんだけど,残念ながら共有はできない。ぼくの場合は,ですけど。
 なぜなら,本書に取りあげられている楽曲のほとんどを聴いたことがないからだ。著者の蘊蓄についていけるバックグラウンドが見事にない。
 ただ,麻雀のルールを知らなくても,阿佐田哲也の『麻雀放浪記』は面白いように,楽曲を聴いたことがなくても,本書は本書として独立しているので,文章を味わうことはできる。
 ただ,理解できたかどうか(追随するにしても批判するにしても)は皆目不明っていうだけ。

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