2013年7月22日月曜日

2013.07.16 筒井康隆 『漂流』

書名 漂流
著者 筒井康隆
発行所 朝日新聞出版
発行年月日 2011.01.30
価格(税別) 1,300円

● 副題は「本から本へ」。幼少年期,演劇青年時代,デビュー前夜,作家になる,新たなる飛躍,の5つに年代を区切って,そのときに読んだ本(のごく一部)を取りあげて,その本を語り,本との関連で自分を語る。

● 「幼少年期」に読んだのは次のとおり。
 田河水泡『のらくろ』
 江戸川亂歩『少年探偵團』
 弓館芳夫訳『西遊記』
 ボアゴベ『鐵假面』
 謝はな凡太郎・画『勇士イリヤ』
 坪田譲治『子供の四季』
 江戸川亂歩『孤島の鬼』
 デュマ『モンテ・クリスト伯』
 夏目漱石『吾輩は猫である』
 メリメ『マテオ・ファルコーネ』
 手塚治虫『ロスト・ワールド(前世紀)』
 マン『ブッデンブロオク一家』
 サバチニ『スカラムッシュ』
 ウェルズ『宇宙戦争』
 宮沢賢治『風の又三郎』
 バイコフ『牝虎』
 アプトン・シンクレア『人われを大工と呼ぶ』
 イプセン『ペール・ギュント』
 イバーニェス『地中海』

● 「演劇青年時代」に読んだのは。
 アルツィバーシェフ『サアニン』
 ショーペンハウエル『随想録』
 ケッラアマン『トンネル』
 チェーホフ『結婚申込』
 ズウデルマン『猫橋・憂愁夫人』
 クリスティ『そして誰もいなくなった』
 フロイド『精神分析入門』
 井伏鱒二『山椒魚』
 メニンジャー『おのれに背くもの』
 横光利一『機械』
 飯沢匡『北京の幽霊』
 高良武久『性格学』
 福田恆存『堅壘奪取』
 ヘミングウェイ『日はまた昇る』
 ハメット『赤い収穫』
 カフカ『審判』
 カント『判断力批判』

● 「デビュー前夜」では。
 フィニイ『盗まれた街』
 三島由紀夫『禁色』
 メイラー『裸者と死者』
 ディック『宇宙の眼』
 ブラウン『発狂した宇宙』
 シェクリイ『人間の手がまだ触れない』
 セリーヌ『夜の果ての旅』
 ブーアスティン『幻影の時代』

● 「作家になる」では。
 生島治郎『黄土の奔流』
 リースマン『孤独な群衆』
 川端康成『片腕』
 オールディス『地球の長い午後』
 つげ義春『ねじ式』
 ビアス『アウル・クリーク橋の一事件』
 東海林さだお『トントコトントン物語』
 ローレンツ『攻撃』
 ル・クレジオ『調書』
 阿佐田哲也『麻雀放浪記』
 新田次郎『八甲田山死の彷徨』
 山田風太郎『幻燈辻馬車』

● そして「新たなる飛躍」では。
 コルタサル『遊戯の終り』
 大江健三郎『同時代ゲーム』
 トゥルニエ『赤い小人』
 フライ『批評の解剖』
 マルケス『族長の秋』
 ドノソ『夜のみだらな鳥』
 イーグルトン『文学とは何か』
 ディケンズ『荒涼館』
 丸谷才一『女ざかり』
 ハイデガー『存在と時間』
 
● 漫画から文学,哲学,社会科学書まで。
 特に,「幼少年期」は戦前を含みますからね。その当時,本を読む人は今よりずっと少なかったはずだ。読める環境にいたことじたい,それなりの階層にいたってことでね。
 父親が京大理学部卒。圧倒的少数の上流だったんだなぁ,と。家にたくさん本があったんだもんなぁ。
 疎開で農家の子供に苛められた話が出てくるんだけど,これねぇ,農家の子供にすれば苛めたくなるのかもなぁ。自分とは隔絶した世界に住んでたやつだと思うだろうからねぇ。それがのっぴきならない事情とはいえ,ノコノコと自分たちのテリトリーにやってきたんだからね。飛んで火に入る夏の虫って思ったかもなぁ。農村と都市の生活格差って,たぶん,今よりずっと大きかったろうしね。

● 読める環境にいても読まない人も当然いるわけで,ここで読むっていうのがね,そこを分けるものって何なんですかねぇ。
 「幼少年期」には「その頃まだ,夢にも思っていない」という記述が頻出する。

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